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第1章 転生後
26ーウルフ討伐 1
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「ココ、無茶はするな。ロディと防御壁の上から魔法支援だ」
「はい。兄さま、分かってます」
「よし、ではいつも通りだ! いつも通り戦えば我々は勝てる!」
父が、奮起する。ヤル気だよ。
「お嬢さまぁ、支援ですからねぇ」
「分かってるわよ」
俺は、ロディシスと一緒に防御壁で待機だ。だが、その前にまだやる事がある。
「バルト兄さま、シールドを張りますか?」
「ああ、殿下もいらっしゃる。念の為にな」
「分かりました。母さま、ロディ兄さま」
「ああ」
「ココちゃん、分かっているわ」
「よし! 各自、焦るんじゃないぞ! いつも通りだ!」
「はい」
「はい!」
俺と母、ロディシスは邸にシールドを張る為、邸の前庭へと急いだ。
領主隊が触れ回っているのだろう。既に邸の前庭には森近くに住んでいる領民達が次々と避難してきている。
「まだね。もう少し待ちましょう」
母が領民達を見て判断する。まだ避難してくる領民達がいる。それを待つんだ。
領主隊が誘導している。領民達も慣れたものだ。誰一人としてパニクっている者はいない。スムーズに避難してきている。
「奥様! 完了です!」
領主隊が叫ぶ。よし、避難完了したらしい。やるぞ!
「ロディ、ココ、いいわね」
「はい」
「はい、母さま!」
俺と母とロディ兄は、タイミングを合わせて邸を覆う様にシールドを張った。見えないんだけどな。ちゃんとシールドは張られている。
母だけでなく、ロディシスと俺は家族の中でも魔法に秀でているんだ。だから、こんな事があればいつも念の為邸にシールドを張る。
俺がシールドを展開できる様になったのは、去年からだ。母に教わったんだ。普通は、8歳だと生活魔法以外の魔法はまだ使えないらしいんだ。だって、以前に咲が言っていた8歳の時に受ける鑑定式がまだだから。でも俺は使えるんだ。何故かというと、まだ幼児の頃から母が面白がって色々教えたらあっさりと使えたらしい。普通、面白がって幼児に魔法を教えるか? 俺も戦力になれるから良い事なんだけど。
「ココ、防御壁へ行くぞ」
「はい、ロディ兄さま」
「ロディ、ココ、気をつけるのよ」
「はい!」
ロディシスの従者や咲も付いてくる。隆はまだ16歳だけど立派な戦力だ。バルトシスの従者達と一緒に森へ出ている。さあ、ウルフ種の群れ討伐開始だ。
――ドゴーーン!
――ギャアオォォォーー!!
領主隊達のウルフ討伐が始まったんだ。邸裏の防御壁から見ても、土煙が上がっている。
森の中から大きな音が聞こえてくる。断末魔の様な鳴き声や地響きだ。焦げたような匂いもする。独特の雰囲気と匂いだ。
「兄さま、多いみたいですね」
「ああ、目視で50だからね。倍位はいてもおかしくない」
「見えれば魔法で援護できるのですけど」
「まだ見えないな」
「お嬢さまぁ、あそこ多分リュウが魔法放ってますね」
「あの炎でしょう? 火事にならなきゃいいけど」
「大丈夫だろう。ああ、ほら。誰かが消してるよ」
森の中程に上がった大きな炎の柱が直ぐに消された。隆のそばにいて水属性魔法が使える者と言えばバルト兄か? だったら今頃きっと隆は頭を叩かれているかもな。森が火事になるだろうと叱られているかも。
「アハハハ! 多分そうですねぇ」
咲、お前さぁ。何で俺が思っている事が分かるんだよ?
「ココ、皆同じ事を考えていたからだ」
なぁ~る。隆、頑張れよ。焦るんじゃないぞ。隆はまだ16歳だ。討伐に出ている中では1番若い。
「あ、ウルフが見えてきましたねぇ」
咲が、森を指差す。チラホラとウルフの姿が見え隠れしている。体胴長が2mはあるだろうか。灰褐色の体色が森の木々の間から見え隠れしている。防御壁の上からでも見て分かるほどの大きさだ。数も多い。
「兄さま、引き寄せますか?」
「ああ、疎らだと意味がない。ある程度まとめて仕留めたいからね」
「はい」
「ココ嬢!」
防御壁の上に、王子がやって来た。何で来るんだよ。危ないぞ!
「殿下、邸の中にいて下さい! 危険です!」
「ココ嬢だって危ないよ!」
「殿下、ココは大丈夫ですよ」
「そうです。早く戻ってください!」
「いや、僕も此処にいる」
「殿下!」
「ココ、どうしてもと仰るのよ。母様が殿下をお守りするわ」
「母さま」
「ココ、前に集中しなさい」
「はい、母さま」
仕方がない。まあ、母がいるなら大丈夫だろう。それに、ウルフならいくら群で襲ってきても、防御壁の上なら平気だ。
「兄さま、そろそろですか?」
「ああ、僕が合図するからね」
「はい」
「サキもいいかい?」
「はいぃ! いつでもオッケーですよぅ!」
ロディ兄の言葉で俺と咲は身構えた。
※ ※ ※
『第3回次世代ファンタジーカップ』
女の子主人公はダメだそうです。ココちゃん残念です。
ハルちゃんの応援、宜しくお願いします!
「はい。兄さま、分かってます」
「よし、ではいつも通りだ! いつも通り戦えば我々は勝てる!」
父が、奮起する。ヤル気だよ。
「お嬢さまぁ、支援ですからねぇ」
「分かってるわよ」
俺は、ロディシスと一緒に防御壁で待機だ。だが、その前にまだやる事がある。
「バルト兄さま、シールドを張りますか?」
「ああ、殿下もいらっしゃる。念の為にな」
「分かりました。母さま、ロディ兄さま」
「ああ」
「ココちゃん、分かっているわ」
「よし! 各自、焦るんじゃないぞ! いつも通りだ!」
「はい」
「はい!」
俺と母、ロディシスは邸にシールドを張る為、邸の前庭へと急いだ。
領主隊が触れ回っているのだろう。既に邸の前庭には森近くに住んでいる領民達が次々と避難してきている。
「まだね。もう少し待ちましょう」
母が領民達を見て判断する。まだ避難してくる領民達がいる。それを待つんだ。
領主隊が誘導している。領民達も慣れたものだ。誰一人としてパニクっている者はいない。スムーズに避難してきている。
「奥様! 完了です!」
領主隊が叫ぶ。よし、避難完了したらしい。やるぞ!
「ロディ、ココ、いいわね」
「はい」
「はい、母さま!」
俺と母とロディ兄は、タイミングを合わせて邸を覆う様にシールドを張った。見えないんだけどな。ちゃんとシールドは張られている。
母だけでなく、ロディシスと俺は家族の中でも魔法に秀でているんだ。だから、こんな事があればいつも念の為邸にシールドを張る。
俺がシールドを展開できる様になったのは、去年からだ。母に教わったんだ。普通は、8歳だと生活魔法以外の魔法はまだ使えないらしいんだ。だって、以前に咲が言っていた8歳の時に受ける鑑定式がまだだから。でも俺は使えるんだ。何故かというと、まだ幼児の頃から母が面白がって色々教えたらあっさりと使えたらしい。普通、面白がって幼児に魔法を教えるか? 俺も戦力になれるから良い事なんだけど。
「ココ、防御壁へ行くぞ」
「はい、ロディ兄さま」
「ロディ、ココ、気をつけるのよ」
「はい!」
ロディシスの従者や咲も付いてくる。隆はまだ16歳だけど立派な戦力だ。バルトシスの従者達と一緒に森へ出ている。さあ、ウルフ種の群れ討伐開始だ。
――ドゴーーン!
――ギャアオォォォーー!!
領主隊達のウルフ討伐が始まったんだ。邸裏の防御壁から見ても、土煙が上がっている。
森の中から大きな音が聞こえてくる。断末魔の様な鳴き声や地響きだ。焦げたような匂いもする。独特の雰囲気と匂いだ。
「兄さま、多いみたいですね」
「ああ、目視で50だからね。倍位はいてもおかしくない」
「見えれば魔法で援護できるのですけど」
「まだ見えないな」
「お嬢さまぁ、あそこ多分リュウが魔法放ってますね」
「あの炎でしょう? 火事にならなきゃいいけど」
「大丈夫だろう。ああ、ほら。誰かが消してるよ」
森の中程に上がった大きな炎の柱が直ぐに消された。隆のそばにいて水属性魔法が使える者と言えばバルト兄か? だったら今頃きっと隆は頭を叩かれているかもな。森が火事になるだろうと叱られているかも。
「アハハハ! 多分そうですねぇ」
咲、お前さぁ。何で俺が思っている事が分かるんだよ?
「ココ、皆同じ事を考えていたからだ」
なぁ~る。隆、頑張れよ。焦るんじゃないぞ。隆はまだ16歳だ。討伐に出ている中では1番若い。
「あ、ウルフが見えてきましたねぇ」
咲が、森を指差す。チラホラとウルフの姿が見え隠れしている。体胴長が2mはあるだろうか。灰褐色の体色が森の木々の間から見え隠れしている。防御壁の上からでも見て分かるほどの大きさだ。数も多い。
「兄さま、引き寄せますか?」
「ああ、疎らだと意味がない。ある程度まとめて仕留めたいからね」
「はい」
「ココ嬢!」
防御壁の上に、王子がやって来た。何で来るんだよ。危ないぞ!
「殿下、邸の中にいて下さい! 危険です!」
「ココ嬢だって危ないよ!」
「殿下、ココは大丈夫ですよ」
「そうです。早く戻ってください!」
「いや、僕も此処にいる」
「殿下!」
「ココ、どうしてもと仰るのよ。母様が殿下をお守りするわ」
「母さま」
「ココ、前に集中しなさい」
「はい、母さま」
仕方がない。まあ、母がいるなら大丈夫だろう。それに、ウルフならいくら群で襲ってきても、防御壁の上なら平気だ。
「兄さま、そろそろですか?」
「ああ、僕が合図するからね」
「はい」
「サキもいいかい?」
「はいぃ! いつでもオッケーですよぅ!」
ロディ兄の言葉で俺と咲は身構えた。
※ ※ ※
『第3回次世代ファンタジーカップ』
女の子主人公はダメだそうです。ココちゃん残念です。
ハルちゃんの応援、宜しくお願いします!
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