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第4章 聖王都エルフェル・ブルグ

79話 魔族への対抗策

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「バークライスさんと顔見知りなのは?」
「彼は、さっき話した旅仲間の末裔。裏事情を多少なりとも知っているから、対魔族の第一人者やってんだ」

 食後のコーヒーを飲みながら、オレはとりあえず聞ける範囲で疑問に思っていた事を、矢継ぎ早に質問する。
 魔王様の方は、特に隠し立てする必要もないと言わんばかりに、1つ1つ答えてくれた。

 ぶっちゃけ、椀飯振舞も良いレベルの会話内容だ。

「なるほどね……こうなると、魔王様が魔王になった経緯も本格的に聞きたいんだけど」
「ヒロト兄ちゃん、俺の話は『君が元の世界に帰る』と言う点では、全くの不要なことであり、いらない知識を累積している暇があるならば、受験勉強やった方が建設的だと思うけど。油断してると、センター試験で碌な点数取れなくて、一般入試で多大なハンデを持つことになるよ」

「あ、それ、今は別の名称になっている。大学入学共通テストってやつに」
「は? セ試って名称じゃなくなったの!?」

「うん。2020年まではそれだったんだけど、以降はその名称になったんだ」
「うーわー、ジェネレーションギャップ……さらば、センター試験。苦労させられた記憶しかないお前の事は忘れな……いや、5秒後に忘れるわ」

 ノリの良い魔王様だ……
 少なくとも大学生までは元の世界に居たってことだな、この内容だと。

 それよりも、魔王様にまで『良いから受験勉強優先しろ、帰ったら困るのお前』みたいなこと諭されるのは想定外だったよ。

 サディエルたちと比較したら、そりゃオレの世界での大学入試云々の重要性を理解しているから、重みが段違いではあるけど、複雑だ。

 いや、もっとツッコミどころが。
 自分の過去話を語りたくないからって、さっきまで、それこそいらない情報喋ってたのに、どう言う切り返しだよ……

「しかし、半年内に帰るってのも、それが理由だったのか」
「そういうこと。本当にギリギリラインが半年内で……それ以上になったら、大学入学共通テストを受けられないからさ」

「せめて1年前か、1年後だったら、もうちょっと気楽だっただろうに……ご愁傷さま」

 召喚されたタイミングに関してだけは、本当にどうにかして欲しかったよな、今更ながら。
 ただ、それを言ってしまうと、サディエルがまーたへこみそうだから、心の内だけに留めておくことにする。

「さってと、そろそろいい時間かな? 魔術省の特別入院室までエスコートするよ。サディエル君や、気難し屋軍師の一番弟子アルムが心配してるだろうし」
「え? ここで解散でも大丈夫だけど……」

「約束事は守らないとね。あの新人の倒し方を伝えないと」

 あ、そうだった。

 オレと会話したいからって、魔王カイレスティンが交換条件で出したやつ。
 律儀に守ってくれる気なんだな。

「それに、あいつを転移用の魔力に使って良いかの返答もついでにしたかったからね。ミルフェリア、そろそろ行こうか」
「あら、お話はもうよろしいので?」
「あぁ、大丈夫だ。次は魔術省の特別入院室へ行こう」
「わかりました、お供致します」

 そこまで言うと、急に周囲の音が戻って来た。
 魔王カイレスティンが、防音効果の結界を解除したってことになるかな。

 先に歩き出した2人に、オレとリレルは少し離れて着いていく。

「リレル、そっちはミリィちゃんとどんな話を?」
「……驚かないでくださいよ」

 驚かないでって、どんな内容でもオレが魔王カイレスティンから聞いた内容と比べれば、さほど……

「恋バナです」

 ………ん?

 恋バナ、恋に関するお話、ラブロマンス、恋愛…‥色々な単語になるわけだけど。
 えーっと? それを、ミリィちゃんこと、ミルフェリアさんから聞いた?

「恋バナ!?」
「はい、あの方々の馴れ初めと言いますか、ものすっごい純愛ラブストーリーでした……!」

 リレルは両手を合わせて、口を押えながら、うっとりした表情を浮かべる。
 あ、これ、姉ちゃんとかが時々、少女漫画見てて『あー……てぇてぇ……超てぇてぇ……』とか言ってる時の感じだ。
 なお、ノーマルラブだけじゃなくガールズラブまたはボーイズラブでも可。

 姉ちゃんそのあたり、見境ないっつーか無節操だったからな……って、今はそんなこと考えている場合じゃなかった。

「不老不死の異界から来た青年と、かつての旅仲間の子孫である令嬢との道ならぬ恋……! はぁぁ……素晴らしいです!」

 めっちゃ目をキラキラさせて、まるで童心に返ったように力説されてしまう。
 あれ? 旅仲間の子孫?

 と言う事は、ミルフェリアさんと魔王カイレスティンの年の差って……

「まさか、カイン君はロ……」
「ヒロト兄ちゃんー? それ以上何か言ったら、お口をチャックさせるよ?……物理的に」

 やべ、聞こえていた。
 オレは慌てて、自分自身の口を右手で覆う。
 触らぬ神ならぬ、触らぬ魔王様に祟りなしだ。

 つか、最後の『物理的に』の部分だけを、子供らしさを完全になくした、魔王様ボイスで言うのはやめて、心臓に悪い!

「……リレル、今度で良いから、聞いた内容教えてくれる?」
「分かりました」

 こそこそと、小声でオレはリレルとそんな約束を交わす。
 よっしゃ、2人の恋バナゲットだ。

「それにしても、こうやって落ち着いて話をしてみますと……変わっておりますね。ヒロトの所で勧善懲悪ではないこともある、と言う理由が少し分かった気がします」
「相変わらず、対魔族限定だけどね」

 魔王様に関しては、オレと同じ異世界人だしな。
 センター試験で反応した所を見る限りは日本人の可能性が、より高まったわけだし。

 となれば、オレの中にあるファンタジーの "お決まり" が通じてきたのも、ある種納得と言うか。

 彼もオレと同じように、"お決まり" を元にあれこれやってたって考えれば、ね。

「何事も、結果に対する原因がある……か」

 エルフェル・ブルグに到着してから、本当に一気に色々なことが分かったよな。
 旅立った当初、情報収集よりも生き抜くこと、死なないことが最優先! って言っていたサディエルが、ここまでを予想していたかは分からないけど……

 って、あれ?

 オレとサディエルは、"同じ魂を持つ人間同士" だって話だけど……
 この場合って、オレから見たら、サディエルは前世か来世のどっちかの姿、と言う事になるよな。

 サディエルがオレの前世だった場合、この世界に転移した時点でオレは『懐かしい』みたいな感覚があってしかるべきだ。
 となると、サディエルがオレの来世の姿……ある種、異世界転生みたいな立ち位置だった場合、もしかして記憶があるのでは?

 ほら、異世界転生と言えば記憶保持がテンプレ中のテンプレなわけだし!

========================

「仮に俺がヒロトの来世で、記憶があると仮定してだ。何が悲しくてガランドから痣受けて、あれこれ不安な日々を2か月も送らにゃならん! もっと効率よく動くに決まっているだろ!? 元に世界に戻る方法だって、あんなことに巻き込まれなくても探せるし!」

「……うん、そうだよね。ごめんなさい」

 魔術省の特別入院室、つまりはサディエルが入院している病室。
 そこで、サディエルは涙目になりながら絶叫した。

 原因は、オレなんだけどさ。

 やっぱり、対魔族以外はトンとオレの世界の "テンプレ" が通用しないよね。

「ヒロトの来世がサディエルで記憶が有る場合……僕らは結構絶望するぞ。ヒロトがこの後どんな人生歩んだ結果、こんなお人よし大魔神が爆誕するんだ」
「むしろ、サディエルの来世がヒロト、の方がしっくりくると思いますよ。なので、お願いですから、サディエルの背中のみを見て元の世界に帰ることだけは、やめてくださいね?」

「……ヒロト、俺にかなりの流れ弾が来ているんだが? ついでに、これがお前の来世と考えてみろ。俺だったら泣く」

「だからごめんってサディエル!」

 オレの言葉で、あっという間にカオスった病室内。
 そんなオレたちのやり取りを、カイン君とミリィちゃんは笑いながら観覧している。

 いいなぁ、その観覧席……オレもそっち行きたいけど、今回のカオスの元凶が自分自身だから行けない。

「ははははっ、楽しいね君たちは」
「はい、とても仲の良い方々で」

 欠片も笑いごとじゃないんだけどね。

 けど、冷静に考えてサディエルに記憶があるって線はそもそも薄いよな。
 出会った当初こそ、あれこれテンプレな光属性主人公行動ー! とか思っていたけど、あれは完全に素だったわけだし。
 こんなサディエルの姿を見て、少なくともこんな未来になりたいか? と聞かれたら……うん、笑顔でNOだな。

 ガランドからあれこれ狙われるって点を除外したとしても、オレはここまでお人よしな人間になれる自信がない!

「さてと、君たちが仲良しなのは分かったから、一旦こっちの話を聞いてくれる?」

 パンパン、と手を叩いて注目! と言わんばかりにカイン君、いや、魔王カイレスティンが言った。
 真剣な話になるからだろうか、姿も本来の魔王様……の、私服バージョンになっている。
 隣にいるミリィちゃんこと、ミルフェリアさんも同じように本来の姿だ。

 そうだった、本題はオレとサディエル、どっちが来世で前世って話じゃないんだった。

「では用件を2点伝えるよ。まず1つ目、あの新人をヒロト兄ちゃんが元の世界に戻る為の魔力に使っていいか、だけど、無事に大義名分を得ることが出来たから、問題なしだ」

 大義名分?

 って、サディエルを助けに行く時も同じようなこと言っていたよなな。
 建前と大義名分は必要、とかなんとか。

「それはどういう……?」
「簡単なことだ。痣の件や、顔がない件は、あと数百年は秘匿にする予定だったとはいえ、いずれはバラす内容だったからね。通常であれば、あの2人は少し反省を促した後はお咎めなしになるはずだったんだよ」

 お咎めなし!?
 結構重大なことバラしたけど、お咎めなし!?

 いや、数百年後とは言え、暴露する気だったってことなら、ちょっと予定が早まっただけって感覚なのか。

「そんなちょっと反省させてお咎めなし、な連中に理由なく消滅レベルの罰を与えると、他の配下たちが黙っていないんだ。つまりは独裁者、暴君みたいな?」
「組織のトップらしい悩みだな。個人同士のやり取りと違って、組織単位だとその辺りを軽視した所から潰れるもんだ」

「さすが、気難し屋軍師の一番弟子アルム。その辺りの理解が早くて助かる」

 あー、つまりはアレか。
 意味なくというか、根拠なく主人公を断罪したりとか、追放したりとか、そう言う展開において、色々ガバってる王族や冒険者仲間たちが、それと。

「だから、サディエルを助けに行った時に、わざと攻撃されたってこと?」
「そういうこと。俺を魔王だと見抜けずに殺そうとした、つまりは、"反逆の意図あり" と証明されて、その一環として本来はまだ秘匿にすべき情報を人間側に間接的に通知した、と言う形で大義名分を、ね」

 うわぁ、ひどい罠もあったもんだ。
 そして、あのローブを着た魔族は見事に引っかかって、魔王様の逆鱗と言う予定調和で消滅させられた、ってわけか。

「新人君もそれに "共謀" していると言う証明も無事されたから、消滅させて良し! ということになった。本来であれば、俺がさっさと見つけて滅すればいいわけだが……」

「オレがガランドの魔力を使いたいって、お願いしたから、その辺りの調整も必須になったとか?」
「その通り。さて、そこで2つ目、どうやってあの新人を倒す……ひいては、魔力として使うのか」

 ここが一番重要だよな。
 これが出来ないと、そもそも目標達成が出来ないわけだし。

「まず、魔族の特徴を軽く。あいつらは、俺が作った "魔力の核" を元に構成されている。その核を使えば魔力に関しては事足りるだろう。ただ1つ問題があり、この核を壊さない限り、魔族は不滅なわけだが、本気で危なくなったら核はさっさと精神世界に逃げて、存在遮断を行い回復を待つんだ」

「存在遮断?」
「本来、人間にここまで追い詰められる、ということは想定していない。むしろ、魔族同士の小競り合いで命を落とす方が多いんだ。小競り合いで負けた側は完全消滅を避ける為に、存在遮断をして自身の身を守るんだ」

 あー、つまり魔王様がガランドを見つけられない、って言ってたのって。

「自分自身が魔族に付与した能力のせいで、見つけられないと」
「はっはっは! 普段は人間相手に本気になりすぎても困るから、人間に本気出したら弱体化ルールとか色々つけている分、それぐらいは優遇させようと思って付けた能力だったんだけどな」

 なんつーか、今回はいくら特殊例だったことを加味しても、墓穴掘った感が凄い。

「そうそう、俺とミルフェリアは正確には不老不死の人間って立場だから、配下の魔族たちにある慢心ルールは適用されないのであしからず」

 あ、ハイ。わかりました。
 と言うか、今までこの世界の勇者様たちが、魔王様を討伐出来なかったのって……その慢心ルールが通用しない故に、全力でやり返してこられた結果、きっちり全滅していたからってことだよな。

 あっぶな、仮にオレが魔王様討伐! なんて目標掲げていたら、最後の最後で詰んでたってオチが待ってたのか。

 本当にサディエルたちには感謝してもしたりないな。

「今の話からすると、ガランド戦で重要なのは、存在遮断に至る程のダメージを与えずに、魔力の核を奪わないといけないってことだな」

 魔王様の話を聞いて、考え込んでいたサディエルが言葉を紡ぐ。
 あぁ、そうか。存在遮断をされたら、オレたちも当然どこにいるか分からなくなるわけだから、あいつを魔力利用することが不可能になるわけか。

「存在遮断をする前に、やつの核を手に入れる……か。予想通り、1手間どころか2手間も3手間も増えているな。こりゃ作戦立案が難しいぞ」

 頭を抱えながら、アルムはヤケクソ気味に言う。
 こうなってくると、ただ単純に消滅させる方が何倍も楽だよな。

「それで魔王さん。その手立てについて、もちろん提供頂けるんですよね?」

 リレルはにっこりと微笑みながら、魔王様にそう問いかける。
 その言葉を聞いて、魔王カイレスティンは『もちろん』と頷く。

「全員、武器を出してくれる? メイン武器でね」

 いきなり武器を、と言われてオレたちは首を傾げる。
 けれども魔王様は、早く早くと急かすのみ。

 仕方なく、オレとサディエルは剣を、アルムは弓、リレルは槍を見せる。

「そのまま持っていてね。今話していた手立てを "付与" するから」

 そう言うと、バチンと彼は指を鳴らす。
 同時に、オレたちの武器が一瞬だけ光、そのまま元の状態に戻った。

「ヒロト兄ちゃんは1度見ているだろうけど、俺の魔力をそれぞれの武器に付与した。これを使えば、あの新人にダメージを与えつつ、逃げられないようにすることも出来る」
「あぁ、サディエルを助けに行った時に、オレの剣に "付与" したって言ってたアレか」

「そう言う事、効果は魔族1体分を討伐するまでだから、間違ってもあの新人以外にそれを使わないように。1体討伐したら、どの武器で実施したかは問わず、全ての武器から効力が消滅するようになっているから」

 そりゃそうか。
 けど、これでガランドを何とか出来るならば問題ないかな。

 って、ちょっと待った。今のままじゃ少しまずい。

「魔王様、1つ相談なんだけど。魔物を討伐したつもりで実は魔族でしたって場合に、意図せず効果が消失したら困ります!」
「ヒロト兄ちゃん、だいぶ低い可能性にツッコミ入れるね……」
「アルムの戦術論の賜物なのと、そう言う展開もなくはないからさ、オレらの世界だと」

 主人公側を苦戦させたいから、実は効果消えてましたー! みたいな展開が発生する可能性はかなりある。
 対魔族限定で考えれば、この点は押さえておいた方が絶対にいい。

 どんどんテンプレ思考で行くからな、ガランドに対してだけは!

「うーん、それもそうだよな。わかった、それじゃあ不用意に効果を出さないようにしようか。えーと、あーして、こうして、この術式をこうやってっと……よし!」

 あれこれと空中で何かを描いている動きをしていたが、結論に至ったらしく、再び指をパチンと鳴らす。
 すると、オレたちの武器が青く光り、先ほど同様にすぐに元に戻った。

「ヒロト兄ちゃん、剣を持って "解放せよ!" って唱えて」
「うーわー、分かりやすい言葉」
「その方がいいでしょ。ほらほら、早く!」

 そう急かされて、オレは自分の剣を手に取って構える。

「……"解放せよ!"」

 そう宣言すると、オレの剣が青く光り始める。
 うわっ、びっくりした。

「使わない場合は、"沈黙せよ" で」
「……"沈黙せよ!"」

 オレの言葉に反応し、剣から光が消え去る。

「おぉ、凄い」
「それから、核を手に入れる時は武器を当てた上で、"束縛せよ" って言えば大丈夫だから」

 解放せよ、沈黙せよ、束縛せよ、っと。
 うん、この3つを覚えておけば良いってのは分かりやすくて助かる。

「ありがとう、魔王様……ううん、カイン君」
「やっとそっちで呼んでくれた。どういたしまして、ヒロト兄ちゃん」
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