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〜第二章〜 ギルド冒険者編

俺の新しい家庭教師への道が開きました⑧

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 ティアナをなんとか落ち着かせ、俺達は今後の計画を立てていた。
 エリーゼの情報によると、この事件の首謀者はアドニスと言う男で、誘拐はもちろん、暗殺、人身売買、国家との裏取引など、様々な犯罪に手を染めている極悪人であり、魔族との関係もある極めて珍しい犯罪者だった。

「この資料の通り、アドニスはとても用心深く、慎重で表に姿を表す事はほとんどありません。住処も転々としていて決まった場所は無いです」

「探すのに手間が掛かりそうですね」

 これは思っていた以上に手が掛かりそうな事件だ。人間を捕まえるなんて人生で初めての事だし、モンスターみたいに自分から出てきてくれるわけでもない。これは骨が折れそうだ。

「やはり、一番簡単なのは相手の部下を捕まえて尋問ですが、そう簡単に捕まるとも思えない。どうするのが正解でしょう・・・・・・」

 エリーゼは眉間にシワを寄せ考える。

「なら俺を囮にするなんてどうですかね。俺は子供だし、相手からすると捕まえたくなるはず、だからそこを逆に捕まえるというのはどうでしょう?」

「それはダメです!まだ相手の戦力も分かっていないのに危険過ぎます!」

 自分の考えれる一番手っ取り早くて簡単な意見を出してみたがスッパリとエリーゼに反対される。
 エリーゼは俺に対して結構過保護な気がする。
 正直俺自身、戦闘には結構な自信がある。大人の一人や二人程度造作もない。

「大丈夫です。俺ならなんとか出来ます」

「しかし・・・・・・」

「エリーゼさん。カイン君を信じてみませんか?」

 ティアナも俺の背中を押すように、エリーゼに訴えかける。

「どっちみちこのままじゃ何も出来ない。今これが俺達の打てる最善の手だと思います」

「・・・・・・分かりました。ならその手で行きましょう」

 エリーゼもカインとティアナの本気で訴えかける姿を見て折れるしか無く、渋々賛成する。

「私はティアナを一人するわけにはいかないからここに残ります。もしも危ないと判断したらすぐさま逃げて下さい」

「了解」

 作戦も決まった事で、次は実行に移す。
 俺は家を出て、人気が無く、子供が捕まっても誰も気付かなそうな暗い路地をただひたすら歩く。

 同時刻、イシュタルがカインを探している頃、部下からの情報が入り、路地に子供が歩いていると言う情報を手に入れる。

(・・・・・・あっちよりも先にこっちを捕まえるか)

 イシュタルは部下の情報を頼りに、子供がいる路地まで入っていく。

(・・・・・・誰かに監視されているな)

 カインはイシュタルの部下の監視に気付くが、堂々と道を歩き続ける。
 そして、行き止まりにぶつかった時だった。

「出て来いよ。ストーカー共」

 するとカインの言葉に釣られ、イシュタル含む計五人の敵が姿を現す。

「今日の私は運が良い。まさかあの時の子供に出会えるとは」

 イシュタルはカインを見つけれた事が嬉しいのか、不気味な笑みを浮かべる。

「誰だあんた」

「俺の名はイシュタル。アドニス様の右腕さ」

 カインは感じていた。この目の前に立っているイシュタルから強者の風格が漂っている事に。

「前回は俺の任務の邪魔をしてくれたな。その所為でアドニス様に恥を晒す事になって俺は少々イライラしてるんだ」

「ただ捕まえるだけじゃ気がすまねぇ。少し痛ぶってから捕まえてやるよ」

 イシュタルは剣を抜き、一歩一歩と詰め寄る。
 そしてカインも剣を抜き取り、お互いに間合いを取りつつ様子を伺う。

「こっちは五人、行かせてもらうぞ!」

「来い!」

 先に動いたイシュタルとそれを防ぐカインの剣がぶつかり合うのと同時に、戦闘が始まった。

 





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