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〜第二章〜 ギルド冒険者編

王女様の護衛をする事になりました⑫

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 二人の決闘が終わった後、あそこまで豪語していたキースは、負けた事で学校に居られなくなり、街に来ていた。

「クソが!」

 キースは近くの壁を思い切り叩き、怒りを露わにしていた。絶対に勝てると思っていて喧嘩をふっかけたのに、あんなにもあっさり負けた事がものすごく悔しかった。

「なぜ天才であるこの俺が負けたんだ・・・・・・。ありえない、絶対にありえない!」

 キースは負けたがまだ諦めきれなかった。今まで天才と呼ばれ続け、この国の子供の中では常にトップに君臨し続けていた。
 もしも今回の戦いで他の子供に負けたと噂が広がれば、今までの地位も名誉も全て消えてしまう。そんな恐怖が今のキースには付き纏っていた。

「知ってるか?あのキースが四つも下の後輩に負けたらしいぞ」

「え、マジかよ。キースってあの最年少でBランク冒険者になったってやつだろ?案外大した事無かったんだな」

「それにあいつ他の子供を見下す癖があるからな。いいざまだよ」

 だがもう既にキースの噂は広がり始めていた。
 どこもかしこも今ではキースが負けたと言う噂だらけ、キースは街を歩くたびに周りからクスクスと笑われていた。

「あいつの所為だ。あいつの所為で俺の人生が狂わされた・・・・・・」

 キースの中で押さえていた感情が、沸々と湧き上がってくる。

「・・・・・・ぶっ殺してやる。殺してあいつの大切なもんを全て俺が奪ってやる」

 今のキースにあったのはカインに対するものすごい憎悪と憎しみ。その憎悪と憎しみが今のキースを作り上げていた。

「まずはあいつを探しに行かないと」

 キースは復讐心を燃やしながらカインを見つけるため街の中を散策し始める。

「じゃあ俺とユリアはこっちだから」

 キースがカインを探している頃、カインはみんなと別れてユリアと家に帰る道を辿っていた。
 本当ならばセレスティーナを家までに送らなければいけないのだが、今日はリアムが自分で家に連れて帰ると言っていたので仕事が無くなったのだった。

「・・・・・・お兄様、キースがこのまま引き下がるでしょうか?」

「どう言う意味だ?」

 俺はユリアの考えがうまく汲み取れず、どう言う事か聞いてみる。

「私、あのプライドの高いキースがお兄様に負けた事に腹を立てて復讐を考えているのでは無いかと思いまして・・・・・・」

 ユリアの考えはしっかりと的を得ていた。普通に考えてキースのあの性格では復讐などを考えそうなものである。

「まぁ、確かにユリアの言う通りかも知れないな・・・・・・」

 たしかにユリアの言っている事はキースなら本当にありそうな話だ。一応ユリアの意見も参考にして、家に帰るときは警戒しなければ。

「・・・・・・見つけたぞ!カイン!」

 運悪くたった今警戒して帰ろうとしていたのに見つかってしまう。

「はぁ・・・・・・。もう見つかんのかよ」

 面倒だと思いながらもキースの方を振り向くと、顔は怒りに満ちており、周りを歩く歩行者はキースから遠ざかって歩いていた。

「死ね!インフィニティブレード!」

 キースはカインを見つけた途端、剣を抜き取りインフィニティブレードの構えに入る。
 その構えには躊躇は無く、俺どころか周りの人も引き込もうとしているのが分かる。

「おいキース!ここは街中だぞ!周りには大勢の人が!」

「うるせぇ!そんな事どうでも良いんだよ!周りの人間ごとお前を木端微塵にしてやるよ!」

 今のキースは頭に血が上りすぎて、何を言っても聞き入れてくれる状態では無かった。

「喰らえ!」

 キースは躊躇無くインフィニティブレードを発動させる。

「ユリア」

「はい。お兄様」

 ユリアは魔法を詠唱し、シールドでキースのインフィニティブレードを完璧に止める。俺が戦ってもいいが、そうすると被害がもっと大きくなってしまう。
 だがユリアは俺が持っていないシールドの魔法で被害を最小限に抑えることができる。

「バカな!?」

 キースはカインでは無くその更に年下のユリアにまで自分の剣術が止められた事に驚く。

「終わりだよ」

 俺は無防備な状態のキースに一瞬で詰め寄ると、腹を思い切り蹴り飛ばす。蹴り飛ばされたキースはものすごい勢いで壁に打たれ、その場で気絶してしまう。

「後はここの兵士がなんとかしてくれるだろ」

「そうですね」

 俺は気絶したキースを後にして、その場から去っていく。
 その後、キースの行った行為は問題となって、ギルドカードの剥奪と、今後冒険者としての活動を一時停止になるのと、三ヶ月の停学になった。



 



 



 


 
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