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第一章
26ー魔道具
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「紹介しましょう」
お父様がユリウスに手招きします。
「我が家専属魔導師のユリウスです。今回、色々と魔道具を考案作成してくれております」
ユリウスが柔らかい物腰で挨拶します。
「ユリウス・ウェールズと申します。考案作成と申しましても、ルルーシュア様の考案が殆どですので心苦しいのですが。皆様、今からお配りするブレスレットをお付け下さい」
ユリウスと試行錯誤した結果、普段からつけられる様に豪華すぎないシンプルなブレスレットにしました。
「男性はシャツの袖の中に、女性も袖の中に。肌へ直接、接する様にお着け下さい」
侍従と侍女から配られました。
透明の小さな石が所々に埋め込まれた、ブレスレットです。
「これは……本当に魔道具ですか?」
ガウェイン侯爵、そう思いますよね。だって、どう見てもアクセサリーにしか見えないですよね。
「ブレスレットをご覧下さい。透明の石が埋め込まれているのがお分かりになるでしょうか?」
「可愛いブレスレットですね。普段から着けたくなりますわ」
エレイン嬢、良い事言いました! だって武骨な物は嫌ですもん。
「そう言って頂けると、半分成功です。これは常に着けて頂きたいのです」
「男性も常にですか」
ガウェイン侯爵が仰ってます。
「はい、これは魔道具です。状態異常、その中でも魅了をレジストする魔法を付与しております」
「「魅了ですと…!?」」
「そんな……もう失われたスキルではないのですか?」
侯爵様お二人が驚いてらっしゃいます。
「ルル、ご説明しなさい」
お父様からご指示です。
「はい、では私からご説明致します。実は私、鑑定と言うスキルを持っております」
「鑑定ですか……それは一体どういった?」
クロノス侯爵、不思議そうです。
「対象者のスキルや状態等を見る事ができます」
「それは、何といいますか……例えば、私がスキルを持っていれば自由に見る事ができると言う事ですか?」
「お父様、ルル様が無闇矢鱈とスキルを使って見たりなさる訳ないじゃないですか」
あら、エレイン嬢が嬉しい事を言ってくれました!
「はい、まさかそんな不躾なことは致しません。ですが、今日お茶会で鑑定スキルを使用しました。私の婚約者であるレオン殿下からアドバイスを頂き、本日お茶会に出席されていた令嬢のお一人を鑑定致しました」
「ルル様、シャーロット・プロセル男爵令嬢ですね?」
「その通りよ、エレイン様。鑑定結果はもうお分かりだと思いますが、シャーロット嬢は魅了を使われておりました」
「「なんとっ!!」」
令嬢のパパお二人、驚いてますね。
「レオン殿下、お願いします」
皇子モードのレオン様に説明をバトンタッチです。
「ああ、私から説明させて頂く。魅了とは、文献でしか見る事のないスキルとお思いでしょう。確かに、実際に目で確認する事はできないので、そう思われても仕方ありません。ルルーシュア嬢の様に、鑑定スキルでもない限り。鑑定スキルを持っていても、魅了のレベルが高ければ見られない可能性があります。しかし、帝国には実際に魅了を使われた過去があるのです。それも、たった3代前の陛下の治世時にです。帝国では、ティシュトリア公爵夫人の血統に、まれにですが鑑定スキルを持った者が産まれております。3代前に魅了を使われた際も、公爵夫人の家系の鑑定スキルを持った者が見破り事なきを得ております。今回の男爵令嬢の周りの状況と似通っていた事もあり、念の為に今日のお茶会での鑑定を勧めたのです」
侯爵お二人や令嬢も固まってますね。
「では……では、学園でのあの不自然な取り巻き様も、魅了のせいだったのですか?」
ジュノー令嬢がポロポロ涙を流されました。
「ジュノー様、私は早くに学園を出てしまいましたので存じ上げなかったのですが、辛い思いをされていたのですね。でも、今ここにいる皆はジュノー様を助けようと集まったのですよ。皆、ジュノー様の味方です」
「ルルーシュア様、皆様、本当にどう感謝してよいのか……」
もう、ジュノー様涙が止まりませんよ。
「さ、ジュノー。落ち着いてお話を聞こうじゃないか」
「はい、お父様」
「では、ご説明させて頂きます」
ユリウスが魔道具の説明を始めました。
「先程も申し上げた様に、これは魔道具です。ルルーシュア様と私とで魅了を防ぐ効果を付与しております。これを着けた方が、もしも魅了を使われたら魔道具が反応してビリッと刺激があります。そして、埋め込まれた透明の石が漆黒へと変わります。腕への刺激と、石の色の変化で確認できます。先程、お話にありました様に、彼の男爵令嬢は頻繁に魅了を使用している様です。ですので、必ずこの魔道具を身に付けてご自分を守って下さい。私からは以上です。ご質問が御座いましたら……」
「これは王家の方々にも?」
エレイン様のお父様です。
「はい、勿論です。王家の方々には早急にお渡しするつもりです。また、第2王子の誕生日パーティーに参加される主要な方々の分も作成するつもりでおります」
「そんな数をですか!」
「はい、会場内で何が起こるか予測できませんので。出来る限りの準備をしたいと思います」
「なんとも……言葉がないな……」
「この魔道具をつければ、現在魅了されている方々も正気に戻られるのでしょうか?」
うん、エレイン様良い質問だわ。
「残念ながら、分かりません。掛けようとする魅了はレジストできますが、もう既に掛けられている魅了に関してはなんとも……。私の予測ですが、魅了されている期間にもよるのではないかと考えます。つまり、1年より1ヶ月、1ヶ月より1週間、1週間より1日です。しかし別途、状態異常を回復する解呪薬も試作中です。完成すれば魅了はとけましょう。ですが、まずは魅了を防ぐ事が大事です。お渡しした魔道具を必ず身につけて下さい。パーティー以外でもです。どこで遭遇するか分かりませんので」
「分かりましたわ。肌身離さず身につけます」
「他にご質問がなければ……では、私からは以上でございます」
ふぅ……空気が重い……。
紅茶飲もうっと。
お父様がユリウスに手招きします。
「我が家専属魔導師のユリウスです。今回、色々と魔道具を考案作成してくれております」
ユリウスが柔らかい物腰で挨拶します。
「ユリウス・ウェールズと申します。考案作成と申しましても、ルルーシュア様の考案が殆どですので心苦しいのですが。皆様、今からお配りするブレスレットをお付け下さい」
ユリウスと試行錯誤した結果、普段からつけられる様に豪華すぎないシンプルなブレスレットにしました。
「男性はシャツの袖の中に、女性も袖の中に。肌へ直接、接する様にお着け下さい」
侍従と侍女から配られました。
透明の小さな石が所々に埋め込まれた、ブレスレットです。
「これは……本当に魔道具ですか?」
ガウェイン侯爵、そう思いますよね。だって、どう見てもアクセサリーにしか見えないですよね。
「ブレスレットをご覧下さい。透明の石が埋め込まれているのがお分かりになるでしょうか?」
「可愛いブレスレットですね。普段から着けたくなりますわ」
エレイン嬢、良い事言いました! だって武骨な物は嫌ですもん。
「そう言って頂けると、半分成功です。これは常に着けて頂きたいのです」
「男性も常にですか」
ガウェイン侯爵が仰ってます。
「はい、これは魔道具です。状態異常、その中でも魅了をレジストする魔法を付与しております」
「「魅了ですと…!?」」
「そんな……もう失われたスキルではないのですか?」
侯爵様お二人が驚いてらっしゃいます。
「ルル、ご説明しなさい」
お父様からご指示です。
「はい、では私からご説明致します。実は私、鑑定と言うスキルを持っております」
「鑑定ですか……それは一体どういった?」
クロノス侯爵、不思議そうです。
「対象者のスキルや状態等を見る事ができます」
「それは、何といいますか……例えば、私がスキルを持っていれば自由に見る事ができると言う事ですか?」
「お父様、ルル様が無闇矢鱈とスキルを使って見たりなさる訳ないじゃないですか」
あら、エレイン嬢が嬉しい事を言ってくれました!
「はい、まさかそんな不躾なことは致しません。ですが、今日お茶会で鑑定スキルを使用しました。私の婚約者であるレオン殿下からアドバイスを頂き、本日お茶会に出席されていた令嬢のお一人を鑑定致しました」
「ルル様、シャーロット・プロセル男爵令嬢ですね?」
「その通りよ、エレイン様。鑑定結果はもうお分かりだと思いますが、シャーロット嬢は魅了を使われておりました」
「「なんとっ!!」」
令嬢のパパお二人、驚いてますね。
「レオン殿下、お願いします」
皇子モードのレオン様に説明をバトンタッチです。
「ああ、私から説明させて頂く。魅了とは、文献でしか見る事のないスキルとお思いでしょう。確かに、実際に目で確認する事はできないので、そう思われても仕方ありません。ルルーシュア嬢の様に、鑑定スキルでもない限り。鑑定スキルを持っていても、魅了のレベルが高ければ見られない可能性があります。しかし、帝国には実際に魅了を使われた過去があるのです。それも、たった3代前の陛下の治世時にです。帝国では、ティシュトリア公爵夫人の血統に、まれにですが鑑定スキルを持った者が産まれております。3代前に魅了を使われた際も、公爵夫人の家系の鑑定スキルを持った者が見破り事なきを得ております。今回の男爵令嬢の周りの状況と似通っていた事もあり、念の為に今日のお茶会での鑑定を勧めたのです」
侯爵お二人や令嬢も固まってますね。
「では……では、学園でのあの不自然な取り巻き様も、魅了のせいだったのですか?」
ジュノー令嬢がポロポロ涙を流されました。
「ジュノー様、私は早くに学園を出てしまいましたので存じ上げなかったのですが、辛い思いをされていたのですね。でも、今ここにいる皆はジュノー様を助けようと集まったのですよ。皆、ジュノー様の味方です」
「ルルーシュア様、皆様、本当にどう感謝してよいのか……」
もう、ジュノー様涙が止まりませんよ。
「さ、ジュノー。落ち着いてお話を聞こうじゃないか」
「はい、お父様」
「では、ご説明させて頂きます」
ユリウスが魔道具の説明を始めました。
「先程も申し上げた様に、これは魔道具です。ルルーシュア様と私とで魅了を防ぐ効果を付与しております。これを着けた方が、もしも魅了を使われたら魔道具が反応してビリッと刺激があります。そして、埋め込まれた透明の石が漆黒へと変わります。腕への刺激と、石の色の変化で確認できます。先程、お話にありました様に、彼の男爵令嬢は頻繁に魅了を使用している様です。ですので、必ずこの魔道具を身に付けてご自分を守って下さい。私からは以上です。ご質問が御座いましたら……」
「これは王家の方々にも?」
エレイン様のお父様です。
「はい、勿論です。王家の方々には早急にお渡しするつもりです。また、第2王子の誕生日パーティーに参加される主要な方々の分も作成するつもりでおります」
「そんな数をですか!」
「はい、会場内で何が起こるか予測できませんので。出来る限りの準備をしたいと思います」
「なんとも……言葉がないな……」
「この魔道具をつければ、現在魅了されている方々も正気に戻られるのでしょうか?」
うん、エレイン様良い質問だわ。
「残念ながら、分かりません。掛けようとする魅了はレジストできますが、もう既に掛けられている魅了に関してはなんとも……。私の予測ですが、魅了されている期間にもよるのではないかと考えます。つまり、1年より1ヶ月、1ヶ月より1週間、1週間より1日です。しかし別途、状態異常を回復する解呪薬も試作中です。完成すれば魅了はとけましょう。ですが、まずは魅了を防ぐ事が大事です。お渡しした魔道具を必ず身につけて下さい。パーティー以外でもです。どこで遭遇するか分かりませんので」
「分かりましたわ。肌身離さず身につけます」
「他にご質問がなければ……では、私からは以上でございます」
ふぅ……空気が重い……。
紅茶飲もうっと。
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