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基本的に晴海らのメンバーは其々個室を貰っているので生活はそう変わらないが、宿舎よりECMの本部に居る事が多い。こちらも居住可能なのもあるが、どちらにしても誰かしら本部に居た方がいい、という事から何となくコチラに多く待機しているのだが、そうなると自然と本部が本拠に成りつつあった
「やってみなければ分らない」とは思っていたのだが実際行動してみると、メリットは多い
高砂自身が言った通り、権限も予算も増えた事、ECM、晴海が持つ権限もあり、要請が通りやすくなった事もあり特殊開発部でも車両や専門人員等も増やされた。と言っても資金は家から出ている側面が強いが
「特殊車両ですか?」
「ええ、目立たない様に一般輸送車に偽装してありますが移動式専門車両です。二台配備されたのでこれからはパトロールしながら休養も可能です少ないですが専門の人員も増やしました」
と言った通り、トレーラーハウスとキャンピングの中間のモノで、生活しながらも監視行動が可能、移動指令部という形も可能だ
「専門の人員というのは?」
「実は、以前から要請はしていたのですが、E案件に関わった事がある、実戦経験がある人も幾人か転属して来ています。簡単に言えば軍事経験者とかですね、銃器の扱いとか、サバイバル訓練とか、特殊車両の免許持ちとかです」
「今まではダメだったんですか?」
「やってみたいという人、あるいはE件で被害にあった人、など居るには居るんですが、公的組織でこの情報は公にされていないですし転属も中々難しい、これは組織の垣根がありますから、なので今回、一度退職した経験者などを中り再就職ではどうですか?、という形で御願いしました」
「元々現場でE案件に遭遇した事がある人に限定されますが、E案件に関しては部署が違うと以後関われない場合も多い」
「つまり、通常の事件からE案件に成ると現場権限が移ってしまう事ですね?」
「左様です、なので「最初からE案件に関われる」という立場から志願してくれた方中心ですね」
「なるほど、確かにそういう人も居ますよね」
「こちらの所属として此れも車両を担当しますのでご安心を」
「わかりました」
「それと何れECMでも人員が増えれば一台はソチラにお任せしますので」
「つまりそういう人を増やせと」
「何れの事、ですね自由に使える移動拠点はソチラにもあった方が良いですし」
そこで貰った資料等もアヤネらとも見るが経歴で云えば特殊部隊出身等も多い
「なるほど盲点でしたね。確かに警官として職務に中る内にE事件に関わる事もある、けど通常の事件からE案件に成ると権限が移ってしまうので中途半端に終ってしまうそれを懐疑的に捉える人も居るでしょうね‥」
「そういう事です、今回専門の特殊部隊ECMが発足した事で最初からE案件に関われる、という事で好意的に捉えている人も実は多く、別組織から協力等も得やすいです」
「へぇ‥そうなんだ」
「距離を近くする、今まで関東圏では無かった動きだけにですね、実は綾辻からも直接支援の申し出もありまして、元々と言えば元々ですが」
「僕も色々配慮してもらっているのでありがたいですね」
「親父なりに事態を重く受け止めてるからね、大体退魔では出番があんまりないし出来る事から、という考えは変わってないと思う、だから間接的に色々動いている訳だし」
「その点はどう考えて居るんだろう」
「気に成るなら率直に聞いてみたら?アタシも気に成るし」
「そうだね‥」
と、成った為、週末。連絡を入れて再び直接会談の場を作った、今回は綾辻の屋敷ではなく中間点にあるホテルで会食という場で話す事となった
コチラは晴海とレイナだけ、時人も時人だけで会談するが
「アタシも気に成る」と言った通り、レイナが主導して問うた
「そういう訳なんだけど親父は、というか綾辻としてはどう考えているんだ?」と
「ふむ‥偶然ではあるのだが確かに晴海様の行動により、可能性が広がったのは事実だ、私も考え方が変化したのもある」
「どういう事?」
「綾辻は規模は大きいが退魔の力が少ないのは事実だ。が、専門特殊部隊という器はおそらく有効だろう、であればその器を広げていくのは悪くない」
「つまりウチもそういうのを用意する?」
「これは元々西側の三家ではあるが我々には無い。霊力に恵まれた人材が居ないからだ、つまり退魔専門という看板が有りながら対処出来る才能の者、業が居ない事にあるが近年は投資や援助によりその可能性も拡大しつつある、装備面で有効手段が出て来た事もある」
「でもまだまだ最前線で通じるかというと微妙じゃね?」
「今はな。だがこれからまだ伸びる」
「成る程、この際だから手法は何でも、対処を広げて行こうて事か」
「そういう事だ。黄家とも交流を再開したのもその点があるし其れ以外も探している、可能であればだが」
「其れ以外??」
「実は西洋にもある。組織という程大きくもないが、個々にはあるそうだ、しかも我々と違い「霊力」に依存しない手法、国内でも睦のやり方もある、問題なのは対処と手法が分離して居る事だ」
「確かにその傾向はあるよね‥」
「本音で言えば、こういう縄張り的な対処はあまり良いとは思わない、極限られた才能に依存する対処というのは幅が狭いし、事態が大きくなった時に脆い」
「そうかも‥、現在も四家と其の中での専門家が小数居るだけだしね‥」
「漠然とした答えだが、今はそう考えている。将は早々出ないなら兵のクオリティの底上げが一番有効とも考える、それしか出来ないとも云うがな」
「なるほどね」
「では時人さんが僕に求めるモノとは、今後はどうするのがいいんでしょう?」
「晴海様は晴海様の判断と行動を優先して良いと思います。敢て公的な事でアドバイスという事であれば独立性は維持した方が宜しい、その前提の下、強化・拡大していく事が状況の対応を広げます」
「積極的に輪を広げて行く、現有戦力強化、という事でしょうか」
「はい。今までもこれからも、各所から協力が得られているのは晴海様の「私的」な行動の結果ですから、また「どこの贔屓の」というのが無いから好意的である、とも言えます、その長所は晴海様が思っているより、遥かに大きい力です」
「はい」
「私が求める物、というのはやはり綾辻としての全体の強化、専門家としての部分です。強いて御願いするのであれば、レイナの例を増やしたい、とは思いますが‥」
「綾辻にもランクの高い人員が欲しい、と」
「レイナは短期で倍近い霊力の向上があった、理由も前回説明を受けましたので、可能であれば今後とも傍に置いて鍛えて頂けるとありがたい」
そう、云われたら「秘密」部分も説明しない訳にはいかないだろう、やむなくレイナも「実は‥」と説明するが、流石に時人も驚いたがある程度の予想はあったのだろう
「成る程‥、晴海様は勝手に霊力を蓄財する体質、それを直接受けたから、レイナに分け与えが起きた‥と」
「悪い親父。具体的な説明は出来ない秘密なんだ」
「いや、それはそうだろう‥、特に咎めはせんよ」
と腕組みして深く頷いたが、3秒程眼を閉じて考え込んだが
その後、時人も「ふっ」と笑った
「私もこの事は他言しませんのでご安心を‥しかし」
「?」
「親の私が云うのも何ですが、この娘の何処が気に入ったのか。あまり女性的な部分はありませんが‥」
「な?!親父が言うか?!」
「いや、すまん。ウチの娘らの中でも特に男らしいというか口が悪いというか正直貰い手があるのか心配しておりました」
「それはまた‥」
「いやまあ、それは自覚あるけどさ‥ていうかアタシから求めたんだけど‥」
「くくく‥そうかそうか」
「あ、なんかスゲームカツク‥」
「ま、しかしそういう理由ですと他の者にも御願いする、という訳にもいきませんな、ウチには娘が複数居ますが何れも箱入りですから」
「まあそうな‥晴海に分け与えて貰っても別に戦える訳でもないし‥霊力貰ってもしょうがない、てタイプが多い」
「そうなの?」
「姉は二十二でおっとりしてて荒事なんか無理だし技術は持ってない、辛うじて弓術が出来るのが三番目、まだ十五歳だし、一番下が十才」
「成る程」
「直接的な質問で申し訳ないのですが、晴海様は相手を抱くのに抵抗は無いですか?」
「は?」
「いえ、もしその点を余り気にしないのであるなら幾人か候補が居るのですが‥」
「それはなんとも、感情的なモノ以前に僕の力はランダムなので狙って渡す、というのが出来ないんですよね‥僕の感情面だけなら相手が同意ならあんまり嫌という事はないけど‥」
「それから霊力を蓄財するのに期間があるらしいし」
「うーむ‥、では、暫く傍に置いて貰うのは?晴海様が良ければ、という事では?」
「まあ、色々あって僕の力は制御する必要も無い。という結論と方針には成ってますから構わないと言えば構わないんですけど‥」
「では是非とも」
「ハァ‥それって側室みたいなのを増やせて事なんでしょうか?」
「いえ、無理にではないですが‥、もし晴海様が気に入らないという事であればECMで経験なり技術なり指導して貰えれば、というのもありますので」
「そういう事なら構わないですよ」
「ただ、候補者にはある程度説明が要りますな‥」
「いえ、まあ‥無闇やたらと広がったら困りますけど‥当人の範囲・個人の範囲で納まる事なら別に、僕も分け与えの力が相手にとって益しか無い事は分ってますし、欲しい人には分けていいだろう、という指針はあるので‥」
「分りました、その前提でこちらも限定範囲で選抜します」
とまで御願いされると流石に断れないだろう。結局不承ながらも受けざる得ないのだがそれは別の側面もある。綾辻に決定的に足りないのはランクに入る様な人材、各家には直系に一人、二人はDとかCとか居るのだが綾辻にはレイナと時人「だけ」でありそれもEであれば、指揮統率出来る組織を別に作ったとしても委任出来ない問題がある
もう一つが現場経験と対抗できる手段の無さ、である、何れ今の取り組みに寄って個々の戦力を底上げするにしても時間が掛かるし、術の使い手も業も無さ過ぎるからECMで最前線の経験を積ませたい側面もある
レイナも晴海もそこが分っての受諾の面もあった
「まあ、ウチの事考えたらしょうがないよなぁ‥」
「時人さんに頼まれると断れないし」
というのが二人の感想だが、これはアヤネに報告してもそんなに変わらなかった
「基本的に制御しなくていいとは本家から言われておりますので‥それに時人さんからかなりの協力を得てますし、ウチの人員が全然足りないのも事実ですしね」
としか云い様が無い訳で
「まあ、それに実力とか才能があるのに霊力が足りないので前衛で戦えないというのも可哀相ではあるしね‥」
「そうだな、それはあるHが云々以前にアタシも晴海ぼっちゃんには感謝しかないし」
「けど不安だなぁ‥どんな人が派遣されるのか‥」
「いや、まあ。候補は多く無いけどね予想は付くけど」
「そうなんだ」
そうして二日後「予想は付く」の人員が綾辻から送られ、ECM本部に訪問した
「初めまして、橘凛です」
「やっぱな‥」
「お久しぶりですお嬢様」
「それ止めて‥」
何だかレイナももの凄く嫌そうに紹介と説明したが、まあ、所謂リンさんは家でのレイナの教育をした人らしい、武芸もそうだが、教養、学問等厳しくしてもらったらしい
年齢は二十六でかなり容姿からキツメ、ビシッとした黒スーツに眼鏡でキツネ眼、結構整った美形ではあるのだが凄い圧力というかオーラがある
怖い鬼上司とか映画の殺し屋みたいなイメージする。別に態度が尖っているとか言う事でもなく丁寧なのだがそれが余計怖い
レイナも大きいのだがリンさんも同じく172~3センチはある、勿論、指導する立場にあるのだから知識的にも武芸的にも優秀で
綾辻では様々な役割を担当しており、部下等も持つがどちらかと言えば、管理職とかに近い技術に明るく、戦闘員ではないだろう
彼女の場合は其れ故、晴海が霊力移譲する必要はあまりなく
純粋に事務方不足から充てられた人材であろう
「そういう人をウチに入れていいのかなぁ‥」
「居たら居たで便利ではあるけどね。それに何でも出来るから助かるぜ」
「そうなんだ‥」
「それにウチは大企業体みたいな側面もあるから、そういう人材は本家に多い、凛が離れても別にそんなに困らないよ」
「左様です、今は綾辻も転換期にありますので、こちらのが重要、と説明されましたのでどうぞお使いください」
「わ、わかりました」
「ええと‥リンさんはどういった役割で?」
「はい、事情と情報は頭に入っております、晴海様のグループは若年層が多く、組織運営や人事、雑務で不足が多いとの事。その辺りを担当しつつ、経験を積んで来いとの事です」
「じゃあ、事前に言われた通り、退魔の部分はあまり明るくないんだ」
「左様です。実戦の経験はありますが、妖怪相手というのはありませんので、支援中心に成りますが是非ともご教授頂ければと」
「ご教授て云っても、どうなんだろう?ウチも始めたばっかりだし」
「いえ、身近に居て見て、経験して学ぶ、そういう機会すらありませんでしたから参加してお手伝いする事自体、経験になります」
「成る程、確かに。分りましたよろしく御願いします」
「はっ」
とビシっと挨拶して早速、手続きを取った後、特殊開発部とも会談し一通りのマニュアル、状況説明なども受けて「本部には私共が残りますのでお任せください」として、即日着任の運びとなった
「なるほど、ぼっちゃんの負担を下げる意味合いもあるか」
「晴海様は学生ですから、雑事は引き受けます」
「いいのかなぁ‥ありがたいけど‥」
そうして待機人員の専門家は常に複数置いておかなくて良くはなったのだが
「ていうか此処に住み込み?」
「本家でもあんな感じだから大丈夫じゃない?」
「そうなんだ‥、けど」
「けど?」
「僕が気に入れば‥みたいな事言ってたけど」
「あ、やっぱ無理?」
「オーラというか壁が凄すぎて異性がどうこうとか全く感じないんだけど‥」
「だよね‥アタシも苦手で凄く話しにくい」
「まあ、経験を積むみたいな感じらしいから同行してもらって体験してもらえばいいかな、多分僕が霊力を移譲するどうこうはあんまり関係なさそうだし」
「それはある、正直ウチの人員が霊力上がっても独自業が少ないから意味があるのか、と云われるとびみょーだしね、九十九針と初歩弓術しかないし、其れ以外の業とか手法は失伝してるのもあるらしいし、現代で掘り起こすのも無理だろうし」
「綾辻にも神宮寺みたいに失伝してるモノがあるんだ」
「どこの家でもあるんじゃないかなぁ‥古すぎるし、後の時代の子孫が使えないモノなら伝わらないからね」
「確かにね‥」
「うーん‥それ程霊力が無くても使える有効な技て無いのかな、いや、それを前提にして時人さんも色々やってるんだろうけど。折角人を送ってもらってるのに、ただ雑用任せるのもどうなんだろう」
「一般レベルしか霊力無くても一応九十九針は打てるけどね威力がアレなだけで」
「紙術も初歩で覚えるのは可能ですよ?」
「え、そうなの?」
「メイの所のも訓練すれば察知や硬気功も出来るお?」
「あれ?じゃあ‥ウチに招いた人とかに教授するのは出来るんだ。手法自体は」
「まあ、そうですが妖怪相手には有効性は無いのでは?」
「ああいや。何となく分った」
「??」
「要は全員素手なら何人居ても、実戦では意味がない、けど威力が低くても、全員が何らかの手法があれば集団として機能する、そういう所を目指してるのか」
「ああ‥アタシにも分った。特殊な才能に依存しないてそういう事か」
「そうだね、兵が全員素手なら集まっても何も出来ないし駆逐されるだけ、でも全員が例えば短銃しか持ってなくても全体の戦力で見たら大幅に集団としては強くなるて事だね」
「成る程‥特殊開発部もその手法を作り出す事を目指している訳ですからねぇ」
「全て連動性がある、それが自然構築された今の状況という訳か、僕等も少し考え無いといけないな」
「そうですねぇ‥晴海様は行動の自己判断が認められている訳ですしやってみても宜しいかと」
「どの道、人を増やす事とか今回みたいに「経験積んで来い」で他の家から派遣される事もある、そうなると共有して良い物で教えて良い物はあってもいいしね」
「けどそんなにあるのかな?難しいとか貴重な技術は門外不出じゃないの?」
「そうでもないですよ、退魔師で無くても各家のEランクに入らない直系で無い、所属人員でも前線の希望とかなら簡単なモノは伝授されますし」
「そうなんだ‥」
「アタシも名雪さんに戦い方を習ってるし基本的なモノは退魔家の範囲なら問題無いと思う」
「わかった、確認とった上で指導教本みたいのまとめてみよう」
そうして晴海も本家に確認をとったが皆の見解通りで専門家が専門家に個人的範囲で、技術提供するのは特に問題は無いらしい、そもそもの目的が「退魔」であるからだが
更に五日後には神宮寺からもマニュアルが配送されこれを広げて行く事にもなった
実際問題、晴海の集団は各家の直系ばかり集まっているし、その技術も権限も全員持つので同時に教師も居る、という事だ
ただ、基本的な門下並び輪にある人に教えて良い業、というのはそれ程凄いモノがある訳ではない
京極の紙術はアヤネが使っている紙を武器と防具として構築する業や治癒札、一門なら元々四聖獣も教えを受けられる
綾辻は剣術と弓術
睦は退魔戦闘法や投擲術
黄家のも現存する気功術の発展系で別に此処で習う必要があるのかという問題もある
「もう一つ問題なのはプロフかなぁ‥退魔ランクがアバウト過ぎて」
「ですよね‥晴海様は計測出来ない程の霊力をお持ちですから本当にCなのか不明ですし、私等も急激に霊力と業を得ましたら、今どのランクかと云われると」
「そういえば雹を救出した時に戦った蛇はかなりデカクて強いよねアレを基準にするとアヤネも確実にC以上になりそうだよね」
「相手側の資料が少ないので照会は出来ませんでしたが、多分一反木綿よりは上かも?」
「相手側の世界に乗り込んで各種調査なんて訳にもいかないしね」
とそこは割り切るしかなかったが、晴海の中では結構重要な部分でもある、単に「僕の集団」と言っても集まった人員、現状だけでも国内最大の退魔部隊には違いは無いから
あくまで概算だが、晴海とアヤネがCよりは上ぽいし、レイナと名雪とメイもDくらい、多分術の強さと自身が言った通りアスカも常人の三倍近く霊力を持つのでEという事はない
そんな強力な集団は現存していないからだ
つまり晴海の中では「各人がこのまま強化されるのだとすれば、もっと広い範囲の対応が可能」とも考えていたから。
要は「皆のランクが其々達人級であるなら各地分散し指揮官とか其々の部隊とか持っても対応出来るし、逆に僕の所に全て集めるのは勿体無い」というのがあった
「やってみなければ分らない」とは思っていたのだが実際行動してみると、メリットは多い
高砂自身が言った通り、権限も予算も増えた事、ECM、晴海が持つ権限もあり、要請が通りやすくなった事もあり特殊開発部でも車両や専門人員等も増やされた。と言っても資金は家から出ている側面が強いが
「特殊車両ですか?」
「ええ、目立たない様に一般輸送車に偽装してありますが移動式専門車両です。二台配備されたのでこれからはパトロールしながら休養も可能です少ないですが専門の人員も増やしました」
と言った通り、トレーラーハウスとキャンピングの中間のモノで、生活しながらも監視行動が可能、移動指令部という形も可能だ
「専門の人員というのは?」
「実は、以前から要請はしていたのですが、E案件に関わった事がある、実戦経験がある人も幾人か転属して来ています。簡単に言えば軍事経験者とかですね、銃器の扱いとか、サバイバル訓練とか、特殊車両の免許持ちとかです」
「今まではダメだったんですか?」
「やってみたいという人、あるいはE件で被害にあった人、など居るには居るんですが、公的組織でこの情報は公にされていないですし転属も中々難しい、これは組織の垣根がありますから、なので今回、一度退職した経験者などを中り再就職ではどうですか?、という形で御願いしました」
「元々現場でE案件に遭遇した事がある人に限定されますが、E案件に関しては部署が違うと以後関われない場合も多い」
「つまり、通常の事件からE案件に成ると現場権限が移ってしまう事ですね?」
「左様です、なので「最初からE案件に関われる」という立場から志願してくれた方中心ですね」
「なるほど、確かにそういう人も居ますよね」
「こちらの所属として此れも車両を担当しますのでご安心を」
「わかりました」
「それと何れECMでも人員が増えれば一台はソチラにお任せしますので」
「つまりそういう人を増やせと」
「何れの事、ですね自由に使える移動拠点はソチラにもあった方が良いですし」
そこで貰った資料等もアヤネらとも見るが経歴で云えば特殊部隊出身等も多い
「なるほど盲点でしたね。確かに警官として職務に中る内にE事件に関わる事もある、けど通常の事件からE案件に成ると権限が移ってしまうので中途半端に終ってしまうそれを懐疑的に捉える人も居るでしょうね‥」
「そういう事です、今回専門の特殊部隊ECMが発足した事で最初からE案件に関われる、という事で好意的に捉えている人も実は多く、別組織から協力等も得やすいです」
「へぇ‥そうなんだ」
「距離を近くする、今まで関東圏では無かった動きだけにですね、実は綾辻からも直接支援の申し出もありまして、元々と言えば元々ですが」
「僕も色々配慮してもらっているのでありがたいですね」
「親父なりに事態を重く受け止めてるからね、大体退魔では出番があんまりないし出来る事から、という考えは変わってないと思う、だから間接的に色々動いている訳だし」
「その点はどう考えて居るんだろう」
「気に成るなら率直に聞いてみたら?アタシも気に成るし」
「そうだね‥」
と、成った為、週末。連絡を入れて再び直接会談の場を作った、今回は綾辻の屋敷ではなく中間点にあるホテルで会食という場で話す事となった
コチラは晴海とレイナだけ、時人も時人だけで会談するが
「アタシも気に成る」と言った通り、レイナが主導して問うた
「そういう訳なんだけど親父は、というか綾辻としてはどう考えているんだ?」と
「ふむ‥偶然ではあるのだが確かに晴海様の行動により、可能性が広がったのは事実だ、私も考え方が変化したのもある」
「どういう事?」
「綾辻は規模は大きいが退魔の力が少ないのは事実だ。が、専門特殊部隊という器はおそらく有効だろう、であればその器を広げていくのは悪くない」
「つまりウチもそういうのを用意する?」
「これは元々西側の三家ではあるが我々には無い。霊力に恵まれた人材が居ないからだ、つまり退魔専門という看板が有りながら対処出来る才能の者、業が居ない事にあるが近年は投資や援助によりその可能性も拡大しつつある、装備面で有効手段が出て来た事もある」
「でもまだまだ最前線で通じるかというと微妙じゃね?」
「今はな。だがこれからまだ伸びる」
「成る程、この際だから手法は何でも、対処を広げて行こうて事か」
「そういう事だ。黄家とも交流を再開したのもその点があるし其れ以外も探している、可能であればだが」
「其れ以外??」
「実は西洋にもある。組織という程大きくもないが、個々にはあるそうだ、しかも我々と違い「霊力」に依存しない手法、国内でも睦のやり方もある、問題なのは対処と手法が分離して居る事だ」
「確かにその傾向はあるよね‥」
「本音で言えば、こういう縄張り的な対処はあまり良いとは思わない、極限られた才能に依存する対処というのは幅が狭いし、事態が大きくなった時に脆い」
「そうかも‥、現在も四家と其の中での専門家が小数居るだけだしね‥」
「漠然とした答えだが、今はそう考えている。将は早々出ないなら兵のクオリティの底上げが一番有効とも考える、それしか出来ないとも云うがな」
「なるほどね」
「では時人さんが僕に求めるモノとは、今後はどうするのがいいんでしょう?」
「晴海様は晴海様の判断と行動を優先して良いと思います。敢て公的な事でアドバイスという事であれば独立性は維持した方が宜しい、その前提の下、強化・拡大していく事が状況の対応を広げます」
「積極的に輪を広げて行く、現有戦力強化、という事でしょうか」
「はい。今までもこれからも、各所から協力が得られているのは晴海様の「私的」な行動の結果ですから、また「どこの贔屓の」というのが無いから好意的である、とも言えます、その長所は晴海様が思っているより、遥かに大きい力です」
「はい」
「私が求める物、というのはやはり綾辻としての全体の強化、専門家としての部分です。強いて御願いするのであれば、レイナの例を増やしたい、とは思いますが‥」
「綾辻にもランクの高い人員が欲しい、と」
「レイナは短期で倍近い霊力の向上があった、理由も前回説明を受けましたので、可能であれば今後とも傍に置いて鍛えて頂けるとありがたい」
そう、云われたら「秘密」部分も説明しない訳にはいかないだろう、やむなくレイナも「実は‥」と説明するが、流石に時人も驚いたがある程度の予想はあったのだろう
「成る程‥、晴海様は勝手に霊力を蓄財する体質、それを直接受けたから、レイナに分け与えが起きた‥と」
「悪い親父。具体的な説明は出来ない秘密なんだ」
「いや、それはそうだろう‥、特に咎めはせんよ」
と腕組みして深く頷いたが、3秒程眼を閉じて考え込んだが
その後、時人も「ふっ」と笑った
「私もこの事は他言しませんのでご安心を‥しかし」
「?」
「親の私が云うのも何ですが、この娘の何処が気に入ったのか。あまり女性的な部分はありませんが‥」
「な?!親父が言うか?!」
「いや、すまん。ウチの娘らの中でも特に男らしいというか口が悪いというか正直貰い手があるのか心配しておりました」
「それはまた‥」
「いやまあ、それは自覚あるけどさ‥ていうかアタシから求めたんだけど‥」
「くくく‥そうかそうか」
「あ、なんかスゲームカツク‥」
「ま、しかしそういう理由ですと他の者にも御願いする、という訳にもいきませんな、ウチには娘が複数居ますが何れも箱入りですから」
「まあそうな‥晴海に分け与えて貰っても別に戦える訳でもないし‥霊力貰ってもしょうがない、てタイプが多い」
「そうなの?」
「姉は二十二でおっとりしてて荒事なんか無理だし技術は持ってない、辛うじて弓術が出来るのが三番目、まだ十五歳だし、一番下が十才」
「成る程」
「直接的な質問で申し訳ないのですが、晴海様は相手を抱くのに抵抗は無いですか?」
「は?」
「いえ、もしその点を余り気にしないのであるなら幾人か候補が居るのですが‥」
「それはなんとも、感情的なモノ以前に僕の力はランダムなので狙って渡す、というのが出来ないんですよね‥僕の感情面だけなら相手が同意ならあんまり嫌という事はないけど‥」
「それから霊力を蓄財するのに期間があるらしいし」
「うーむ‥、では、暫く傍に置いて貰うのは?晴海様が良ければ、という事では?」
「まあ、色々あって僕の力は制御する必要も無い。という結論と方針には成ってますから構わないと言えば構わないんですけど‥」
「では是非とも」
「ハァ‥それって側室みたいなのを増やせて事なんでしょうか?」
「いえ、無理にではないですが‥、もし晴海様が気に入らないという事であればECMで経験なり技術なり指導して貰えれば、というのもありますので」
「そういう事なら構わないですよ」
「ただ、候補者にはある程度説明が要りますな‥」
「いえ、まあ‥無闇やたらと広がったら困りますけど‥当人の範囲・個人の範囲で納まる事なら別に、僕も分け与えの力が相手にとって益しか無い事は分ってますし、欲しい人には分けていいだろう、という指針はあるので‥」
「分りました、その前提でこちらも限定範囲で選抜します」
とまで御願いされると流石に断れないだろう。結局不承ながらも受けざる得ないのだがそれは別の側面もある。綾辻に決定的に足りないのはランクに入る様な人材、各家には直系に一人、二人はDとかCとか居るのだが綾辻にはレイナと時人「だけ」でありそれもEであれば、指揮統率出来る組織を別に作ったとしても委任出来ない問題がある
もう一つが現場経験と対抗できる手段の無さ、である、何れ今の取り組みに寄って個々の戦力を底上げするにしても時間が掛かるし、術の使い手も業も無さ過ぎるからECMで最前線の経験を積ませたい側面もある
レイナも晴海もそこが分っての受諾の面もあった
「まあ、ウチの事考えたらしょうがないよなぁ‥」
「時人さんに頼まれると断れないし」
というのが二人の感想だが、これはアヤネに報告してもそんなに変わらなかった
「基本的に制御しなくていいとは本家から言われておりますので‥それに時人さんからかなりの協力を得てますし、ウチの人員が全然足りないのも事実ですしね」
としか云い様が無い訳で
「まあ、それに実力とか才能があるのに霊力が足りないので前衛で戦えないというのも可哀相ではあるしね‥」
「そうだな、それはあるHが云々以前にアタシも晴海ぼっちゃんには感謝しかないし」
「けど不安だなぁ‥どんな人が派遣されるのか‥」
「いや、まあ。候補は多く無いけどね予想は付くけど」
「そうなんだ」
そうして二日後「予想は付く」の人員が綾辻から送られ、ECM本部に訪問した
「初めまして、橘凛です」
「やっぱな‥」
「お久しぶりですお嬢様」
「それ止めて‥」
何だかレイナももの凄く嫌そうに紹介と説明したが、まあ、所謂リンさんは家でのレイナの教育をした人らしい、武芸もそうだが、教養、学問等厳しくしてもらったらしい
年齢は二十六でかなり容姿からキツメ、ビシッとした黒スーツに眼鏡でキツネ眼、結構整った美形ではあるのだが凄い圧力というかオーラがある
怖い鬼上司とか映画の殺し屋みたいなイメージする。別に態度が尖っているとか言う事でもなく丁寧なのだがそれが余計怖い
レイナも大きいのだがリンさんも同じく172~3センチはある、勿論、指導する立場にあるのだから知識的にも武芸的にも優秀で
綾辻では様々な役割を担当しており、部下等も持つがどちらかと言えば、管理職とかに近い技術に明るく、戦闘員ではないだろう
彼女の場合は其れ故、晴海が霊力移譲する必要はあまりなく
純粋に事務方不足から充てられた人材であろう
「そういう人をウチに入れていいのかなぁ‥」
「居たら居たで便利ではあるけどね。それに何でも出来るから助かるぜ」
「そうなんだ‥」
「それにウチは大企業体みたいな側面もあるから、そういう人材は本家に多い、凛が離れても別にそんなに困らないよ」
「左様です、今は綾辻も転換期にありますので、こちらのが重要、と説明されましたのでどうぞお使いください」
「わ、わかりました」
「ええと‥リンさんはどういった役割で?」
「はい、事情と情報は頭に入っております、晴海様のグループは若年層が多く、組織運営や人事、雑務で不足が多いとの事。その辺りを担当しつつ、経験を積んで来いとの事です」
「じゃあ、事前に言われた通り、退魔の部分はあまり明るくないんだ」
「左様です。実戦の経験はありますが、妖怪相手というのはありませんので、支援中心に成りますが是非ともご教授頂ければと」
「ご教授て云っても、どうなんだろう?ウチも始めたばっかりだし」
「いえ、身近に居て見て、経験して学ぶ、そういう機会すらありませんでしたから参加してお手伝いする事自体、経験になります」
「成る程、確かに。分りましたよろしく御願いします」
「はっ」
とビシっと挨拶して早速、手続きを取った後、特殊開発部とも会談し一通りのマニュアル、状況説明なども受けて「本部には私共が残りますのでお任せください」として、即日着任の運びとなった
「なるほど、ぼっちゃんの負担を下げる意味合いもあるか」
「晴海様は学生ですから、雑事は引き受けます」
「いいのかなぁ‥ありがたいけど‥」
そうして待機人員の専門家は常に複数置いておかなくて良くはなったのだが
「ていうか此処に住み込み?」
「本家でもあんな感じだから大丈夫じゃない?」
「そうなんだ‥、けど」
「けど?」
「僕が気に入れば‥みたいな事言ってたけど」
「あ、やっぱ無理?」
「オーラというか壁が凄すぎて異性がどうこうとか全く感じないんだけど‥」
「だよね‥アタシも苦手で凄く話しにくい」
「まあ、経験を積むみたいな感じらしいから同行してもらって体験してもらえばいいかな、多分僕が霊力を移譲するどうこうはあんまり関係なさそうだし」
「それはある、正直ウチの人員が霊力上がっても独自業が少ないから意味があるのか、と云われるとびみょーだしね、九十九針と初歩弓術しかないし、其れ以外の業とか手法は失伝してるのもあるらしいし、現代で掘り起こすのも無理だろうし」
「綾辻にも神宮寺みたいに失伝してるモノがあるんだ」
「どこの家でもあるんじゃないかなぁ‥古すぎるし、後の時代の子孫が使えないモノなら伝わらないからね」
「確かにね‥」
「うーん‥それ程霊力が無くても使える有効な技て無いのかな、いや、それを前提にして時人さんも色々やってるんだろうけど。折角人を送ってもらってるのに、ただ雑用任せるのもどうなんだろう」
「一般レベルしか霊力無くても一応九十九針は打てるけどね威力がアレなだけで」
「紙術も初歩で覚えるのは可能ですよ?」
「え、そうなの?」
「メイの所のも訓練すれば察知や硬気功も出来るお?」
「あれ?じゃあ‥ウチに招いた人とかに教授するのは出来るんだ。手法自体は」
「まあ、そうですが妖怪相手には有効性は無いのでは?」
「ああいや。何となく分った」
「??」
「要は全員素手なら何人居ても、実戦では意味がない、けど威力が低くても、全員が何らかの手法があれば集団として機能する、そういう所を目指してるのか」
「ああ‥アタシにも分った。特殊な才能に依存しないてそういう事か」
「そうだね、兵が全員素手なら集まっても何も出来ないし駆逐されるだけ、でも全員が例えば短銃しか持ってなくても全体の戦力で見たら大幅に集団としては強くなるて事だね」
「成る程‥特殊開発部もその手法を作り出す事を目指している訳ですからねぇ」
「全て連動性がある、それが自然構築された今の状況という訳か、僕等も少し考え無いといけないな」
「そうですねぇ‥晴海様は行動の自己判断が認められている訳ですしやってみても宜しいかと」
「どの道、人を増やす事とか今回みたいに「経験積んで来い」で他の家から派遣される事もある、そうなると共有して良い物で教えて良い物はあってもいいしね」
「けどそんなにあるのかな?難しいとか貴重な技術は門外不出じゃないの?」
「そうでもないですよ、退魔師で無くても各家のEランクに入らない直系で無い、所属人員でも前線の希望とかなら簡単なモノは伝授されますし」
「そうなんだ‥」
「アタシも名雪さんに戦い方を習ってるし基本的なモノは退魔家の範囲なら問題無いと思う」
「わかった、確認とった上で指導教本みたいのまとめてみよう」
そうして晴海も本家に確認をとったが皆の見解通りで専門家が専門家に個人的範囲で、技術提供するのは特に問題は無いらしい、そもそもの目的が「退魔」であるからだが
更に五日後には神宮寺からもマニュアルが配送されこれを広げて行く事にもなった
実際問題、晴海の集団は各家の直系ばかり集まっているし、その技術も権限も全員持つので同時に教師も居る、という事だ
ただ、基本的な門下並び輪にある人に教えて良い業、というのはそれ程凄いモノがある訳ではない
京極の紙術はアヤネが使っている紙を武器と防具として構築する業や治癒札、一門なら元々四聖獣も教えを受けられる
綾辻は剣術と弓術
睦は退魔戦闘法や投擲術
黄家のも現存する気功術の発展系で別に此処で習う必要があるのかという問題もある
「もう一つ問題なのはプロフかなぁ‥退魔ランクがアバウト過ぎて」
「ですよね‥晴海様は計測出来ない程の霊力をお持ちですから本当にCなのか不明ですし、私等も急激に霊力と業を得ましたら、今どのランクかと云われると」
「そういえば雹を救出した時に戦った蛇はかなりデカクて強いよねアレを基準にするとアヤネも確実にC以上になりそうだよね」
「相手側の資料が少ないので照会は出来ませんでしたが、多分一反木綿よりは上かも?」
「相手側の世界に乗り込んで各種調査なんて訳にもいかないしね」
とそこは割り切るしかなかったが、晴海の中では結構重要な部分でもある、単に「僕の集団」と言っても集まった人員、現状だけでも国内最大の退魔部隊には違いは無いから
あくまで概算だが、晴海とアヤネがCよりは上ぽいし、レイナと名雪とメイもDくらい、多分術の強さと自身が言った通りアスカも常人の三倍近く霊力を持つのでEという事はない
そんな強力な集団は現存していないからだ
つまり晴海の中では「各人がこのまま強化されるのだとすれば、もっと広い範囲の対応が可能」とも考えていたから。
要は「皆のランクが其々達人級であるなら各地分散し指揮官とか其々の部隊とか持っても対応出来るし、逆に僕の所に全て集めるのは勿体無い」というのがあった
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