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第4章 立ち向かう

127ー王子を助けろ

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 下に降りると、ノワがいた。

「ヴヴヴ……」

 縄で縛られた、黒ずくめの男2人に向かって威嚇していた。そのノワの側にはシュンがいた。

「ノワ、シュン」
「ココ様!」
「アン!」
『ココ、おれ見つけた! シュンと2人で見つけたんだ』
「え? シュンもなの?」
「ココ様、やったよ!」
「驚いた。危ないじゃない」
「大丈夫だ。じーちゃん達がずっとそばにいてくれるから」
「シュン、いつの間に?」
「クリスティー先生に教わったんだ」

 まただよ。クリスティー先生、シュンには何を教えていたんだ?

「猫獣人ですからね。身体能力は高いのでっす。ノワに付いて行きますからね。それにシュンは索敵能力が優れていたのでっす」

 ああもう、天才かよ。天才がここにいるよ。いや、チートとでも言うべきなのか? みんな凄いからさぁ、主人公形無しだよ。

「お嬢さまぁ、変なお顔になってますぅ」

 そりゃ悪かったね。

「お嬢、戦闘になると若が出るッスね」

 え、そうだったか?

「そうッス」
「さて、ココ様。鑑定してみましょう」

 クリスティー先生が言う。捕縛した黒ずくめの男2人を鑑定するんだ。

「はい、クリスティー先生」

 クリスティー先生と一緒に、隊員達がいる場所まで移動するとじーちゃん達がいた。

「ココ! よくやったぞッ!」
「本当だよ。あそこでシールドを展開してくれて助かったよ」
「ユリシスお祖父さま、ディオシスお祖父さま、お役に立てて良かったです。怪我はありませんか?」
「おうッ!」
「怪我する程じゃないさ」

 おう、じーちゃんズかっこいいぞ。

「さ、ココ様」
「はい」

 俺は鑑定眼を使って黒ずくめの男2人を見た。

「駄目です。闇ギルドとしか分かりません」
「鑑定眼ならそうですね」

 ん? て事はクリスティー先生にはまだそれ以上に見えているのか?

「いいえ、今回は闇ギルド員としか分かりません」

 そうなのか。

「依頼者を教えられていないのでしょう。1人はテイマーで、1人は火薬の取り扱いが得意みたいですね」

 いや、それ以上に見えてるじゃん。俺はそんなの全然見えねーぞ。

「どんどん使う事でっす」
「クリスティー先生、鑑定眼をですか?」
「そうでっす。スキルや魔法は使う方が良いのでっす。レベルアップしまっす」
「分かりました。じゃあこれからどんどん使いまっす」
「はい、良い子ですね」

 クリスティー先生の語尾が移っちゃったよ。

「ブハッ」
「お嬢さまぁ」

 恥ずかしいじゃん、スルーしてくれ。

「クリスティー先生、テイマーって事は魔物を誘導していたのですか?」
「ロディ様、そうなりますね。防御壁の内側に入っていたゴブリン達がそうでしょう。マジシャンが率いていました。そのマジシャンを誘導したのでしょう。あの男の魔力量ならそれが精一杯でしょうね」
「では、押し寄せてきていた他の魔物はどうなりますか?」
「ロディ、それはこれだな」

 ディオシスじーちゃんが剣に肉の塊を刺して見せた。

「撒き餌って事ですか?」
「そうなるな。森の中に点々と置いてあった形跡がある」
「どれだけの者の命を危険に晒したと思っとるんだぁッ!」

 ユリシスじーちゃんが怒り心頭だ。こんなやり方、下手したら黒ずくめの男達だって命を落としていた可能性もある。見境なしかよ。

「ココ、殿下はどうしておられる?」
「バルト兄さま、大丈夫ですよ。アルベルトさんと戦っておられましたよ」
「戦うだと? 大丈夫なのか? 怪我は?」
「大丈夫です、ありませんよ」
「そうか、良かったよ」

 ちょっと待て。王子がいないぞ。

「キリシマ、殿下は?」
「ああ? 屋舎じゃねーか?」
「ちょっと気になるから戻るわ」

 そう言って俺は走り出した。何か嫌な予感がするぞ。いつもなら王子は討伐を見に来る筈だ。それが、今はいない。
 さっき母が、子供達が気になるからと屋舎に戻って行った。母も何か予感がしたのかも知れない。母と一緒にいると良いのだが。

「アン!『ココ、おれ先にいくぞ!』」
「ええ、ノワ頼んだわ」
「アンアン!」

 ノワがまた弾丸の様に駆けていく。ノワも何か感じとっているのだろう。風を纏って走る。

「ノワ早いわね」
「びっくりですぅ」
「とんでもないッスね」

 そんな話をしているが、俺達だって全力疾走だ。だが、訓練場は広い。
 防御壁から裏に入り訓練場を抜ける。王子のいる屋舎に辿り着いた時に、中からノワの激しい鳴き声が聞こえてきた。

「アンアンアン!」

 ヤバイ。俺の嫌な予感が確信に変わった。

「お嬢、俺が先に入るッスから待って下さい!」
「リュウ、そんな場合じゃないだろッ!」

 バタンとドアを開け入っていく。そこに、シールドを張っている母がいた。母がいてくれたんだ。良かった。

「ココちゃん、遅いわよ」
「母さま」

 シールドの中には王子とアルベルトもいた。4人の黒装束の男達に取り囲まれていたんだ。

「リュウ! サキ!」
「了ッス!」
「はいぃ!」

 黒装束の男達に斬りかかる。早いうちに、防御壁の壊れたところから入り込んだのだろう。
 それ以降は、俺がシールドを展開させたから、入れないはずだ。そして逃げ出す事もできない。
 ノワが1人の足に噛みついた。その隙にリュウが剣で殴り昏倒させる。咲は両手に剣を持ち、素早く首筋を狙い倒している。
 俺も短剣で斬りかかってくる男の剣を躱わす。アルベルトが背後から斬り付け倒す。あと1人だ。と、思ったら母がいつの間にか倒していた。
 え、母すごいじゃん。強いんだ!?

「殿下、ご無事ですか!?」

 ソフィが慌てて駆け寄ってきた。

「ソフィ! まだ危険だから……」

 俺が注意しようと声を出したその時だ。昏倒していた筈の男が投げナイフを王子に向かって投げた。

「ソフィ!」
「殿下! 危ないッ!!」

 男が投げたナイフが、庇おうとしたソフィの腕を擦りそのまま王子に向かっていった。


   ◇            ◇            ◇

遅くなってしまいました。申し訳ありません。
まだWi-Fiがなくて(T . T)
あと数日、5Gよ、頑張ってほしい!
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