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第3章 領地の防御

81ー盗賊団

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 鍛練が終わって、俺達はセリスアラーネアの作業場へ行こうとしたらロディ兄に止められた。

「ココ、今日はディオお祖父さまから話があるんだ」
「兄さま。談話室ですか?」
「ああ、そうだね」
「分かりました」

 ちょっと残念だ。最近では毎日見に行く度、新しいものができているから楽しみなんだよ。
 そろそろ、メイド服のパターンを起こす事も考えないと。

「ココ嬢、僕も参加するよ」
「はい、殿下。あら、今日はキリシマいるのね」
「ココ! なんだよ! 俺はいつもいるじゃんか!」
「だって、殿下と一緒にいるところはあまり見ないわよ?」
「ひっど! いるからな! いつも一緒さ!」

 うっそだぁ。

「ココ。顔に出てるぞ」
「あらやだ!」
「あらやだ! じゃねーよ!」

 アハハハ、霧島はおもしろい。

「お嬢さまぁ、楽しんでますねぇ」

 だって咲、おもしろいじゃん。

「ふふふ、そうですねぇ」
「ぐふふ。お嬢、人が悪いッス」

 隆だって笑っているのに。
 さて、談話室だ。皆勢ぞろいだ。あれ、またシゲ爺がいるぞ。使わない杖も持っている。

「ディオシス叔父様、お願いしますわ」
「ああ、よいかな? 俺がやってきた理由だ」

 ディオシスじーちゃんの話では……
 最近うちの領地と国境が接している隣国で、小規模だがなかなか捕まえることのできない盗賊団が猛威を振るっていたそうだ。殺しはしないらしい。とは言っても、盗賊団だ。金目の物をすべて強奪され、女性は手籠めにされたあげく売られるらしい。隣国では深刻な問題になっていて、高額な懸賞金も懸けられているそうだ。
 その盗賊団が国境を越え、うちの領地に入って来た。それをディオシスじーちゃんはいち早く察知した。国境が接している近辺は父の弟が管理している。じーちゃんはそこから、国境を越えて入ってきた盗賊団を追いかけて来たそうな。

「レオがヘルプを言ってきたんだ。俺も用心していたんだが、入られてしまった。その足取りを追って来たんだ」

 ディオじーちゃんが言っているレオとは、父の弟のレオシス・インペラートだ。プラチナブロンドの髪を後ろで1つに結んでいて、涼しげなグリーンエメラルド色の瞳をしている。うちの邸がある地域とは反対側、国境に接した地域を管理してくれている。どちらかと言うと、ロディ兄タイプだ。
 国境付近では、小競り合いがよく起こる。他国との境なのだから何もない訳がない。それをうまく治めてくれているのが、父の弟レオシス叔父さんだ。

「何せ、逃げ足は速いし潜むのもうまい。まさか領地の端から端まで追いかける事になるとは思わなんだ。一体何がしたいのか全く分からん」
 
 国境付近からここまでとなると、領地を横断している事になる。
 ディオシスじーちゃんは、領地の事を熟知している。そのじーちゃんを振り切ってここまで逃げてきたんだ。一筋縄ではいかないだろう。それに、いまはうちのドン……いや父と兄がいない。
 気をつけないとな。

「でだ、ロディ。少人数で良いから領主隊を貸してくれないか?」
「はい、この領地の事ですからそれはもちろんです。ディオシスお祖父様、まだこの領地にいると思いますか?」
「ああ。いるだろうな。あいつら紛れるのが上手いんだ。油断はできない」
「領民に被害が出なければ良いのですが。領主隊のパトロールを増やしましょう」
「そうだな。頼めるか?」
「はい、もちろんです」

 ロディ兄が指示し、領主隊の領内パトロールを増やし、ディオシスじーちゃん達も街中を見回ったり盗賊団を捜索していた。
 俺はというと、相変わらずだ。セリスアラーネアの糸で織った生地で、今はメイド服作りに取り掛かっている。練習という訳ではないが、メイド服が出来上がったら満を持して領主隊の隊服に取り掛かろうと思っている。隊服は普通の服ではないからね。何枚も生地を重ねて丈夫に作ってあったり、しかし動きを邪魔してはいけないし。パターンを作るにも何通りか考案していたりする。
 
「お嬢さまぁ、メイド服のパターンはこれで良いですかぁ?」
「いいわよ。それもサイズを何パターンか作るの」
「はいぃ、分かりましたぁ」

 俺は隊服のパターンでまだ迷っているが、作ってくれている皆はどんどんメイド服を進めていく。凄いね、本当感心するよ。

「お嬢様、生地なんですけど」

 と、相談してきたのは織機担当のマニューさんだ。相変わらず、色っぺー。

「うん、どうしたの?」
「今までと同じ様に織っていたら張りが足らないというか……」
「ああ、そうね。もっと詰めて織れるかしら?」
「はい、それは全然大丈夫ですよ。どの位にしましょうか?」
「そうね……」

 と、俺は織機の場所へと移動して、糸を見る。

「そうね……糸から考え直せれば良いんだけど」
「お嬢、それならルイソ爺さんに聞いてみたらどうッスか?」
「ルイソさんに? そんな事まで研究しているの?」
「いいえ、分かんないッスけど。聞いてみる価値はあると思います」
「そうね。マニューさん、ちょっと待っていてね。聞いてくるわ」
「はい、お嬢様」

 ちょっと聞いてみよう。
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