八法の拳

篠崎流

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絶対王者

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そして6月

いよいよ葉月の参戦が実現する

所属は八陣のままだが、可能な限り、以降のシリーズにも参戦と形作られる

待遇、条件面等に対してもスムーズに決まる。一つ大きかったのが全女と有馬グループの近さである、何しろ親会社であるし、現在全女はグループの一角、葉月自体もその支社、プロダクション会社所属

同じ系列で綱引き交渉は全く無いし、そもそも与のおかげで全女も立ち直った「与」が

「こんな感じでどうかしら?」と言って

風見が断る訳がない訳で、そして葉月自身「別に給与とかそんなに‥」という点である

葉月には「八陣」の正式胴着では無く、きちんとした衣装でのデビューに成った

明るいライトブルーのセパレーツにかなり厚めのカラーを揃えたレガース

これは葉月のメイン武器の「キック」が元々威力が有りすぎる点で防御より蹴りの威力を落とす為だ

何しろ坂田やファルコンという「頑丈」な男子でも一発で終りかねない威力があるプロレスでそれをやったらハッキリいってかなりマズイからだ

6月1日が丁度日曜であり、月の頭から参戦
大きな会場と大きな興行 沢山のお客で大盛況であった

同時に「待ってました!」と与がグッズ展開、それも大当たりで当日で在庫まで全部捌ける

そして、肝心の試合だが、いきなり風見とのトップ対決、そもそも「あの」ファルコンに勝った程だ、半端な選手では相手にならないのである

だが、このデビュー戦は葉月はいきなり黒星発進となった、そこは色々理由がある

まず、カードだが確かにレイカとのトップ対決だが「タッグ戦」にした事、そしてこちらは即興タッグ

女子でまともに相手になる選手を探すのは難しい、その為、組む相手で力の差を埋めるという配慮だ

シナリオの類を葉月が出来るハズも無く、また、そうするべきではないともあったが、この「組む相手での調整」の結果、レイカは元々いるパートナー同期コンビの本郷と組、葉月はまだデビュー間もない選手と組んだ、その結果である

だが、もう一つ、唯一の葉月の弱点が露呈する
「スタミナ」である

60分一本勝負であるが、20分過ぎから葉月の動きが止まる、味方が頻繁に出て葉月を休ませるが回復するまで待つ事無く相手に集中的に攻められ相方がフォールを奪われる

その救出にもスピードの死んだ葉月は間に合わずそのまま敗戦、という流れである

残念な結果に見えるが実際はそうでもない、まず
「やっぱり風見レイカとプロレスは凄い」という観客、後のネットファンに印象付けた事、社長、女子トップの面目は保った

新人が話題性だけでファイナルなもの本来あまり宜しくないが元々からのファンからは、風見強し、の印象に向いて葉月への当りが少なかった事、そして風見はこの色々見えた点、である形も見えた

社長、レイカは一つ決めた、それ自体かなり上手い戦略と育成であった、葉月をシングルでなくタッグメインで使う事だ

その相方にやはり新人の、ある選手を着け、ジムの練習で紹介した事である

「よー、葉月ちゃん、そういう訳でこの子と組んで今度の最強タッグ選手権に出てもらう」

と引き合わされた

「よ、よろしくお願いします!中村千里です!」

ショートカットで背の大きい選手、わりと可愛い系。
ハキハキとだが緊張してそう挨拶した、千里はまだ19歳、身長175、60、ガッチリしていて骨格から強い、女子としては風見と体格的に負けてない

ガタイから資質ありと、入門から最速デビューさせた、が、全く勝てない、シングルでもタッグも一勝もしてない

その引き合わせが、タッグに寄る戦力の調整での面白い試合の演出、そして葉月の「欠点を補える」と睨んでの事だ

自分が見出した故もあるが、千里はかならずトップ選手になれると見立ててもいた

まず千里は逆の意味で人気がある
一つ、全く勝てないが絶対諦めない事、最後まで立ち向かうガッツ、そして毎度勝てはしないが長時間試合に成る事

相手からは嫌がられるし、何しろギブアップの類が0、絶対参ったしない、唯一絞めからの負けが失神TKO1つというとんでもないタフネス選手である

そこから「逆」。「千里頑張ってー!」という本当に頑張って欲しいという「真の」応援のファンが多い

何しろ、デビューから一勝もしてないのに固定ファンが居る、しかも離れないのである

そう、高火力速攻型の葉月と高燃費超タフネスの二人を組ませる事で理想的なチームになると考えた

そして実際タッグ選手権の前に葉月&千里のチームをタッグ中心に稼動する、慣れと実験である

5戦して2勝1敗2引き分けの結果が出る
ファンは千里の初勝利で沸いたそして一緒にガチ泣きした

葉月のフォローから相手に後ろからスタンディングの羽折固め、正面から千里のラリアット

その反動を利用してそのままドラゴンスープレックス、千里がピンフォールで勝利という連携で勝利

レフェリーの勝ち名乗りを受ける前に、千里は葉月に飛びついて押し倒して抱きついた

「ちょ!?」
「うえ~ん、勝ちました~生まれて初めての勝利です~」と泣きながら喜んだ

それで彼女のファンも同調したのである

「いたたたた!力ぬいてー!痛いー!」
どっちが先輩なのかわからない状態でもあった

実際千里は葉月を「葉月さん!」と呼んで
葉月は千里を「千里ちゃん」と呼んだ

「葉月さんは!日本の至宝です!そう呼ばせてください!」という事らしい

そしてもう一つ。葉月自身が千里に直接技を教えた事である

「元々体大きいし、体も柔らかい、それだけ耐えられる、てゆーのは頑強なだけじゃない」

と、全ての起点に成りえるキックと見せ技としても華麗なソバットニ-ルキック、飛び関節でやりやすいものをいくつか

元々投げ等は体格を活かした豪快な物があり、これを合わせて非常にバランスのいい選手になる

そして同月中旬には例のタッグ選手権に出る

リーグ戦12試合、から小トーナメントに進出決勝という大会、この「凸凹コンビ」で展開した

そして予選リーグを6勝1敗、5引き分け、リーグ4位で決勝トーナメント最後の一枠に食い込んだ

このコンビは兎に角連携と役割配分が上手い

千里中心に出て時間を使う、チャンスにもピンチにも葉月が華麗にフォローを入れて崩れない

ここぞという時には速攻、合体技での連続連携攻撃、相手に立ち直るきっかけも掴ませず勝ちを拾う

そしてこのタッグの最大の武器だが。葉月のフォロー、カットの神がかりタイミングがあった、そこでも八陣の知識が活きる、ありとあらゆる技があり、「知っている」事である

どの技が危険でどのくらいのダメージがあるのか技の入りから判断してカットに出るくらいタイミングが早い、そして最も相手が嫌がるポイントを突く

相手の必殺、得意技、受けた千里とダメージを計算、そして試合の流れと向こうが「ここで攻守交替だ!」という所の流れを断ち切り千里の連続被弾を避ける

実際引き分けが多く決勝まで残ったのはその為だ、元々千里がタフなのもあるが、そこにこのフォローである

よくサッカーで「タクト」という言葉があるがそれをリングでやってのけた

この大会の決勝、つまり優勝決定戦にまでコマを進めるのである

無論相手は葉月のデビュー戦で黒星をつけた相手
風見、本郷の同世代コンビである、そこでデビュー戦の雪辱を果たし最速でのタイトル奪還をやってのける。しかもレイカからギブアップを取って

そして最もプロレスファンを驚かせたのはありえない連続攻撃と合体技であった

千里の豪快なアトミックドロップ、尾てい骨割から、椅子に座った格好のレイカに正面から葉月が胸にソバット、その反動を利用して千里のバックスープレックス

一回転してうつ伏せになったレイカを葉月がスタンディングフロントヘッドロック、膝を突き上げた反動でバック宙からのアレ「葉月すぺしゃる」を極める

レイカでもこれは耐えられずタップ
試合時間24分、葉月、千里組の完全勝利で優勝である

メインスポンサーでもある親会社の有馬から優勝賞金一千万の贈呈を受けた

なにより千里のファンが一番喜んだ
そして千里も「また」葉月に抱きついて大泣きである

「うわ~~ん葉月さん~!」
「うぎゃー!だから力をぬけー!馬鹿ぢからー!」

これがこの凸凹コンビの1ヶ月の結果であった

ここで社長レイカと与が新たな戦略を打った
そう「葉月VSレイカ軍」である

主力選手をレイカに集め、葉月に結果の出てないが若くて、才能のある選手を集める、団体内での「軍団対抗戦」を中心に興行を展開する

レイカが正規軍としてベテランを、そして壁として立ちはだかり、同時に、自ら悪役を買って出たのである

そしてそれも大成功する、明るく、前向きで、若く、明日への期待のある

葉月軍「push one's way」とされた若手軍団は葉月と千里中心に躍動し、そして人気を上げ、実力もつけていく事になるのであった

夏頃になると、既に興行的に黄金期の様な収益と人気を取り戻した

チケは完売、円盤の類、レンタルも好調、頭角を表した若手達も固定ファンが付きグッズも好調、動画サイトも拡大した

葉月と社長以外アレな団体で無くなったのだ
そしてテレビ、衛星チャンネルが枠を買いに来たのである

そこで与は「動画サイトも、円盤も譲りません、本社でかなりの収益と成っています」として

放送はしていい、撮りに来ていい、そのかわりコッチの商売は邪魔させない、とした

そこで向こうも折れる。ただ、配慮はした。公式無料サイトの試合のアップロードを興行日から10日遅れでの配信、テレビに配慮し、そして試合撮りの所謂、放映権料を超格安で売ったのである

そこはコスト的に過去言った通りで
向こうが勝手に来て、撮って、番組を作って放送する、んで勝手に金払ってく、コッチからすればやって損は無いし、好きにしたら?な部分が多い為だ

そこから与は新たな事業展開を図る。元々3人でバイトで回していた動画サイトや撮影機材を強化、テレビに負けない物を揃えた

バイトをそのまま正社員に雇用しなおし、人数を増強本社の支社として作り直した

これが「有馬グループ」最初のメディア、ピクチャーズ部門となり拡大していくのである

無論それは「更に後の戦略」あっての準備と「アテ」があった事による

「あははー‥儲かりすぎちゃってどうしましょう」という程のトータル利益を有馬に齎す事になる

無論税金対策も忘れない、新たに立ち上げた一連の部門、支社にドカンと投資して設備を整える、そして団体選手関係者にこれまたドカンと一時賞与を全員にだす、施設も強化して、特別株の配当もドカンと出した

もう一つは「アタエ」個人のビジネス哲学があった
「金は持ってるだけじゃ世の中を良くしない、だから投資して、社員に出して幸せにする」なのだ


その直ぐ後、レイカさんが八陣の道場に来た
そこでいきなり土下座して葉月らに言った

「今回の一連の一件!有難う御座いました!!!」

八陣、葉月、有馬の関係をここでようやく知ったのである

「別に私たちが何かした訳ではありませんよ、与さんの判断で「イケル」との判断でしょう、実際儲かってしょうがないわ、と言ってますし、ここまで盛り返したのもレイカさんの実力です」

とみやびは返して頭を下げさせるの止めさせた

「貴女が頑張ってこれからも与さんを儲けさせればいいんです期待してますよ?」
「は、はい!!」とレイカも力強く答えて納得して帰ったのである


全女も安定から躍進
レイカの育成のやり方もそれに弾みをつけた、そして与も次々「用意した手」を繰り出しやすい状況あってそれも重ねていくのである

まず最初に打った手が過去に云った通り「団体の交流」である

コチラの団体も安定してきたメンツも揃いつつある、そろそろいいだろう、と交渉を始めた、そして「OK」が出たが

ここで予想外な事が起こる、国内の相手団体で8人で回していた女子プロ、それでも二位なのだが

平成女子、の経営破たんであった。これで全女との対抗戦が立ち消え。元々中堅選手が多かった、その為所属選手も殆どそのまま引退

実質国内の女子プロレスが全女とエンタメ系の団体二個しかないという状態に陥った

やむなく、その話もお流れ、そこから吸収の形で所属選手で残った者だけ全女に保護の様な形で受け入れて、そのまま翌週の興行から参戦の形で一時盛り上がったがそれ程の効果は無かった

「なんか悲しいね‥」
「まあねぇ‥アタシの手が潰れちゃったし」
「ここまで不況だとね」
「そうね、本来日本て世界有数の金持ち国、な訳だからマイナスな政策さえしなきゃいいだけなんだけど」
「そうなん?」
「資本主義経済のシステムをまるっきり理解してないからね、アタシと変わってくれないかなぁ。一年で立て直すわ」
「ええ?!」
「まあ、冗談だけど、それより、プロレスについてはナンか考えないとなぁ‥」

と葉月の控え室でアイス食いながら云った
さすがの与も次の手に詰まった

「いっそみやびでも担ぎ出そうかしらラスボス的に」
「ラスボス過ぎて相手が‥」
「ですよね」

7月の中盤、どうしようかな~と考えていた所に、与の個人専用携帯

所謂、お友達用のやつに、アテにしてなかった奴から電話が来る

「あ、アタエ?明日ソッチいくからお迎えキエテ、空港ね空港9ジ」

という一見するといたずら電話にしか思えない舐め腐った連絡が来たのである

「今頃連絡返して来たかあのアーパー!」と重役会議で携帯叩きつけて怒鳴った。重役のおっさん達が何事か!?と慄いたが

「あ、ゴメンナサイ、友人の電話でホホホ」とぶってみたが会議が進行出来なくなった

云うまでも無く与はグループの社長であり、ついでにかなり「アレ」な社長と思われている

いきなり怒鳴られて他の重役支社長も何か機嫌を損ねたのか!?としゃべれなくなった

(会議のときくらい携帯切っとけよ)と思わざる得ないが誰も逆らえない環境だったりする

そして翌日、電話のあった相手を迎えに国際空港に自ら車ぶっ飛ばして行った

どこいるねん、と思って探し回ったが見つからない、そこで声を掛けられた、黒服のデカイ黒人に

「あたえさんですね、クロフォード氏はレストランに、こちらです」

と案内されてようやく対面したのである

「ハーイ!アタエ、日本のオニク美味しいね」

当人は空港のレストランでのん気にステーキ食ってた

「あんたねぇ、こっちが連絡入れたの何時よ?今頃返してきやがって」
「ンート、5月末?」
「ンートじゃねぇ!」
「OHつまらないことできれちゃいけません、だからイキオクレルネ」
「クッソー!」と思ったがそこは堪えた

「で?何でアンタ一人なのよパパさんは?」
「今日はパパ来ない、ひとりじゃないSPいるよ?」
「それじゃ意味ないでしょ!!」
「だいじょーぶ、全部まかされた、ンデ、シアイするよ」
「はぁ?!」

「ソッチのVTR見たよ、アメリカでも出回ってます、ドウガ面白かったよ。だから相手しやります」
「え?え?パパさん良いって?」
「ハイ!ワダシ一人でこっちの団体、ぶっ潰します、全部まかされました」
「問題はそこだけじゃないんだけど‥」

「イイエ、ビジネスの事もゼンブです好きにしていい、ていわれました」
「え、え、マジで?」
「マジデス、とりあえずでも、こうも云いました、私がやっての結果次第です、そじゃないと、ムコウデモうれない、円盤モデス、ダゾウデス」

そこまで交して与も察したのである

「なーるほど、それも面白いわね、いいわ、コッチもそのプランで行くわ」
「OK、もうホテルとりました、ソッチいます、契約と会見、キマルまでアキバイキマス決まったら連絡クダサイ」

おっしゃー!と与もガッツポーズして立ち上がった

早期から「交渉」していたビジネスの相手で最強の外敵としての立場、このふざけた外人娘がそれであった

現アメリカWWL、女子史上最強チャンピオン
「アニタ=クロフォード」その人である

16歳でデビュー、シングル76戦 74勝1負1引き分け、王者から無敗、現在18歳 身長167センチ 66キロ

「神の子の王者」とまで云われる正に最強の選手である

ただ、金髪青い目、ポニテで見た目は割りとかわいい、どっちかと云えば小動物ぽく「絶対王者」の印象はパッと見殆ど無い。そしてWWLの社長の長女でもある

アメリカのプロレスも「シナリオ」「エンタメ」傾向が強いがこの「娘」はあまりに異次元に強い為、それが行われず、全ての対外、団体試合で「ガチ」を貫いた

同時に「日本のプロレス」のガチ傾向が好きで路線変更、団体そのものもアメリカで最も人気で大きい、規模で云えば全女とは比較にならないほどである

ただ、アニタが一人で「ぶっ潰してやります」と来たのが意外ではあった

そもそも与も「向こうの団体の中堅選手」との交換派遣のプランだったが。それで知名度を上げ交流、面白い興行と育成を同時にやるつもりだった

アニタが来て、こういう前提条件を叩きつけられた以上、どうしょうもないともいえた。何しろ向こうの社長はこう云ってるのだ

「アニタといい試合出来る程度の相手居ないとコッチでも売れない、DVDもです、だからまず力を示してください」とだ

与はその足で全女の社長室に、そのままこの出来事と彼女が打って来たプランを告げる

「え?!えええ!!あの‥アニタ=クロフォード!?」
と流石のレイカもぶっ飛んだ

「悪いけど、もう興行の宣伝は打つ、用意するよう指示したわ、先に言わせて貰うけど、断る事は出来ない」
「しかし、ウチので相手になるのか?!」
「成るとか成らないじゃないの、あの子は気まぐれだしやりたい時にやりたい事をする、そういう子よ、そしてこのチャンスはもう二度無い「やる」て云ったんだから」
「う、分った‥兎に角相手を、シングルでいいんだね?」
「ええ」

「それ程の相手と成ると、アタシしかないか‥ただ、一戦だともったいないね‥」
「そうね、そこでだけど」

与はそこで自分のプランを示した

「成る程、そういうのか」
「ええ、二、三戦はそれで稼げるわ」
「まあ、となればやるしかないね」

そしてこのアニタの緊急来日と全女での試合の宣伝、興行が決まる。翌日夜には記者会見、試合の調印。マスコミも派手に大規模に集めた

そしてこれは女子プロファンどころか、格闘技ファンで知らない者は居ない程の相手で凄まじい期待で助走をつける

そもそも公式来日すら初である、それがいきなり来て「試合します」なのだ

試合も同週の日曜になる、急な事ではあるが会場も大きな場所を取った、通常の興行も勿論あるのだがメインイベントの最終戦に変更して行われた

アニタ=クロフォードVS本郷 明日香 のシングル戦である

実質日本のナンバー2との対戦ではあるが、その試合はあっさり最速で終る

最初から最後までアニタのペースで進み。開始8分 アニタの必殺技「アニタキャノン」と呼ばれる右ラリアットで本郷は沈められる

本郷のロープワークからラリアットを決めに行った所を同じラリアットで打ち返される

本郷も起死回生の相打ち狙いだが相打ちからアニタが打ち勝っての事である。しかも本郷もレイカと同じくらい、175センチ75キロの選手で大型だ

それがカウンター食らって一回転してそのままマットに沈んだのである。アニタの評判は知っている、それでも選手もファンもボーゼンな破壊力であった

試合後の控え室のメディアインタビューでアニタはこう言い放った

「日本の実質ナンバーⅡと聞いて楽しみにシテマシタ、がっかりデス、次はナンバーⅠとやります、このまま帰ったらアキバに買い物キタダケニなりまーす」

と汗一つかかずに、息一つ乱さずに返されたのだ。そう言われても反論も、怒る気に成らない、余りにも「その通り」の結果だからだ

この結果に全女側も唖然だ
まさか本郷さんが何も出来ずにやられるなんて‥である、それは無論レイカも同じだった

「信じらんね~‥マジ化け物だわ」
「なんというか、前より強いわアレ」
「与さんは見た事あるのかい?」
「一時アメリカに居たからね、コッチのトップクラスなら試合にはなると思ったんだけど‥」
「こりゃもうアタシがやるしかないわな、ただ、本郷とアタシはそんなに力の差がある訳じゃないけど」
「でもまあ、仕方無いでしょ‥」
「そーだね、こういう相手はもう二度と無いしアタシも頑張らせてもわうわ」

という流れであった

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