上 下
105 / 137
第三章

105ー新しい剣

しおりを挟む
「本当に凄い剣だな」

 邸に向かって歩いています。

「レオン様、嬉しそうですね」
「そりゃ、嬉しいさ! あんな見事な剣、見た事ないよ! ミスリルだしな!」
「ジュード兄様! 新しい剣、試してみたいです!」 
「俺も! 試したい!」
「おいおい、お前らそう言うとこが母上に……」
「ルルーシュア様! レオン殿下!!」

 マーリソン様が駆けてきます。

「マーリソン様、どうしたの?」
「ハァ、ハァ。ルルーシュア様、レオン殿下。ドワーフの親方が!」
「親方がなに?」
「お邸でお二人を待ってます!」
「「……??」」
「何かしら?」
「ああ、何だろ?」
「レオン様、あれじゃない?」
「アレて何だよ」
「ほら、昨日のやらかした……」
「ああ…… 」
「そうなんです! レオン殿下に話を聞きたいと」

 私、知ぃーらない……

「ルルー…… 」

 知らないわよ。どうすんの?

「ルル、レオン。親方はこうなったら離してくれないぞ」
「「ええー!」」
「レオン様、もう説明して差し上げれば?」
「いや、俺だって詳しい事は知らないんだよ」
「枠組を鉄鉱石で作る位は説明してあげれば?」
「なんだよ、ルルも分かってんじゃん」
「まぁ、木材よりは、て程度よ。H鋼とか知らないもの」
「とにかく、ルル様、レオン殿下参りましょう」
「そうね、レオン様仕方ないわ」

「ルル嬢、レオン殿下! 昨日の続き教えてくれ!」

 あーほらね。もう話すまで帰らないわよ。お父様まで困ったお顔してるじゃない。

「親方、私は本当に詳しくは知らないのよ」
「俺も専門的な事は分からないんだ」
「しかし! 枠とかなんやら言ってたじゃねーか!」
「親方、その……何だ」

 お父様、助けて!

「発注した温室はだな、ディアナの薬草園にする予定なんだ。だからだなディアナも入れて、マーリソン殿も案があっただろ? レオンの話も含めて、だが全員建築の専門ではないからな。ある材料と親方の知識でこう……うまくだな。取り入れると言うかだな。それで考えてみたらどうだ?」
「公爵様、私もですか?」
「ああ、マーリソン殿は湖を真ん中にして循環させてとか言っておったじゃないか。ディアナは実際に管理する者だから意見はあるだろう。皆の知識を出し合ったら今迄にはない物が出来るんじゃないか?」

 うん、お父様。いい落とし所だわ。

「そうじゃな。それで行こう! とにかく話を聞かせてもらえるか?」

 と、言う事でこの後ディアナも含めて、温室の外観から大きさや池を作るとか水を引くとか色々話し合った様です。
 私は知りませんからね。鉄鉱石や鉱石類は色々沢山持っている事だけを話して、早々に退散してきました。
 お部屋でモモ達とマッタリしてましたわ。

 夕方になってやっとレオン様は解放された様です。

「レオン様、どうでした?」
「俺の知識なんて大した事ないさ。それよりもマーリソン殿だよ」
「マーリソン様がどうしたの?」
「俺がさ、こう温室て前世では確かこんな感じだったなぁ、て思い出しながら話をするだろ? そしたらさ、組み上げ方はこう、換気はこうとかさ、どんどん具体的に進化させて行くんだよ。あの人の頭の中はどうなってんのか。スパコンでも入ってんのか? て位だ。スゲーよ。あの人こそチートだよ」

 ふーん、そうなんだ。

「でさ、最終的に言う事が、私などルルーシュア様の足元にも及びません! だぜ?」

 やめて。ホントやめて。

「ルルはスゲー人に見込まれたな。」
「ホントにやめてほしい」
「ハハハ、いいじゃないか。今迄に見た事もない温室が出来るそうだよ」
「ディアナが納得してるなら、それでいいわ」
「ルル様、レオン殿下そろそろ夕食ですよ。食堂へどうぞ」
「リアンカ、分かったわ」
「ピー!」
「モモ、ルビ、ピア行きましょう」

「父上、それで新しい剣を試したいです」
「ジュード、俺もだ!」

 夕食です。ジュード兄様とレオン様がお父様に早速新しい剣を試したいと詰め寄っています。
 初めてのミスリルの剣ですものね。試してみたいわよね。

「ルル、全員の剣は受け取ってるんだな?」
「はい、お父様」
「後で見せてくれ」
「はい、お父様」
「では、デザートはサロンで頂きましょう」

 もしかしてお母様も早く見たいのかしら?

 テーブルにデザートとお茶が出てますが、誰も座っていません。
 サロンの真ん中にテーブルを出して其々の剣を出したら、全員剣に見入ってます。

「バロールは凄いな」
「ええ、あなた本当に凄いですわ」
「父上、試したいですね」
「兄貴、そう思うだろ?」
「まだ新しい武装があるんですよ。ユリウスが魔法を付与してくれるそうです」
「ルル、それはそれとしてだな。取り敢えず剣を試したいな」
「レオン様、そうですね。是非」
「わふっ」
「キレイなのー」
「ピー」
「皆で試すか」
「あなた…… 」
「父上」
「早速明日森へ」
「行きましょう」
「俺も行く!」


 さて……新しい剣の誘惑に勝てず、家族揃って森へ来ています。昨日、サロンで全員一致で即決でした。
 やっぱ、使ってみたいですもん。なんと言ってもミスリルの剣ですからね。
 と、言う事でピアはお留守番です。だってピアがいると魔物は出て来ませんからね。ルビもお留守番で、モモちゃんは一緒に行きます。
 ラウ兄様の従者でリルと、ジュード兄様の従者でノトスも一緒です。

「ご家族だけで討伐など! 何を考えておられるのですかッ!!」

 と、ガイウスにこっ酷く叱られたお父様はリルとノトスを同行させました。
 が……リルとノトスも新しい剣を試せるのが嬉しいみたいね。

「もっとこう、手応えのあるのが出てきてほしいな」

 剣を手首だけで回しながらジュード兄様が言ってます。

「ジュード、余裕だな」
「レオン、お前もだろ?」
「ジュード、そうね。手応えが無さすぎるわね」
「お母様まで」
「ルルだってそうだろ」
「ラウアース、皆同じだろ」
「父上、そうですね」

 このメンバーだと、多少の魔物だと瞬殺です。手応えのない事。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

処理中です...