先生と僕

真白 悟

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 授業はいつものように、あっという間に終わってしまった。
 人はつまらない時間ほど長く感じるらしいが、僕は逆だ。たぶんつまらない日常というやつに慣れすぎているのだろう。だからこそ、つまらない時間の方があっという間に過ぎてしまう。

「そしてついにこの時間がやって来たわけだ」
 背後から聞こえてきた声とともに、僕は何とも不快な感覚を感じた。
 それは今までに感じたことがない物で、本当ならこれからも感じるのことのなかった感覚だろう。僕はこのクラスにおいて半ば部外者のようなものだから、きっと、クラスになじめることなどあるはずがなかった。
 それなのに、僕は背後から親しみという感覚を感じてしまった。

「さて恋次れんじ君。さっきは中途半端に終わってしまったけれど、今度こそ親睦を深める時だ。みんなもそう思うだろう?」
 僕に迫るクラスのリーダーを筆頭に、クラス中が僕に注目している。
 今までずっと日陰者として暮らしてきた僕にとって、注目というのはいわゆる公開処刑みたいなものだ。それでもそれに耐えねばならぬ理由がある。――恋愛部を復興するためだ。

「そ、そうだね……えっと……」
 何とか言葉は絞り出せたものの、まずい……リーダーの名前が思い出せない。イカリヤだったような……いやジョウシマだったかもしれない。いいや、そいつらは別のリーダーだ。
「ん? どうしたんだい恋次君?」
「いや、どうもしないよ」
 まさか名前を知らないなんて言えるはずもない。
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