人生を斜交いに生きた男 実話

人生を斜交いに生きた男 実話 １１

一通りの行事が終わるとシスターが１番年下の子供から順番に名前を呼んでプレゼントを渡していくのだが、中には包装紙を丁寧に剥がす子やピリッと乱暴に破る子。私は前者の方でそれを大事に取って本のカバーに使用したりしていた。
　で、開けてみてガッカリや喜んだりと、、、他の子供のと交換したりするとシスターが厳しく叱っていたが、隠れて適当にやっていた。大方はオモチャ、お菓子、文房具が多かった。
　それと毎年の行事になっている、神戸で有名なドイツパン屋さんが祖父の遺言書に従い大きなお菓子で出来たケーキの家を、２階建てになっていて骨組みだけは木材だが、後はスポンジ、チョコレート、バタークリーム、飴、ビスケット、クッキー、マシュマロ等々で作られている。約８０人分位はゆうに食べられる大きさだ。２週間位のおやつに十分な量になる。

　又、此処は神戸港が有るので、たまにだが米軍の駆逐艦、航空母艦が寄港した時は此処の施設の子供達が優先的に内部見学が出来たのだ。シスターが米国籍だからか⁉️
　船内は大きくて広々として、入船の入口では大きな水平さん達がお菓子を手で掴みなさいとジェスチャーしてくれるが、子供達は不慣れと遠慮深いので水平さんが大きな手で鷲掴みして強引にポケットに入れてくれたのが嬉しくて、、、戦闘機やヘリコプターを見るよりもお菓子とかに強く惹かれたのと、学校以外に外に出られないので、電車とか外気の空気感が新鮮で遠足気分にウキウキしたものだ。又、日曜日には水平さんが礼拝に来てお昼を一緒に食べたり。こういう時は特別な日なので庭や運動場で食べるので、いつもよりは開放感が有り、デザートに串に刺されたマシュマロを軽く炙って食べた時は本当に舌がトロけるのではと、初めての体験で凄く感動したのを覚えている。
　それともう一つの楽しみは、里親制度があって子供のいない一般家庭に１日里子として１泊２日でその家庭に行き遊園地や、映画、外食したりで日常と違った生活感にワクワクしたものだ。家庭の味を少しでも体験してもらうのが主旨だが、これが縁になって本当に養子縁組が２組成立したり。１年で２回程相手の都合に合わせて体現ができたのだ。普段食べた事がない物が食べられたりで、然し余り素行の悪い子供は除外された。　　続く