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第3章 領地の防御
56ー魔法の先生
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うちには俺達に教えてくれている家庭教師が何人かいる。その中でも、エルフの先生は兄2人と姉に魔法を教えていたんだ。俺は例の『鑑定式』がまだだったから教わってはいないが。
咲と隆は教わったことがあるんじゃないか?
「サキ、忘れていたわ」
「そうですねぇ。お嬢さまはまだ教わっていませんでしたしぃ」
「キリシマ、ありがとう」
「おう、お安い御用だ!」
取り敢えず、ロディ兄に相談に行くか。と、邸の中に向かおうとしたら王子が声を掛けてきた。
「ココ嬢、どこに行くんだい?」
「殿下、ロディ兄様のところへ」
「魔法の話だよね?」
「はい、そうです」
「僕も一緒に行ってもいいかな?」
「殿下、どうしてですか?」
「僕もね、守られているだけじゃ嫌なんだ」
ああ、たしかサツマイモ掘りの時に話していたか。前向きに考え行動できる。良い事だ。
「じゃあ、殿下。一緒に教わりますか?」
「いいのかい?」
「私は全然構いませんよ。でも、私は教わった事がないので足手まといになっちゃうかも知れません」
「足手まといは僕の方だよ。僕はまともに魔法を使ったことがないから」
そうなのか? でも今は13歳だよな? 8歳の鑑定式は受けているだろうから、それから5年も経っているぞ。
「鑑定式の後暫くは母と一緒に勉強したり教師も付いていたんだけどね」
ああ、そうか。母親の側室様が亡くなってから幽閉同然だったんだった。
「王子ってね、城でもどこでも守られているから魔法を使う必要がないんだ」
「はい、一緒にお勉強しましょう!」
「ありがとう!」
王子と2人してロディ兄に話した。エルフの魔法の先生に教わりたいとね。
「良いと思いますよ、殿下」
「ありがとう」
「ココも基本を全く勉強していないからね。良い機会になるんじゃないかな?」
「え、でもココ嬢は魔法を使えるのに?」
「殿下、ココが魔法を使えるのは母が面白がって教えたからなんですよ」
「え……」
「そうなんですよ」
「それであれだけ使えるとは……驚いたよ」
「1番最初に母上から教わった魔法は何だったかな?」
「兄さま、シールドです。邸を覆うようにと教わりました」
「え……凄いね」
「そうなのですか?」
「そうだよ。あんな大規模なシールドを見たことがなかったよ」
「それを母は面白がってココに教えたのですよ」
そうだ、たしかあの時母は……
「あら~! ココちゃん出来ちゃったわね! ふふふ」
なんて言って笑っていた。本当に母は何を考えていたんだって話だよ。
「ココの魔法は力業なんですよ」
「兄さま、酷いです」
「アハハハ、魔法なのに力業なんだね」
「要は魔力操作がなっていないって事だよ、ココ」
「はい、兄さま。勉強します」
「じゃあ、僕が教わった先生に話しておくよ。で、ココ」
「はい」
「どうしてそんな話になったのかな?」
ああ、そうだった。そこが大事なんだ。
俺は霧島に聞いた事をロディ兄に話した。魔石に付与する事だが、エルフが詳しいと。
「そうか、そうだね。付与魔法だから」
「はい、兄さま」
「で、そのキリシマはどこに?」
「あ、さっき外にいる時は殿下の肩にいたのに!」
「リュウ、頼むよ」
「はい、ロディ様」
あ~あ、とうとうロディ兄にまで言われてしまった。
あの、自称エンシェントドラゴン。どこ行った!
「ふふふ、キリシマは自由だからね」
「殿下、甘いです!」
「ドラゴンだからね」
「兄さま、ドラゴンはみんなあんなにフラフラしているんですか?」
「ココ、兄様にドラゴンの知り合いはいないよ」
「ふふふ」
あ、王子に笑われちゃったよ。そりゃそうだよな。ドラゴンの知り合いなんて、いなくて普通だよ。
その時だ。庭から領主隊の声が聞こえてきた。
――おおー!!
――強いなー!!
「俺様、サイキョー!!」
あ、あの声とノリは霧島だ。チラッと隆を見ると、ピュ―ッと走って行った。きっと、霧島のところへ行ったんだろう。
「アハハハ。本当に自由だね」
「兄さま、笑い事じゃありません!」
「でも、ココが力を解放したから殿下をお守りするのに支障はないんだろう?」
「はい、それは大丈夫だそうですが。兄さま、そういう問題じゃないんです!」
「ふふふ、ココ嬢。大丈夫だよ」
「殿下、そうですか?」
「確かにキリシマは自由だけどね、一緒にいて楽しいよ」
「そうですか? 殿下は無理してませんか?」
「大丈夫だよ。ああ見えて僕がそばにいる事をいつも気にかけてくれているよ」
「なら、良いのですけど」
王子は優しすぎるんだよ。もっと怒ったり自分の意見を言っても良いんだ。
今まで、迫害されていたから気持ちを抑える事が当たり前になっているんじゃないか?
「ココ、少しずつだ。焦ってはいけないよ」
「はい、兄さま」
ロディ兄に見抜かれてしまったよ。
て、事はだ。ロディ兄だって同じ事を思っているんじゃないか?
どう見ても、王子は控えめすぎる位だ。
咲と隆は教わったことがあるんじゃないか?
「サキ、忘れていたわ」
「そうですねぇ。お嬢さまはまだ教わっていませんでしたしぃ」
「キリシマ、ありがとう」
「おう、お安い御用だ!」
取り敢えず、ロディ兄に相談に行くか。と、邸の中に向かおうとしたら王子が声を掛けてきた。
「ココ嬢、どこに行くんだい?」
「殿下、ロディ兄様のところへ」
「魔法の話だよね?」
「はい、そうです」
「僕も一緒に行ってもいいかな?」
「殿下、どうしてですか?」
「僕もね、守られているだけじゃ嫌なんだ」
ああ、たしかサツマイモ掘りの時に話していたか。前向きに考え行動できる。良い事だ。
「じゃあ、殿下。一緒に教わりますか?」
「いいのかい?」
「私は全然構いませんよ。でも、私は教わった事がないので足手まといになっちゃうかも知れません」
「足手まといは僕の方だよ。僕はまともに魔法を使ったことがないから」
そうなのか? でも今は13歳だよな? 8歳の鑑定式は受けているだろうから、それから5年も経っているぞ。
「鑑定式の後暫くは母と一緒に勉強したり教師も付いていたんだけどね」
ああ、そうか。母親の側室様が亡くなってから幽閉同然だったんだった。
「王子ってね、城でもどこでも守られているから魔法を使う必要がないんだ」
「はい、一緒にお勉強しましょう!」
「ありがとう!」
王子と2人してロディ兄に話した。エルフの魔法の先生に教わりたいとね。
「良いと思いますよ、殿下」
「ありがとう」
「ココも基本を全く勉強していないからね。良い機会になるんじゃないかな?」
「え、でもココ嬢は魔法を使えるのに?」
「殿下、ココが魔法を使えるのは母が面白がって教えたからなんですよ」
「え……」
「そうなんですよ」
「それであれだけ使えるとは……驚いたよ」
「1番最初に母上から教わった魔法は何だったかな?」
「兄さま、シールドです。邸を覆うようにと教わりました」
「え……凄いね」
「そうなのですか?」
「そうだよ。あんな大規模なシールドを見たことがなかったよ」
「それを母は面白がってココに教えたのですよ」
そうだ、たしかあの時母は……
「あら~! ココちゃん出来ちゃったわね! ふふふ」
なんて言って笑っていた。本当に母は何を考えていたんだって話だよ。
「ココの魔法は力業なんですよ」
「兄さま、酷いです」
「アハハハ、魔法なのに力業なんだね」
「要は魔力操作がなっていないって事だよ、ココ」
「はい、兄さま。勉強します」
「じゃあ、僕が教わった先生に話しておくよ。で、ココ」
「はい」
「どうしてそんな話になったのかな?」
ああ、そうだった。そこが大事なんだ。
俺は霧島に聞いた事をロディ兄に話した。魔石に付与する事だが、エルフが詳しいと。
「そうか、そうだね。付与魔法だから」
「はい、兄さま」
「で、そのキリシマはどこに?」
「あ、さっき外にいる時は殿下の肩にいたのに!」
「リュウ、頼むよ」
「はい、ロディ様」
あ~あ、とうとうロディ兄にまで言われてしまった。
あの、自称エンシェントドラゴン。どこ行った!
「ふふふ、キリシマは自由だからね」
「殿下、甘いです!」
「ドラゴンだからね」
「兄さま、ドラゴンはみんなあんなにフラフラしているんですか?」
「ココ、兄様にドラゴンの知り合いはいないよ」
「ふふふ」
あ、王子に笑われちゃったよ。そりゃそうだよな。ドラゴンの知り合いなんて、いなくて普通だよ。
その時だ。庭から領主隊の声が聞こえてきた。
――おおー!!
――強いなー!!
「俺様、サイキョー!!」
あ、あの声とノリは霧島だ。チラッと隆を見ると、ピュ―ッと走って行った。きっと、霧島のところへ行ったんだろう。
「アハハハ。本当に自由だね」
「兄さま、笑い事じゃありません!」
「でも、ココが力を解放したから殿下をお守りするのに支障はないんだろう?」
「はい、それは大丈夫だそうですが。兄さま、そういう問題じゃないんです!」
「ふふふ、ココ嬢。大丈夫だよ」
「殿下、そうですか?」
「確かにキリシマは自由だけどね、一緒にいて楽しいよ」
「そうですか? 殿下は無理してませんか?」
「大丈夫だよ。ああ見えて僕がそばにいる事をいつも気にかけてくれているよ」
「なら、良いのですけど」
王子は優しすぎるんだよ。もっと怒ったり自分の意見を言っても良いんだ。
今まで、迫害されていたから気持ちを抑える事が当たり前になっているんじゃないか?
「ココ、少しずつだ。焦ってはいけないよ」
「はい、兄さま」
ロディ兄に見抜かれてしまったよ。
て、事はだ。ロディ兄だって同じ事を思っているんじゃないか?
どう見ても、王子は控えめすぎる位だ。
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