境界線の知識者

篠崎流

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一日目をどうにか凌いだ翌日、またトンでもない戦闘かと思われたがロンドギアの防衛戦、二日目はマルギットが一切動かなかった。距離を保ったまま睨み合いに一転して変更である

意気揚々と援軍参戦したドネツクの親父さんも拍子抜けだ、もちろん、アルネストもカンツォーネも訳が分らない、これもマルギットの思考は単純である

「向こうが援軍来たなら、こっちも援軍待ちでいいわ」というだけの事だ、これで午前十一時にフォレスが単身来援するのに間に合った、即、戦場後ろに陣立て、両国高官が集まり簡易会議と成った

「まさかの睨み合いですが‥」

アルネストが云ったが、前後の情報を聞いたフォレスからすればこの手の相手の思考回路はある程度、理解出来る、と言うのも「ある意味オレと、ちと似てる」だからだ、知者が最後に行き着く所「効率化、無固執」に

「成る程なぁ‥こりゃ、やり易い相手だな」と一人だけ皆と逆の見解を示した
「は!?」しか周りは言いようが無い

「確証は無いけど、多分、その場その場の思い付きか判断で動いてるのだろう、理屈は非常に単純だ」
「そうですかねぇ‥」
「一見すると、嫌らしく、優位な部分を使って攻めて来るので狡猾に見えるし、戦略、戦術共に理に適っているから、深い考えで策を展開している様に見える、というだけだな」
「例えば?」
「ま、確定じゃないが、多分こうだ、初日数が上回っているからそこを使って攻める、陣の分割交換戦も5対2なので交換しながら押せる、二日目にドネツクの親父さんが一万率いて参戦したので5対3になる、なので一日目の作戦を一時中断した」
「で、これまでのロンドギアとの闘いも基本的に嫌がらせに終始してきたのもこちらが本格的に動かない為だ」
「本格的にグランセルナ連合と戦うには総戦力で劣るからですか?」
「おそらくな」

「が、今回、テスネアが共闘を持ちかけた、これで自分も後ろ盾が出来た、だったらソレ使って攻めてやる、こういう考えだろう」
「うーん‥‥、確かに、急に全力攻めですしね‥」
「しかし、そんなアホウで単純な理由で動くもんなんなのか?仮にも君主だろ??」
「ワカラン、が、それは直ぐ掴めるだろう」
「と言うと??」
「賭けてもいいが、次も読めるテスネアの援軍が到着するまで睨み合いが続く」
「!?」

そしてそれはその通りだった、依然数では圧倒的に勝っているがピスノーラは一切動かなかった、睨み合いのまま夕方、二日目も終了である、余りの事態に夕方の連合会議でも皆唖然だった

「ギャグみたいな展開だな‥」
「うむ、だがこれでハッキリしたろ?」
「ああ」
「その時不利か損だからやらない、その時有利で得だからやる、そんだけなんだろ」
「アホちゃうか」
「いや、だが物事の本筋は外してない、ある意味稀な能力だ」
「と言うと?」
「普通それなりの立場とかの人間だと他の要因、つまり、君主としてのメンツとか自分の信じる信念とかで物事に固執する、が、彼女にはそれがない」
「やっぱアホなんじゃん?」
「いいや、これは物事への拘りが極端に0に近いという事だ」
「どういう意味だ」

「例えば内政の判断で、今年の実りはイマイチだなぁ、財政が困るから増税するかしないか困るなぁ、とかあるだろ」
「うむ」
「が、彼女は自己の得なら外的要因に判断が左右されないとも云う」
「訳がわからん」
「これもその時、増税しました、民から不満が出ますじゃあ自分の評価が落ちるから増税止めます、という判断をするはずだ」
「はぁ?」
「だから時に名君に見えるし、逆にも見えるという事だ」
「ふむ‥其の例なら要するに「自分の評価の為に」大きな国策でも、決まったモノでも簡単に翻すという事ですか」
「多分な」
「なんというか‥」

「が、これは、知識者としては得難い資質だ、大抵の学者様だの政治家だのは、決まった、信じているイデオロギーとか、哲学とか学説に固執する、その為に、生徒や民が犠牲になっても間違いを認めない事が多い」
「一理ありますね、閣僚皆で時間をかけて決めた事でも一大計画や政策でも、ダメとなれば直ぐ覆す事が出来る、という事ですね?」
「そうだな、特定の理論に固執する事も無いし、間違いは直ぐ間違いと間違った道から戻る事が出来る、これが出来た政治家は歴史上存在しない」
「しかしそれでは判断の基準は何だ?」
「さーね、多分「他人の評価」かも知れんし自分の地位立場の維持、かも知れん」

「あー‥つまりアレか、その例だと増税しました、民の評判が悪くなる、そうすると追い落とされるかも知れんし私がこの立場を続けられない、だから続ける為には、名君を「演じ」続ける、そんな感じか」
「多分な、これは立場を変えても同じく使える」
「例えば?」
「学者だとしたら、新しい理論を発見しました、後から間違いだと分りました、批判されたので直します、だから訂正して謝ります、この立場を続けます、だなそしてこれも出来る奴はそう居ない」
「なるほど」
「つまり、其の立場を続ける方が最終的には得だから、ですね?」
「左様」
「損得と効率か」

「そうだな、当たり前の事だが、迷ったら普通は道戻るか動かず救出を待つ、或いは誰かに聞く、その方がリスクは少ない、迷ったけど自分を信じて進むは迷子のリスクが増える」
「仰る通りですね、彼女はそれを巨大な戦略や国策でも大小関わらず出来る」
「そう、これは物事の本質が分らなければ出来ない、もっと云えばだが、オレも方向性は違うが近い考えがある」
「え?!」
「国民の生活の向上とは何だ、個人を潤わせる事の連鎖でソレを広げ豊かにする事だ、だから過去にどれだけ正しいとされた学説や理論でも結果が出ないなら即座に捨て、別の理論を宛がう」
「なるほど」
「その結果、が多く続くほど、犠牲は少なく、オレの立場と国は安泰だ、であれば、他の者が治めるより、良い国の維持が出来る、だ、効率と無固執を極めれば結局そういう形になる、自己利益と他者利益を同時に実現しながらな」

「ふむ‥しかし彼女は理論でやってる訳じゃない」
「だろうな、だが、本筋は外してない、所謂、自分と周囲の利益を最大化するにはどれが一番有効か、という基準でその場で判断するのだろう」
「効率の最適化、かな」
「だと思う、それだけに「楽な相手」ではある、オレと違って超、極端なだけだ」
「楽な相手とは?」
「簡単さ、もっと得な道を示せばいい、戦場で追い返すのも簡単だ、攻めにくい、一撃を打ち返せばあっさり引く無駄とか非効率をしない、拘らないだからだ」
「成る程~被害が増えるなら、事前全体策でも平気で途中で止められるのですね」
「うむ、ただ、テスネアが来るまで動きが無いだろう其の間に頼みたい事がある」
「なんでしょう?」
「相手の女王の情報あるだけクレ、どんなくだらん情報でもいい」
「は、はっ」

そのままとりあえずの情報伝達を行い相手女王の情報も詳しく集める様指示しフォレスは陣幕を出る、今度は伝心での通知だけである

「カルディア戻ってる?」
「一応、さっき戻ったが、援軍か?」
「カルディアは動かんでいいがそっち置いてあるグランセルナの滞在軍だけ全部回してくれ、最速で」
「分った」

そしてバルクスト滞在のエミリアにも

「エミリア」
「む?どうした?」
「お前の軍全部コッチ来てくれ」
「やばいのか?」
「全然」
「???」
「兎に角直ぐ全軍で来てくれ強行軍でいい、見た目の数だけ揃ってりゃいい」
「なんか知らんが分った」

という短すぎる指令だけだ。そして宣言通り、三日目の開戦も略動き無く終った、翌、四日目も睨み合いで15時まで続いた

ここでテスネア側の援軍3万が到着した為翻って、ピスノーラ側が動いて一日目と同じく攻勢に出る、これも理由は単純明快

「味方が来たからテスネアの攻めに便乗して攻めるぞ」というだけの事である

「陣分けした自軍でテスネアの左右から回って入れ替え戦闘、相手を横から突き続ける」

理屈は単純なのだが非常に上手く、セコイ主軍の真ん中をテスネアに任せて、自分らの軍は遊撃隊を努めてサイドアタックを左右から繰り返す、これで自分らの被害を少なくしてテスネアを攻撃防御、両方利用する

所謂彼女は「効率厨」の究極の形なだけだ、それだけに相手するほうから見ると隙が無く見えいやらしいのだ

十九時に四日目もこの繰り返しで終る、勿論続けようとしたが、彼女はテスネア側に

「夜の戦闘は同士討ちの危険もある、味方も無駄な被害が出る」と云われた為、あっさり「そうだな」で了承して終る

五日目には全く同じ形で進むが、正午にはカハルレストから一万の援軍が来援、フォレスの貴下に加わって増強されるが、判断は変わらずだったが

フォレスは自軍を使って戦場策を用いた、別に複雑な策ではない、テスネア主軍を壁にして左右から回り込みサイドアタックを仕掛けるピスノーラの軍「だけ」を狙って、連弩の射撃を一定間隔で浴びせて足止めし

親父さん、ドネツクを同じく遊撃隊に使いピスノラの左右突撃に突撃を返して止める

1、2の陣が左右から来る、これの前進の移動先に打ちかけ突撃を鈍らせる、3,4の陣が1,2と入れ替わって前に出てくる所を連携を乱す為に交差する軍の中間に遠くから、弩をパラパラ放り込む、これでマルギットがこの戦法を即時停止して後退した


翌更に六日目
朝には強行軍でとりあえずで、バルクストから来たエミリアの軍、二万が参戦、これで六日目でこの戦争は終る事になる

「六万と七万五千じゃ、もうえんじゃろ」

とマルギットが全軍収集後退指示した、無論援軍参戦しているテスネアの軍将も異論を問うたが

マルギットは「やりたければお主らに任せる、私はやらんグランセルナ連合の武装と将が強い、崩すのは無理だ」である

これで全軍撤退して終えた
テスネア側も渋々本国に撤退である

「何なんだこれは」としか両軍言いようが無いが、フォレスには分っている予定通りなだけだ

終戦後グランセルナ連合も即時撤退、ロンドギアまで下がってフォレスはそのまま滞在した、そして次の策である

「ローラもこっち来てくれ」
「?」

二日後にローラがロンドギアの支店に到着、そのままロンドギアの城に上がって会議に加わった

「つー訳で、ローラはピスノーラ、ブランデベルグ王家と繋がりを作ってくれ」
「ハ!?」

と全員に一斉に返された

「どういう訳なんじゃい‥」
「敵の連合国ですぞ!?」
「ありゃ得とあれば簡単に翻る、多分有効だ」
「面会で切り殺されたりせんじゃろうな?」
「たぶん」
「たぶん!?」
「事前準備はする任せとけ」

その事前準備はこれである
フォレスは当日から毎日、使者を送り続けた、ピスノーラにしかも超個人的な内容で、つまり、マルギット個人宛の贈り物攻撃である

グランセルナ、カハルの珍しい鉱石、宝石、南方部族からの変わった果物、酒、自作のエンチャント武具の小物アクセサリー、前の飢餓事件から本国に新規拡大した本国にしか無い発酵食品、ゴーダチーズ、濃縮トマトソースやジュース、糖質の高めの甘い酒

今で言う梅酒の様な製法で作った独自生産品、等献上するこれを一週間続けて、最後にローラを送り込む

「グランセルナ側で展開しておる商人隊だそうだが」
「はい、アリオローラと申します、此度は支店の拡大からピスノーラにも大店を構えたく」
「ふむ、南連合は珍しい物が多いな、輸入出来るか?」
「勿論で御座います」
「うむ、では好きにするが良い、許可する」

ピスノーラ側の閣僚も仰天である

「お、お待ち下さい!」
「陛下!、グランセルナ本国お抱えの商人隊ですぞ!」

と諌めたが事も無げに彼女はこう返した

「良い物なら使う、入れる、それだけじゃ、なんぞ問題あるのか?」だった

確かに正論ではあるが、同時逆らえないのも事実であった「そういう女王」だ、そして判断基準も「効率」なだけだ

「手を合わせて見たが、ゼントラムよりグランセルナのが強い、人材も策も秀でているし、アッチに付いた方が得が多い、正面のロンドギアと戦わんで済むじゃろし、テスネアには泣いて貰おう」

という「利益のみ」の判断でその場で書状を書き、ローラに預けた

更に二日後にはロンドギア滞在のフォレスに親書が届く、内容も単純

「グランセルナ連合に味方しても良いロンドギアと戦って貴公を敵にするのは嫌だ、橋渡しせよ」というふざけた内容である、が、フォレスにしては予想の範囲内だ

即日ロンドギアから発ち、ピスノーラに堂々と単身で城に上がる、周囲の閣僚は針のムシロに近い、数日前まで敵としていた連合の主国の王様だ、マルギットは大歓迎だった

「よー来たのぅ、さっそく外交じゃ」と会食場を用意して、これもあっさり決まる

「では、ゼントラム連合を抜けて、グランセルナに?」
「左様、そっちのが遥かに得じゃ、戦争は苦手では無いが、それ程好きではない、めんどうじゃからの、お主なら配慮してくれるじゃろ?」

と、フォレスの隣に座ってフォレスの右手を軽く握って座ったまま上目で懇願して見せた

「オレとしても南方の強国を敵にする判断は無い、それでいいぞ」
「お~、流石話が早い、直ぐに書くぞ」

その場でグランセルナ連合に加わる宣誓を書いて決まった、と言うより独りで決めた

流石にピスノーラ側閣僚も止めたがこれもマルギットは反論余地も無い程の正論で返した

「テスネアは共闘国を利用し、盾に使うだけじゃ、グランセルナ連合は各国に継続的産物、財政、兵力、人材の援助もしておる、そもそも、ペンタグラムのガーディアンじゃどっちに味方したら得かなぞ、五歳児でも分るわ」

で打ち返して黙らせた。全く其の通りではある

「ですが、テスネアが怒りませんか?」
「どっちに付いてもリスクは変わらん、より「頼りになる」方に付いた方が得じゃ、テスネアがこちらに攻めると在らば、グランセルナに頼るだけじゃ」
「し、しかし陛下!、連合を中途で乗り換える等前代未聞です!世間の評価をお気に為さるべきでしょう!」
「アホか貴様、ペンタグラムを擁しておるのはどっちじゃ、理があるのはどっちじゃ、世間の評判が良いのはどっちじゃ」
「‥」
「覇者の下に付くか、聖者の下に付くか民衆はどちらを支持する?これは裏切りではない、より、正しき者に味方する、世から見ればそうじゃ」
「‥確かに」
「大体、あっちの姑息な小僧は好かん、なんもくれんし、こっちを利用するとあらば土産くらい持って来いというのじゃ、其の点フォレス殿は大人じゃ、余の心をよく分っておる」
「そ、そういう問題ですか‥??」
「そういう問題じゃ、本音がどうあれ、相手を利するとあらば、相手を喜ばせるくらいの「配慮」を見せよ、と言っておる。フォレス殿の方が遥かにその道理と、配慮を持っている、アッチの小僧より全然頭が良い、どっちが計算出来る?どっちが頼りになる?。そういう事じゃ」
「うーむ‥」
「根回し、というやつじゃ、其の程度の事が出来んやつが、どうして多く味方を作れると思うのじゃ?」

そう、彼女は全ての物事の本質を分かってやっているのである、其の判断、見識に否定点も無い

グランセルナ連合は強いし頼れる、教皇も居る蔑ろにもしてない、ならばソチラに付く、民衆も喜び、評価するだろう

フォレス個人も策と知性に富んで、相手が何を望んでいるかを理解してああいう手を取った、話も通じるし頭から否定もしない他者を尊重出来る。では、どちらの男のが懐が深く、計算出来るだろうか

ゼントラム連合、グランセルナ連合、どちらに付いたらデメリットが少ないか、メリットが大きいか、そういう事だ

そして勿論「根回し」の贈り物攻撃が効いた、当然、マルギットが「珍しい物が大好き」という、事前情報を知ってのやり口である、そして「乙女」なのも知っている

が、フォレスの予想外の事も起こる

「のう~フォレス「様」

と隣に座ったままフォレスの胸に顔を埋めて抱きついて離さなかったのである

「!?」としかフォレスも出なかった

フォレスが直接乗り込んでマルギットを口説き落として翌日も本当に離して貰えなかった

「お主もわらわの夫にする」だった
「あのなぁ‥んな簡単にいくか」
「では、連合も無しじゃ」
「しゃねーな」と

フォレスも流石に諦めたが、ロッゼとプルーメを無視してそれは進められない、その為

「第三后となるが?」
「別に構わん」
「それと他の后に了承を取る、それからだ、それまでとりあえず「婚約者」フィアンセで我慢しろ」

で妥協させたが、これを気に入った様だ

「お~‥フィアンセ‥なんと甘美な響きじゃ」という事らしい

暫く彼女は「フヒヒ」と気持ち悪い笑みを見せて、ソファでクネクネした後、ようやくフォレスも解放されて本国に戻る事になる

これら早急過ぎる展開、連合拡大と婚姻約束の情報が本国で齎され、グランセルナ連合側も目が点である

「なんちゅー君主だ‥」
「まー‥嫌なら連合無しじゃ、と云われるとなぁ」
「配下はたまったもんじゃないな」
「そうでもない、判断は極めてマトモだ」

と直接会談での彼女の見識も披露した

「マジデ‥」
「マジだ、それに仮に、政策ミスも戦略ミスもあったとしても、簡単に戻って修正出来る才能な訳だし、間違ったまま突っ込んで「俺は間違ってない」つって、国ごと爆死に行くアホ君主より、遥かにマシだな」
「確かに‥軍なら全滅、国なら亡国だ」
「誤りだと指摘されて、ハイそうですね、で戻ってやり直せるのって歴上も略居ないしね…」
「そうですね」
「まー、こっちの利益でもあるしな悪い話じゃない、ピスノラは兵力も国力も中央国に負けてないし、中央から近いから派兵ルートも確保できるし」
「同感ね、せんせーが生贄に成って連合に加わる、味方になるなら安いもんね」
「オレは一体何なんだ‥」

「でもさー、仮にも「サウス・デ・ローゼ」と呼ばれる女王でしょ?美女なんでそ?そこそこラッキーだと思うけど」
「見た目はな‥だが、コントロールが大変だ、相当疲れそうだ‥」
「確かに」

そしてロッゼとプルーメにも話を通したが別に否定しなかった、これも先の事情、別に王様だし、という所がある

もう一つが「戦略上の形での婚姻」に近い事である、早い話「政略結婚」でもある、そういうのは普通にある。ただ「序列は譲りませんから(キリ」とクギを刺されて返された

ちなみに、というか当然マルギットも独身だ、誰がこの娘を嫁に出来るかという話になる、理解も出来ないし、耐えられる夫等居ないだろう、更に彼女は「自分より下の奴」には絶対与しない

一方、アルネスト。ロンドギア側に損は無い、これまで散々嫌がらせされた側、めんどくさい相手がいきなり味方に成ったのだ

しかも国力も兵力もデカイ、ロンドギアも頭の痛い敵が無くなり、攻めて来るルートも無くなったのだ、流石にカンツォーネも

「なんちゅー君主だ‥」とエミリアと同じ見解を述べたが

問題と言うか、懸念があったとすれば、エミリアがこう言った事そのままだ

「しかし、大丈夫なのか?」
「何が?」
「得とあらば簡単に掌返すなら、また寝返るんじゃないか?」
「多分大丈夫だろう」
「根拠は?」
「グランセルナ連合をあらゆる面で上回る国がもう一つ現れない限りはな」
「成る程、天秤に掛ける対象すら居ないと云う事か」
「それとあの子を貰ってやれる男がどこに居る?」
「確かに‥」

ある意味彼女からすればフォレスは生涯で一度会えるかどうかの相手という事になる、その幸運が「今」「面前に来た」のだ、だから真っ先に確保にしに行ったに過ぎない

逆にテスネアはどう思うのか?という部分だが無論、この一連の情報を受け周囲の官僚は激怒したが、アデルは意に介さなかった

「別に構わん、あんなこっちの策を全て無視する味方などいらん、グランセルナ側が爆弾を引き取ってくれるなら寧ろ有り難い」

で、周りも「確かに‥」で納得した
これもフォレスとアデルの「質」の差である

ある意味に置いて、アデルの思考のが国家の君主としてはまともだ、国家とは友人関係ではない、如何に利用し、自国の利益とするかだ

だからこそアデルの側は「脆い」
「利益」という繋がりが無ければそれで終わりだからだ、そこに当人が気づく事は最後の瞬間まで無かったのである

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