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第二章

95ー魔道具が思いつかない

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「父上、兄上。実は増えているんです」

 お父様が説明されます。

「アーデス、増えてるとは?」
「それがその、一頭増えました。まだ赤ちゃんだそうですが」
「それもルルか?」

 お祖父様、其の言い方はないわ。

「まあ、ルルと言うか、モモと言うか、レオンと言うか」
「なんだ?」
「まあ、見て頂ければ分かります」
「なあに? 何の事?」
「ソアレ、驚くぞ」

 前より増えてるから、伯父様も驚くと思いますよ。

「あなた、何かしら?」

 ――コンコン

「お連れしました」
「失礼致します。ルル様」
「リアンカ、みんな入ってきて」
「わふっ」
「なにー?」
「ピー」

 モモと、モモにのったルビ、フワフワ浮いているピアが入ってきました。

「「「……!!!!」」」

 ほぉ~ら、驚いた。

「あなた、あの小さいモモちゃんが……!」
「わふっ!」

 モモ、今後退りしたわね。

「伯母様、モモです」
「わふ」
「カーバンクルのルビです」
「ルビなのー」
「お祖父様、伯父様、伯母様ドラゴンの赤ちゃんでピアです」
「ピー」

 ピアは片手を上げます。

「ッ! 可愛いい!!」

 伯母様がモモと、モモに乗っているルビを一度に抱き締めました。

「わふっ!」
「ルルちゃん、いつの間にこんなに可愛い子達を!」
「ハハハ、伯母様」
「ピ……」

 流石、伯母様。ピアが驚いて固まってます。

「ルル、伯母上てこんな人?」

 レオン様が小さな声で聞いてきます。

「そうなの。我が道を行く人なの。動じなくて、可愛いモノが大好きなのよ。モモは小さい頃から結構被害にあってるわ」
「「ルル!」」
「はい!?」

 お祖父様と伯父様に同時に呼ばれました。

「どうしてこうなった!?」

 お祖父様、声が大きいし。

「え? え? 何がですか?」
「白いのが増えてるじゃないか!?」

 伯父様まで!?

「はい、湖龍らしいです。ドラゴンの赤ちゃんでピアです」
「ピ」

 またピアが片手を上げます。

「なんて可愛いの! ちゃんとご挨拶してくれてるのね! お義父様、お義母様、もう今すぐティシュトリアに行きましょう!」
「ソアレ、落ち着きなさい」
「だって、あなたー! もう王都はいいじゃないですかー! 息子達も王都は嫌だと帰ってこないし。あんな王なんてもう放っておきましょうよ!」

 あーー……伯母様言っちゃったよー。

 翌日、朝からお祖父様とお父様は捕縛した者達を王城まで連行して行かれました。
 魅了を解呪されていない物達が起こした事件の実行犯です。
「魅了の解呪は終わっている。」
 なんて、この証拠を前にどの口が言うのか。
 私達はお祖父様のお邸で待機です。そして私はユリウスとマーリソン様に捕まっています。

「ルル様」
「ルルーシュア様」
「………… 」
「ルル様」
「ルルーシュア様」
「…………………… 」

 さっきからこの繰り返しです。そこへ救世主が!

「ルル、どうした? 3人共難しい顔して、怖いぞ」

 レオン様です! 肩に白いドラゴンの赤ちゃんを乗せた皇子様登場! ケイに注意されてから、ピアはレオン様の肩に乗るようになりました。お利口さんね。

「レオン様! 丁度良いところに!」
「え? えっ? あ、俺用事が…… 」
「ピ…… 」
「どんな用事ですか!?」

 逃げないで! 腕を捕まえちゃったわ。

「いや、ルル。怖いから」
「ピ?」
「レオン様、アイデアを下さい!」
「なんだよ?」

 ユリウスお願い。

「レオン殿下、このお邸とティシュトリア邸との連絡手段に、会話ができる設置型の魔道具を作りたいのですが、構想が全く浮かばず困っています」
「設置型かぁ」

 レオン様が耳打ちされます。

「ルル、固定電話て事か?」
「そうなの。でもあの前世のピッポッパッてボタンのある固定電話しか思い浮かばなくて」
「そうか…… 魔道具か…… 」
「魔力の少ない人でも使える様に、少し大き目の魔石を元に作ろうかと思案しているのですが、そこから全く」
「んー。じゃあ、あれだ。その魔石を元にして、受話器の様な物を手に取ってそこに少しの魔力を流すと起動するみたいな?」
「受話器とは何でしょう?」

 ユリウスが聞きます。そりゃ、そうよね。この世界にはないもの。

「あれだ、手に持って聞いたり話す物? かな?」
「成る程…… 」
「手に持つか、カチューシャみたいに頭に引っ掛けるか、耳に引っ掛けるかして、音声を聞いて話せる様にすればいいかしら? そっちにも小さくていいから魔石を使ったら元側、本体? と繋げやすいのではないかしら?」
「ふむふむ」

 マーリソン様が何か考えてるわ?

「じゃあ、ルルーシュア様。元と言うか本体と呼びますが、そっちの大きめの魔石に魔力を溜められる様にしておけば、よりどんな人でも使えますね」
「うん、それいいわね。後は形ね」
「ルル様、寧ろその形が一番難関でして。全く思いつかないのです」

 あー、私もだわ。美術の感性なんてないからなぁ。

「使用しない時に本体に置いておくと、魔力が充填されたりすると便利ですね」

 ユリウス、何それ充電器じゃない。

「あー、ルル。俺も思った」
「ピ…… 」

 私、言葉にしてないわよ? ピアは自分も話に加わってるつもりなのかしら? その相槌はなに? コクコクと頷いて可愛過ぎる!

「いっその事、伯母様の好きそうな可愛いのにする? 全然魔道具ぽくなくて良いんじゃない?」
「ルル様、流石にそれはちょっと…… 」

 あら、ユリウスどうして?

「ルル様、若奥様の好みを甘く見てはいけません。若奥様の好みを優先すると、きっと皆引いてしまうかと」
「なんだそれ? そんなになのか?」
「ピー?」
「レオン様、そうなのですよ」
「ユリウス殿、そこまでとは思えませんでしたが?」
「マーリソン殿、昔から魔道具を依頼されて作る度に、「可愛くないわ、やり直し」と、何度も作り直させられましたから」
「じゃあもう、単純に器型でよくないか?使わない時は音声を聞く方をそこに入れておく、みたいな」

 うん、もうそれでいいわ。

「置物の飾りに見えたらカモフラージュできますね」

 ユリウス、カモフラージュする必要があるのかしら?

「いやもう置物にするならさ、一層の事こうパネルみたいな鏡みたいなのに話しかけて映像ごと送れるのに出来ないのか? そしたら複数人で話せるしな。誰かが本体に触っていれば良しみたいなさ」
「ピピ!」

 レオン様、突拍子もない……事もないか。出来るか?

「ユリウス」
「ルル様」
「ルルーシュア様!」
「レオン様、そうするわ!」
「ええー!」
「ピピー!」

 今まで考えてた時間を返してほしい気分だわ。朝から3人でずっと考えてたのよ。ユリウスもマーリソン様も乗り気だし。この二人はチャレンジャーだからね。難しい物程燃えるのよ。
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