89 / 249
第3章 領地の防御
89ーテイムしちゃった
しおりを挟む
「能力を解放してもらったからな。使える様になったんだ。亜空間収納さ」
「やっぱ、亜空間収納なのね」
「ああ。ココはマジックバッグとか無限収納って知ってるか?」
「知ってるわ。マジックバッグは欲しいけどすっごく高いのよ」
「今のココならマジックバッグくらい作れるんじゃないか?」
「え? 本当に?」
「ああ。帰ったらまたエルフの先生に聞いてみたらいいさ」
「そうするわ!」
欲しいんだよ。前から欲しかったんだ。俺は単純に亜空間収納のカモフラージュなんだけど。それが、作れるなら是非作りたい! みんなに作りたいんだ! 領主隊に持たせたいんだ!
「ココ! 怪我はないかぁッ!?」
大きな声で叫びながら、ユリシスじーちゃんが走って来た。
「お祖父さま、大丈夫です!」
「そうか! トレントへの魔法攻撃は良かったぞ! サキやリュウもよくやった!」
「はいッ!」
「はいぃ! 有難うございますぅ」
「まさかトレントが出るとはな!」
ディオシスじーちゃんだ。
「ああッ! あれは驚いた!」
「ユリシスお祖父さま、そうなのですか?」
「あれは、滅多にいないぞッ!」
「俺が遭遇したのは何年も前だ!」
ええッ!? そんなになのか!?
でも、ユリシスじーちゃんは気配を察知していたよな。いち早く指示を出していた。
「あいつがいるとな、森の空気が違うんだ!」
「ハハハハッ! 兄上、それじゃあココには理解できませんよ!」
本当だよ。ディオシスじーちゃんの言う通り、全然理解できないよ。
「お嬢、空気で感じとれるなんてユリシス様位だッ!」
ほお~、じーちゃん凄いんだ。いや、経験値なのか?
「ココ、兄上は野生の勘だよ」
「ふふふ、ディオシスお祖父さまったら」
「ハハハハ!」
でも、良かった。無事に盗賊団を捕縛できたし、魔物も退治できたし。蜂蜜とメープルシロップも手に入ったし。回復薬になるキノコまで手に入った。お土産が沢山できたぞ。
「お嬢、まだ気を抜いたらいかんぞ! ここは森の中だ!」
そう言いながら、シゲ爺が出て来たウルフ系の魔物を杖でぶん殴っている。しかも片手でだ。それ、杖の正しい使い方じゃないよね。絶対に違うよね。
「お嬢さまぁ、馬に乗りますよぅ」
「うん、分かった」
俺はまだチビだからさ、馬に乗るのも咲にヨイショと乗せてもらわないといけないんだ。
「ああ、本当に早く大きくなりたいわ」
「また言ってるんですかぁ?」
「だって、何するのも不便だわ」
「急いで大きくなる事ないですぅ」
「そうッスよ」
なんだか、生温かい目で2人に見つめられちゃった。それって、保護者目線だよね。
2人の保護者目線に耐えながら、咲に馬へ乗せてもらおうかという時だった。
「お嬢、動くんじゃねーぞ」
「ココ、そのままだ」
と、シゲ爺と霧島が注意を促した。どうしたんだ?
「こんな近くに来るまで気がつかねーなんて」
「いや、シゲ爺。かなり弱ってるぞ」
「え? 何? 何なの?」
と、1人と一匹が見ている方を俺も見た。トレントが倒れていた場所のすぐ近くに、動く黒いものがあった。
「何なの?」
「ココ、分からん。あのオーラは魔獣じゃないんだけどな。なんせ弱っている」
「キリシマよう、魔獣じゃねーのか?」
「ああ、シゲ爺。あのオーラは違うな。魔獣というよりもっと……」
話しているうちにその黒いものが、ゆっくりとこちらにやって来た。真っ黒の体毛に金色の瞳。まだ柴犬の子犬位の大きさだろうか。きっと犬ではないんだろうな。唯の犬が、魔物が棲息しているこの森で生きていけるはずがない。身体の彼方此方から血を流していて、片足も引きずっていて折れていそうだ。
「やだ、かわいそう!」
「お嬢! 何言ってんだ!?」
「お嬢、危険ッス!」
「お嬢さまぁ!」
「だって弱っているんでしょう!? 傷だらけじゃない、かわいそうよ。それに、可愛いじゃない!」
俺は皆の言葉を流して、その黒いものに近寄って行った。小さな傷だらけの身体で威嚇してくる。
態勢を低くして、驚かせないように慎重に……
「ね、噛まないでね。君を助けたいんだ。怪我してるじゃない。トレントにやられたの?」
話しかけながら、そっと……あと、1メートルといった距離まで近づき片手を伸ばす。
まずはこっちの匂いを嗅がせて、判断させる。
「あたしは君の敵じゃないわ。まだ小さいのに可哀そうに。ね、治してもいいかな?」
話しかけながら、そっとだ。
その黒いものが少し威嚇の声をあげる。
「大丈夫よ、何もしない。大丈夫」
もう少し、手を伸ばす。
俺の手の匂いをクンクンと嗅ぎだした。よし、もう少しだ。
「怪我を治すわね。噛まないでね」
話しかけながら、俺はヒールと唱える。すると、光が黒いものを包み込み傷を癒していく。
傷が治ったのが分かったのだろう。キョトンとした顔をして俺を見ている。
「ね、もう痛くないでしょう? 君、ちょっと汚いわね。クリーン」
今度はシュルンッと全身が綺麗になり毛並みもよくなる。
「うわ、フッサフサじゃない。良い毛並みをしているわ。ねえ、君の親はどうしたの?」
「クウゥ~ン」
「いないの? もしかして、トレントにやられちゃった?」
「クウ……?」
キョトンとしている。どうやら、そうではないらしい。
霧島がフワフワと飛んでやって来た。
「やっぱ、亜空間収納なのね」
「ああ。ココはマジックバッグとか無限収納って知ってるか?」
「知ってるわ。マジックバッグは欲しいけどすっごく高いのよ」
「今のココならマジックバッグくらい作れるんじゃないか?」
「え? 本当に?」
「ああ。帰ったらまたエルフの先生に聞いてみたらいいさ」
「そうするわ!」
欲しいんだよ。前から欲しかったんだ。俺は単純に亜空間収納のカモフラージュなんだけど。それが、作れるなら是非作りたい! みんなに作りたいんだ! 領主隊に持たせたいんだ!
「ココ! 怪我はないかぁッ!?」
大きな声で叫びながら、ユリシスじーちゃんが走って来た。
「お祖父さま、大丈夫です!」
「そうか! トレントへの魔法攻撃は良かったぞ! サキやリュウもよくやった!」
「はいッ!」
「はいぃ! 有難うございますぅ」
「まさかトレントが出るとはな!」
ディオシスじーちゃんだ。
「ああッ! あれは驚いた!」
「ユリシスお祖父さま、そうなのですか?」
「あれは、滅多にいないぞッ!」
「俺が遭遇したのは何年も前だ!」
ええッ!? そんなになのか!?
でも、ユリシスじーちゃんは気配を察知していたよな。いち早く指示を出していた。
「あいつがいるとな、森の空気が違うんだ!」
「ハハハハッ! 兄上、それじゃあココには理解できませんよ!」
本当だよ。ディオシスじーちゃんの言う通り、全然理解できないよ。
「お嬢、空気で感じとれるなんてユリシス様位だッ!」
ほお~、じーちゃん凄いんだ。いや、経験値なのか?
「ココ、兄上は野生の勘だよ」
「ふふふ、ディオシスお祖父さまったら」
「ハハハハ!」
でも、良かった。無事に盗賊団を捕縛できたし、魔物も退治できたし。蜂蜜とメープルシロップも手に入ったし。回復薬になるキノコまで手に入った。お土産が沢山できたぞ。
「お嬢、まだ気を抜いたらいかんぞ! ここは森の中だ!」
そう言いながら、シゲ爺が出て来たウルフ系の魔物を杖でぶん殴っている。しかも片手でだ。それ、杖の正しい使い方じゃないよね。絶対に違うよね。
「お嬢さまぁ、馬に乗りますよぅ」
「うん、分かった」
俺はまだチビだからさ、馬に乗るのも咲にヨイショと乗せてもらわないといけないんだ。
「ああ、本当に早く大きくなりたいわ」
「また言ってるんですかぁ?」
「だって、何するのも不便だわ」
「急いで大きくなる事ないですぅ」
「そうッスよ」
なんだか、生温かい目で2人に見つめられちゃった。それって、保護者目線だよね。
2人の保護者目線に耐えながら、咲に馬へ乗せてもらおうかという時だった。
「お嬢、動くんじゃねーぞ」
「ココ、そのままだ」
と、シゲ爺と霧島が注意を促した。どうしたんだ?
「こんな近くに来るまで気がつかねーなんて」
「いや、シゲ爺。かなり弱ってるぞ」
「え? 何? 何なの?」
と、1人と一匹が見ている方を俺も見た。トレントが倒れていた場所のすぐ近くに、動く黒いものがあった。
「何なの?」
「ココ、分からん。あのオーラは魔獣じゃないんだけどな。なんせ弱っている」
「キリシマよう、魔獣じゃねーのか?」
「ああ、シゲ爺。あのオーラは違うな。魔獣というよりもっと……」
話しているうちにその黒いものが、ゆっくりとこちらにやって来た。真っ黒の体毛に金色の瞳。まだ柴犬の子犬位の大きさだろうか。きっと犬ではないんだろうな。唯の犬が、魔物が棲息しているこの森で生きていけるはずがない。身体の彼方此方から血を流していて、片足も引きずっていて折れていそうだ。
「やだ、かわいそう!」
「お嬢! 何言ってんだ!?」
「お嬢、危険ッス!」
「お嬢さまぁ!」
「だって弱っているんでしょう!? 傷だらけじゃない、かわいそうよ。それに、可愛いじゃない!」
俺は皆の言葉を流して、その黒いものに近寄って行った。小さな傷だらけの身体で威嚇してくる。
態勢を低くして、驚かせないように慎重に……
「ね、噛まないでね。君を助けたいんだ。怪我してるじゃない。トレントにやられたの?」
話しかけながら、そっと……あと、1メートルといった距離まで近づき片手を伸ばす。
まずはこっちの匂いを嗅がせて、判断させる。
「あたしは君の敵じゃないわ。まだ小さいのに可哀そうに。ね、治してもいいかな?」
話しかけながら、そっとだ。
その黒いものが少し威嚇の声をあげる。
「大丈夫よ、何もしない。大丈夫」
もう少し、手を伸ばす。
俺の手の匂いをクンクンと嗅ぎだした。よし、もう少しだ。
「怪我を治すわね。噛まないでね」
話しかけながら、俺はヒールと唱える。すると、光が黒いものを包み込み傷を癒していく。
傷が治ったのが分かったのだろう。キョトンとした顔をして俺を見ている。
「ね、もう痛くないでしょう? 君、ちょっと汚いわね。クリーン」
今度はシュルンッと全身が綺麗になり毛並みもよくなる。
「うわ、フッサフサじゃない。良い毛並みをしているわ。ねえ、君の親はどうしたの?」
「クウゥ~ン」
「いないの? もしかして、トレントにやられちゃった?」
「クウ……?」
キョトンとしている。どうやら、そうではないらしい。
霧島がフワフワと飛んでやって来た。
81
お気に入りに追加
2,978
あなたにおすすめの小説
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
婚約破棄は誰が為の
瀬織董李
ファンタジー
学園の卒業パーティーで起こった婚約破棄。
宣言した王太子は気付いていなかった。
この婚約破棄を誰よりも望んでいたのが、目の前の令嬢であることを……
10話程度の予定。1話約千文字です
10/9日HOTランキング5位
10/10HOTランキング1位になりました!
ありがとうございます!!
元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす
こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる