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8.グッジョブだよ〜!
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それから、ばーちゃんが僕にペンダントを作ってくれた。まあ、普通のペンダントじゃないよね。
「ばーちゃん、これ何?」
――バシッ!
「だから、痛いよ!」
また叩かれちゃったよ。直ぐに手が出るんだから。僕の背中がヤバイじゃん。まあ、絶対に首から上は叩かないし本気じゃないんだけどね。めちゃいい音を出すからつい『イテッ!』て、言っちゃうんだ。本当は大して痛くない。エヘヘ。
「ばーちゃんじゃないでしょう?」
「はい、お祖母様ッ」
「良し。そのペンダントを肌身離さず身につけておくのよ」
「だから、何?」
「トップの魔石に、精神干渉はもちろん精神異常を完全防御する効果を付与しておいたわ」
「おおー! 完全防御!」
精神異常て、嫌なワードだよぉ。
「聖女候補はおそらく、精神に干渉しているわね。魅了とか、隷属とか自分の思う様に操るスキルよ。まさか、そんな事を堂々とする人間がいるとは思わなかった。油断したわ」
隷属だって!? 超怖い!
「人間て大変だな。俺様はドラゴンだから精神干渉なんて受けないぜ。俺達は精神異常を完全防御するからな」
え、ドラゴンてそうなの? スゴイじゃん。
「テテが言うその聖女候補御一行? その子達はもうかかっているでしょうね。だから、何でも聖女候補に都合の良い様にしか考えないのよ。そうなると、この魔石だと駄目なの。ディスペルじゃないとね」
そっか、普通じゃないんだ。普通に信頼関係を作って、て事じゃないんだ。
ゲームだと好感度をコツコツと上げるけど、そんなんじゃないんだ。反則じゃんか!
「でも、早くディスペルしてあげないと、その子達の精神が崩壊するから」
待て待て、待って! それって、廃人になってしまうと言う事なの?
「これはね、呪いと同じ様なものなの。禁忌ね。禁断の魔術よ。
大司教のいる大聖堂も確認しておきたいわ。ラティに連絡する方が良いわね」
出たよ。ラティは僕の姉だ。最終兵器だ。いや、人間だけど。
「お義母様、お茶になさいませんか?」
母がメイドを連れて入ってきた。
ブランが喜んでフワフワと飛んでいる。
え? ここでお茶すんの? ここ、僕の部屋だよ? 応接室に行こうよ。
「テテ、なぁに?」
「母上、僕の部屋ですけど。」
「まあ、私がテテの部屋に入ると困る事でもあるのかしら? 色々、好奇心の強いお年頃ですものね。男の子ですもの。ウフフ。」
「グフフ」
いや、何言ってんの? ブランも何笑ってんの?
「大丈夫よ。見ちゃいけない物はそのままそっとしておくわ」
「ブヒャヒャヒャ」
いや、違うし。そんなのないし! もういいけどさ。ブランも笑うのやめて。
「そんな事よりお義母様。ラティに連絡しますか?」
「そうね。早い方が良いわ」
「分かりましたわ」
母が目配せをすると、メイドが部屋を出て行った。きっと、姉に連絡するんだ。
うちの身内だけの連絡方法があるんだ。姉はハイスペックだと言ったでしょ? なんと精霊召喚なんて事ができるんだよ。
姉だけが出来る方法で精霊さんに連絡係をしてもらっている。超便利。一瞬で行ってくれるからね。早ければ数分で姉がやってくる筈だよ。
だって嫁入り先が直ぐ近所だもん。きっとダッシュでやって来るよ。嬉しがってさ。
「相変わらず、ラティは規格外だわ」
「ばーちゃんだって規格外じゃん」
「テテもよ。自覚がないの?」
母に言われた。僕は規格外なんかではないよ。領地に引っ込んでいる間、ばーちゃんに叩き込まれた成果だよ。
あれは、シゴキだよ。マジで。小さい頃なんて思わず泣いちゃったもんね。
「ラティは天才、テテは凡才ね。努力の人と言う方が聞こえは良いかしら?」
「まあ! お義母様、お上手ですわ! ウフフ」
「ブヒャヒャヒャ!」
ウフフ、じゃないからね。ブラン、笑ってばかりだね。僕は、大人しくお茶を飲んでいよう。あ、お茶菓子があるじゃん。こ、これは……!
「母上、これアップルですか? それとも、スィートですか?」
「テテ、喜びなさい。両方よ」
「ん? 両方!? 」
ブランがパイに飛びついた。パイを抱えてサクサクと食べている。
「超うめー!! 」
ブラン、ドラゴンらしくないよね。
それより両方てなに? ま、食べてみよう。茶菓子で出てきたパイを口に入れる。
「……!! 」
「ウフフ。ね、両方だったでしょ?」
「母上、これ僕超好きです! ダントツで1番好き!」
本当にアップルとスィートが両方入っていたんだよ!
スィートとは! 僕の大好物のさつまいものペーストだ。スィートポテトとは違うんだよ。もっと滑らかでペースト状なのが好き。大好き。
りんごを砂糖で甘く煮てシナモンをたっぷりかけたのも好き。大好き。
だから、このりんごを甘く煮てシナモンをたっぷりかけたものと、さつまいものペーストを入れたパイは神だよ!
「ウフフ。良かったわ」
「母上が作ったのですか?」
「私は焼いただけよ。中身はお父様が昨夜作ってらしたの。パイ生地はシェフよ」
なんだ。要するに、母は何にもしてないじゃん。どうせ、焼く時だってシェフが焼いているのを座って見ていただけだろうね。
まあ、貴族のしかも公爵夫人だから。普通は厨房にも入らないよね。だが、父よ! グッジョブだよ!!
「まだ、レウスは料理をしているの?」
「ええ。お仕事でも、その聖女候補と大司教様が少し問題になってきているらしいですわ。詳しくは教えてもらえませんけど。ストレスが溜まるそうなんです。夜中に無心で作ってましたわ」
父は、国の特殊情報部隊の長官をしている。王族に付いている影もこの部署らしい。
仕事柄、ストレスが溜まるんだって。そして、ストレス発散の為に父は料理をするんだ。趣味も兼ねているんだろうね。料理の腕はプロ級なんだよ。
父の部署は公にはしていないので、知っている者は限られている。王女のソフィアでさえ詳しくは知らない事なんだよ。
兄が後を継ぐ。僕も手伝いをする事になると思う。代々、王族の誰かが担ってきた役職らしい。
父は王弟なので王位継承権がある。でも、今の王に男の子が産まれて10歳になったのを機に継承権を放棄している。ソフィアの兄さんだよ。王太子殿下だ。
兄も父の後を継ぐのが決まってから放棄した。
俺はまだなんだ。理由は知らないけど、まだ放棄しないらしい。
「大司教が後ろ盾と言う事は、あの大司教が連れて来たの?」
「お義母様、そうですよ。テテが8歳の頃ですわ」
「まず身元を確認したいわね」
「そこは、主人に聞く方が早いと思いますわ」
て、事はあれだね。父もかなり調査をしている、て事だよ。ヤバイじゃん。
そんな人間を、普通に学園に通わせていても大丈夫なの? てか、なんで普通に通ってんの?
「テテの言ってた、聖女候補御一行を作る為でしょうね」
「ええ。しかも、名だたる貴族の子息ばかりですもの」
え? 母も知っていたの?
「テテ、あなたがボーッとしている間に皆情報を集めているのよ。学生とは言っても次世代の国を担う子達だもの」
なるほどね~。情報は大事、て訳だね。
「ばーちゃん、これ何?」
――バシッ!
「だから、痛いよ!」
また叩かれちゃったよ。直ぐに手が出るんだから。僕の背中がヤバイじゃん。まあ、絶対に首から上は叩かないし本気じゃないんだけどね。めちゃいい音を出すからつい『イテッ!』て、言っちゃうんだ。本当は大して痛くない。エヘヘ。
「ばーちゃんじゃないでしょう?」
「はい、お祖母様ッ」
「良し。そのペンダントを肌身離さず身につけておくのよ」
「だから、何?」
「トップの魔石に、精神干渉はもちろん精神異常を完全防御する効果を付与しておいたわ」
「おおー! 完全防御!」
精神異常て、嫌なワードだよぉ。
「聖女候補はおそらく、精神に干渉しているわね。魅了とか、隷属とか自分の思う様に操るスキルよ。まさか、そんな事を堂々とする人間がいるとは思わなかった。油断したわ」
隷属だって!? 超怖い!
「人間て大変だな。俺様はドラゴンだから精神干渉なんて受けないぜ。俺達は精神異常を完全防御するからな」
え、ドラゴンてそうなの? スゴイじゃん。
「テテが言うその聖女候補御一行? その子達はもうかかっているでしょうね。だから、何でも聖女候補に都合の良い様にしか考えないのよ。そうなると、この魔石だと駄目なの。ディスペルじゃないとね」
そっか、普通じゃないんだ。普通に信頼関係を作って、て事じゃないんだ。
ゲームだと好感度をコツコツと上げるけど、そんなんじゃないんだ。反則じゃんか!
「でも、早くディスペルしてあげないと、その子達の精神が崩壊するから」
待て待て、待って! それって、廃人になってしまうと言う事なの?
「これはね、呪いと同じ様なものなの。禁忌ね。禁断の魔術よ。
大司教のいる大聖堂も確認しておきたいわ。ラティに連絡する方が良いわね」
出たよ。ラティは僕の姉だ。最終兵器だ。いや、人間だけど。
「お義母様、お茶になさいませんか?」
母がメイドを連れて入ってきた。
ブランが喜んでフワフワと飛んでいる。
え? ここでお茶すんの? ここ、僕の部屋だよ? 応接室に行こうよ。
「テテ、なぁに?」
「母上、僕の部屋ですけど。」
「まあ、私がテテの部屋に入ると困る事でもあるのかしら? 色々、好奇心の強いお年頃ですものね。男の子ですもの。ウフフ。」
「グフフ」
いや、何言ってんの? ブランも何笑ってんの?
「大丈夫よ。見ちゃいけない物はそのままそっとしておくわ」
「ブヒャヒャヒャ」
いや、違うし。そんなのないし! もういいけどさ。ブランも笑うのやめて。
「そんな事よりお義母様。ラティに連絡しますか?」
「そうね。早い方が良いわ」
「分かりましたわ」
母が目配せをすると、メイドが部屋を出て行った。きっと、姉に連絡するんだ。
うちの身内だけの連絡方法があるんだ。姉はハイスペックだと言ったでしょ? なんと精霊召喚なんて事ができるんだよ。
姉だけが出来る方法で精霊さんに連絡係をしてもらっている。超便利。一瞬で行ってくれるからね。早ければ数分で姉がやってくる筈だよ。
だって嫁入り先が直ぐ近所だもん。きっとダッシュでやって来るよ。嬉しがってさ。
「相変わらず、ラティは規格外だわ」
「ばーちゃんだって規格外じゃん」
「テテもよ。自覚がないの?」
母に言われた。僕は規格外なんかではないよ。領地に引っ込んでいる間、ばーちゃんに叩き込まれた成果だよ。
あれは、シゴキだよ。マジで。小さい頃なんて思わず泣いちゃったもんね。
「ラティは天才、テテは凡才ね。努力の人と言う方が聞こえは良いかしら?」
「まあ! お義母様、お上手ですわ! ウフフ」
「ブヒャヒャヒャ!」
ウフフ、じゃないからね。ブラン、笑ってばかりだね。僕は、大人しくお茶を飲んでいよう。あ、お茶菓子があるじゃん。こ、これは……!
「母上、これアップルですか? それとも、スィートですか?」
「テテ、喜びなさい。両方よ」
「ん? 両方!? 」
ブランがパイに飛びついた。パイを抱えてサクサクと食べている。
「超うめー!! 」
ブラン、ドラゴンらしくないよね。
それより両方てなに? ま、食べてみよう。茶菓子で出てきたパイを口に入れる。
「……!! 」
「ウフフ。ね、両方だったでしょ?」
「母上、これ僕超好きです! ダントツで1番好き!」
本当にアップルとスィートが両方入っていたんだよ!
スィートとは! 僕の大好物のさつまいものペーストだ。スィートポテトとは違うんだよ。もっと滑らかでペースト状なのが好き。大好き。
りんごを砂糖で甘く煮てシナモンをたっぷりかけたのも好き。大好き。
だから、このりんごを甘く煮てシナモンをたっぷりかけたものと、さつまいものペーストを入れたパイは神だよ!
「ウフフ。良かったわ」
「母上が作ったのですか?」
「私は焼いただけよ。中身はお父様が昨夜作ってらしたの。パイ生地はシェフよ」
なんだ。要するに、母は何にもしてないじゃん。どうせ、焼く時だってシェフが焼いているのを座って見ていただけだろうね。
まあ、貴族のしかも公爵夫人だから。普通は厨房にも入らないよね。だが、父よ! グッジョブだよ!!
「まだ、レウスは料理をしているの?」
「ええ。お仕事でも、その聖女候補と大司教様が少し問題になってきているらしいですわ。詳しくは教えてもらえませんけど。ストレスが溜まるそうなんです。夜中に無心で作ってましたわ」
父は、国の特殊情報部隊の長官をしている。王族に付いている影もこの部署らしい。
仕事柄、ストレスが溜まるんだって。そして、ストレス発散の為に父は料理をするんだ。趣味も兼ねているんだろうね。料理の腕はプロ級なんだよ。
父の部署は公にはしていないので、知っている者は限られている。王女のソフィアでさえ詳しくは知らない事なんだよ。
兄が後を継ぐ。僕も手伝いをする事になると思う。代々、王族の誰かが担ってきた役職らしい。
父は王弟なので王位継承権がある。でも、今の王に男の子が産まれて10歳になったのを機に継承権を放棄している。ソフィアの兄さんだよ。王太子殿下だ。
兄も父の後を継ぐのが決まってから放棄した。
俺はまだなんだ。理由は知らないけど、まだ放棄しないらしい。
「大司教が後ろ盾と言う事は、あの大司教が連れて来たの?」
「お義母様、そうですよ。テテが8歳の頃ですわ」
「まず身元を確認したいわね」
「そこは、主人に聞く方が早いと思いますわ」
て、事はあれだね。父もかなり調査をしている、て事だよ。ヤバイじゃん。
そんな人間を、普通に学園に通わせていても大丈夫なの? てか、なんで普通に通ってんの?
「テテの言ってた、聖女候補御一行を作る為でしょうね」
「ええ。しかも、名だたる貴族の子息ばかりですもの」
え? 母も知っていたの?
「テテ、あなたがボーッとしている間に皆情報を集めているのよ。学生とは言っても次世代の国を担う子達だもの」
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