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ダルクガルド
漆黒のガナス・スーツ
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「黙れっっっ!」
ゼインは取り出したショットガンをウィナに向けると、怒り狂ったように何度も発砲した。ウィナは即座に地面を蹴って飛び上がり、ゼインの顔に蹴りの一撃を加える。不意を突かれたため、ゼインは体勢を崩しながら倒れるように後方へと逃げようとする。そのチャンスを逃さず、ウィナはバスターロックの銃弾をゼインの右肩へ撃ち込んだ。
「ぐあっ!」
肩に衝撃が加わり、ゼインは持っていたショットガンを落としそうになる。
(あんたの負けだよ……っ!)
ウィナは二発目を撃ち込もうとしたが、ゼインの目がギラリと鋭く光り、次の瞬間、銃声の音が周囲に鳴り響いた。ゼインが負傷したままの腕でショットガンを撃ったのだ。腹部を撃たれたウィナは吹き飛び、そのまま地面へと叩き付けられた。
(くそっ、化け物め……)
ウィナは激痛で意識を失いそうになるが、ゼインを見て死んでいることを冷静に確認した。相手が撃つ前に、バスターロックの弾が頭部を貫いたのだ。
「か、勝った……」
すると、ガナス・スーツを通して運営のアナウンスが入った。
「ダルクガルドのガナスが全滅しました。ロジナスの勝利です、おめでとうございます」
ウィナは腹部の傷を押さえながら立ち上がり、倒れているゼインにゆっくりと近付いた。見ると、ゼインの愛用するスナイパーライフルが目の前に落ちている。
「……えっ!?」
そのスナイパーライフルには見覚えがあった。セルタロズパイク社製『ZRS OP タイラノREX』である。ウィナの父親が開発・デザインした銃であり、この世に3本しか存在しないと言われた名品の一つ。ウィナは手に取ると、しばらく銃を見つめながら父親の面影を思い出そうとしていた。
「その銃がそんなに珍しいか、ウィナ」
――不意に背後から声が聞こえた。しかし、ウィナが振り返ろうとした瞬間に銃声が鳴り、そのまま右目を撃ち抜かれてしまう。
(なにっ……!?)
何故か射線が見えなかったのだ。ウィナは銃弾を避けることができずに意識を失う。辛うじて左目で相手の姿を確認したが、漆黒のガナス・スーツを着ているのが見えただけで、男か女なのかも分からない。侵入されることのない戦場フィールドに異質な存在が一人、倒れ行くウィナを見つめていた。
――そして5分後、ウィナはスタジアムで目を覚ました。急いでカプセルポッドから出ると、ゲルファスと無線を使って会話を試みた。
「ゲルファス、アタイをウルフレイジ・レジェンズに戻しな! あいつの正体を確かめてやる」
「……残念ながらそれはできん」
「なんで?」
「もうさっきのマップは消滅している。今から飛んでもヤツを捕まえることは不可能だろう。それに、運営から親善試合中止の申し入れがあった。今日はこれで終わりだ、ウィナ」
「冗談じゃない! あいつはいとも簡単に、このアタイに銃弾をぶち込んだんだよ。それが何を意味しているのか分かってんの?」
「命中率が90%を超えている……」
「そうだよ、軍にとっては脅威の存在なんだ。捕まえないと多くの死者が出るかもしれない」
「……とりあえず冷静になってプレイルームに戻って来い。話はそれからだ」
「ちくしょう!」
ウィナはカプセルポッドの外壁を思い切り殴った。外側を覆うガラスの一部がヒビ割れ、映っていたウィナの顔に深い亀裂が入った。
ゼインは取り出したショットガンをウィナに向けると、怒り狂ったように何度も発砲した。ウィナは即座に地面を蹴って飛び上がり、ゼインの顔に蹴りの一撃を加える。不意を突かれたため、ゼインは体勢を崩しながら倒れるように後方へと逃げようとする。そのチャンスを逃さず、ウィナはバスターロックの銃弾をゼインの右肩へ撃ち込んだ。
「ぐあっ!」
肩に衝撃が加わり、ゼインは持っていたショットガンを落としそうになる。
(あんたの負けだよ……っ!)
ウィナは二発目を撃ち込もうとしたが、ゼインの目がギラリと鋭く光り、次の瞬間、銃声の音が周囲に鳴り響いた。ゼインが負傷したままの腕でショットガンを撃ったのだ。腹部を撃たれたウィナは吹き飛び、そのまま地面へと叩き付けられた。
(くそっ、化け物め……)
ウィナは激痛で意識を失いそうになるが、ゼインを見て死んでいることを冷静に確認した。相手が撃つ前に、バスターロックの弾が頭部を貫いたのだ。
「か、勝った……」
すると、ガナス・スーツを通して運営のアナウンスが入った。
「ダルクガルドのガナスが全滅しました。ロジナスの勝利です、おめでとうございます」
ウィナは腹部の傷を押さえながら立ち上がり、倒れているゼインにゆっくりと近付いた。見ると、ゼインの愛用するスナイパーライフルが目の前に落ちている。
「……えっ!?」
そのスナイパーライフルには見覚えがあった。セルタロズパイク社製『ZRS OP タイラノREX』である。ウィナの父親が開発・デザインした銃であり、この世に3本しか存在しないと言われた名品の一つ。ウィナは手に取ると、しばらく銃を見つめながら父親の面影を思い出そうとしていた。
「その銃がそんなに珍しいか、ウィナ」
――不意に背後から声が聞こえた。しかし、ウィナが振り返ろうとした瞬間に銃声が鳴り、そのまま右目を撃ち抜かれてしまう。
(なにっ……!?)
何故か射線が見えなかったのだ。ウィナは銃弾を避けることができずに意識を失う。辛うじて左目で相手の姿を確認したが、漆黒のガナス・スーツを着ているのが見えただけで、男か女なのかも分からない。侵入されることのない戦場フィールドに異質な存在が一人、倒れ行くウィナを見つめていた。
――そして5分後、ウィナはスタジアムで目を覚ました。急いでカプセルポッドから出ると、ゲルファスと無線を使って会話を試みた。
「ゲルファス、アタイをウルフレイジ・レジェンズに戻しな! あいつの正体を確かめてやる」
「……残念ながらそれはできん」
「なんで?」
「もうさっきのマップは消滅している。今から飛んでもヤツを捕まえることは不可能だろう。それに、運営から親善試合中止の申し入れがあった。今日はこれで終わりだ、ウィナ」
「冗談じゃない! あいつはいとも簡単に、このアタイに銃弾をぶち込んだんだよ。それが何を意味しているのか分かってんの?」
「命中率が90%を超えている……」
「そうだよ、軍にとっては脅威の存在なんだ。捕まえないと多くの死者が出るかもしれない」
「……とりあえず冷静になってプレイルームに戻って来い。話はそれからだ」
「ちくしょう!」
ウィナはカプセルポッドの外壁を思い切り殴った。外側を覆うガラスの一部がヒビ割れ、映っていたウィナの顔に深い亀裂が入った。
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