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第一章
21ーケイ登場
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討伐したリザードマンを、隊員達が纏めて集めてくれていたので無限収納に全部入れてしまいます。王都に着いたら売ります。魔物は、大抵なんでも売りますよ。
そして半日かけて湿地帯を抜け、馬車は辺り一面草原の街道を進んでいます。後少しで王都です。
ぴょこぴょこと角ウサギが跳ねているのが見えます……あ、隊員が走って狩りに行ったわ。角ウサギのお肉は淡白で美味しいのよ。
もう直ぐ最後の野営地です。今夜野営したらもう明日は王都が見える筈です。
途中、カーバンクルのルビを保護したり、リザードマンの巣を殲滅し闇の魔石を浄化回収したりと色々ありましたが、無事に王都へ着きそうです。
第2王子の誕生日パーティーには我家も招待されてますが、その前にお父様のご実家であるお祖父様のお邸にお邪魔します。
調査する事があるので、目立って不審がられない様にと自由に動く為です。我が家は良くも悪くも目立つのです。
お祖父様は前王の弟、王弟殿下にあたります。ですので我が家も王家の血統になりますね。私は辺境の領地で産まれ育ったので、そんな堅苦しい感じではないわよ。それにお母様、現王家が嫌いみたいだしね。
最後の野営地で、レオン様の影という人と合流しました。
「私の影を紹介しておきます。影と言っても、帝国では私の従者でもあるケイです。先に王都へ潜入させておりました」
おー。レオン様、皇子殿下らしい。
「公爵家の皆様、お初にお目にかかります。帝国ではレオン殿下の従者兼影をしておりますケイと申します。此度はレオン殿下の急な訪問をお許し下さり、感謝致します」
レオン様、やっぱり急な訪問だったのね。そうよね、だって皇子殿下なのに一人で訪問て、おかしいもんね。
ケイと紹介されたレオン様の従者兼影。くすんだマロン色した短めの髪で前髪にだけゴールドのメッシュが入っていて茶色の瞳、身長はレオン様より少し低いかな? スレンダーな身体つきは、いかにも身軽そうで、腰にはよく分からない武器を装備してます。武器を除いたら、一見どこにでもいそうな平民の格好をしてます。
「あれで、身体中に武器を隠し持ってるんだぞ」
とレオン様は言います。
「いや、気にする必要はない。ルルーシュアや息子達と仲良くされている。先に王都へ入っていたそうだが、収穫はあったのか?」
「公爵様、寛大なお言葉をありがとうございます。調査の方ですが、まだ大まかになのですが全体像を調べて参りました」
ケイの情報を纏めると……
黒幕のサクソン・モルドレッド侯爵は巧妙に裏工作をしているらしい。
と、言うのも汚職は三重帳簿になっていて、1つは勿論正規に表に出している帳簿、2つ目は第1王子が不正をしている様に見せかけた帳簿、最後に実際の裏帳簿が存在するらしい。所謂、税金や公金の着服ね。
もし見つかっても、いかにも第1王子が着服していた様に見せかけた帳簿を態々用意してある、て事ね。
そして、ちゃっかり本当の着服した裏帳簿も存在すると。悪どいわー。
踊らされている第2王子はと言うと……
例の男爵令嬢、シャーロット・プロセル男爵令嬢。とんでもない令嬢で、昼間は堂々と王城に入り第2王子と会っている。なのに、夜は他の貴族のバカ息子と逢瀬を重ねているらしい。
肝心の婚約破棄を言い渡す理由はまだ確実には掴み切っていないらしい。そりゃあ、もう二人共学園を卒業しているから定番の虐め等は使えないわよね。
「それにサクソン・モルドレッドは邸に多数の荒くれ者を待機させております」
「父上、不正に関してはその3つ目の帳簿、本当の裏帳簿を手に入れておけば済む話ではないでしょうか?」
ラウ兄様、ごもっとも。
「それがラウアースそう簡単には行かないらしい」
「レオンどういう事だ?」
「今回、ケイが潜伏捜査をして分かった事なんだが、魔道具で簡単には帳簿を持ち出せない様になっているらしい」
「はい。帳簿の確認は出来ましたが、持ち出す事はできませんでした」
「魔道具ですか……」
ユリウスが反応しましたね。きっとアレですね。アレ。
「ルル様、変な顔をしてますよ」
まぁ、ユリウスったら酷い!
「ユリウス茶化さないで。アレでしょ? リザードマンの巣にあった魔石と繋がったのではなくて?」
「ルル様、その通りです。やはり魔導士の存在がありますね。その魔道具の実物を見てみたいものです」
「それともう1点。男爵令嬢を調べていて妙な話を耳にしました」
妙な話?
「男爵令嬢は、第2王子の婚約者が思っていた令嬢ではないと、言っているそうです」
「ケイ、それはどういう事だ?」
「はい、殿下。男爵令嬢は第2王子の婚約者は本当はルルーシュア様の筈だと言っていたそうです。学園の卒業パーティーにルルーシュア様が出席されなかったのもおかしいと。お陰で予定が狂ったと」
「なんだって……」
「嫌だわ。あんな第2王子の婚約者がルルだなんて、どうしてそんな話が出るのかしら?」
あら、お母様眉間に皺がよっていますよ。
「ルル嬢、学園の卒業パーティーは出席しなかったのか?」
「ええ、レオン様。以前にも申しました様に、私は早々に全単位を取得しておりましたので卒業パーティーの頃は既に領地へ戻っておりましたわ」
「そうか……」
「では、いいかな? まとめるぞ。今後の事だ。ラウアースと私達は、王都に入ったら内密でボールイン・ガウェイン侯爵に会おう。ケイは引き続き不正の方の証拠を集めてくれ。ジュードはユリウスと一緒に魔導士の存在を追うんだ。女性陣は母上と打ち合わせをして、社交会の方から男爵令嬢を探ってくれ。モモとルビは不自由かけるが、邸から出ないように。フェンリルとカーバンクルなど目立ってしまうからな。明日は王都だ。時間があまりない。だが皆、焦らず其々充分に気を引き締めていこう」
「そうね、お父様の仰る通りね。今夜は早く休みましょう。ルル、私達は社交会担当よ。王都に入ったらしっかりドレスアップしてもらうわよ」
えぇー!? お母様ー! お顔が怖いですー! なんて言えないので、笑顔でお返事です。
「はい、お母様」
「じゃあ俺はルル嬢をエスコートしようかな」
またレオン様。いつも余計な一言だわ。それよりレオン様、ちょっとこっちにいらして。と、手で合図します。
「そんな事よりレオン様。男爵令嬢の発言が気になりますね?」
「そうだな、可能性が大きくなったな」
そうです。男爵令嬢も前世の記憶があって、レオン様の言ってらした乙ゲーの内容を知っているのではないかと言う可能性です。なんだか嫌な感じがしますね。
「ケイ、ご苦労様。私はルルーシュアよ。さぁ、あなたも座って。お食事は?」
「ルルーシュア様、お初にお目に掛かります。どうか、お気遣いなく」
「ちゃんと食べなきゃ駄目よ? サンドイッチ食べる? バーガーの方がいいかしら?」
私が無限収納からホイホイ出します。
「リアンカ! スープ残ってないかしら? ケイに入れてあげて」
「はい、ルル様」
「殿下……! ルルーシュア様は今何処から……!?」
あ、やっちゃった。ケイはまだ知らなかったんだわ。
「ケイ、無限収納だ。父上には手紙で報告したが、聞いていなかったか?」
「なんと!! 無限収納ですか! いや、それよりこの食べ物は!?」
そうか、ケイは無限収納より食べ物なのね。
「ケイ、まぁ食べてみろ。美味いぞー!」
さ、食べて、食べて!
「では、頂いて……‼︎」
「さ、スープもどうぞ」
リアンカが出してくれます。
パクッと口に入れた途端、ケイの目がビックリ目になりました。スープもかき込んでます。
「あれ? 美味しくなかったかしら?」
「ルル嬢、違うぞ。コレは美味すぎてビックリしている顔だ」
そう? そうなの?
「殿下! ルルーシュア様! この様に美味い物を食べた事がありません!」
「そうだろ、そうだろ。美味いだろ?」
「殿下、まさかなかなか戻って来ない原因はコレですか……!?」
あら、レオン様は食い気?
「いや、なんでだよ!! 俺はルル嬢といたいんだよ!」
「「……」」
「ルル嬢、ケイ、なんだよ二人とも、その目は!?」
「だって……ねえ」
「ルルーシュア様、なかなかよく殿下の事を理解してらっしゃる。安心致しました」
あらそうかしら?
「此度は殿下の我儘を気持ち良く受け入れて下さり、誠に感謝致します。勝手に決めて、さっさと出発していくものですから、ご挨拶の品を用意する暇がなく面目も御座いません」
「そうだったのね。気にしないで。お父様は気にしてないから」
「寛大なお言葉、有難う御座います」
「あー、なんか俺って我儘皇子に聞こえるんだけど」
「おや、我儘でないと思ってらしたのですか? 思い返せば殿下が8歳の時です。突然、『ボクは大きくなったらお城を出て冒険者になりますッ!』などと言い出してからと言うもの……」
フフフ、子供の声真似までしてる。ケイて面白いなー。
「ケイ! ストップ! もういいから!」
「ケイ、色々聞かせてほしいわ!」
面白そうだわ!
「ルル嬢、やめろ……!」
そんなこんなで夜が過ぎて行きました。
そして半日かけて湿地帯を抜け、馬車は辺り一面草原の街道を進んでいます。後少しで王都です。
ぴょこぴょこと角ウサギが跳ねているのが見えます……あ、隊員が走って狩りに行ったわ。角ウサギのお肉は淡白で美味しいのよ。
もう直ぐ最後の野営地です。今夜野営したらもう明日は王都が見える筈です。
途中、カーバンクルのルビを保護したり、リザードマンの巣を殲滅し闇の魔石を浄化回収したりと色々ありましたが、無事に王都へ着きそうです。
第2王子の誕生日パーティーには我家も招待されてますが、その前にお父様のご実家であるお祖父様のお邸にお邪魔します。
調査する事があるので、目立って不審がられない様にと自由に動く為です。我が家は良くも悪くも目立つのです。
お祖父様は前王の弟、王弟殿下にあたります。ですので我が家も王家の血統になりますね。私は辺境の領地で産まれ育ったので、そんな堅苦しい感じではないわよ。それにお母様、現王家が嫌いみたいだしね。
最後の野営地で、レオン様の影という人と合流しました。
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おー。レオン様、皇子殿下らしい。
「公爵家の皆様、お初にお目にかかります。帝国ではレオン殿下の従者兼影をしておりますケイと申します。此度はレオン殿下の急な訪問をお許し下さり、感謝致します」
レオン様、やっぱり急な訪問だったのね。そうよね、だって皇子殿下なのに一人で訪問て、おかしいもんね。
ケイと紹介されたレオン様の従者兼影。くすんだマロン色した短めの髪で前髪にだけゴールドのメッシュが入っていて茶色の瞳、身長はレオン様より少し低いかな? スレンダーな身体つきは、いかにも身軽そうで、腰にはよく分からない武器を装備してます。武器を除いたら、一見どこにでもいそうな平民の格好をしてます。
「あれで、身体中に武器を隠し持ってるんだぞ」
とレオン様は言います。
「いや、気にする必要はない。ルルーシュアや息子達と仲良くされている。先に王都へ入っていたそうだが、収穫はあったのか?」
「公爵様、寛大なお言葉をありがとうございます。調査の方ですが、まだ大まかになのですが全体像を調べて参りました」
ケイの情報を纏めると……
黒幕のサクソン・モルドレッド侯爵は巧妙に裏工作をしているらしい。
と、言うのも汚職は三重帳簿になっていて、1つは勿論正規に表に出している帳簿、2つ目は第1王子が不正をしている様に見せかけた帳簿、最後に実際の裏帳簿が存在するらしい。所謂、税金や公金の着服ね。
もし見つかっても、いかにも第1王子が着服していた様に見せかけた帳簿を態々用意してある、て事ね。
そして、ちゃっかり本当の着服した裏帳簿も存在すると。悪どいわー。
踊らされている第2王子はと言うと……
例の男爵令嬢、シャーロット・プロセル男爵令嬢。とんでもない令嬢で、昼間は堂々と王城に入り第2王子と会っている。なのに、夜は他の貴族のバカ息子と逢瀬を重ねているらしい。
肝心の婚約破棄を言い渡す理由はまだ確実には掴み切っていないらしい。そりゃあ、もう二人共学園を卒業しているから定番の虐め等は使えないわよね。
「それにサクソン・モルドレッドは邸に多数の荒くれ者を待機させております」
「父上、不正に関してはその3つ目の帳簿、本当の裏帳簿を手に入れておけば済む話ではないでしょうか?」
ラウ兄様、ごもっとも。
「それがラウアースそう簡単には行かないらしい」
「レオンどういう事だ?」
「今回、ケイが潜伏捜査をして分かった事なんだが、魔道具で簡単には帳簿を持ち出せない様になっているらしい」
「はい。帳簿の確認は出来ましたが、持ち出す事はできませんでした」
「魔道具ですか……」
ユリウスが反応しましたね。きっとアレですね。アレ。
「ルル様、変な顔をしてますよ」
まぁ、ユリウスったら酷い!
「ユリウス茶化さないで。アレでしょ? リザードマンの巣にあった魔石と繋がったのではなくて?」
「ルル様、その通りです。やはり魔導士の存在がありますね。その魔道具の実物を見てみたいものです」
「それともう1点。男爵令嬢を調べていて妙な話を耳にしました」
妙な話?
「男爵令嬢は、第2王子の婚約者が思っていた令嬢ではないと、言っているそうです」
「ケイ、それはどういう事だ?」
「はい、殿下。男爵令嬢は第2王子の婚約者は本当はルルーシュア様の筈だと言っていたそうです。学園の卒業パーティーにルルーシュア様が出席されなかったのもおかしいと。お陰で予定が狂ったと」
「なんだって……」
「嫌だわ。あんな第2王子の婚約者がルルだなんて、どうしてそんな話が出るのかしら?」
あら、お母様眉間に皺がよっていますよ。
「ルル嬢、学園の卒業パーティーは出席しなかったのか?」
「ええ、レオン様。以前にも申しました様に、私は早々に全単位を取得しておりましたので卒業パーティーの頃は既に領地へ戻っておりましたわ」
「そうか……」
「では、いいかな? まとめるぞ。今後の事だ。ラウアースと私達は、王都に入ったら内密でボールイン・ガウェイン侯爵に会おう。ケイは引き続き不正の方の証拠を集めてくれ。ジュードはユリウスと一緒に魔導士の存在を追うんだ。女性陣は母上と打ち合わせをして、社交会の方から男爵令嬢を探ってくれ。モモとルビは不自由かけるが、邸から出ないように。フェンリルとカーバンクルなど目立ってしまうからな。明日は王都だ。時間があまりない。だが皆、焦らず其々充分に気を引き締めていこう」
「そうね、お父様の仰る通りね。今夜は早く休みましょう。ルル、私達は社交会担当よ。王都に入ったらしっかりドレスアップしてもらうわよ」
えぇー!? お母様ー! お顔が怖いですー! なんて言えないので、笑顔でお返事です。
「はい、お母様」
「じゃあ俺はルル嬢をエスコートしようかな」
またレオン様。いつも余計な一言だわ。それよりレオン様、ちょっとこっちにいらして。と、手で合図します。
「そんな事よりレオン様。男爵令嬢の発言が気になりますね?」
「そうだな、可能性が大きくなったな」
そうです。男爵令嬢も前世の記憶があって、レオン様の言ってらした乙ゲーの内容を知っているのではないかと言う可能性です。なんだか嫌な感じがしますね。
「ケイ、ご苦労様。私はルルーシュアよ。さぁ、あなたも座って。お食事は?」
「ルルーシュア様、お初にお目に掛かります。どうか、お気遣いなく」
「ちゃんと食べなきゃ駄目よ? サンドイッチ食べる? バーガーの方がいいかしら?」
私が無限収納からホイホイ出します。
「リアンカ! スープ残ってないかしら? ケイに入れてあげて」
「はい、ルル様」
「殿下……! ルルーシュア様は今何処から……!?」
あ、やっちゃった。ケイはまだ知らなかったんだわ。
「ケイ、無限収納だ。父上には手紙で報告したが、聞いていなかったか?」
「なんと!! 無限収納ですか! いや、それよりこの食べ物は!?」
そうか、ケイは無限収納より食べ物なのね。
「ケイ、まぁ食べてみろ。美味いぞー!」
さ、食べて、食べて!
「では、頂いて……‼︎」
「さ、スープもどうぞ」
リアンカが出してくれます。
パクッと口に入れた途端、ケイの目がビックリ目になりました。スープもかき込んでます。
「あれ? 美味しくなかったかしら?」
「ルル嬢、違うぞ。コレは美味すぎてビックリしている顔だ」
そう? そうなの?
「殿下! ルルーシュア様! この様に美味い物を食べた事がありません!」
「そうだろ、そうだろ。美味いだろ?」
「殿下、まさかなかなか戻って来ない原因はコレですか……!?」
あら、レオン様は食い気?
「いや、なんでだよ!! 俺はルル嬢といたいんだよ!」
「「……」」
「ルル嬢、ケイ、なんだよ二人とも、その目は!?」
「だって……ねえ」
「ルルーシュア様、なかなかよく殿下の事を理解してらっしゃる。安心致しました」
あらそうかしら?
「此度は殿下の我儘を気持ち良く受け入れて下さり、誠に感謝致します。勝手に決めて、さっさと出発していくものですから、ご挨拶の品を用意する暇がなく面目も御座いません」
「そうだったのね。気にしないで。お父様は気にしてないから」
「寛大なお言葉、有難う御座います」
「あー、なんか俺って我儘皇子に聞こえるんだけど」
「おや、我儘でないと思ってらしたのですか? 思い返せば殿下が8歳の時です。突然、『ボクは大きくなったらお城を出て冒険者になりますッ!』などと言い出してからと言うもの……」
フフフ、子供の声真似までしてる。ケイて面白いなー。
「ケイ! ストップ! もういいから!」
「ケイ、色々聞かせてほしいわ!」
面白そうだわ!
「ルル嬢、やめろ……!」
そんなこんなで夜が過ぎて行きました。
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