100 / 137
第二章
100ーピアの歌
しおりを挟む
「アーデス、早々にアレイ・モルドレッドの邸を捜索せねばなるまい」
「はい、父上。これ以上、操られてはなりません」
そっちはお祖父様とお父様に任せましょう。私はと言うと……
「ユリウス、どうかしら?」
通信できる設置型の魔道具を試作している部屋に戻ってきました。
「丁度良かったです。ルル様に魔力を通して頂きたかったのです。この本体の魔石に流す感じでお願いします」
「分かったわ。もしかして、もう完成なのかしら?」
「ルル様の魔力を貯めてから動作確認をしたいのです。両方にお願いします」
「分かったわ」
ユリウスとマーリソン様が作り上げた、所謂動画で通信出来る魔道具です。一見シンプルな普通の鏡に出来上がっていました。鏡ときたら、一番綺麗なのはだあれ?て、童話みたいに言いたくなるじゃない。言わないけど。
鏡の台座部分が本体になります。そこに手を当て魔力を流します。
「おお! 早い! なんと素晴らしい!」
マーリソン様、通常運転に戻りましたね。複雑でしょうに。強いお方です。うぅっ、涙が出そうよ。
「ユリウス、こんなもんかしら?」
魔力を流すと台座につけられていた赤い魔石が、少しずつ鮮やかなブルーに変わっていきました。
「はい、ルル様。ではもう一つの方にもお願いします」
「分かったわ」
はいはい、魔力を流す位させて頂きますよ。今回は丸投げだったしね。また同じ様な台座の部分に手を当て魔力を流します。
「はい、いい感じですね。隣の部屋に分かれて試してみましょう」
ユリウスが片方を持って隣の部屋に移動します。暫くして、魔道具が光りました。光ったら着信の合図ですね。台座に触れながら応答します。
「ルル様、如何でしょう?」
鏡が変化してユリウスが映ってます。しっかり声もクリアに聞こえます。
「ユリウス、完璧よ!」
「はい! 素晴らしいです!」
「こちらも異常なしです。では、戻ります」
「ルルーシュア様、素晴らしいです!」
「作ったのはユリウスとマーリソン様じゃない。私は何もしていないわ」
「いえいえ、何を仰いますか! ルルーシュア様とレオン様のアイデアが無ければ、思い付きもしませんでした!」
ユリウスが戻ってきました。
「これで皆様にご説明しましょう」
「ユリウス殿、また新しい魔道具を開発致しましたね! 素晴らしい!」
「いえいえ、マーリソン殿のお陰ですよ」
「いえいえ、ユリウス殿の魔道具作成能力には敵いません」
「いえいえ、マーリソン殿こそ」
あれ? デジャヴ? また同じ事やってるわ。この二人、きっと気が合うのね。
「ユリウス、マーリソン様。皆にお披露目しましょう」
早速、サロンに集まってもらいました。
「ルル、完成したのか!」
「ピピ!」
ピアの相槌が入るのはレオン様です。ユリウスお願い。
「皆様、ご説明致します。これは離れた所に映像と音声を同時に届ける魔道具です。こちらのお邸と、ティシュトリア家のお邸へ設置する為に開発しました」
「ユリウス、詳しく頼む」
「はい、アーデス様。この鏡の台座の部分に手を置いて魔力を流して頂きます。するともう片方の台座に設置してある魔石が光ります。それが合図です。そしたら此方も台座に手を置いて魔力を流して下さい。すると、鏡の部分にお相手が映し出されます。それで話せます。実際にやってみましょう。では、私は隣の部屋にいきます」
と、ユリウスが部屋を出て行きます。
台座が光りました。
「お祖父様、台座に手を置いてほんの少し魔力を流して下さい」
私はお祖父様にそう説明しました。
「ルル、こうか?」
鏡にユリウスの姿が映し出されます。
「如何でしょう? お話できますか?」
「おおー、ユリウスちゃんと映ってる! 声も聞こえるぞ!」
「では、一度手を離して終了しましょう。次はそちらから魔力を流してみて下さい」
お祖父様が手を離されると、鏡からユリウスの姿が消えます。
「お祖父様、また手を置いて魔力を流して下さい」
「よし、ルルわかったぞ」
お祖父様が魔力を流すと、直ぐにユリウスが応答し姿が映し出されました。
「おお! 素晴らしいな!」
ユリウスが部屋に戻って来ました。
「これで、ティシュトリアといつでも連絡がとれます。何日もかけて文を運ぶ必要はありませんね」
「ユリウス、素晴らしい!」
お祖父様、絶賛です。
「この台座に魔石が取付けてあります。そこに魔力を貯める形にしてあります。ですので、ごく少ない魔力で作動しますので何方でも使用できるかと。ただ、台座に魔力を補充する事を忘れない様にして下さい。補充する場合は台座に手を添えて魔力を流して下さい。台座に貯めてある魔力が少なくなると、此方に取付けてある魔石が赤くなります。今はルル様が補充して下さってますので、暫く必要ないでしょう」
「素晴らしい! アーデス、ユリウスは凄いな!」
「父上、有難うございます」
「モーガン様ありがとうございます。しかし、この魔道具は私だけでなくルル様とレオン殿下、マーリソン殿のお力です」
「んー、でもなぁ…… 」
「レオン様、どうされました?」
「いや、光るだけでなくてさ、呼び出し音みたいなのがあったら、気付き易いと思わないか?」
やだレオン様。ウッカリしていたわ。
「ユリウス」
「ルル様」
「改良しましょう」
「はい、そうしましょう」
それから、何方かが魔道具を操作するとお知らせする音を追加しました。その音が、ピアのヘンテコな調子っ外れの歌声? になりました。何故かって? それは伯母様が……
「モモちゃんかルビちゃんかピアちゃんの鳴き声じゃないと嫌!!」
と、言い出したのです。
モモは当然……
「そんなの絶対に嫌」
ルビは……
「鳴かないの」
と、拒否しました。
ピアは何故か超ノリノリで、しかも振付きで歌ってました。では! 今回特別にそのピアの歌声をご披露しましょう。どうぞ!
「ピーピュピュッピュッ、ピーピピー♪」
映像をお届けできないのが残念です。プププ。
「はい、父上。これ以上、操られてはなりません」
そっちはお祖父様とお父様に任せましょう。私はと言うと……
「ユリウス、どうかしら?」
通信できる設置型の魔道具を試作している部屋に戻ってきました。
「丁度良かったです。ルル様に魔力を通して頂きたかったのです。この本体の魔石に流す感じでお願いします」
「分かったわ。もしかして、もう完成なのかしら?」
「ルル様の魔力を貯めてから動作確認をしたいのです。両方にお願いします」
「分かったわ」
ユリウスとマーリソン様が作り上げた、所謂動画で通信出来る魔道具です。一見シンプルな普通の鏡に出来上がっていました。鏡ときたら、一番綺麗なのはだあれ?て、童話みたいに言いたくなるじゃない。言わないけど。
鏡の台座部分が本体になります。そこに手を当て魔力を流します。
「おお! 早い! なんと素晴らしい!」
マーリソン様、通常運転に戻りましたね。複雑でしょうに。強いお方です。うぅっ、涙が出そうよ。
「ユリウス、こんなもんかしら?」
魔力を流すと台座につけられていた赤い魔石が、少しずつ鮮やかなブルーに変わっていきました。
「はい、ルル様。ではもう一つの方にもお願いします」
「分かったわ」
はいはい、魔力を流す位させて頂きますよ。今回は丸投げだったしね。また同じ様な台座の部分に手を当て魔力を流します。
「はい、いい感じですね。隣の部屋に分かれて試してみましょう」
ユリウスが片方を持って隣の部屋に移動します。暫くして、魔道具が光りました。光ったら着信の合図ですね。台座に触れながら応答します。
「ルル様、如何でしょう?」
鏡が変化してユリウスが映ってます。しっかり声もクリアに聞こえます。
「ユリウス、完璧よ!」
「はい! 素晴らしいです!」
「こちらも異常なしです。では、戻ります」
「ルルーシュア様、素晴らしいです!」
「作ったのはユリウスとマーリソン様じゃない。私は何もしていないわ」
「いえいえ、何を仰いますか! ルルーシュア様とレオン様のアイデアが無ければ、思い付きもしませんでした!」
ユリウスが戻ってきました。
「これで皆様にご説明しましょう」
「ユリウス殿、また新しい魔道具を開発致しましたね! 素晴らしい!」
「いえいえ、マーリソン殿のお陰ですよ」
「いえいえ、ユリウス殿の魔道具作成能力には敵いません」
「いえいえ、マーリソン殿こそ」
あれ? デジャヴ? また同じ事やってるわ。この二人、きっと気が合うのね。
「ユリウス、マーリソン様。皆にお披露目しましょう」
早速、サロンに集まってもらいました。
「ルル、完成したのか!」
「ピピ!」
ピアの相槌が入るのはレオン様です。ユリウスお願い。
「皆様、ご説明致します。これは離れた所に映像と音声を同時に届ける魔道具です。こちらのお邸と、ティシュトリア家のお邸へ設置する為に開発しました」
「ユリウス、詳しく頼む」
「はい、アーデス様。この鏡の台座の部分に手を置いて魔力を流して頂きます。するともう片方の台座に設置してある魔石が光ります。それが合図です。そしたら此方も台座に手を置いて魔力を流して下さい。すると、鏡の部分にお相手が映し出されます。それで話せます。実際にやってみましょう。では、私は隣の部屋にいきます」
と、ユリウスが部屋を出て行きます。
台座が光りました。
「お祖父様、台座に手を置いてほんの少し魔力を流して下さい」
私はお祖父様にそう説明しました。
「ルル、こうか?」
鏡にユリウスの姿が映し出されます。
「如何でしょう? お話できますか?」
「おおー、ユリウスちゃんと映ってる! 声も聞こえるぞ!」
「では、一度手を離して終了しましょう。次はそちらから魔力を流してみて下さい」
お祖父様が手を離されると、鏡からユリウスの姿が消えます。
「お祖父様、また手を置いて魔力を流して下さい」
「よし、ルルわかったぞ」
お祖父様が魔力を流すと、直ぐにユリウスが応答し姿が映し出されました。
「おお! 素晴らしいな!」
ユリウスが部屋に戻って来ました。
「これで、ティシュトリアといつでも連絡がとれます。何日もかけて文を運ぶ必要はありませんね」
「ユリウス、素晴らしい!」
お祖父様、絶賛です。
「この台座に魔石が取付けてあります。そこに魔力を貯める形にしてあります。ですので、ごく少ない魔力で作動しますので何方でも使用できるかと。ただ、台座に魔力を補充する事を忘れない様にして下さい。補充する場合は台座に手を添えて魔力を流して下さい。台座に貯めてある魔力が少なくなると、此方に取付けてある魔石が赤くなります。今はルル様が補充して下さってますので、暫く必要ないでしょう」
「素晴らしい! アーデス、ユリウスは凄いな!」
「父上、有難うございます」
「モーガン様ありがとうございます。しかし、この魔道具は私だけでなくルル様とレオン殿下、マーリソン殿のお力です」
「んー、でもなぁ…… 」
「レオン様、どうされました?」
「いや、光るだけでなくてさ、呼び出し音みたいなのがあったら、気付き易いと思わないか?」
やだレオン様。ウッカリしていたわ。
「ユリウス」
「ルル様」
「改良しましょう」
「はい、そうしましょう」
それから、何方かが魔道具を操作するとお知らせする音を追加しました。その音が、ピアのヘンテコな調子っ外れの歌声? になりました。何故かって? それは伯母様が……
「モモちゃんかルビちゃんかピアちゃんの鳴き声じゃないと嫌!!」
と、言い出したのです。
モモは当然……
「そんなの絶対に嫌」
ルビは……
「鳴かないの」
と、拒否しました。
ピアは何故か超ノリノリで、しかも振付きで歌ってました。では! 今回特別にそのピアの歌声をご披露しましょう。どうぞ!
「ピーピュピュッピュッ、ピーピピー♪」
映像をお届けできないのが残念です。プププ。
65
お気に入りに追加
1,086
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる