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第3章 領地の防御
105ーメイド服完成
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「ほら、まだうなされるってキリシマが言ってたじゃない」
「そうでしたねぇ」
「そうなんスか?」
「そうなんだよ」
もしかしたらそれも精神操作の影響だったりするのかも。何より、まだまだ完全には王子の心は癒えていないんだ。そこにまた問題が重なったら心配だ。一応、父親の事だし。万が一の事があったら両親を亡くす事になってしまう。
と、思いながら裏庭を歩いていると、前からその王子がやって来た。
肩には霧島が乗っている。今日は、護衛もちゃんと付いているんだな。
なんだっけ、アルベルトだっけ。
「殿下、出歩いても大丈夫なんですか!?」
「有難う、心配かけちゃったね。もう平気だよ。ココ嬢は、また作業場に行っていたのかい?」
「ええ。お祖父様達の隊服を作らないといけなくなってしまったので。殿下はどこに行かれるんですか?」
「アルとキリシマがね、対戦してみるらしいんだ」
え……なんだよ。元気じゃん。
「キリシマ」
「おうッ! 俺様は負けねー!」
そうじゃなくてさ。
「ココ、大丈夫だ!」
どっちがだよ。霧島は勝っても負けてもどっちでもいいんだぜ。
「ココ、相変わらずヒデーなッ!」
「もう、分かってんの!?」
「分かってるって! その意味で大丈夫だって言ったんだ!」
そうか、ならいいや。
「じゃあ、キリシマ。あたしも見学するわ」
「えぇッ!?」
「なによ?」
「いや、そうか?」
「ええ。ちゃんと対戦しているところを見た事がなかったし」
「おっしッ! 俺様の力を見せてやるぜッ!」
ハハハ、程々にな。
「分かってるっての!」
「ココアリア様、大変ご心配をお掛けしました」
護衛のアルベルトが頭を下げてきた。
「やめてちょうだい。あたしは何もしていないもの」
「ふふふ、いつも心配かけちゃうね」
「もう、殿下まで」
思ったより元気そうで良かったよ。
まあ、霧島とアルベルトの対決は想像通りだ。霧島が張り切ってしまって相手にならない。
最初はずっと霧島が受け身に徹していた。だが、霧島が攻撃に転じると1発で飛ばされてしまった。護衛のアルベルトが剣を落とし尻もちをついてしまっている。
「アハハハ、アル全然ダメだなぁ」
「もうちょっとね……」
「そうッスね」
「悪い癖ですねぇ」
「すぐ調子に乗っちゃうから」
「そうッスね」
「本当ですぅ」
ほんと、すぐに調子に乗るからなぁ。霧島、もうちょっと落ち着けよ。
翌日には数十名分のメイド服が出来上がっていた。ちゃんとフリフリのエプロンとヘッドドレスもだ。これは、メイドのお姉さん達が喜ぶぞ。今着ているのより可愛いじゃん。て、メイド服の裏側には隠しポケットが沢山あるらしい。メイドのお姉さん達からの希望なんだそうだ。何を収納するのか想像するのがちょっと怖い。
じーちゃん達の分は、サキがデザインして外部の店に発注するつもりだったのだが……
「メイド服はもう終わりましたし、私達が作りますよ」
て、ミリーさんは言ってくれるけどなぁ。
「え、そう? でも、大変でしょう? メイド服だって大急ぎで作ってくれたのに」
「まあ、急ぎましたけど。流れ作業に慣れたんですよ。次から次へとって感じですね」
だけど、ルリアさん。ミシン担当が一番大変だったんじゃないか?
「そうなの? じゃあ、こうしましょう。ユリシスお祖父さまとディオシスお祖父さま、シゲ爺の3人の分だけ作ってもらおうかしら。あとの隊員の分は発注してもらうわ。数があるから大変でしょう?」
「そうですか?」
「ほら、リュウの戦闘服だって普通よりパーツが多くて面倒だったでしょう? あれと同じなのよ」
「あ、そうですね。メイド服はまだワンピースですもんね」
そうだよ、ナタリーさん。
「何色にするんですか? どっちにしろ私は生地を織らないといけないので」
そうだったよ、マニューさん。
「えっと、黒とダークグレーとモスグリーンかしら」
「分かりました。糸をもらってきますね」
「あ、リュウも一緒に行って」
「了ッス」
おう、マニューさんフットワーク軽いな。新しく入ってきた2人も付いて行った。
本当にチームワークができてるって感じだ。ん~、織機ももう1台は欲しいもんだ。
「じゃあ、お嬢様。パターン起こしてください。私も横で見ながら描いていきますから」
「え、ええ。分かったわ」
「ふふふぅ」
咲、何だよ。
「お嬢さまが押されてますねぇ」
な、本当にな。びっくりだわ。
こうして、どんどん作業は進んでいく。俺がなんにも言わなくても、どんどん次の作業へとな。
「みんな凄いわ。早いはずね」
「ですねぇ、お嬢さまぁ」
俺は、色の指示をするだけだ。
「お嬢様、そのパターンは誰のですか?」
「これ? これはシゲ爺のよ」
「ああ、だから普段着の様な感じなんですね」
「そうそう。まさかリュウが着ていたみたいな戦闘服着てぶどう畑の世話をするのもね」
「ふふふ。本当ですね」
「でも、お嬢様。盗賊団の討伐にシゲ爺さんも行ったんですよね?」
とは、ルリアさんだ。みんな喋っているけど、手は作業を止めていない。
「そうよ~。いつも持っている杖でガンガン殴るのよ」
「えぇ~!! 杖でですか~!?」
な、ナタリーさんも驚いている。
「だってほら、シゲ爺さんって杖を持っているけど使ってないじゃない」
おう、よく見ているな。さすが、ミリーさんだ。
「そうでしたねぇ」
「そうなんスか?」
「そうなんだよ」
もしかしたらそれも精神操作の影響だったりするのかも。何より、まだまだ完全には王子の心は癒えていないんだ。そこにまた問題が重なったら心配だ。一応、父親の事だし。万が一の事があったら両親を亡くす事になってしまう。
と、思いながら裏庭を歩いていると、前からその王子がやって来た。
肩には霧島が乗っている。今日は、護衛もちゃんと付いているんだな。
なんだっけ、アルベルトだっけ。
「殿下、出歩いても大丈夫なんですか!?」
「有難う、心配かけちゃったね。もう平気だよ。ココ嬢は、また作業場に行っていたのかい?」
「ええ。お祖父様達の隊服を作らないといけなくなってしまったので。殿下はどこに行かれるんですか?」
「アルとキリシマがね、対戦してみるらしいんだ」
え……なんだよ。元気じゃん。
「キリシマ」
「おうッ! 俺様は負けねー!」
そうじゃなくてさ。
「ココ、大丈夫だ!」
どっちがだよ。霧島は勝っても負けてもどっちでもいいんだぜ。
「ココ、相変わらずヒデーなッ!」
「もう、分かってんの!?」
「分かってるって! その意味で大丈夫だって言ったんだ!」
そうか、ならいいや。
「じゃあ、キリシマ。あたしも見学するわ」
「えぇッ!?」
「なによ?」
「いや、そうか?」
「ええ。ちゃんと対戦しているところを見た事がなかったし」
「おっしッ! 俺様の力を見せてやるぜッ!」
ハハハ、程々にな。
「分かってるっての!」
「ココアリア様、大変ご心配をお掛けしました」
護衛のアルベルトが頭を下げてきた。
「やめてちょうだい。あたしは何もしていないもの」
「ふふふ、いつも心配かけちゃうね」
「もう、殿下まで」
思ったより元気そうで良かったよ。
まあ、霧島とアルベルトの対決は想像通りだ。霧島が張り切ってしまって相手にならない。
最初はずっと霧島が受け身に徹していた。だが、霧島が攻撃に転じると1発で飛ばされてしまった。護衛のアルベルトが剣を落とし尻もちをついてしまっている。
「アハハハ、アル全然ダメだなぁ」
「もうちょっとね……」
「そうッスね」
「悪い癖ですねぇ」
「すぐ調子に乗っちゃうから」
「そうッスね」
「本当ですぅ」
ほんと、すぐに調子に乗るからなぁ。霧島、もうちょっと落ち着けよ。
翌日には数十名分のメイド服が出来上がっていた。ちゃんとフリフリのエプロンとヘッドドレスもだ。これは、メイドのお姉さん達が喜ぶぞ。今着ているのより可愛いじゃん。て、メイド服の裏側には隠しポケットが沢山あるらしい。メイドのお姉さん達からの希望なんだそうだ。何を収納するのか想像するのがちょっと怖い。
じーちゃん達の分は、サキがデザインして外部の店に発注するつもりだったのだが……
「メイド服はもう終わりましたし、私達が作りますよ」
て、ミリーさんは言ってくれるけどなぁ。
「え、そう? でも、大変でしょう? メイド服だって大急ぎで作ってくれたのに」
「まあ、急ぎましたけど。流れ作業に慣れたんですよ。次から次へとって感じですね」
だけど、ルリアさん。ミシン担当が一番大変だったんじゃないか?
「そうなの? じゃあ、こうしましょう。ユリシスお祖父さまとディオシスお祖父さま、シゲ爺の3人の分だけ作ってもらおうかしら。あとの隊員の分は発注してもらうわ。数があるから大変でしょう?」
「そうですか?」
「ほら、リュウの戦闘服だって普通よりパーツが多くて面倒だったでしょう? あれと同じなのよ」
「あ、そうですね。メイド服はまだワンピースですもんね」
そうだよ、ナタリーさん。
「何色にするんですか? どっちにしろ私は生地を織らないといけないので」
そうだったよ、マニューさん。
「えっと、黒とダークグレーとモスグリーンかしら」
「分かりました。糸をもらってきますね」
「あ、リュウも一緒に行って」
「了ッス」
おう、マニューさんフットワーク軽いな。新しく入ってきた2人も付いて行った。
本当にチームワークができてるって感じだ。ん~、織機ももう1台は欲しいもんだ。
「じゃあ、お嬢様。パターン起こしてください。私も横で見ながら描いていきますから」
「え、ええ。分かったわ」
「ふふふぅ」
咲、何だよ。
「お嬢さまが押されてますねぇ」
な、本当にな。びっくりだわ。
こうして、どんどん作業は進んでいく。俺がなんにも言わなくても、どんどん次の作業へとな。
「みんな凄いわ。早いはずね」
「ですねぇ、お嬢さまぁ」
俺は、色の指示をするだけだ。
「お嬢様、そのパターンは誰のですか?」
「これ? これはシゲ爺のよ」
「ああ、だから普段着の様な感じなんですね」
「そうそう。まさかリュウが着ていたみたいな戦闘服着てぶどう畑の世話をするのもね」
「ふふふ。本当ですね」
「でも、お嬢様。盗賊団の討伐にシゲ爺さんも行ったんですよね?」
とは、ルリアさんだ。みんな喋っているけど、手は作業を止めていない。
「そうよ~。いつも持っている杖でガンガン殴るのよ」
「えぇ~!! 杖でですか~!?」
な、ナタリーさんも驚いている。
「だってほら、シゲ爺さんって杖を持っているけど使ってないじゃない」
おう、よく見ているな。さすが、ミリーさんだ。
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