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第一会議室は鶫原学園高等科で一番大きな会議室だ。
主に生徒会だけでは決められない学校行事についての取り決めをする時などに使用しているらしい。
風紀委員やその他各委員会の委員長、教員などが集まって話合う時に、この広い空間が必要になるのだ。
僕はそんな広い空間で会議が始まるのを、配られた小冊子を読みながら身体を小さくして待っていた。
これから生徒会とクラス委員との顔合わせがあるのだ。クラスの代表という大役にひどく緊張する…。
室内はざわざわと雑談する生徒達で騒がしく、まだまだ会議は始まりそうにない…。生徒会役員達が座るであろう場所も空席のままだ。
手持ち無沙汰になった僕はノートと筆記用具を取り出し回りの様子をそっと伺う。
男子高校生にあるまじき屈託さで盛り上がっている、僕以外の学級委員は、何故だか可愛い系や、綺麗系統な見た目の人が多い気がした。
平凡な僕がこんな華やかな人達の中に交じらないといけないなんて、居た堪れない。
蘭ならすんなりと馴染むだろうが、僕はアウェイというやつではないだろうか。
疎外感を感じながら、少しでも馴染む努力をしなければと目の前に座る二人組の話に耳を澄ませる。
「クラス委員になれてラッキーだなぁ、皆譲らなかったから最後はジャンケンで決めたんだよ~!」
「うちのクラスも一緒!皆に羨ましがられちゃった。」
(えっ!皆なりたくてクラス委員になったの?なんで?)
疑問に思い、彼らをじっと見ているとその内の一人と目が合ってしまった。
「何?なんか用」
キツイ口調で問われ肩をすくめる。
ジロジロと見つめてしまって気分を悪くさせてしまったみたいだ。
「あの、すいません、気になっちゃって…何でクラス委員になりたかったのかなって。」
「「はぁ~?」」
謝罪と共に疑問をぶつけると、二人からは心底意味がわからないといった声が上げられた。
「ちょっと!君、本気で聞いてるの?」
「君だっておんなじ目的でクラス委員になったんでしょ!」
「えっ?僕は目的なんて特に……。」
口々に責められ面食らってしまう。
「クラス委員になれば生徒会の皆様とお近づきになる機会がぐっと増えるじゃない!」
「そうだよ、クラス委員は生徒会の方にクラスの事を直接相談してもいいんだから!」
「えっ!クラスの事を生徒会に相談するんですか?担任じゃなくて?」
生徒会だって一生徒の一人だろうに、学園行事の運営に生徒の相談にまで乗っていたら体がいくつあっても足りないのではないだろうか…。
「ほんとに何にも知らないんだね、君外部入学生でしょ?」
ずばりと言い当てられる。男同士の恋愛と同様に、生徒会のあり方にも疎い存在は内部進学ではあり得ないと言うのだ。
「鶫原学園は生徒の自主性を重んじるんだ。だから学園内で出た問題は、よっぽどのことがない限り生徒だけで解決する決まりになってるんだよ。」
「生徒だけで…。」
ここまで大きな学園なら、行事毎に動かすお金や、人員もかなりのものだろう。それを生徒自身に任せるとは恐れ入る。
「生徒会や風紀の方々は将来日本をしょって立つような仕事に着くことが決まっているエリートばかりなんだ、学園内の問題ぐらい簡単に解決なさるよ。」
「社会の疑似体験をするってことですか。……なんか、すごいんですね………。」
「当たり前でしょ!」
「君、一々間の抜けたこと言わないでくれる?あの方達がすごいのなんて周知の事実なんだから!」
それだけ言うと彼らはプイッと前を向いた。
(嫌われちゃったかな?)
コミュニケーション下手な自分が嫌になる。少し落ち込んでいると彼れらは再び振り返り、僕に一枚のレポート用紙を差し出した。
「はいこれ、鶫原でやって行くには知っておかないといけない決まりが沢山あるんだ、何にも知らないならこれでも見て勉強しなよね。あと敬語は止めて!」
「わからないことがあったら聞いてね。」
「あ、ありがとう……!」
僕の為に急ぎで作ってくれたらしいレジメを見る。
ツンとした口調とは裏腹に世話焼きな性分らしい。
誰とも口を聞けないままに会議を終えることになるだろうと落ち込んでいただけに、思わぬ親切に心が温まるような気がした…。
主に生徒会だけでは決められない学校行事についての取り決めをする時などに使用しているらしい。
風紀委員やその他各委員会の委員長、教員などが集まって話合う時に、この広い空間が必要になるのだ。
僕はそんな広い空間で会議が始まるのを、配られた小冊子を読みながら身体を小さくして待っていた。
これから生徒会とクラス委員との顔合わせがあるのだ。クラスの代表という大役にひどく緊張する…。
室内はざわざわと雑談する生徒達で騒がしく、まだまだ会議は始まりそうにない…。生徒会役員達が座るであろう場所も空席のままだ。
手持ち無沙汰になった僕はノートと筆記用具を取り出し回りの様子をそっと伺う。
男子高校生にあるまじき屈託さで盛り上がっている、僕以外の学級委員は、何故だか可愛い系や、綺麗系統な見た目の人が多い気がした。
平凡な僕がこんな華やかな人達の中に交じらないといけないなんて、居た堪れない。
蘭ならすんなりと馴染むだろうが、僕はアウェイというやつではないだろうか。
疎外感を感じながら、少しでも馴染む努力をしなければと目の前に座る二人組の話に耳を澄ませる。
「クラス委員になれてラッキーだなぁ、皆譲らなかったから最後はジャンケンで決めたんだよ~!」
「うちのクラスも一緒!皆に羨ましがられちゃった。」
(えっ!皆なりたくてクラス委員になったの?なんで?)
疑問に思い、彼らをじっと見ているとその内の一人と目が合ってしまった。
「何?なんか用」
キツイ口調で問われ肩をすくめる。
ジロジロと見つめてしまって気分を悪くさせてしまったみたいだ。
「あの、すいません、気になっちゃって…何でクラス委員になりたかったのかなって。」
「「はぁ~?」」
謝罪と共に疑問をぶつけると、二人からは心底意味がわからないといった声が上げられた。
「ちょっと!君、本気で聞いてるの?」
「君だっておんなじ目的でクラス委員になったんでしょ!」
「えっ?僕は目的なんて特に……。」
口々に責められ面食らってしまう。
「クラス委員になれば生徒会の皆様とお近づきになる機会がぐっと増えるじゃない!」
「そうだよ、クラス委員は生徒会の方にクラスの事を直接相談してもいいんだから!」
「えっ!クラスの事を生徒会に相談するんですか?担任じゃなくて?」
生徒会だって一生徒の一人だろうに、学園行事の運営に生徒の相談にまで乗っていたら体がいくつあっても足りないのではないだろうか…。
「ほんとに何にも知らないんだね、君外部入学生でしょ?」
ずばりと言い当てられる。男同士の恋愛と同様に、生徒会のあり方にも疎い存在は内部進学ではあり得ないと言うのだ。
「鶫原学園は生徒の自主性を重んじるんだ。だから学園内で出た問題は、よっぽどのことがない限り生徒だけで解決する決まりになってるんだよ。」
「生徒だけで…。」
ここまで大きな学園なら、行事毎に動かすお金や、人員もかなりのものだろう。それを生徒自身に任せるとは恐れ入る。
「生徒会や風紀の方々は将来日本をしょって立つような仕事に着くことが決まっているエリートばかりなんだ、学園内の問題ぐらい簡単に解決なさるよ。」
「社会の疑似体験をするってことですか。……なんか、すごいんですね………。」
「当たり前でしょ!」
「君、一々間の抜けたこと言わないでくれる?あの方達がすごいのなんて周知の事実なんだから!」
それだけ言うと彼らはプイッと前を向いた。
(嫌われちゃったかな?)
コミュニケーション下手な自分が嫌になる。少し落ち込んでいると彼れらは再び振り返り、僕に一枚のレポート用紙を差し出した。
「はいこれ、鶫原でやって行くには知っておかないといけない決まりが沢山あるんだ、何にも知らないならこれでも見て勉強しなよね。あと敬語は止めて!」
「わからないことがあったら聞いてね。」
「あ、ありがとう……!」
僕の為に急ぎで作ってくれたらしいレジメを見る。
ツンとした口調とは裏腹に世話焼きな性分らしい。
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