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第3章 領地の防御
74ーガラスペン
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俺の目の前に並んだ、鉛筆擬き。これがまた、芯が太いのから細いのまでよくできている。
「兄さま、凄いです!」
「うん、良い出来だね」
「これ、便利ですよ」
「ああ、いちいちインクをつけなくても良いんだからね。それに持ち運びができる」
「はい!」
それで、この鉛筆を作ったのがまた……
「ガハハハッ! 俺の手に掛かればこれ位朝飯前よ!」
そう。ドワーフの親方だ。親方、才能が溢れているぜッ! 何気に万能じゃん!
「親方、天才!」
「ワハハハ! お嬢! なんでも言いな!」
「有難う!」
裏に作業場を建てていた。丁度良い木くずが沢山あったのだそうだ。
この親方、ロディ兄の説明を聞いて先ずやった事が、その木くずを利用して1枚の板に溝を掘ったんだそうだ。
細長い1枚の板に、縦に何本か細くて長いみぞをつけ、その中に芯を入れて作ったんだ。その芯もよく考えてある。真っ黒な炭を粉々に潰してそこに粘土をまぜた。そして、1度火を入れて焼いたんだそうだ。その発想が凄い。俺ならそのまま使っちゃうよ。そして、ポキポキとすぐに折れる芯の出来上がりになっちゃうよ。
親方は炭に粘土を混ぜ、そして焼いた。1度火をいれる事で折れにくくなるんだ。
あとは、また板を被せて接着し切るだけだ。しかも、持ちやすい様に六角形にしてカットしてある。転がりにくく持ちやすい形なんだ。
「ワハハハ! 簡単だったぜ! あのミシンに比べたら簡単すぎるな! 朝飯前だ!」
そりゃそうだ。ミシンと鉛筆を比べたら駄目だろう。でも、これでとっても便利になる。
「お嬢、これは俺達も使えるぞ。木に目印をつけるのに便利だ」
「そうでしょう? 絶対便利よ」
「ああ。いちいちインクを付ける必要がないんだからな。にじんだりしねーしな」
「ココ、これも特産品にしよう」
「え、兄さま。本当ですか?」
「ああ。商人には必需品になるだろう」
「でも、きっと誰でも真似して作れちゃいますよ」
「だろうから先に商人ギルドへ登録しておくよ」
おう。さすがロディ兄だよ。この世界、何故か商品の登録制があるんだ。作り方をギルドに登録するんだ。前世で言う特許の様なものだ。争いにならない様にらしい。
あれは何だ? どうやって作るんだ? 作り方はあるのか? と、思った人は商人ギルドへ問い合わせるんだ。そして、作り方があればお金を出して買う。無ければ考えた作り方を登録するんだ。
今後は鉛筆の作り方を売る訳だ。ボロ儲けじゃん。
「あと、親方。ガラスの方だけど」
「ああ、ロディ様。職人に話してあるからいつでも行くといい。また、何を作るんだ?」
「親方、ペンよ」
「ほう、ガラスでか?」
「そう。ガラスの先にね細い溝をつけるの。そしたら、インクを吸い上げてくれて何度もインクを付けなくてもよくなるわ。それに、書き心地も違うはずよ」
「お嬢はよくそんな事を思いつくなぁ」
「そう?」
「ああ。そうだ」
「そうだね、ココの発想力は普通じゃないよ」
いやいや、前世にあった物なんだよ。俺が発明した訳じゃない。なんか後ろめたいなぁ。
そして、俺達はガラス工房に来ている。何故か、ロディ兄やドワーフの親方も一緒だ。
「そりゃ、お嬢。気になるじゃねーか」
「そうだね」
……だそうだ。
俺は早速、ガラスペンを説明する。折角だから、ペン先と軸の一体型の分をオーダーする。
「そうそう。そこでね、こう……軽くグニッと捻ってみて」
「え、お嬢様。ここでですか?」
「そうよ。そしたら良い模様にならない?」
「なるほど……色を2色使っても綺麗ですね」
「そうね。贈り物に良いかも」
「ココ……これはまた……」
「え? 兄さま、何ですか?」
「これは、貴族の間で流行るよ」
「そうですか? でも、ただのガラスですよ」
「いや、造形が美しい」
「そうですか?」
「これも商人ギルドに登録しないといけないね」
そんなものか? ただのガラスをペン型にしただけなんだが。
「先にね細く8本位の溝を入れて欲しいの」
「溝ですか……これ位でしょうか?」
「もっと細くできる?」
「ええ、できますよ……と、こんなもんですか?」
「うん! 完璧だわ!」
と、俺は何もしていない。横から口を出しただけだ。全部、ガラス職人さんが作ってくれた。
また、上手にできたよ。いい感じだ。
「ココ、早速インクをつけてみよう」
「兄さま、ダメです。ゆっくりしっかり冷まさないといけないんです」
「そうなのかい?」
「そうですね。細いですから。あと何本か作って、明日お邸に持って行きますよ」
「じゃあ、頼んだよ」
と、言うことで邸に帰ってきた。楽しみだ。
帰ってきたら、水彩画の道具一式も届いていた。おれは、絵具と筆を確認してみる。
「兄さま、いいですね」
「そうだろう? 絵具もピンキリなんだけどね、子供用を作る事も考えて発色の良いものを持って来てもらったんだ」
「兄さま、これなら絵本も描けそうですね」
「ココ、絵本って何だい?」
「え? 子供用の本で、絵が沢山あって文字も大きい……て、ありませんか?」
「ないね。子供用の本自体が無いからね」
あ……やっちまったか?
「お嬢……」
「お嬢さまぁ……」
すまん、つい。だって俺、前世で絵本作家だったんだもん。仕方ないよ。不可抗力だ。
「お嬢って、ちょくちょくやらかすんッスよね」
「ほんとうにぃ」
「え、そんなに……?」
「そうッス」
「まあ、いいじゃない。兄さま、子供用の文字が勉強できる本を作ってみますね」
「ああ、良いね。子供の頃から文字に馴染んでいると大人になっても本に抵抗なくなるだろう。識字率が上がるかも知れない」
「はい!」
文字が読めれば、変な契約書にサインする事もなくなるだろう。あとは四則計算だ。知識は自分を助ける事にもなる。先ずはうちの領地で、文字を読み書きできて四則計算ができる事を目指そう。
「うちで保護している孤児の子達がいるだろう。その子達に先ず配布しようと思う」
うん、お試しに良いんじゃないか。
以前にも話したが、うちの領地の孤児はうちで保護するか、教会に併設されている孤児院に入っている。王都にいる様な、所謂ストリートチルドレンがいない。領民皆で気を掛けているからだ。
咲と隆もそうだった。今は立派に俺付きの従者に育ってくれている。
◇ ◇ ◇
投稿が遅くなってしまいました、すみません!ハルちゃんの番外編を考えていたのですが、つい夢中になってしまいました(^^;;
明日は、ハルちゃんの番外編を投稿できると思います!宜しくお願いします!
「兄さま、凄いです!」
「うん、良い出来だね」
「これ、便利ですよ」
「ああ、いちいちインクをつけなくても良いんだからね。それに持ち運びができる」
「はい!」
それで、この鉛筆を作ったのがまた……
「ガハハハッ! 俺の手に掛かればこれ位朝飯前よ!」
そう。ドワーフの親方だ。親方、才能が溢れているぜッ! 何気に万能じゃん!
「親方、天才!」
「ワハハハ! お嬢! なんでも言いな!」
「有難う!」
裏に作業場を建てていた。丁度良い木くずが沢山あったのだそうだ。
この親方、ロディ兄の説明を聞いて先ずやった事が、その木くずを利用して1枚の板に溝を掘ったんだそうだ。
細長い1枚の板に、縦に何本か細くて長いみぞをつけ、その中に芯を入れて作ったんだ。その芯もよく考えてある。真っ黒な炭を粉々に潰してそこに粘土をまぜた。そして、1度火を入れて焼いたんだそうだ。その発想が凄い。俺ならそのまま使っちゃうよ。そして、ポキポキとすぐに折れる芯の出来上がりになっちゃうよ。
親方は炭に粘土を混ぜ、そして焼いた。1度火をいれる事で折れにくくなるんだ。
あとは、また板を被せて接着し切るだけだ。しかも、持ちやすい様に六角形にしてカットしてある。転がりにくく持ちやすい形なんだ。
「ワハハハ! 簡単だったぜ! あのミシンに比べたら簡単すぎるな! 朝飯前だ!」
そりゃそうだ。ミシンと鉛筆を比べたら駄目だろう。でも、これでとっても便利になる。
「お嬢、これは俺達も使えるぞ。木に目印をつけるのに便利だ」
「そうでしょう? 絶対便利よ」
「ああ。いちいちインクを付ける必要がないんだからな。にじんだりしねーしな」
「ココ、これも特産品にしよう」
「え、兄さま。本当ですか?」
「ああ。商人には必需品になるだろう」
「でも、きっと誰でも真似して作れちゃいますよ」
「だろうから先に商人ギルドへ登録しておくよ」
おう。さすがロディ兄だよ。この世界、何故か商品の登録制があるんだ。作り方をギルドに登録するんだ。前世で言う特許の様なものだ。争いにならない様にらしい。
あれは何だ? どうやって作るんだ? 作り方はあるのか? と、思った人は商人ギルドへ問い合わせるんだ。そして、作り方があればお金を出して買う。無ければ考えた作り方を登録するんだ。
今後は鉛筆の作り方を売る訳だ。ボロ儲けじゃん。
「あと、親方。ガラスの方だけど」
「ああ、ロディ様。職人に話してあるからいつでも行くといい。また、何を作るんだ?」
「親方、ペンよ」
「ほう、ガラスでか?」
「そう。ガラスの先にね細い溝をつけるの。そしたら、インクを吸い上げてくれて何度もインクを付けなくてもよくなるわ。それに、書き心地も違うはずよ」
「お嬢はよくそんな事を思いつくなぁ」
「そう?」
「ああ。そうだ」
「そうだね、ココの発想力は普通じゃないよ」
いやいや、前世にあった物なんだよ。俺が発明した訳じゃない。なんか後ろめたいなぁ。
そして、俺達はガラス工房に来ている。何故か、ロディ兄やドワーフの親方も一緒だ。
「そりゃ、お嬢。気になるじゃねーか」
「そうだね」
……だそうだ。
俺は早速、ガラスペンを説明する。折角だから、ペン先と軸の一体型の分をオーダーする。
「そうそう。そこでね、こう……軽くグニッと捻ってみて」
「え、お嬢様。ここでですか?」
「そうよ。そしたら良い模様にならない?」
「なるほど……色を2色使っても綺麗ですね」
「そうね。贈り物に良いかも」
「ココ……これはまた……」
「え? 兄さま、何ですか?」
「これは、貴族の間で流行るよ」
「そうですか? でも、ただのガラスですよ」
「いや、造形が美しい」
「そうですか?」
「これも商人ギルドに登録しないといけないね」
そんなものか? ただのガラスをペン型にしただけなんだが。
「先にね細く8本位の溝を入れて欲しいの」
「溝ですか……これ位でしょうか?」
「もっと細くできる?」
「ええ、できますよ……と、こんなもんですか?」
「うん! 完璧だわ!」
と、俺は何もしていない。横から口を出しただけだ。全部、ガラス職人さんが作ってくれた。
また、上手にできたよ。いい感じだ。
「ココ、早速インクをつけてみよう」
「兄さま、ダメです。ゆっくりしっかり冷まさないといけないんです」
「そうなのかい?」
「そうですね。細いですから。あと何本か作って、明日お邸に持って行きますよ」
「じゃあ、頼んだよ」
と、言うことで邸に帰ってきた。楽しみだ。
帰ってきたら、水彩画の道具一式も届いていた。おれは、絵具と筆を確認してみる。
「兄さま、いいですね」
「そうだろう? 絵具もピンキリなんだけどね、子供用を作る事も考えて発色の良いものを持って来てもらったんだ」
「兄さま、これなら絵本も描けそうですね」
「ココ、絵本って何だい?」
「え? 子供用の本で、絵が沢山あって文字も大きい……て、ありませんか?」
「ないね。子供用の本自体が無いからね」
あ……やっちまったか?
「お嬢……」
「お嬢さまぁ……」
すまん、つい。だって俺、前世で絵本作家だったんだもん。仕方ないよ。不可抗力だ。
「お嬢って、ちょくちょくやらかすんッスよね」
「ほんとうにぃ」
「え、そんなに……?」
「そうッス」
「まあ、いいじゃない。兄さま、子供用の文字が勉強できる本を作ってみますね」
「ああ、良いね。子供の頃から文字に馴染んでいると大人になっても本に抵抗なくなるだろう。識字率が上がるかも知れない」
「はい!」
文字が読めれば、変な契約書にサインする事もなくなるだろう。あとは四則計算だ。知識は自分を助ける事にもなる。先ずはうちの領地で、文字を読み書きできて四則計算ができる事を目指そう。
「うちで保護している孤児の子達がいるだろう。その子達に先ず配布しようと思う」
うん、お試しに良いんじゃないか。
以前にも話したが、うちの領地の孤児はうちで保護するか、教会に併設されている孤児院に入っている。王都にいる様な、所謂ストリートチルドレンがいない。領民皆で気を掛けているからだ。
咲と隆もそうだった。今は立派に俺付きの従者に育ってくれている。
◇ ◇ ◇
投稿が遅くなってしまいました、すみません!ハルちゃんの番外編を考えていたのですが、つい夢中になってしまいました(^^;;
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