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絵を描くことに決めました

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部屋に戻った私は、大きなベットの上にごろんと寝転がった。



どうせ髪もセットしていないのだから問題ない。

そういえば、先ほど広間で見た妹のローラは、私と違いかなり丁重にもてなされているようだった。

ドレスもそうだが、髪型だってきちんとメイドにヘアセットして貰えているのがわかる程整っていた。

あの髪型では気軽にベットには寝転がれないだろうな。


まあ、いいけどね。

どうやら何もしなくていいみたいだし。


こんなに優雅にベットの上でごろごろできるのは何年ぶりか。

身体も、健康そのものでいつも襲われるような不調や痛みがない。身軽に動ける。

全身とてもすっきりしていて、健康な体とはそういえばこうだったと久しぶりに思い出した。


疲れもない、体力もある。
そして会社に行かなくていい。


そんな私が真っ先に思った事はただ1つ。


絵を描きたい。
絵さえ描かせてくれるのなら他に何もいらない。

最低限紙とペンさえあれば描けるのに、この部屋にはどこを探しても見つからなかった。


絵を描く道具が欲しい。
どうせなら、色も塗れるように1式揃えてしまいたい。


でも、父親の話を聞く限り、この家に絵を描くのが趣味な人は居なさそうだったから、道具を揃えるには自分で買いに行くしかないだろう。

お願いして買って貰えるような扱われ方じゃないしなあ。

ドレスさえ買ってもらえていないのだから。


……ならやっぱりまずは……

紙とペンで絵を描くところからだな。


ベットの近くに置かれているベルを鳴らした。

これは勘だが、このベルを鳴らすと使用人が来るのだろう。

しかししばらく経っても誰も来なかったので違ったかと思ったが、そういえば自分は冷遇されているのだと思い出した。


それなら来るまで鳴らしてやる。


騒がしくなるベルの音にうんざりしたのかよくやくメイドが入ってきた。

「なんの御用でしょうか?」

渋々な態度だが、まあいい。
命令さえ聞いてくれれば。


「紙とペンが欲しいの。いますぐにね。」


それを聞いたメイドは無言で立ち去り、数分後に紙とペンを持って戻ってきた。


それを受け取り笑みがこぼれた。


まずはこれで十分。


この世界でわたしは、絵を描きながら好きに生きたい。


今、そのための1歩をついに踏み出したのだ。



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