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第三章

130ー前世の事

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 ルルの馬車の外では……

「良かったわ」
「母上、本当に。今度ばかりはもうダメかと思いました」
「ああジュード、消えた時には心臓が止まるかと思った」
「義父上、すみません。私が付いていながら。しかも2度目です」
「オヴィオさんの時の事かしら? レオンのせいじゃないわ」
「母上、そうですね。どっちも不可抗力だな」
「兄貴の言う通りだ。むしろ今回もレオンが一緒でまだ良かった」
「ああ。ジュードの言う通りだ。ルル一人だとまだまだ危なっかしい」
「義父上、義母上、ラウ、ジュード。彼方でお話が」
「ルルの事?」
「はい、義母上。ルルの前世が分かりました」
「そうか……では向こうで聞こうか」


「なんだと……! ではあのシャーロットが前世でルルとレオンを殺した張本人だと言うのか!?」
「はい、義父上。前世から既に邪神に取り込まれていたそうです。それに、シャーロットの話が切っ掛けで、ルルは前世をすべて思い出しました」
「そんな話を聞いた後になの!? ルルは大丈夫なの?」
「義母上、大丈夫です。本人は既に割り切っている様です。モモがずっと、前世はもう終わった事だ。今とは違うと言い続けてくれていた様で、それで割り切れた様です。きっとモモは知っていたのでしょう」
「モモちゃんに感謝だわね。どれだけモモちゃんに支えられているか。今でこそまだルルは落ち着いているけど、小さい時は……なんと言ったら良いか……人見知りではなくて、人を寄せ付けない子だったのよ」
「義母上、あのルルが……人を寄せ付けないですか?」
「ええ。私達家族は勿論ルルの事は愛しているわ。末っ子で、しかも上二人が男の子の下に生まれた女の子だもの。可愛くない訳がないでしょう? でも、あの子は……そうね、今から思えば人の愛情とか……いえ、人そのものを全く信じていない。そんな気持ちを知らない子だったのよ。何故私達がルルを可愛がるのか不思議だったんじゃないかしら? だからルルは今でも自己評価が低いのだと思うわ」
「そうだな。自分は放っておかれて当然だと言わんばかりだったな」
「あなた、そうね。ラウとジュードがずっと構うから、段々と慣れて二人の後を着いてまわる子になったけど。それにモモちゃんもね、不思議だったのよ。眷属だと分かっているから今は納得できるけど」
「母上、モモがですか? 俺も小さかったので覚えていませんが、気付いたら赤ちゃんだったルルのそばにもう居ましたよね?」
「ラウ、そうなのよ。何処から来たのか分からないけど、いつの間にかルルのそばにいたのよ。モモはトイプードルの頃からルルを守るかの様にずっと必ずそばにいたわ」
「そうですね、どこに行くにもモモがそばにいましたね。小さな身体で、トコトコと着いて来ていました。学園にも一緒に行きましたし、それこそ討伐の時もでしたね」
「ジュード、討伐にトイプードルが着いて行くのか?」
「レオンそうなんだ。キャンキャン鳴きながら魔物を追いかけるんだ。私がルルを守るんだ! て、言わんばかりにな」
「あー、俺だめだ。そんな話、弱いんだ。」
「何? レオン。泣きそうか? ハハハ!」
「笑うな! ジュード!」
「いつもモモちゃんに助けられてたのね」
「母上、そうですね。そして今回も」
「ああ、兄貴。俺たちモモに負けてるじゃん」
「ホントだな。前世からルルを守っているんだよな」
「前世でシャーロットが殺そうとしていた時も、モモが守っていたそうです。其れで少し生き長らえたらしいです」
「まあ! モモちゃんたら、なんて健気なのかしら!」
「しかしレオンも、前世からあのシャーロットに好かれてた、て事だろ?」
「ジュード、でも俺は全然知らないぞ。全く分からなかった」
「モテる男は皆そう言うらしいぞ」
「ラウには言われたくねー」
「なんでだよ?」
「何言ってんだよ。ラウの噂知ってるぞ」
「はぁ? 何の噂だよ?」
「ラウが夜会で、後ろで一つにまとめた長い銀髪をふんわり靡かせながら歩くと、令嬢達が思わずフラフラついて行く、みたいな伝説の持ち主だそうじゃないか?」
「ハハハハ!」
「ジュード、笑うな! そんな噂聞いた事ないぞ」
「兄貴、そりゃ本人には言わないさ」
「もう! 貴方達と話していると話が全然進まないわ!」
「全くだ。しかしルルの前世の話は本人が言い出す迄は私達からは触れないでおこう。後はルルが起きてからで良いな?」
「はい、義父上」
「じゃあ、お前達も休め。疲れただろう。ゆっくり休んで話はまた明日だ」
「はい、父上」

 おはようございます。ルルーシュアです。またまたMP使いすぎで気を失ってました。あー、良く寝たわ。
 ディアナ作のMPポーション飲んだしもう大丈夫ね。うん、身体はちゃんと動くわ。

「わふ、ルル起きたの?」
「ルルー」
「ピ」
「うん、おはよう。モモ、ルビ、ピア」
「ルル様、目が覚めましたか? おはようございます」
「リアンカ、おはよう」
「起きられますか? お食事は食べれそうですか?」
「ええ、もう大丈夫よ。着替えたいわ」
「はい、分かりました」

 ついでに皆んな纏めてクリーン。

「ルル、きっとレベルがマックスになったんじゃない?」
「モモちゃん、そうかしら?」
「落ち着いたらステータス見ておく方がいいわ」
「ん、分かった。さ、食事に行きましょう」

 喋ってるうちにさっさと着替えました。お腹が空いたわ。

「ルル、おはよう。もういいのか?」

 馬車を出ると直ぐにレオン様とケイがいました。

「レオン様、おはようございます。昨日は有難うございました」
「いや、俺はなんも出来なかったし」

 なんでよ。レオン様らしくない事を言わないで。

「レオン様がずっとそばにいてくれて心強かったですよ」
「そうか!」
「それより、レオン様。昨日邪神に捕まれてましたよね? 大丈夫ですか?」
「えっ? レオン殿下、捕まれていたとは?」
「ああケイ、なんともないんだよ。イケショタが癒してくれたんだろ?」

 あー、そうか会ったわね。イケショタ。ほんっとに頼りないんだから。どうせ癒すなら私のMPも回復してくれれば良かったじゃない。

「ルル、皆には大まかに話したけど」
「はい。レオン様、有難うございます。ちゃんと報告しないといけませんね」
「ああ、王の事もな」

 そうだった。ウザイなぁー。

「ルル、顔。」
「だってレオン様、正直ホントにウザイです」
「そうだな。元凶だもんな」

 そうよ。邪神を呼び込んだ元凶よね。そっか。だから魅了を解呪する時もあの態度だったのね。解呪させたくなかったんだ。

「ルルーシュア様! おはようございます! もう宜しいのですか?」

 朝からテンション高いなー。

「ええ、マーリソン様。有難うございます」
「ルル様、お顔色が良くなりましたね」
「ユリウス色々有難う。心配掛けたわね」
「いえ。ご無事なら何よりです」

 あー、ユリウスのこの感じ、落ち着くなー。

「ルルーシュア様! お食事にしましょう!」
「ええ、マーリソン様」
「ルルって、心の中でスッゲー色々思ってんだな」

 コラコラコラッ! レオン様、念話と勝手に心を読むのとは違うわよ。
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