晴海様の神通力

篠崎流

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西の支部

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同当日には桜子も横浜支部に戻り早速対象の相手に伝える、これは獅童と元々関係が近く武力でも桜子と同等の力があり、指揮統率も問題なく可能な、先に晴海と会った音が受けて同家の配下と共に現地に向かう

更に同日夜には甲賀市の甲南にある指定住所に着いて状況を報告してきた

神宮司本家からの承認を受けてOKの連絡を受けて、そのまま使ってよいとの通達をとりあえず折り返し、後は開発部の方が行ってセキュリティや設備の増設をすればよい

この譲り受けた施設は5階の鉄筋事務所テナントなので
そこそこ安全で頑丈だし、かなり新しいので設備も入れやすく駐車場も5台分くらい、100平米以上あり長方形な建物
部屋数的にも広さ的にも十分だろう

「生活空間も完備されているので直ぐ駐在可能です、一応、ウチの家の関係者で別に二人居ます」
「なんか急な事で申し訳ないね」
「いえいえ!支部を任せてもらえるなんて光栄です任しといてください」
「うん有難う、頼むよ」
「はっ」

「でー、業務というか対応的には横浜支部と同じ感じでいいんですかね?」
「人数が少ない、三人だからパトロールとかは無理しなくていいと思う、仮にやっても無理の無い範囲でいいかな、予報と連絡網が設置されたら連携と位置情報を相互に見れるから、京極と睦の人員と予報を中心に発生場所に向かうくらいで」
「ふむふむ」
「この辺りも善幸さん、六花さんに伝えておくから、可能なら人員もどこかから持ってくる、他の事は音さんの裁量に任せるよ」
「了解でござる、が、機器の操作とか、メンテとか、ドローンまで置くとなるとウチらだけだと不足すると思いますので、どっちかと言うとウチの人員は武闘派というか…苦手なので」
「あー、了解」

となった為、とりあえず六花と善幸と時人にも現状をメールだけ入れておき、専属の待機人員、特に事務方を探すがECMは前線部隊の方向性なので、元々そういう人材が少なくはある

開発部は提携公共組織ではあるのだがその人員は公務員なので実際ECMの支部自体の待機人員にする、所属そのモノを変えるのは難しい

ECMはあくまで晴海を長とした組織で一般的には事件とか内容自体は秘密な訳で、どっかから雇うとか、募集も出来ない

ここで「あれ?」と思ったのが先日会ったキラの事である
そうしてこちらにもメールを入れるが、直ぐ返信があり「部会に伝達します、暫くお待ちください」との事だった

まあ、ただ、晴海が甲賀支部を置く目的は西の最前線、京極、睦の人員との連絡網や位置把握を相互にし易い事、予報が設置出来れば早い段階で集結多人数対応可能な事で、甲賀支部自体が人数と戦力が多くある必要もないとは考えている

そもそも近畿には三家ある訳で、全体に捜査範囲があるし、元々大抵の事態は対応可能、要するに支部がここに割り込む必要もなく前を張る必要もない

困った時に各家から要請してもらい、援軍とか補佐に支部が向かうに近い使い方になるので、そこまで強力な退魔師を置かなくても良くある

そうして翌日早朝に、開発部のトレーラー部隊も到着し、早速内部には通常セキュリティ監視カメラ、窓も高耐久なモノに取り換え、レーダー、通信端末、屋上に大型の予報の送受信機ドローンとドローンの帰還ユニットを敷設

外の何もない駐車場には別のトレーラーからバイクを下して置き二時間で帰っていったが

同日にはキラから電話が入り「晴海様の組織に一ノ瀬の事務方を送ります」と、伝えられ、更に同日午後には甲賀支部にも二人訪問し、直ぐに手続きをとって、ECMの人員として支部に着任する事になった

「ちょっ早」とか思わざるをえないが、実際本家ではこれに近い事が常時行われている

晴海なり、泰斗なりが曖昧にでも「これがやりたい」と言えば、即応して一切当主の手を煩わせずに整える、のが神宮司の支家の仕事だからだ

一応問題というか、不可能な事もある、晴海の要望は神宮司の範囲でしか行えない、例えば、開発部も手伝って欲しい、はその輪から外れるので応じれない、あくまで神宮司専門の組織だからだが

更に当日には、開発部からマニュアルを伝文されて、これも一ノ瀬の女性二人が、起動、電波線の発信と、近畿で哨戒していてECMから回ってきたインカムを持つ其々の家の兵とも無線可能な状態に構築し、位置情報を広域MAPで閲覧可能な状態に整えた

メカニックに関してだが、これは開発部が定期で回るのと綾辻の研究機関からも専門家を充てるとされ、翌日にはその専門家一名も甲賀支部に配属される

余談ではあるが、四家で支家の規模が最も大きいのが綾辻でもある、退魔の一派としての内容を明確に知っていて、その秘密を漏洩することもなく信用の高い協力している家と人数で言えば200人以上居る

その中で綾辻グループの企業の中で連携、起業したり、グループで働いたりもしている、近代的組織という観点ではかなり強固で応答性が高い集団という事になるのでこういう事態で人を動かしやすい側面もある

甲賀支部自体は事件発生が物理的に発生した場合、要請を受けて現場に支援援軍に入る、助っ人みたいな扱いにするのが良い。その為地理的に全方位に行ける場所が必要だったので
この位置になる

責任者に充てた音の親族も獅童流の代々の皆伝であるし、全員専用装備と一閃も持つのでその点は大丈夫だろう

ただ、数が少なく、遠征とか哨戒任務とかには向かないので関東のECMでやってる人海戦術の捜査の類はそんなにやらなくていいよ、とした訳である

勿論、実際に物理的に戦える個の強い退魔師が音だけでは少し不足はするだろう、一閃や七重鐘、召喚も操るが先日の鬼以上とかだと結構厳しい

ので、関東本部から定期的に誰か送る必要もあるのだがこれも別のアプローチを掛ける

「という訳で甲賀市にECMの支部を作ったんだけど、参加してみない?」と電話してみた

「地元で活動出来るという条件なら大歓迎です」と受けたのはマリである

実家に近い、学校もこのままでいいし、組織的連携出来る、一応京極の一派だが、フリーに近い個人活動でしがらみもない

霊力も移譲の結果大分多くなったし、個としても既にDランクくらいにはあるのでそう声を掛けたがOkが貰えたので、当人と支部に連絡

翌日には支部に訪問し、ECMの人員として加わるのもOKとしたので、登録し通信機器なども貰い軽く説明を受ける

ECM隊員としても甲賀支部に居る必要はなく、基本パトロールがあるのは夜だけで後は自由、支部は特に各地にある他家の捜査人員と相互に位置情報と通信が共有できればよいので活動自体はマリの裁量に任せる

ECMのメンバーとしてあれば装備や連絡網、予報も通達されるので完全にフリーの退魔師として個人活動するより危険度は低く成るのもあるから

「これで西はとりあえずOKかな、此処を滞在・拠点として派遣、援護、連絡、連携、位置情報の共有、人員も派遣できるし」

ただそうして環境を整え、一週間程稼働して様子見になったが、近畿、特に大阪・京都・滋賀などは予報も3回発生する、何れも実戦闘に発展しなかったが探知には掛かるらしく、それも比率的には多いという事になる

それともう一つ分かった事だが、京極と睦が居れば大丈夫だろうというのが情報から見えた事だろう。無論予報、通信での一斉連携可能になったのも大きいが

予報発生から各地アチコチに居る両家の人員が予報地点に向かい周辺を包囲しつつ、業と力のある者が予報点の中心に向かって四方から捜索

この人数も10人を下らない為、こちらで低級の妖怪がもし出現しても普通にボコられるだろう。元々其々の人員がそういう行動を長年繰り返して来たという個と集団の強みはデータでも見えたとも言える

それからやはり平地の都市部に発生が集中している、基本妖怪側からすれば餌なので元々人が多くない場所には稀にしか発生しない

人口集中地に餌が多いのだから必然的にそうなるのもある程度の裏付けにはなった

勿論霊力多い、を狙う可能性はあるが、それにしても過疎地だと人口に比して少ないと考えれば出現し易さに差が出るのは当然ともいう

大きく見ればだが、同じ比率で特異な数値があるとすれば、100の1と1000の10では後者のが相手から見れば「美味しい」となるので、狙われる要素が増えるという事になる、単に妖怪から見た視点だけで言えばだが
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