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第3章 領地の防御
75ー人的財産
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翌日、邸にガラスペンが届いた。俺は、ちょっと軸を捻ったりペン先に8本位の筋を入れると言っただけだ。
なのに、届いたガラスペンがさ。
「これは……素晴らしいな」
「兄さま……こんなの普段用に使うの勿体ないです」
と、俺とロディ兄が感心した様に、素晴らしく出来の良い物ばかりだった。
「いやぁ、楽しくなってしまいまして。ちょっと凝ってみました」
と、職人さんがにこやかに話している。ちょっぴり自慢気だよね。それ程の出来だった。
ペン軸に捻りだけでなく色に濃淡をつけてグラデーションにしてあったり。態と気泡を入れて水玉の様にしてあったり。しかもだ、ペン先には8本どころか12本もの筋を入れてある。
「これな、筋を細く多くしたんだ。その方がインクを吸って留めるだろう?」
と、また親方だ。親方は本当に天才か? そんな事まで分かっちゃうのか?
インクを吸う力、『毛細管現象』と言うんだ。細い管状物体(毛細管)の内側の液体が、外部からエネルギーを与えられることなく管の中を移動する物理現象である。だそうだ。
俺は前世で知った。それも、ガラスペンって綺麗じゃん。て、とこから入ってこの現象を知ったんだ。だって、前世にはPCがある。wiki先生という頼りになるものもあるから、なんでも直ぐに調べる事ができる。
ドワーフの親方は、そんな事が一切ないこの世界で、経験値からこの現象を知っているんだ。凄いよ。マジ、尊敬しちゃう。
「親方凄い! 本当に天才!」
「ガハハハ! お嬢、もっと褒めても良いぜ!」
「親方、有難う! また、お願いね!」
「おうよ! なんでも言ってくれ!」
この人材も財産だ。物や金だけでない。こんな優秀な人材だって財産なんだ。
「おや、皆さんお揃いで何をされているのですか?」
と、言いながら部屋に入ってきたのは、エルフのクリスティー先生だ。
「クリスティー先生。あれ? 今日はお勉強の日でしたか?」
「いいえ、違いますよ。何やらされている様な気がして様子を見に来たのでっす。来てみて正解でした!」
おふッ、鋭い勘だ。
「これは何ですか?」
「クリスティー先生、ペンです」
「ペンってあの文字を書くペンですか?」
「はい、そのペンです」
「これは、素晴らしい! ロディ様、是非私にも1つ」
「クリスティー先生、これから試し書きをするのです。それから決められても」
「そうですか? でも、これだけ美しい物なら欲しいでっす」
ふははは、好感触じゃないか? また1つうちの領地の特産品ができたよ。
「これは、ガラスですか?」
「先生……」
「クリスティー先生でっす」
「あ、はい。クリスティー先生、全部ガラスなんです」
「素晴らしいでっす!」
ロディ兄がインクをガラスペンのペン先につける。と、そのインクが自然にペン先から吸い上げられる。
「おぉ!」
これが、『毛細管現象』なんだぜ。凄いだろう?
何かの書類の裏側なのだろう。そこに、ロディ兄が徐に書き始める。ロディ・インペラートと。
「これは良い。まだまだインクを付けなくても書ける。それに、ガラスなのにスムーズだ」
「それは、職人さんの腕ですね」
「はい。ちょっと凝りました!」
確かに、凝ったのだろう。前世の物と遜色ない出来だ。
「これな、水にペン先を浸してみな」
と、親方が言う。ロディ兄がペン先を濯ぐ水に浸した。
「お、いいね。直ぐにペン先が綺麗になる。色を変えても良いんだね」
「兄さま、絵具を使っても良いですね」
「ココ、本当だね」
「これも便利だろう? アッと言う間にペン先が綺麗になるんだ」
「ロディ様、是非1本!」
「アハハハ。クリスティー先生、気に入りましたか?」
「これを気に入らない人なんていないでしょう。これもココ様の発案ですか?」
「そうなのですよ。昨日、ココが突然言い出したんです」
「ココ様のそのアイデアはどこから出てくるのでしょう。不思議でっす」
すまんね、前世の知識なんだよ。だから、俺はパクッただけなんだ。なんか、すっごい後ろめたいんだが。
「お嬢、堂々としていてください」
「そうですぅ」
「え、そう?」
「そうッス」
なら、いいや。ま、便利になるからいいよね。
「じゃあ、ココ。これで出来るね」
「はい、兄さま。作ります」
「おや? 何を作るのですか?」
「クリスティー先生、ココが考えたのです。文字を覚える為の教材と、子供用の絵本と言う物ですよ」
「絵本とは何でしょう?」
「子供用の絵が多くて文字の大きい本だそうですよ」
「それはまた素晴らしいでっす。ココ様、大変良い事を思い付かれましたね!」
「クリスティー先生、有難うございます」
「出来上がったら是非、私も見てみたいでっす」
「はい、クリスティー先生」
さ、俺はもう用事ないし。さっさと部屋に戻って教材作りをしたいな。
「ココ様、見学してもよろしいですか?」
え、クリスティー先生。どうして?
「別に構いませんけど。どうしてですか?」
「見てみたいのでっす。ココ様の才能を!」
いや、才能って程じゃないよ。ドワーフの親方とかを見ているとさ、俺なんて大したことないよ。
「ココ様、なにもないところから何かを生み出すのは大変な事です。そして、素晴らしい事なのでっす!」
そんな大それたものでもないよ。まあ、好きに見ているといいよ。
なのに、届いたガラスペンがさ。
「これは……素晴らしいな」
「兄さま……こんなの普段用に使うの勿体ないです」
と、俺とロディ兄が感心した様に、素晴らしく出来の良い物ばかりだった。
「いやぁ、楽しくなってしまいまして。ちょっと凝ってみました」
と、職人さんがにこやかに話している。ちょっぴり自慢気だよね。それ程の出来だった。
ペン軸に捻りだけでなく色に濃淡をつけてグラデーションにしてあったり。態と気泡を入れて水玉の様にしてあったり。しかもだ、ペン先には8本どころか12本もの筋を入れてある。
「これな、筋を細く多くしたんだ。その方がインクを吸って留めるだろう?」
と、また親方だ。親方は本当に天才か? そんな事まで分かっちゃうのか?
インクを吸う力、『毛細管現象』と言うんだ。細い管状物体(毛細管)の内側の液体が、外部からエネルギーを与えられることなく管の中を移動する物理現象である。だそうだ。
俺は前世で知った。それも、ガラスペンって綺麗じゃん。て、とこから入ってこの現象を知ったんだ。だって、前世にはPCがある。wiki先生という頼りになるものもあるから、なんでも直ぐに調べる事ができる。
ドワーフの親方は、そんな事が一切ないこの世界で、経験値からこの現象を知っているんだ。凄いよ。マジ、尊敬しちゃう。
「親方凄い! 本当に天才!」
「ガハハハ! お嬢、もっと褒めても良いぜ!」
「親方、有難う! また、お願いね!」
「おうよ! なんでも言ってくれ!」
この人材も財産だ。物や金だけでない。こんな優秀な人材だって財産なんだ。
「おや、皆さんお揃いで何をされているのですか?」
と、言いながら部屋に入ってきたのは、エルフのクリスティー先生だ。
「クリスティー先生。あれ? 今日はお勉強の日でしたか?」
「いいえ、違いますよ。何やらされている様な気がして様子を見に来たのでっす。来てみて正解でした!」
おふッ、鋭い勘だ。
「これは何ですか?」
「クリスティー先生、ペンです」
「ペンってあの文字を書くペンですか?」
「はい、そのペンです」
「これは、素晴らしい! ロディ様、是非私にも1つ」
「クリスティー先生、これから試し書きをするのです。それから決められても」
「そうですか? でも、これだけ美しい物なら欲しいでっす」
ふははは、好感触じゃないか? また1つうちの領地の特産品ができたよ。
「これは、ガラスですか?」
「先生……」
「クリスティー先生でっす」
「あ、はい。クリスティー先生、全部ガラスなんです」
「素晴らしいでっす!」
ロディ兄がインクをガラスペンのペン先につける。と、そのインクが自然にペン先から吸い上げられる。
「おぉ!」
これが、『毛細管現象』なんだぜ。凄いだろう?
何かの書類の裏側なのだろう。そこに、ロディ兄が徐に書き始める。ロディ・インペラートと。
「これは良い。まだまだインクを付けなくても書ける。それに、ガラスなのにスムーズだ」
「それは、職人さんの腕ですね」
「はい。ちょっと凝りました!」
確かに、凝ったのだろう。前世の物と遜色ない出来だ。
「これな、水にペン先を浸してみな」
と、親方が言う。ロディ兄がペン先を濯ぐ水に浸した。
「お、いいね。直ぐにペン先が綺麗になる。色を変えても良いんだね」
「兄さま、絵具を使っても良いですね」
「ココ、本当だね」
「これも便利だろう? アッと言う間にペン先が綺麗になるんだ」
「ロディ様、是非1本!」
「アハハハ。クリスティー先生、気に入りましたか?」
「これを気に入らない人なんていないでしょう。これもココ様の発案ですか?」
「そうなのですよ。昨日、ココが突然言い出したんです」
「ココ様のそのアイデアはどこから出てくるのでしょう。不思議でっす」
すまんね、前世の知識なんだよ。だから、俺はパクッただけなんだ。なんか、すっごい後ろめたいんだが。
「お嬢、堂々としていてください」
「そうですぅ」
「え、そう?」
「そうッス」
なら、いいや。ま、便利になるからいいよね。
「じゃあ、ココ。これで出来るね」
「はい、兄さま。作ります」
「おや? 何を作るのですか?」
「クリスティー先生、ココが考えたのです。文字を覚える為の教材と、子供用の絵本と言う物ですよ」
「絵本とは何でしょう?」
「子供用の絵が多くて文字の大きい本だそうですよ」
「それはまた素晴らしいでっす。ココ様、大変良い事を思い付かれましたね!」
「クリスティー先生、有難うございます」
「出来上がったら是非、私も見てみたいでっす」
「はい、クリスティー先生」
さ、俺はもう用事ないし。さっさと部屋に戻って教材作りをしたいな。
「ココ様、見学してもよろしいですか?」
え、クリスティー先生。どうして?
「別に構いませんけど。どうしてですか?」
「見てみたいのでっす。ココ様の才能を!」
いや、才能って程じゃないよ。ドワーフの親方とかを見ているとさ、俺なんて大したことないよ。
「ココ様、なにもないところから何かを生み出すのは大変な事です。そして、素晴らしい事なのでっす!」
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