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第6章 王都
206ーまた解呪
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「これがノワか。この辺りを彷徨いているのか?」
「アン!」
「はい。ノワが側に寄れば黒いモヤモヤが逃げて行きます」
ノワちゃんはずっとお行儀よくお座りをしている。お利口さんだ。
「それは凄いな」
「例のブラックフェンリルなのだろう?」
「はい、殿下。まだ子供なので普通の黒い子犬に見えますが」
「まあ! 可愛らしいのね」
「ココ嬢は初めてだな。私の妻だ」
「お初にお目に掛かります。ココアリア・インペラートと申します」
「お話は聞いているわ。とっても可愛らしい方なのね。私はマリスティナ・ヴェルムナンドです。殿下を助けて下さってありがとう」
ニッコリされた。
ブラウンブロンド色の髪を編み込みながらアップにしていて、涼しげなブルーの瞳の美人さんだ。
「ココ嬢、ティナも見てくれないか?」
見るというのはもちろん精神干渉を受けているかどうかだ。
「はい」
返事をしてそのまま心の中で『鑑定眼』と呟いた。
「どうだ?」
「残念ですが、軽い解呪が必要です」
「ココ嬢、リアは!? リアも見てくれないか」
「はい」
ああ、この程度なら周りも全く気が付かないだろう。
「残念ですが。でも1番軽い様に思います」
「ココ嬢、そうなのか!? リアは全く分からないな」
「そうだと思います。軽い解呪で大丈夫です」
「殿下、やはり私もでしたわね」
「ああ。だが、まだ軽いそうじゃないか。私の時は凄かったぞ」
「まあ、そうなのですか?」
第1王子妃のマリスティナ様。やはりと言う言葉が出たという事は、自覚があったのか?
「ティナには話したんだ。そしたら多分自分もだと言い出してな」
「殿下を解呪して頂いてから、些細な事なのですが、あら? と思う事がありましたのよ。それで、何かあったのかとお聞きしたら解呪してもらったなどと仰るから驚いたの」
なるほど。その些細な事に気付けるかどうかだ。セシリア嬢なんて、自分も軽い精神干渉を受けているのにも関わらず城の異変に気付いていた。軽い初期の精神干渉ならこの程度なのだろうか?
どっちにしろだ。
「殿下、解呪させて頂いてもよろしいですか?」
「もちろんだ」
「リアを助けてほしい」
よし、いくぞ。
「ココ、待ちなさい。1人で大丈夫なのか?」
「ロディ兄さま、大丈夫です。お2人共軽いですから。それより兄さま。後をつけたいです」
「ロディ様、俺が試してみますよ」
「リュウ、危険だ」
「危険だと思ったらそこまでにします」
「アン!」
「ノワも行くか?」
「アン!」
「リュウ、約束だ。深追いはしない事」
「はいッス」
「じゃあ、やるわよ」
「了ッス」
隆が入り口で待機する。追いかけるといっても、壁をすり抜けられたらどうにもならない。ドアを抜けてどこかに飛んでくれればまだマシだ。
よし、とにかく解呪だ。俺は手を翳した。先ずは第1王子妃だ。
「ディスエンチャント」
直ぐに黒いモヤモヤが背中や首筋辺りから浮き出てくる。そして……
「ピュリフィケーション」
第1王子妃の体から離れ、ドアをすり抜けていった。
「行ってくるッス」
「アン!」
「リュウ、頼んだ」
隆が直ぐに後を追いかける。ノワの方が先を走っている。
次はセシリア嬢だ。
「ディスエンチャント」
同じ様に黒いモヤモヤが出る。これもまたドアをすり抜けて行った。
ロディ兄がドアを開けて外を見る。
「同じ方向へ飛んで行くな」
「ロディ兄さま、あっちは城のまだ奥ですね」
「あの方向は私達王族の私室がある方だ」
第1王子がそれを見て言った。城の最奥だ。
「お2人とも、ふらついたりしませんか?」
「大丈夫よ」
「はい、私も大丈夫です」
「何か目の前に掛かっていた靄が晴れた様な気分ですわね」
「マリスティナ様、私もです。私は掛かっていないと思っていたのに」
「リアも城に来る事が多いからだろう。だが、いつの間になのだろう」
「本当ですわ。私は限られた場所しか行きませんから」
ん? 限られた場所のみ……て、そこに手掛かりがないか?
「セシリア様、どちらに行かれたか覚えておられますか?」
「ココ、そうだな。手掛かりになるかも知れない」
だろ? 行った場所と、会った人を調べてみる価値はあるぞ。
セシリア嬢は、本当に限られた場所にしか行っていなかった。王族としてのマナーや教養を教わる部屋とその教師達、そして第2王子の執務室のみだった。
「ロヴィ兄さま、お部屋を確認したいです」
「王子殿下、よろしいですか?」
「もちろんだ」
「私が案内しよう」
第2王子に先導されて、セシリア嬢が行った部屋を見て回った。
「ココ、焦るんじゃないよ」
「はい、ロディ兄さま」
大丈夫だ。こんな時はどうやって見ていくのか、クリスティー先生について教わったからな。
先ずは出入口だ。ドアを開ける前から鑑定眼で見る。
第2王子が、ドアノブに手を掛けようとした。
「あ、殿下。駄目です。離れて下さい」
やっぱりだ。絶対にまず最初はここだろうと思ったんだ。領地の邸の第3王子が最初に使っていた部屋に設置されたものと一緒だ。
「ココ、あるのか?」
「はい、ロディ兄さま」
「なら、他の部屋も確認する必要があるね」
「はい。クリスティー先生と話せるか試してみます」
俺はクリスティー先生の意見を聞きたくて念話を試した。
『クリスティー先生』
☆ ☆ ☆
※第1王子妃の名前を変更しました。
読んで頂きありがとうございます。
今日は先にハルちゃんを投稿しております。宜しくお願い致しまっす!
「アン!」
「はい。ノワが側に寄れば黒いモヤモヤが逃げて行きます」
ノワちゃんはずっとお行儀よくお座りをしている。お利口さんだ。
「それは凄いな」
「例のブラックフェンリルなのだろう?」
「はい、殿下。まだ子供なので普通の黒い子犬に見えますが」
「まあ! 可愛らしいのね」
「ココ嬢は初めてだな。私の妻だ」
「お初にお目に掛かります。ココアリア・インペラートと申します」
「お話は聞いているわ。とっても可愛らしい方なのね。私はマリスティナ・ヴェルムナンドです。殿下を助けて下さってありがとう」
ニッコリされた。
ブラウンブロンド色の髪を編み込みながらアップにしていて、涼しげなブルーの瞳の美人さんだ。
「ココ嬢、ティナも見てくれないか?」
見るというのはもちろん精神干渉を受けているかどうかだ。
「はい」
返事をしてそのまま心の中で『鑑定眼』と呟いた。
「どうだ?」
「残念ですが、軽い解呪が必要です」
「ココ嬢、リアは!? リアも見てくれないか」
「はい」
ああ、この程度なら周りも全く気が付かないだろう。
「残念ですが。でも1番軽い様に思います」
「ココ嬢、そうなのか!? リアは全く分からないな」
「そうだと思います。軽い解呪で大丈夫です」
「殿下、やはり私もでしたわね」
「ああ。だが、まだ軽いそうじゃないか。私の時は凄かったぞ」
「まあ、そうなのですか?」
第1王子妃のマリスティナ様。やはりと言う言葉が出たという事は、自覚があったのか?
「ティナには話したんだ。そしたら多分自分もだと言い出してな」
「殿下を解呪して頂いてから、些細な事なのですが、あら? と思う事がありましたのよ。それで、何かあったのかとお聞きしたら解呪してもらったなどと仰るから驚いたの」
なるほど。その些細な事に気付けるかどうかだ。セシリア嬢なんて、自分も軽い精神干渉を受けているのにも関わらず城の異変に気付いていた。軽い初期の精神干渉ならこの程度なのだろうか?
どっちにしろだ。
「殿下、解呪させて頂いてもよろしいですか?」
「もちろんだ」
「リアを助けてほしい」
よし、いくぞ。
「ココ、待ちなさい。1人で大丈夫なのか?」
「ロディ兄さま、大丈夫です。お2人共軽いですから。それより兄さま。後をつけたいです」
「ロディ様、俺が試してみますよ」
「リュウ、危険だ」
「危険だと思ったらそこまでにします」
「アン!」
「ノワも行くか?」
「アン!」
「リュウ、約束だ。深追いはしない事」
「はいッス」
「じゃあ、やるわよ」
「了ッス」
隆が入り口で待機する。追いかけるといっても、壁をすり抜けられたらどうにもならない。ドアを抜けてどこかに飛んでくれればまだマシだ。
よし、とにかく解呪だ。俺は手を翳した。先ずは第1王子妃だ。
「ディスエンチャント」
直ぐに黒いモヤモヤが背中や首筋辺りから浮き出てくる。そして……
「ピュリフィケーション」
第1王子妃の体から離れ、ドアをすり抜けていった。
「行ってくるッス」
「アン!」
「リュウ、頼んだ」
隆が直ぐに後を追いかける。ノワの方が先を走っている。
次はセシリア嬢だ。
「ディスエンチャント」
同じ様に黒いモヤモヤが出る。これもまたドアをすり抜けて行った。
ロディ兄がドアを開けて外を見る。
「同じ方向へ飛んで行くな」
「ロディ兄さま、あっちは城のまだ奥ですね」
「あの方向は私達王族の私室がある方だ」
第1王子がそれを見て言った。城の最奥だ。
「お2人とも、ふらついたりしませんか?」
「大丈夫よ」
「はい、私も大丈夫です」
「何か目の前に掛かっていた靄が晴れた様な気分ですわね」
「マリスティナ様、私もです。私は掛かっていないと思っていたのに」
「リアも城に来る事が多いからだろう。だが、いつの間になのだろう」
「本当ですわ。私は限られた場所しか行きませんから」
ん? 限られた場所のみ……て、そこに手掛かりがないか?
「セシリア様、どちらに行かれたか覚えておられますか?」
「ココ、そうだな。手掛かりになるかも知れない」
だろ? 行った場所と、会った人を調べてみる価値はあるぞ。
セシリア嬢は、本当に限られた場所にしか行っていなかった。王族としてのマナーや教養を教わる部屋とその教師達、そして第2王子の執務室のみだった。
「ロヴィ兄さま、お部屋を確認したいです」
「王子殿下、よろしいですか?」
「もちろんだ」
「私が案内しよう」
第2王子に先導されて、セシリア嬢が行った部屋を見て回った。
「ココ、焦るんじゃないよ」
「はい、ロディ兄さま」
大丈夫だ。こんな時はどうやって見ていくのか、クリスティー先生について教わったからな。
先ずは出入口だ。ドアを開ける前から鑑定眼で見る。
第2王子が、ドアノブに手を掛けようとした。
「あ、殿下。駄目です。離れて下さい」
やっぱりだ。絶対にまず最初はここだろうと思ったんだ。領地の邸の第3王子が最初に使っていた部屋に設置されたものと一緒だ。
「ココ、あるのか?」
「はい、ロディ兄さま」
「なら、他の部屋も確認する必要があるね」
「はい。クリスティー先生と話せるか試してみます」
俺はクリスティー先生の意見を聞きたくて念話を試した。
『クリスティー先生』
☆ ☆ ☆
※第1王子妃の名前を変更しました。
読んで頂きありがとうございます。
今日は先にハルちゃんを投稿しております。宜しくお願い致しまっす!
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