現世で平凡だった俺が異世界転生したら平凡じゃない新たな人生が始まりました。

〜第一章〜 異世界転生編

俺の新しい異世界生活がしっかりと始まりました⑪

　よし、ここはやっぱり俺らも自己紹介をするべきであると思った。という事で、考えたら次は行動に移す事にした。

「初めまして、俺はカイン六歳。こっちは妹のユリア五歳だ」

　これで掴みは完璧のはず。俺も実際こんな自己紹介を今までした事が無かったので、内心はとてもヒヤヒヤしている。
　出来ればこのまま普通の終わらせたいがどうだろか。

「は、はは、初めまして！ぼ、僕はセ、セシルと言います！」

「･･････アリスです」

　セシルはなんと言うか予想通りでさっきの自己紹介の様にガタガタしている。アリスはさっきの自己紹介に比べて、あまり元気が無いと言うか、静かだ。

　それでもとても静かな自己紹介は出来た。確かに自己紹介は出来た。が、ここまで空気が悪い自己紹介があっただろうか。いや、普通無い。今俺は、セシルの様に足がガタガタして冷や汗も出て逃げ出したい気分だ。

「と、とりあえず二人は何かした事はあるかな？」

「俺はなんでもいいよ。二人がしたいのなら何でも、ね」

　俺は一応ここの中では年長者なので、それっぽく笑顔で仕切って見る事にする。

「何？あんた自分が年上だからって仕切ってんじゃ無いわよ。私、自分が上だからって仕切ってくる奴嫌いなのよね」

　さっきまで静かだったアリスからトゲのある言葉をぶつけられる。

(えーっ！なんか怒ってらっしゃる！？)

　これが四歳児の発言だと思うと背筋がゾッとしてしまう。自分はしっかりと出来ていたと思っていたのに怒られると、結構落ち込むもんだ。
　お腹もストレスで何だかキリキリするし、誰か俺に胃薬を渡して欲しい。

「セシル、もう部屋に戻りましょ」

　アリアがセシルの腕を掴んで、部屋に戻ろうとした時だった。

「アリスって言ったかしら？あなたとお兄様の会話を黙って聞いておけば！せっかく私の優しいお兄様が誘っていると言うのに何よその態度！」

(なんかユリアが怖いんですけど！助けてお母さん！)

　堪忍袋が爆発したユリアがとうとう本気で怒ってしまう。俺もユリアが本気で怒ったとこを見るのは初めてで、隣で見ている俺はあまりの怖さにユリアが般若はんにゃのお面をしている様に見えてしまった。

「落ち着けユリア！俺は別に・・・」

「お兄様は黙って下さい！これは私の問題です！」

　ユリアを宥めるようとしたが、もう時すでに遅し、怒りがピークに達したユリアはもう俺でも止める事は出来なかった。

「何あんた、確か・・・ユ、ユルカだっけ？」

「違います！ユリアです！そんな緩そうな名前ではありません！第一、名前も覚えられないのですか？」

「言うねぇ、あんた」

　ユリアとアリスが目線を合わせると、バチバチと火花が飛び交う。そう、まさに今、地獄の様な光景が写っていた。

(これ、大丈夫かなぁ？)

　俺はそんな光景を、セシルと一緒にビクビクしながら見ることとなった。