8 / 26
7
しおりを挟む親切な生徒にもらったレジメには、信じ難いことが書いてあった。
1.生徒会役員及び風紀部役員にはむやみに近づいてはいけない。理由もなく近づく輩は親衛隊の制裁対象となる。
2.親衛隊持ちの人物ともむやみに接触を図ってはいけない。1と同様に親衛隊の制裁対象となることを心せよ。
3.上記の方々と接触を図りたい時は親衛隊への入隊許可を取ること。
4.生徒会役員及び風紀部役員が生活する特別寮への進入は禁止とする。
5.Eクラスには無闇に近づいてはいけない、どのような目にあっても自己責任と考えろ。
………生徒会や風紀部役員が人気者なのは良くわかった。まるでアイドル…いや、雲の上の存在扱いだ。
「あの、聞きたいんですけど…。」
前に座る二人に呼び掛けると、待ってましたとばかりに振り返られる。
「何、何がわからないっていうの?」
「この親衛隊っていうのは?」
「簡単に言うとファンクラブだね」
「ただのファンクラブだと思わないでよね!僕らは役員の皆様が過ごしやすいように心血注いでお仕えさせて頂いているんだから」
誇らしげに答えられる。聞けば自身も親衛隊に所属しているようだ。
「そ、そうなんだ。」
「ちなみに僕らは生徒会長の親衛隊だよ、君も良かったら入る?」
「い、いえ僕は…その、今回は遠慮しようかな……。」
ウォーターサーバーの入会を拒否するように断ると、無理には勧誘はされなかった。
「そう?気が変わったら言いなよね。」
「そうそう、どうせすぐ会長の魅力に気付くんだからさ!」
会長はとにかく素晴らしいのだそうだ。確かに入学式で見た彼は、遠目から見ても美形だった。
「生徒会と風紀委員の人は分かるけど、他の親衛隊持ちの人はどう判別するの?知らずに親しくなっても制裁されちゃうの?」
入学式で挨拶をしていた役員達ならいざ知らず。その他の親衛隊持ちとなると知らないうちに親しくしてしまうこともあるんじゃないだろうか。
それすらも制裁対象になるとしたら恐ろしい。
「親衛隊持ちの方は見ればわかるよ!オーラがまるで違うんだから!」
「親衛隊持ちの方は大抵自身の親衛隊員を沢山引き連れてらっしゃるからすぐにわかるんじゃないかな?それに僕らは親衛対象に近づいたからといって直ぐに制裁をするわけじゃなよ。こういう学院だから家同士の付き合いで話すこともあるし、純粋に友情を育んでらっしゃるようなら口出しはしないよ。」
なるほど、制裁という過激な文面に驚いたが理性的にきのうしているらしい。確かに社会の縮図のようなこの学園で、簡単に問題を起こすわけにもいかないのだろう。
「後もう1つだけ分からないことがあったんだけど、Eクラスには近づくなっていうのはどういうこと?Eクラスって普通科のEクラスだよね?」
僕が尋ねると、二人は声を潜めて教えてくれた。
「Eクラスは所謂不良ばかりのグループなんだよ、問題ばかり起こす生徒が押し込められてるクラスなんだ。」
「そうそう、Eクラスは別棟にあるからね、間違えて行っちゃうと大変な目に合うから気をつけて…。」
「大変な目って……。」
「暴力を振るわれたり、お金を巻き上げられたり、可愛い子だったりしたら強姦されたりもするって。」
「ごっ強姦って……。」
思わず絶句してしまう……、そんなの立派な犯罪じゃないか。
「あいつらは頭が可笑しいんだよ、大きな声じゃいえないけど…トップが大企業の跡取りなんだ。だから学校側も怖くて何も言えないんだよ。」
「神崎って奴が今のトップさ、直ぐに切れて何するかわかんないから気をつけて。」
「神崎…」
脳裏に先日親切にしてくれた晋の顔が過る、まさか、彼の筈がない。あんなに親切にしてくれたし、彼はまだ一年なのだ、トップである訳がない。
「神崎って言う人…、下の名前は…」「「キャー!!」」
その時急に歓声が聞こえ、回りが色めき立った。役員が会議室に入って来たようだ。目の前の二人も会長に熱い視線を送るのに夢中になり、話は中断してしまった。
役員の中には風紀委員長の月岡もいる…。月岡に以前言われた神崎晋とは関わるなという忠告を思い出した。…あれはそういう事だったのだろうか?
僕は不安に苛まれながら会長からの会議を始めると言う言葉を聞いたのだった。
10
お気に入りに追加
2,133
あなたにおすすめの小説
全寮制男子高校生活~行方不明になってた族の総長が王道学園に入学してみた~
雨雪
BL
スイマセン、腐男子要素どこいった状態になりそうだったんでタイトル変えました。
元、腐男子が王道学園に入学してみた。腐男子設定は生きてますがあんま出てこないかもです。
書いてみたいと思ったから書いてみただけのお話。駄文です。
自分が平凡だと本気で思っている非凡の腐男子の全寮制男子校での話。
基本思いつきなんでよくわかんなくなります。
ストーリー繋がんなくなったりするかもです。
1話1話短いです。
18禁要素出す気ないです。書けないです。
出てもキスくらいかなぁ
*改稿終わって再投稿も終わったのでとりあえず完結です~
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
嫌われものの僕について…
相沢京
BL
平穏な学校生活を送っていたはずなのに、ある日突然全てが壊れていった。何が原因なのかわからなくて気がつけば存在しない扱いになっていた。
だか、ある日事態は急変する
主人公が暗いです
総長の彼氏が俺にだけ優しい
桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、
関東で最強の暴走族の総長。
みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。
そんな日常を描いた話である。
嫌われ者の僕
みるきぃ
BL
学園イチの嫌われ者で、イジメにあっている佐藤あおい。気が弱くてネガティブな性格な上、容姿は瓶底眼鏡で地味。しかし本当の素顔は、幼なじみで人気者の新條ゆうが知っていて誰にも見せつけないようにしていた。学園生活で、あおいの健気な優しさに皆、惹かれていき…⁈学園イチの嫌われ者が総愛される話。嫌われからの愛されです。ヤンデレ注意。
※他サイトで書いていたものを修正してこちらで書いてます。改行多めで読みにくいかもです。
元会計には首輪がついている
笹坂寧
BL
【帝華学園】の生徒会会計を務め、無事卒業した俺。
こんな恐ろしい学園とっとと離れてやる、とばかりに一般入試を受けて遠く遠くの公立高校に入学し、無事、魔の学園から逃げ果すことが出来た。
卒業式から入学式前日まで、誘拐やらなんやらされて無理くり連れ戻されでもしないか戦々恐々としながら前後左右全ての気配を探って生き抜いた毎日が今では懐かしい。
俺は無事高校に入学を果たし、無事毎日登学して講義を受け、無事部活に入って友人を作り、無事彼女まで手に入れることが出来たのだ。
なのに。
「逃げられると思ったか?颯夏」
「ーーな、んで」
目の前に立つ恐ろしい男を前にして、こうも身体が動かないなんて。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる