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第二章 ムーンライト暗殺
惚れ薬を手に入れよう
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暴走馬車からふんだくった賠償金は、公共の福祉に使おう――。
そんなことを考えながら、講義に集中していたある日の午後。
クロム様のご機嫌が、すこぶる悪い。
「王女殿下。手をとめていては、本文中の固有名詞を全て抜き出せませんよ」
テストに合格したはずなのに、なんで今さらそんな作業を?
しかも私をカトリーナではなく、『王女殿下』と呼んでいる。
推しの誕生会で距離が縮まったと思ったのは、私の気のせい?
「ご不満なら、教師を交代しましょう」
「……え? いいえ。私はクロム先生がいいんです!」
「そうですか? 本当はルシウス殿下の方がよろしいのでは?」
なんで急にそんなことを?
それだとまるで、嫉妬しているみたい。
「ルシウス殿下とは、外出先でもご一緒でしたね。直接教わった方が、セイボリー語も上達するのでは?」
――クロム様はもしかして、街中イベントのことをおっしゃっているの?
「やっぱり。先生も街にいらしたのですね。尊……いえ、お姿をお見かけした気がして」
「それが何か? だからといって危険を顧みず、通りに飛び出していい理由にはならないでしょう!」
クロム様が、珍しく感情を露わにしている。
それはきっと、彼に気を取られた私が、馬車に轢かれそうになったのを見たせいだ。
「ご心配をおかけしてすみません。おかげさまで、この通り無事でした」
二度目は思いっきり跳ね飛ばされたけど、それについては黙っておこう。
「殿下はもっと、ご自分を大事になさるべきです。あなたの代わりはいないのですよ。あの時、私がどれほど……」
つらさの滲んだ彼の声に、胸が締め付けられたように痛む。
――クロムしゃま、優すぃいいいい!!
淡い希望が心に芽吹く。
もしかして彼が不機嫌な理由って、私を心配したせい!?
それならとっくに両思い。
暗殺も回避できそうだ。
「まったく。『ローズマリーの紫の薔薇』と慕われる王女が、迂闊な行動を取るとは、呆れてものが言えません」
――違ったか。クロム様は、相変わらず怒っている。
このままでは非常にマズい。
運命の日に向けて、さらなる対策を講じよう。
「こういう時こそ、ヘルプ係の出番よね」
私は研究者兼『バラミラ』の指南役でもあるアルバーノに会いに行く。
アルバーノは、第三国家騎士団長のタールのお兄さんで、魔道具に詳しい人物だ。セイボリーでの研究が評価され、城の敷地内にある研究塔に一室が与えられている。
防音完備の部屋は広く、宿泊設備もあるらしい。
そのため、研究室に籠りきりだとか。
重い木の扉をノックした私は、返事がないのでそっと開いた。
「アルバーノ、お邪魔するわね」
入るなり正面の大きな机と、奥の壁一面に広がる書棚が目に飛び込んだ。右手の小さな机には、ガラスの器具がある。左の棚には、ゲームでお馴染みのアイテムが置かれていた。
「確か、魅力アップの薬もあったはず」
これはいわゆる惚れ薬、というか惚れさせ薬。
事前に飲んでおけば、殺すのはもったいないと、思わせられるだろう。
同じような瓶が多くてわからない。
部屋の主はどこだろう?
「アルバーノ、いる?」
その時、机の向こうがかすかに揺れた。
見れば、書棚の前に大量の本が崩れ落ちている。
大きな机のせいで、入り口からは死角になっていたみたい。
「まさか、この中に埋もれているんじゃあ……」
慌てて分厚い本を取り除く。
やがて本の間から、乱れた焦げ茶色の髪が見えた。
「アルバーノ!」
「その声は、カトリーナ様? すみません、起こしてください」
隙間から手を取り引っ張り上げると、アルバーノが恥ずかしそうに笑う。
「すみません。梯子から落ちた拍子に、本が降ってきたもので」
「もう、あなたったら相変わらずなのね」
「相変わらず? カトリーナ様がこの研究室にいらしたのは、初めてですよね?」
しまった。ゲームではお馴染みの光景なので、思わず口が滑ったわ。
「そう? 私ったら、勘違いしていたみたい。おほほほほ」
とっさに笑ってみるけれど、アルバーノは変な顔をしている。
彼の着ているローブの埃を払いつつ、話題を変えることにした。
「ここに来たのは、教えてほしいことがあるからなの。相談に乗ってくださる?」
「もちろん! 王女殿下のお役に立てるなんて、至極光栄です」
「ふふ、アルバーノったら大げさね」
アルバーノはのんびりしたように見えて、とっても頭がいい。けれど武力を尊重する彼の実家では、変わり者とされていた。
弟のタールはヒロインの攻略対象でも、兄の彼は違う。
だからこそ、遠慮なく相談できる。
「これから話すことは、秘密にしてほしいの」
「かしこまりました。お約束いたします」
「良かったわ。……あのね、私、好きな人ができたの!」
照れながら口にすると、アルバーノの顔が一瞬強張った。
ゲームでは攻略の助言をくれることもあるから、気のせいかしら?
先を促されたため、クロム様への想いを熱く語る。
もちろん教師と紹介し、暗殺者ということは伏せた。
「そうですか。あの小さかったカトリーナ様が、身分違いの恋を……」
「あら。小さかったのは、ずいぶん昔でしょ。もうすぐ十六歳で成人するから、社交界へも参加できるのよ」
アルバーノは兄と同い年の二十四歳。
今の私は十五歳だが、前世も入れれば彼の年齢をゆうに越えている。
「そうでしたね。ところでカトリーナ様は、私が隣国に渡った理由をご存じですか?」
「ええ。セイボリー王国で、魔道具について研究するためでしょう?」
本当は研究だけでなく、開発まで手がけている。
『バラミラ』は、サブキャラだろうとハイスペックで、顔面のレベルも高い。
「その通りです。でもそれは、ある方が私を認めてくれたから。私はその方を敬い、密かにお慕いしております」
「まあ。アルバーノも恋を?」
ゲームで知識を得た私以外に、彼の才能に気づいた人がいたとは初耳だ。彼の恋愛事情についても、初めて聞いた。
『バラミラ』には、アルバーノの過去など出てこない。
恋愛相談のお返しに、自分の恋まで教えてくれるなんて。
アルバーノったら真面目なのね。
「公爵家のあなたが、まだ告白していないの?」
「……はい」
「じゃあ、相手の身分はかなり下?」
「それは……」
「あら、無理に答えなくてもいいわ。魅力アップの薬を服用すれば、いいことだもの」
「魅力アップ? なんのことですか?」
「えっ!?」
ゲームで出てきた薬を、現実では作ってもいないらしい。
「そんなあ……」
重要アイテムが存在すらしないなんて。
「カトリーナ様。飲むだけで魅力的に見える薬があるなら、恋愛など簡単ですよね」
「それが、そうでもないのよ。じゃあ、あなたもますます大変ね」
しみじみ口にしたところ、アルバーノが変な顔をする。
結局『魅力アップの薬』は入手できず、互いの恋バナだけで終わってしまった。
そんなことを考えながら、講義に集中していたある日の午後。
クロム様のご機嫌が、すこぶる悪い。
「王女殿下。手をとめていては、本文中の固有名詞を全て抜き出せませんよ」
テストに合格したはずなのに、なんで今さらそんな作業を?
しかも私をカトリーナではなく、『王女殿下』と呼んでいる。
推しの誕生会で距離が縮まったと思ったのは、私の気のせい?
「ご不満なら、教師を交代しましょう」
「……え? いいえ。私はクロム先生がいいんです!」
「そうですか? 本当はルシウス殿下の方がよろしいのでは?」
なんで急にそんなことを?
それだとまるで、嫉妬しているみたい。
「ルシウス殿下とは、外出先でもご一緒でしたね。直接教わった方が、セイボリー語も上達するのでは?」
――クロム様はもしかして、街中イベントのことをおっしゃっているの?
「やっぱり。先生も街にいらしたのですね。尊……いえ、お姿をお見かけした気がして」
「それが何か? だからといって危険を顧みず、通りに飛び出していい理由にはならないでしょう!」
クロム様が、珍しく感情を露わにしている。
それはきっと、彼に気を取られた私が、馬車に轢かれそうになったのを見たせいだ。
「ご心配をおかけしてすみません。おかげさまで、この通り無事でした」
二度目は思いっきり跳ね飛ばされたけど、それについては黙っておこう。
「殿下はもっと、ご自分を大事になさるべきです。あなたの代わりはいないのですよ。あの時、私がどれほど……」
つらさの滲んだ彼の声に、胸が締め付けられたように痛む。
――クロムしゃま、優すぃいいいい!!
淡い希望が心に芽吹く。
もしかして彼が不機嫌な理由って、私を心配したせい!?
それならとっくに両思い。
暗殺も回避できそうだ。
「まったく。『ローズマリーの紫の薔薇』と慕われる王女が、迂闊な行動を取るとは、呆れてものが言えません」
――違ったか。クロム様は、相変わらず怒っている。
このままでは非常にマズい。
運命の日に向けて、さらなる対策を講じよう。
「こういう時こそ、ヘルプ係の出番よね」
私は研究者兼『バラミラ』の指南役でもあるアルバーノに会いに行く。
アルバーノは、第三国家騎士団長のタールのお兄さんで、魔道具に詳しい人物だ。セイボリーでの研究が評価され、城の敷地内にある研究塔に一室が与えられている。
防音完備の部屋は広く、宿泊設備もあるらしい。
そのため、研究室に籠りきりだとか。
重い木の扉をノックした私は、返事がないのでそっと開いた。
「アルバーノ、お邪魔するわね」
入るなり正面の大きな机と、奥の壁一面に広がる書棚が目に飛び込んだ。右手の小さな机には、ガラスの器具がある。左の棚には、ゲームでお馴染みのアイテムが置かれていた。
「確か、魅力アップの薬もあったはず」
これはいわゆる惚れ薬、というか惚れさせ薬。
事前に飲んでおけば、殺すのはもったいないと、思わせられるだろう。
同じような瓶が多くてわからない。
部屋の主はどこだろう?
「アルバーノ、いる?」
その時、机の向こうがかすかに揺れた。
見れば、書棚の前に大量の本が崩れ落ちている。
大きな机のせいで、入り口からは死角になっていたみたい。
「まさか、この中に埋もれているんじゃあ……」
慌てて分厚い本を取り除く。
やがて本の間から、乱れた焦げ茶色の髪が見えた。
「アルバーノ!」
「その声は、カトリーナ様? すみません、起こしてください」
隙間から手を取り引っ張り上げると、アルバーノが恥ずかしそうに笑う。
「すみません。梯子から落ちた拍子に、本が降ってきたもので」
「もう、あなたったら相変わらずなのね」
「相変わらず? カトリーナ様がこの研究室にいらしたのは、初めてですよね?」
しまった。ゲームではお馴染みの光景なので、思わず口が滑ったわ。
「そう? 私ったら、勘違いしていたみたい。おほほほほ」
とっさに笑ってみるけれど、アルバーノは変な顔をしている。
彼の着ているローブの埃を払いつつ、話題を変えることにした。
「ここに来たのは、教えてほしいことがあるからなの。相談に乗ってくださる?」
「もちろん! 王女殿下のお役に立てるなんて、至極光栄です」
「ふふ、アルバーノったら大げさね」
アルバーノはのんびりしたように見えて、とっても頭がいい。けれど武力を尊重する彼の実家では、変わり者とされていた。
弟のタールはヒロインの攻略対象でも、兄の彼は違う。
だからこそ、遠慮なく相談できる。
「これから話すことは、秘密にしてほしいの」
「かしこまりました。お約束いたします」
「良かったわ。……あのね、私、好きな人ができたの!」
照れながら口にすると、アルバーノの顔が一瞬強張った。
ゲームでは攻略の助言をくれることもあるから、気のせいかしら?
先を促されたため、クロム様への想いを熱く語る。
もちろん教師と紹介し、暗殺者ということは伏せた。
「そうですか。あの小さかったカトリーナ様が、身分違いの恋を……」
「あら。小さかったのは、ずいぶん昔でしょ。もうすぐ十六歳で成人するから、社交界へも参加できるのよ」
アルバーノは兄と同い年の二十四歳。
今の私は十五歳だが、前世も入れれば彼の年齢をゆうに越えている。
「そうでしたね。ところでカトリーナ様は、私が隣国に渡った理由をご存じですか?」
「ええ。セイボリー王国で、魔道具について研究するためでしょう?」
本当は研究だけでなく、開発まで手がけている。
『バラミラ』は、サブキャラだろうとハイスペックで、顔面のレベルも高い。
「その通りです。でもそれは、ある方が私を認めてくれたから。私はその方を敬い、密かにお慕いしております」
「まあ。アルバーノも恋を?」
ゲームで知識を得た私以外に、彼の才能に気づいた人がいたとは初耳だ。彼の恋愛事情についても、初めて聞いた。
『バラミラ』には、アルバーノの過去など出てこない。
恋愛相談のお返しに、自分の恋まで教えてくれるなんて。
アルバーノったら真面目なのね。
「公爵家のあなたが、まだ告白していないの?」
「……はい」
「じゃあ、相手の身分はかなり下?」
「それは……」
「あら、無理に答えなくてもいいわ。魅力アップの薬を服用すれば、いいことだもの」
「魅力アップ? なんのことですか?」
「えっ!?」
ゲームで出てきた薬を、現実では作ってもいないらしい。
「そんなあ……」
重要アイテムが存在すらしないなんて。
「カトリーナ様。飲むだけで魅力的に見える薬があるなら、恋愛など簡単ですよね」
「それが、そうでもないのよ。じゃあ、あなたもますます大変ね」
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