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僕が鶫原学園に入学してから、早くも一ヶ月が経とうとしていた。
「カスミ、次の授業移動だって。視聴覚室使うみたい。」
「そうなんだ、ありがとう」
のんびりと次の授業の準備をしていると隣の席の多部大和が声を掛けてきた。
大和とは今ではすっかり名前で呼び合うくらいの仲だ。
家柄の良い、悪く言えばお高くとまった人の多い1ーAの中で、庶民的な大和とは馬が合うのだ。
僕は教科書と筆記用具を持って席から立つと、大和と二人で視聴覚室へ向かった。
「カスミ、今度のゴールデンウィークは実家に帰るの?」
「ううん、僕は帰らないつもり、外出くらいはするつもりだけど…。」
「へぇ、買い物にでも行くの?」
「うん、やっぱり学園内じゃ売ってないものもあるから…大和は?」
「俺は実家に帰るよ、親が帰って来いって煩くて。でもカスミが帰らないなら俺も一緒に出かけたかったなぁ。」
一緒に遊びたかったと言う大和の気持ちは嬉しいし、残念だけどしかたない。大和は煙たそうにしているけど、親とはそういうものだろう。
現に蘭にはゴールデンウィークは帰省するように母から連絡があったそうだ。僕にはなかったけど…。
母があえて僕に連絡しなかった訳じゃない事は良くわかっている。両親にとってメインの息子は蘭で、僕はそのおまけだ。だから時々その存在を忘れられるのだ。
それをわかっていて一々傷付く自分に呆れてしまう。いい加減慣れれば良いのに。
「ご両親は大和の事が心配なんだよ。」
「わかってるけどさぁ~。」
大和は照れたように笑う、本心では彼も実家に帰るのを楽しみにしているのだろう。
素直に羨ましいな、と思う。大和は兄も妹もいるけれど、きっと分け隔てなく両親に愛されているんだろうなと想像がついた。
その夜、夕食を作ろうとエプロンを着けた僕に、蘭が爆弾を落としてきた。
「今日、聖が来るから聖の飯も用意してくれよ。」
「えぇっ!」
月岡先輩とはあの空き教室の一件以来、蘭を訪ねてこの部屋に来る度に挨拶を交わしてはいる。が、会えば毎回蘭のいない所で何かしらの嫌味を言われるから、相変わらずあの人は苦手だ。
正直一緒に夕食を食べたいとは思えない…。先輩だって僕の料理なんて別に食べたくないだろうし……。
「今日来るの?突然は困るよ。ほら、夕食の材料もそんなにないし。」
悪あがきをしてみるが、蘭の中では決定事項のようで
「飯なんか何でも良いって!」と、取り合ってくれなかかった。
玄関のチャイムの音が鳴った、月岡先輩が来たようだ。
出迎えを蘭に任せて僕は料理をテーブルに並べる。今日のメニューは茄子とミートソースを合えたパスタに、野菜たっぷりのポトフだ。
先輩に文句を言われないように、誰が作っても失敗のないメニューにした。
「早く入れよ!」
仮にも上級生に、今晩はもいらっしゃいとも言わずに招き入れる蘭の様子にハラハラするが、先輩は気にしていないようで笑顔でリビングに顔を出した。
「こんばんわ、良い匂いだね。」
「月岡先輩、こんばんわ。どうぞ座ってください。」
蘭の前である手前、今は嫌味を言って来ないが、こんな簡単な庶民料理に内申何を思っているのか……。
ソファーを勧めながら恐恐と様子を窺うと、先輩はテーブルに並べられた料理を見て首を傾げた。
「二人分?」
「えぇ、僕は早くに夕食を済ませていたので、先輩と蘭でどうぞ。」
もちろん嘘だ、先輩と一緒に夕飯を食べたくなくて、先に夕食を済ませたのだ。
最低限の挨拶を済ませたのだから部屋に引っ込んでも後で文句を言われる事もないだろう。
先輩も蘭と早く二人きりになりたいだろうし…。
「じゃあ僕はこれで、お口に合わなければ遠慮なく残してくださいね。」
「えっ?カスミどこ行くんだよ、たまには話に混じれよ!」
あくまでも礼儀正しく、後輩の見本のように一礼をしてその場を離れようとするが、蘭に呼び止められてしまう。
「いや、でもお邪魔すると悪いし…。」
「邪魔ってなんだよ?いいから居ろって!」
「そうだよね、邪魔なんかじゃないよ。ここは君たちの部屋なんだからゆっくりしていけばいいじゃない。」
先輩も蘭の手前僕を邪険にできないのだろう、引き留められる。
そこまで言われてはそのまま立ち去るのは失礼な気がして出来なかった。
「じゃあちょっとだけ…。」
二人の時間を邪魔するつもりは無いことをアピールしてその場に腰を下ろした。
「そしたらそいつがさぁ~、俺と友達になりたいって言ってきて!」
「へぇ、やっぱり蘭は人気者なんだね。」
「………。」
会話に困ったらどうしようと思っていたが、蘭が話続けてくれるので助かる。
それにしても先輩は相槌上手だ。僕なんかは、蘭の長話に疲れてしまい、たまに気のない返事をしては「ちゃんと聞いてるのかよ!」といつも怒られてしまうのに…。
好きな子の話なら何でも楽しく思えるものなのかもしれない。
「そういえば二人はゴールデンウィークはどうするの?」
蘭の延々と続く自慢話に僕が黙り込んでいると、気遣うように月岡先輩から話を振られた。
「俺は実家に帰るよ!母さんが一度顔見せに帰って来いって、カスミは寮に残るんだよな!」
「あー…うん、そうだね残るよ。」
あまり人前でこの話はしたくなかった。何故僕だけ帰らないのか疑問に思われても困るから。
「あれ、カスミ君は帰らないの?君も帰って来いって言われただろう?」
ほら、やっぱり疑問に思われた。
「カスミには連絡なかったんだよな!だから寮でゆっくりしたいんだって、カスミは薄情者だよな~。」
それを聞いて先輩はちょっと驚いた顔をした。僕だけ連絡を貰えなかったことか、僕が薄情者な事かどちらに驚いているのだろう。
「去年の旅行だってカスミは部活の試合と被るからって来なかったんだぜ」
蘭は僕がどれだけ薄情かを先輩に言って聞かせた。直前まで試合なんか休んで一緒に旅行に行こうとごねていたから未だに根に持っているのだろう。
「中学最後の試合だから絶対に出たかったんだよ。」
「運動オンチのくせに~、別に活躍できなかったんだろ。」
「うるさいなぁ~、僕の運動神経は全部蘭が持って行っちゃったんだよ。」
笑い話にしてこの話は終わらせたかった。
「俺ちょっとトイレ!」
蘭が席を立つと気まずい沈黙が落ちる。
何か話題はないものか考えていると先輩は言いにくそうに話始めた。
「あのさぁ、間違ってたら悪いんだけど…君、もしかしてネグレクトにでも合ってる?」
「えっ、なんでそうなるんですか!?合ってませんよ!」
僕は想像もしなかった問いかけに驚いた。今の会話のどこからそんな発送が生まれたのか。
「だって、普通に考えておかしいよ。君にだけ連絡がなかったり、旅行も置いてきぼりだったんだろ?」
「だってそれは僕の試合と重なったから…。」
「普通、試合と重なる日に旅行の計画なんか立てないでしょ、しかも中学最後の試合だったんでしょ?旅行に行けるぐらいなら見に来ても良いと思うけどね。それか旅行を延期したって良いんだ。」
思わず絶句してしまう。そうか、それが普通なのかと目から鱗が落ちるような思いだった。
蘭が優先されるのが当たり前だったので、少しもおかしいとは思わなかった。
思い返すとあの試合の日、チームメイトの親は確かに大勢観戦しに来ていたし、親が来ていない子も仕事が休めないからとか言ってたような気がする。
僕が親は家族旅行で来ないと言った時、チームメイト達はなんとも言えない顔をしていなかっただろうか?
僕が黙っていると、何を思ったのか先輩は頭を撫でてきた。
「君の親はバカだね、僕なら君みたいな子が息子なら凄く可愛いがるのに」
今まで散々嫌みを言って来た人とは思えない発言に驚いた。
可愛がるどころか散々人を振り回す発言をしておいて、どの口がそんな事を言うのかと呆れる。
だけど、先輩はいつになく真摯な瞳で、こちらを見ていた。
蘭のおまけとしての付き合いだけで、僕と先輩の間には、愛情も友情もまったく存在しない間柄だ。
先輩との間に親愛呼ばれる感情が生まれる筈がないのに、それが本心からの言葉なら嬉しいのにと思ってしまった。
「カスミ、次の授業移動だって。視聴覚室使うみたい。」
「そうなんだ、ありがとう」
のんびりと次の授業の準備をしていると隣の席の多部大和が声を掛けてきた。
大和とは今ではすっかり名前で呼び合うくらいの仲だ。
家柄の良い、悪く言えばお高くとまった人の多い1ーAの中で、庶民的な大和とは馬が合うのだ。
僕は教科書と筆記用具を持って席から立つと、大和と二人で視聴覚室へ向かった。
「カスミ、今度のゴールデンウィークは実家に帰るの?」
「ううん、僕は帰らないつもり、外出くらいはするつもりだけど…。」
「へぇ、買い物にでも行くの?」
「うん、やっぱり学園内じゃ売ってないものもあるから…大和は?」
「俺は実家に帰るよ、親が帰って来いって煩くて。でもカスミが帰らないなら俺も一緒に出かけたかったなぁ。」
一緒に遊びたかったと言う大和の気持ちは嬉しいし、残念だけどしかたない。大和は煙たそうにしているけど、親とはそういうものだろう。
現に蘭にはゴールデンウィークは帰省するように母から連絡があったそうだ。僕にはなかったけど…。
母があえて僕に連絡しなかった訳じゃない事は良くわかっている。両親にとってメインの息子は蘭で、僕はそのおまけだ。だから時々その存在を忘れられるのだ。
それをわかっていて一々傷付く自分に呆れてしまう。いい加減慣れれば良いのに。
「ご両親は大和の事が心配なんだよ。」
「わかってるけどさぁ~。」
大和は照れたように笑う、本心では彼も実家に帰るのを楽しみにしているのだろう。
素直に羨ましいな、と思う。大和は兄も妹もいるけれど、きっと分け隔てなく両親に愛されているんだろうなと想像がついた。
その夜、夕食を作ろうとエプロンを着けた僕に、蘭が爆弾を落としてきた。
「今日、聖が来るから聖の飯も用意してくれよ。」
「えぇっ!」
月岡先輩とはあの空き教室の一件以来、蘭を訪ねてこの部屋に来る度に挨拶を交わしてはいる。が、会えば毎回蘭のいない所で何かしらの嫌味を言われるから、相変わらずあの人は苦手だ。
正直一緒に夕食を食べたいとは思えない…。先輩だって僕の料理なんて別に食べたくないだろうし……。
「今日来るの?突然は困るよ。ほら、夕食の材料もそんなにないし。」
悪あがきをしてみるが、蘭の中では決定事項のようで
「飯なんか何でも良いって!」と、取り合ってくれなかかった。
玄関のチャイムの音が鳴った、月岡先輩が来たようだ。
出迎えを蘭に任せて僕は料理をテーブルに並べる。今日のメニューは茄子とミートソースを合えたパスタに、野菜たっぷりのポトフだ。
先輩に文句を言われないように、誰が作っても失敗のないメニューにした。
「早く入れよ!」
仮にも上級生に、今晩はもいらっしゃいとも言わずに招き入れる蘭の様子にハラハラするが、先輩は気にしていないようで笑顔でリビングに顔を出した。
「こんばんわ、良い匂いだね。」
「月岡先輩、こんばんわ。どうぞ座ってください。」
蘭の前である手前、今は嫌味を言って来ないが、こんな簡単な庶民料理に内申何を思っているのか……。
ソファーを勧めながら恐恐と様子を窺うと、先輩はテーブルに並べられた料理を見て首を傾げた。
「二人分?」
「えぇ、僕は早くに夕食を済ませていたので、先輩と蘭でどうぞ。」
もちろん嘘だ、先輩と一緒に夕飯を食べたくなくて、先に夕食を済ませたのだ。
最低限の挨拶を済ませたのだから部屋に引っ込んでも後で文句を言われる事もないだろう。
先輩も蘭と早く二人きりになりたいだろうし…。
「じゃあ僕はこれで、お口に合わなければ遠慮なく残してくださいね。」
「えっ?カスミどこ行くんだよ、たまには話に混じれよ!」
あくまでも礼儀正しく、後輩の見本のように一礼をしてその場を離れようとするが、蘭に呼び止められてしまう。
「いや、でもお邪魔すると悪いし…。」
「邪魔ってなんだよ?いいから居ろって!」
「そうだよね、邪魔なんかじゃないよ。ここは君たちの部屋なんだからゆっくりしていけばいいじゃない。」
先輩も蘭の手前僕を邪険にできないのだろう、引き留められる。
そこまで言われてはそのまま立ち去るのは失礼な気がして出来なかった。
「じゃあちょっとだけ…。」
二人の時間を邪魔するつもりは無いことをアピールしてその場に腰を下ろした。
「そしたらそいつがさぁ~、俺と友達になりたいって言ってきて!」
「へぇ、やっぱり蘭は人気者なんだね。」
「………。」
会話に困ったらどうしようと思っていたが、蘭が話続けてくれるので助かる。
それにしても先輩は相槌上手だ。僕なんかは、蘭の長話に疲れてしまい、たまに気のない返事をしては「ちゃんと聞いてるのかよ!」といつも怒られてしまうのに…。
好きな子の話なら何でも楽しく思えるものなのかもしれない。
「そういえば二人はゴールデンウィークはどうするの?」
蘭の延々と続く自慢話に僕が黙り込んでいると、気遣うように月岡先輩から話を振られた。
「俺は実家に帰るよ!母さんが一度顔見せに帰って来いって、カスミは寮に残るんだよな!」
「あー…うん、そうだね残るよ。」
あまり人前でこの話はしたくなかった。何故僕だけ帰らないのか疑問に思われても困るから。
「あれ、カスミ君は帰らないの?君も帰って来いって言われただろう?」
ほら、やっぱり疑問に思われた。
「カスミには連絡なかったんだよな!だから寮でゆっくりしたいんだって、カスミは薄情者だよな~。」
それを聞いて先輩はちょっと驚いた顔をした。僕だけ連絡を貰えなかったことか、僕が薄情者な事かどちらに驚いているのだろう。
「去年の旅行だってカスミは部活の試合と被るからって来なかったんだぜ」
蘭は僕がどれだけ薄情かを先輩に言って聞かせた。直前まで試合なんか休んで一緒に旅行に行こうとごねていたから未だに根に持っているのだろう。
「中学最後の試合だから絶対に出たかったんだよ。」
「運動オンチのくせに~、別に活躍できなかったんだろ。」
「うるさいなぁ~、僕の運動神経は全部蘭が持って行っちゃったんだよ。」
笑い話にしてこの話は終わらせたかった。
「俺ちょっとトイレ!」
蘭が席を立つと気まずい沈黙が落ちる。
何か話題はないものか考えていると先輩は言いにくそうに話始めた。
「あのさぁ、間違ってたら悪いんだけど…君、もしかしてネグレクトにでも合ってる?」
「えっ、なんでそうなるんですか!?合ってませんよ!」
僕は想像もしなかった問いかけに驚いた。今の会話のどこからそんな発送が生まれたのか。
「だって、普通に考えておかしいよ。君にだけ連絡がなかったり、旅行も置いてきぼりだったんだろ?」
「だってそれは僕の試合と重なったから…。」
「普通、試合と重なる日に旅行の計画なんか立てないでしょ、しかも中学最後の試合だったんでしょ?旅行に行けるぐらいなら見に来ても良いと思うけどね。それか旅行を延期したって良いんだ。」
思わず絶句してしまう。そうか、それが普通なのかと目から鱗が落ちるような思いだった。
蘭が優先されるのが当たり前だったので、少しもおかしいとは思わなかった。
思い返すとあの試合の日、チームメイトの親は確かに大勢観戦しに来ていたし、親が来ていない子も仕事が休めないからとか言ってたような気がする。
僕が親は家族旅行で来ないと言った時、チームメイト達はなんとも言えない顔をしていなかっただろうか?
僕が黙っていると、何を思ったのか先輩は頭を撫でてきた。
「君の親はバカだね、僕なら君みたいな子が息子なら凄く可愛いがるのに」
今まで散々嫌みを言って来た人とは思えない発言に驚いた。
可愛がるどころか散々人を振り回す発言をしておいて、どの口がそんな事を言うのかと呆れる。
だけど、先輩はいつになく真摯な瞳で、こちらを見ていた。
蘭のおまけとしての付き合いだけで、僕と先輩の間には、愛情も友情もまったく存在しない間柄だ。
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