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第一章
37ー断罪後
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パーティー会場近くの別室へ移動し、陛下が仰います。
「モーガン叔父上、此度の件知っておられたのですね?」
陛下と王妃様、第1王子殿下、第2王子殿下、それにお祖父様一家、ティシュトリア家、そしてジュノー様とお父上のマールス・クロノス侯爵が集まっています。
陛下の問いに、お祖父様が答えられました。
「陛下、こうなるまで捨て置かれたのは失敗でしたな。魅了に気付いたのはレオン殿下とルルーシュアですが、誰が見ても男爵令嬢は異常でした。気付いておられませんでしたか? 陛下の影から報告はありませんでしたか? 王妃様、甘やかすにも程がありますな」
そしてマールス・クロノス侯爵が静かに話し出されました。
「畏れながら陛下、私は娘がズッと泣いて我慢しているのを見てきました。最初はバッカス殿下も物珍しいだけだろうと、娘を宥めもしました。しかし、どんどん酷くなっていきました。陛下は全く気付かれなかったのですか? 少しもですか? こんなバカな茶番に娘を引き出され蔑ろにされ無い罪まできせられ、それでもバッカス殿下に娘は支えなければなりませんか!? バッカス殿下が仰っていた様にさっさと婚約破棄致しましょう!」
「待って下さい! マールス侯爵! 私はジュノー嬢と婚約破棄するつもりなどありません! 幼少期からズッと私の妃はジュノー嬢だと思ってきたのです!」
バッカス殿下、正気に戻ったのでしょうね、でももう遅いわよ。
「殿下はいったい何を……何を仰っている!!!!」
マールス侯爵がこんなに激怒されるとは、想像もしませんでした。
「マールス・クロノス侯爵! 私は操られていたのです!」
「失礼ながら、バッカス殿下! 殿下に付け込まれる隙があったからでしょうが! 娘は心に傷を負いました。殿下の浮ついた甘えた気持ちが、皆に迷惑を掛けたとお分かりになりませんか? 学園での殿下の生活態度は褒められたものではありませんぞ。この国の王子であるという矜持はお持ちですか? それで貴族達の上に立てますか!?」
「……ッ!」
マールス・クロノス侯爵の怒りの籠った言葉に第2王子は言葉がなくなりました。
「陛下、大変失礼を申しました。如何様にでも罰して頂いて構いません。だが、私は娘を連れ帰ります。今後王家とは縁を結ぶつもりは御座いません」
「マールス・クロノス侯爵、ジュノー嬢。処分するつもりなどない。此度は迷惑を掛けた。バッカス、お前は謹慎だ。此度の事は王子として許される事ではない」
「父上!」
「兵よ、バッカスを連れて行け」
「父上!!」
「シャーロット・プロセル男爵令嬢は地下牢へ。追って沙汰を下す」
私はジュノー様の肩を抱き支えています。気丈にも涙一つ流さず堂々とされてますが、身体は震えていらっしゃいます。
「叔父上、ティシュトリア公爵、迷惑を掛けた。許してほしい」
陛下が謝罪の言葉を仰り退出されました。
「モーガン叔祖父上、ティシュトリア公爵、我が弟が大変迷惑を掛けてしまいました。兄として心から申し訳なく思います」
「ディーユ殿下、バッカス殿下の件はこれで終息するでしょうが、まだ問題は残っておりますぞ」
お祖父様、そうです。サクソン・モルドレッド侯爵の企みがまだ残っています。
「モーガン叔祖父上、それは!?」
「ディーユ殿下、日を改めましょう。本日は、まだ混乱しているだろうパーティーを収めなければなりません」
「そうでした……」
その後、ディーユ殿下のお言葉でパーティーはお開きになりました。
魔道具を使って証明した事で、魅了されていた事による第2王子の暴走は明らかです。ですが、ジュノー様が婚約破棄された事実は変わりません。
その後、ジュノー様がどうなるのか……心配です。
その頃、城の地下。牢に入れられたシャーロット・プロセル男爵令嬢は……
「ねえ、そこの兵士さぁん。出してくださらないかしらぁ? わたしは何も悪くないのよぉ」
――キラン……
「…………」
「ねぇ、兵士さぁん! 聞いてるのぉ!?」
――キラキララン……
「どおしてぇ? どおして急に効かなくなったのよぅ? せっかく隠しキャラのレオン殿下がいらしてたのにぃ。わたしのイチ押しなのよぅ。ルルーシュア様の婚約者だなんて、そんな設定なかったわぁ。どうなってるのぉ? わたしはヒロインなのよぅ! この世界はわたしのためにあるのよぅ!」
「………………」
「ねえ、兵士さぁん! 出してぇ!」
――キラン……キラン……
見張りの兵士の腕に、真っ黒に変わった石が光るブレスレットがありました。
「……はぁ……」
お祖父様のお邸に戻ってきました。
皆、着替えもせずサロンに集まってます。言葉が出てきません。
「しかし、サクソン・モルドレッド侯爵の企みは潰せてないからな」
お祖父様が最初に話されました。
「私とケイで、持ち出した帳簿ですが保管しております。頃合いを見て提出されるのが宜しいかと」
ユリウスとケイは無事に持ち出せていたのね。
「ユリウス、ケイもご苦労だったな」
お父様が仰いました。
「いえ。せっかく持ち出したので、念の為マーリソン殿の魔道具で全て映像として残しております」
「そうか、いざとなったら使えるな」
――コンコン
「皆様、マールス・クロノス侯爵とジュノー嬢がお越しです」
ジュノー様……!
「ああ、此方にお通ししてくれ」
「モーガン殿下、ティシュトリア公爵家の皆様。この度は我が娘ジュノーをお救い下さり、心より感謝申し上げます」
「皆様、本当に有難うございました」
「無事に婚約破棄の署名を終えました」
お二人で頭を下げられました。
「ジュノー様、よく頑張られました!」
「ルル様! 私、私……!」
ポロポロ涙を流されて……気を張っておられたんですね。私はジュノー様を抱き締めます。
「これから大変な事もあるでしょうが、どうか気をしっかりお持ちなさいな」
お母様も慰められます。
「有難うございます」
ジュード兄様が立ち上がり……
「落ち着いたら、ティシュトリア領まで遊びにおいで。案内するから。ね……」
ジュノー様の頭をポンポンてされています。
「はいッ、ジュード様、有難うございます」
皆、ジュード兄様とジュノー様をニヤニヤして見ています。
……ん? あれ? えっ? ジュノー様を抱き締めてる私はお邪魔かしら?
え? そうなの? いやいや、婚約破棄したとこだし、まさか……え? マジ?
「モーガン叔父上、此度の件知っておられたのですね?」
陛下と王妃様、第1王子殿下、第2王子殿下、それにお祖父様一家、ティシュトリア家、そしてジュノー様とお父上のマールス・クロノス侯爵が集まっています。
陛下の問いに、お祖父様が答えられました。
「陛下、こうなるまで捨て置かれたのは失敗でしたな。魅了に気付いたのはレオン殿下とルルーシュアですが、誰が見ても男爵令嬢は異常でした。気付いておられませんでしたか? 陛下の影から報告はありませんでしたか? 王妃様、甘やかすにも程がありますな」
そしてマールス・クロノス侯爵が静かに話し出されました。
「畏れながら陛下、私は娘がズッと泣いて我慢しているのを見てきました。最初はバッカス殿下も物珍しいだけだろうと、娘を宥めもしました。しかし、どんどん酷くなっていきました。陛下は全く気付かれなかったのですか? 少しもですか? こんなバカな茶番に娘を引き出され蔑ろにされ無い罪まできせられ、それでもバッカス殿下に娘は支えなければなりませんか!? バッカス殿下が仰っていた様にさっさと婚約破棄致しましょう!」
「待って下さい! マールス侯爵! 私はジュノー嬢と婚約破棄するつもりなどありません! 幼少期からズッと私の妃はジュノー嬢だと思ってきたのです!」
バッカス殿下、正気に戻ったのでしょうね、でももう遅いわよ。
「殿下はいったい何を……何を仰っている!!!!」
マールス侯爵がこんなに激怒されるとは、想像もしませんでした。
「マールス・クロノス侯爵! 私は操られていたのです!」
「失礼ながら、バッカス殿下! 殿下に付け込まれる隙があったからでしょうが! 娘は心に傷を負いました。殿下の浮ついた甘えた気持ちが、皆に迷惑を掛けたとお分かりになりませんか? 学園での殿下の生活態度は褒められたものではありませんぞ。この国の王子であるという矜持はお持ちですか? それで貴族達の上に立てますか!?」
「……ッ!」
マールス・クロノス侯爵の怒りの籠った言葉に第2王子は言葉がなくなりました。
「陛下、大変失礼を申しました。如何様にでも罰して頂いて構いません。だが、私は娘を連れ帰ります。今後王家とは縁を結ぶつもりは御座いません」
「マールス・クロノス侯爵、ジュノー嬢。処分するつもりなどない。此度は迷惑を掛けた。バッカス、お前は謹慎だ。此度の事は王子として許される事ではない」
「父上!」
「兵よ、バッカスを連れて行け」
「父上!!」
「シャーロット・プロセル男爵令嬢は地下牢へ。追って沙汰を下す」
私はジュノー様の肩を抱き支えています。気丈にも涙一つ流さず堂々とされてますが、身体は震えていらっしゃいます。
「叔父上、ティシュトリア公爵、迷惑を掛けた。許してほしい」
陛下が謝罪の言葉を仰り退出されました。
「モーガン叔祖父上、ティシュトリア公爵、我が弟が大変迷惑を掛けてしまいました。兄として心から申し訳なく思います」
「ディーユ殿下、バッカス殿下の件はこれで終息するでしょうが、まだ問題は残っておりますぞ」
お祖父様、そうです。サクソン・モルドレッド侯爵の企みがまだ残っています。
「モーガン叔祖父上、それは!?」
「ディーユ殿下、日を改めましょう。本日は、まだ混乱しているだろうパーティーを収めなければなりません」
「そうでした……」
その後、ディーユ殿下のお言葉でパーティーはお開きになりました。
魔道具を使って証明した事で、魅了されていた事による第2王子の暴走は明らかです。ですが、ジュノー様が婚約破棄された事実は変わりません。
その後、ジュノー様がどうなるのか……心配です。
その頃、城の地下。牢に入れられたシャーロット・プロセル男爵令嬢は……
「ねえ、そこの兵士さぁん。出してくださらないかしらぁ? わたしは何も悪くないのよぉ」
――キラン……
「…………」
「ねぇ、兵士さぁん! 聞いてるのぉ!?」
――キラキララン……
「どおしてぇ? どおして急に効かなくなったのよぅ? せっかく隠しキャラのレオン殿下がいらしてたのにぃ。わたしのイチ押しなのよぅ。ルルーシュア様の婚約者だなんて、そんな設定なかったわぁ。どうなってるのぉ? わたしはヒロインなのよぅ! この世界はわたしのためにあるのよぅ!」
「………………」
「ねえ、兵士さぁん! 出してぇ!」
――キラン……キラン……
見張りの兵士の腕に、真っ黒に変わった石が光るブレスレットがありました。
「……はぁ……」
お祖父様のお邸に戻ってきました。
皆、着替えもせずサロンに集まってます。言葉が出てきません。
「しかし、サクソン・モルドレッド侯爵の企みは潰せてないからな」
お祖父様が最初に話されました。
「私とケイで、持ち出した帳簿ですが保管しております。頃合いを見て提出されるのが宜しいかと」
ユリウスとケイは無事に持ち出せていたのね。
「ユリウス、ケイもご苦労だったな」
お父様が仰いました。
「いえ。せっかく持ち出したので、念の為マーリソン殿の魔道具で全て映像として残しております」
「そうか、いざとなったら使えるな」
――コンコン
「皆様、マールス・クロノス侯爵とジュノー嬢がお越しです」
ジュノー様……!
「ああ、此方にお通ししてくれ」
「モーガン殿下、ティシュトリア公爵家の皆様。この度は我が娘ジュノーをお救い下さり、心より感謝申し上げます」
「皆様、本当に有難うございました」
「無事に婚約破棄の署名を終えました」
お二人で頭を下げられました。
「ジュノー様、よく頑張られました!」
「ルル様! 私、私……!」
ポロポロ涙を流されて……気を張っておられたんですね。私はジュノー様を抱き締めます。
「これから大変な事もあるでしょうが、どうか気をしっかりお持ちなさいな」
お母様も慰められます。
「有難うございます」
ジュード兄様が立ち上がり……
「落ち着いたら、ティシュトリア領まで遊びにおいで。案内するから。ね……」
ジュノー様の頭をポンポンてされています。
「はいッ、ジュード様、有難うございます」
皆、ジュード兄様とジュノー様をニヤニヤして見ています。
……ん? あれ? えっ? ジュノー様を抱き締めてる私はお邪魔かしら?
え? そうなの? いやいや、婚約破棄したとこだし、まさか……え? マジ?
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