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第3章 領地の防御

99ー引っ掛かるぞ?

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「その王子殿下方は何も思っておられないのですか?」
「分からないんだ。今回、お会いできなかった」
「どうしてです?」
「謁見願いを出しても何かと理由をつけて却下されるんだ」
「そんな……母上のご実家の名を出してもですか?」
「ああ。寄せ付けない。誰かが糸を引いているとしか思えん」
「あなた、それで私の父上は何と?」
「同じ考えだ。フィルドラクス殿下の事を文で知らせたろう。その後すぐに動いて下さっていた。だが、どうにも情報が集まらん」

 成る程ね。もうカチコミかけるしかないね。

「お嬢さまぁ」

 咲、分かってるっての。大人しくしておくよ。

「人間ってのは弱っちいくせに知恵が回るんだな」

 霧島、今は黙っておこうぜ。

「弱いからこそ頭を使うんだ。力では、ドラゴンどころか魔物にだって敵わないんだからね」

 さすがロディ兄だぜ。俺そんな事全く考えていなかったぞ。

「しかし、そうは言っておれん。なんとかして探りを入れないと陛下のお命に関わることかも知れんからな」
「では、父上」
「ああ。引き続きあちらが調べてくださる」
「そうですね。父上は目立つから動きが知られてしまいます」
「ロディ、そうなんだ。王都に着いてすぐに父上を追跡する者がいたんだ」
「国では有名な辺境伯ですからね」
「それで、アルベルトも同じ見解なのか?」
「殿下、そうです。私も独自に兵達の方から調べてみたのです」

 アルベルトは自分の顔が利く部署からまず調べたらしい。

「ですが、私の方も陛下の状態を確かめることができませんでした。普段、陛下をお守りしている近衛でさえです」
「それはおかしいね」
「はい、そうなんです。で、その命令形態もおかしいのです。普通は近衛の上層部から指令が出るのですが、上層部でさえ確かな事を知らされておりませんでした。上層部の方々も不思議に思っておられました。だからと言って、その上からの命令に従わない訳にもいかずといった感じでした」
「だからだ。近衛の上層部よりも上の者が情報を止めているのだ」

 もうそんなの決まりじゃね? 話を聞いているとどう考えても王妃が怪しいじゃねーか。真っ黒黒だよ。

「ココ、それは皆分かってるとおもうぜ」
「え、キリシマ。そう?」
「そりゃそうだ。だからこそ、慎重になっているんだろうよ」
「その通りだね」

 ありゃりゃ、そうなのか。相手が誰だとしてもさ、俺ならカチコミかけてるぜ。先に喧嘩を売ってきたのはあっちだからな。

「また、お嬢」

 隆、分かってるっての。大人しくしているさ。

「殿下が別宮に幽閉されていたのは、やはり王妃殿下のご命令ですか?」
「ええ、そうだと思います。いつも王妃様の使いの者が来ましたから。僕は……幽閉されても仕方ありませんから」

 なんだって……?

「殿下、何を仰っているのですか」

 護衛のアルベルトが王子に問いかける。そんな風に思っていたのか? それは考えもしなかったぞ。

「アル、僕は母上が側室だ。それに今はもういない。そんなボクが邪魔になるのも当然なんだ」
「殿下ッ! 何を言っておられますッ!? 母君がご側室だろうと何だろうと、殿下は陛下の血を継いだご子息なのですぞッ!」

 そうだよ、父の言う通りだ。

「でも……王妃様の気持ちも分かるんだ」

 何を甘い事を言ってるんだ!
 ん? ちょっと待てよ。王子の瞳が……

「ねえ、キリシマ。前に話してたじゃない?」
「なんのことだ?」
「あれよ、あれ。確か、操るスキルがあるって」
「ココ、それは魔物の事だろう?」
「魔物だけなの? 人は操れないの?」
「そりゃ、魅了とか精神操作のスキルとか持ってたら別だな」
「魅了か……」
「だけど、それは目に見えない。まあ、ココが作ったのを着ていたら無効化できるだろうな」
「おお! あのポジションな! あちらの父上も欲しいと仰っていたぞッ!」
「あなた、もうそれは良いですわ」

 そうか、無効化できている筈なんだ。だけどこの王子の瞳は……
 俺の鑑定眼で見られるかな? と、試してみるがダメだった。普通だ。何もおかしいところはない。
 だけど、気になるんだ。

「今はメイド服を作っています。次はようやく領主隊の隊服に取り掛かるそうですよ」
「なんだとッ! もうそんなに出来ているのかッ!」
「はい、父さま」
「ココッ! 私も服が欲しいぞぉッ!」
「父さま、ホワイトシャツならすぐにでも」
「そうかッ!」
「ココ! ワシもココが着ていた様な戦闘服が欲しいぞッ!」

 はいはい、みんな色々言ってるけどさ。そうすると、どんどんメイド服も領主隊の隊服も遅くなるんだぜ。分かってるか?
 いや、どんどん違う話になっているけども。それよりもだ。

「キリシマ、精神干渉を受けていたらあたしの鑑定眼で必ず見られるの?」
「なんだ、ココ。気になるのか?」
「ええ。とっても引っ掛かるわ」
「そうだな、ココの鑑定眼はスキルレベルがMAXだと言っても、ココ自身のレベル自体が低いからな。鑑定眼と言えば、ココよりエルフの先生だろう」

 そっか、クリスティー先生がいたよ!
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