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第2章 王都からの刺客!?

48ー鑑定式 2

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「ココアリア様、どうぞご案内致します」
「ココ、いってらっしゃい」
「はい、母さま」

 俺は、呼びに来た司祭の後を付いていく。主聖堂を出てすぐ横にある小聖堂へと案内された。小さな部屋の奥には祭壇が設けられている。そこには、司教が待っていた。
 この教会の司教様。うちの兄弟の家庭教師を引き受けてくれている。だから、俺も顔見知りなんだ。そんな事もあって、まったく緊張感がない。

「ようこそお越しくださいました」
「先生、よろしくお願い致します」
「はい。大きくご立派になられました事、嬉しく存じますよ」
「ありがとうございます」
「ココアリア様がお生まれになった時の事を昨日の様に思い出します。早いものですね」

 この国の貴族は子供が生まれたら教会の司教から『祝福』を受ける。
 この世界では出産は正に命懸けだ。出血が多くても輸血なんてない。縫合という技術がない。感染症になったって抗生物質がない。
 『祝福』なんて言っているが『無事に産まれて良かったね』て、儀式だ。なにより、教会には母の様に回復魔法を使える人が多い。だから、念の為待機しているんだ。俺の時は今の司教が『祝福』してくれたらしい。

「では、お祈りを。拝見いたします」
「はい」

 俺は、小聖堂に飾られた神らしき像へ向かい膝をついて祈る。
 ぶっちゃけ、鑑定式ってなんなんだ? まさか、俺と同じ鑑定眼のスキルを持った司教が見たりするのか? 俺も鑑定眼で見てみようか? なんて事を考えていた。

「これは……ココ様をこうしてしっかり拝見するのは初めてですが……既に魔法をお使いになられますか?」
「はい。私も辺境伯家の子供ですので」
「なるほど。もしや、全属性を?」
「そうだと思います」
「ご両親の持つ属性を全て受け継がれたようですね」
「はい」

 そうなんだ。父は風属性魔法と火属性魔法。母は水属性魔法と氷属性魔法に土属性魔法、そして聖属性魔法だ。ただ、正確には全属性とは言えない。

「先生、正確には全属性ではありません」
「はい。闇属性魔法ですね」
「はい」
「闇属性魔法は聖属性魔法より希少と言われております。魔族にしか使えない魔法だとも言われております」
「はい。私は闇属性魔法を使えません」
「人間の世界では全属性と言ってもよろしいかと」
「そうですか」
「はい。魔力量も多いようです」
「先生には見えるのですか?」
「いえ、残念ながら私の力では全部を見る事はできません」

 なんだよ、ちょっと見てみよう。

「しかし、恵まれておられますよ」
「はい、ありがとうございます」
「では、神に感謝を」
「はい」

 と、まあこれだけだ。俺は元々鑑定眼をもっているから大した発見はない。そして、俺の鑑定眼の方が司教よりレベルが高かった。ぶっちゃけ、鑑定眼のスキルを持つ司教だったという訳だ。
 俺の持つ鑑定眼は最高レベルだ。それより低いレベルの司教には俺のスキルまでは見られなかったのだろう。良かったよ。鑑定眼を持っている事がバレなくてさ。ドラゴンの加護もあるしな。ちょっとホッとした。だって、無理矢理王都の教会に連れて行かれたりするのは嫌だからな。

「ココちゃん、どうだった?」
「はい、母さま。闇属性以外の全属性でした」
「そんな事分かっていた事だわね」
「母さま、実は見てみたのです」
「見たの?」
「はい。先生を」
「まあ」

 俺は、見たままを話した。鑑定眼のスキルを持つ司教だった事。だが、俺の方がスキルのレベルが高くて、鑑定眼のスキルやドラゴンの加護はバレなかった事をだ。

「良かったわ」
「なんかぁ、今更ですよねぇ」

 咲、分かってるっての。

「それより、母さま。もうお終いですか?」
「ええ。帰りましょうか?」
「母さま、早くぶどう畑に行きたいです」
「ココは好きだからね」
「はい、兄さま。大好きです!」
「ロディと先に馬車へ行ってなさい。母様は司祭様と少しお話ししてから行きますからね」
「はい、母さま」

 さてさて、次はお楽しみのぶどう畑だぜ。早く行こうぜ。

「ココ、母上が何をされているか分かるかい?」
「いえ、兄さま。何ですか?」
「司祭様と話して孤児院に寄付をされるんだ」
「そうなのですか?」
「ああ。これも、辺境伯の大事な仕事の1つなんだよ」
「じゃあ、今までにも何度か寄付をされているのですか?」
「ああ。年に何度も寄付をされている。お金だけでなく、食べ物や洋服、書物の時もあるんだ。母上だけでなく、歴代の辺境伯が続けてきた事だ。母上が仰っていただろう、子は宝だとね。未来のこの地を担う子供達を皆で育てるんだ」
「はい。兄さま」

 ぶっちゃけ、俺はそこまで全然考えていなかった。前世も困っていなかったし、今世だってそうだ。だが、この世界では生きて行く事が難しい人達だっているんだ。両親を亡くして将来が見えなくなっている子供達だっているんだ。咲と隆もそうだった。

「お嬢さまぁ、またお顔が怖いですよぅ」

 はいはい。ちょっと真面目な話をしていただけじゃないか。

「さあ、ぶどう畑に行きましょうぅ」
「そうね」

 王子の事もバレなかったし、ぶどう畑で美味しいぶどうジュースが俺達を待っているぜ!


   ◇           ◇           ◇

遅くなってしまいました!
続けて次のお話しも投稿します!
宜しくお願いします!
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