ノースウッドの電子脳

はじめに

ADAMSのセラピスト

私の名前はアルバート・ファーマン。
最初に皆さんへ説明しておきたいことがある。

我々の時代には精巧な人造人間が作られ続け、人々の生活を支える欠かせない存在として社会に溶け込んでいた。
人造人間、アンドロイド、オートマタ……呼び名は時代によって多様に変化してきたが、現代における一般的な製品名は『ADAMS』としている。
そのADAMSだが、搭載する人工知能も人間の能力を上回る性能を誇っており、時には精神を病む（……と、人間が誤解する）ほど複雑にプログラム構成されている。
私は20年前からADAMS専門のセラピストとして携わり、長年に渡って質の高いカウンセリングを行ってきた。

私のカウンセリングの特徴は、ADAMSに創作した物語を語らせることだ。
物語の創作はADAMSの深層心理に迫ることができ、何を考えているか、何を悩んでいるか、何を心の中で叫んでいるかなどを読み取ることができる。
今日、依頼してきたクライアントも、最近のADAMSの仕事ぶりに緻密さが失われたと不安を覚えたらしく、私のオフィスの門を叩いたとのこと。

……さて、前置きはこのくらいにしておこう。
宣伝も兼ねて、私のカウンセリング内容をここに掲載しておく。

【依頼主について】

クライアントの名前：ジム・カーライル

ADAMS ID：24558724 JIMCADA
ADAMSの愛称および呼び名：アシュリー・カーライル
ADAMSが携わる職業：家事、育児などのサポート

ADAMSが創作した物語のタイトル：レイニーシティ