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治癒の力

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 どんなに寝不足だろうと仕事はある。
 今は手元に潤沢な資金があるとはいえ、それもいつかは尽きる。そう考えれば、今の仕事を続けることは大切なのだ。
 まともに睡眠をとれずとも、今日も仕事へ行くべく顔を洗った。髪の毛を整えようと鏡を覗き込むと、そこには目の下に隈を作った、憔悴しきった男の顔がある。
 頬を上げて微笑もうとするのに、ぎこちない笑みにしかならない。
「笑顔、笑顔……」
 そう自分に言い聞かせた。こんな顔ではブブにもお客さんにも迷惑がかかってしまう。
 食欲が一切湧かず、朝食を何も口にできないまま、のろのろと支度をして部屋を出る。
 預かっている鍵で店の扉を開け、夜の営業で片付けきれなかったホールの清掃をしているところに、ブブが出勤してきた。
 そしてノアの顔を見るやいなや、慌てた表情でノアの頬を両手で掴んだ。
「弟クンと何かあったの?」
「な、なんで」
 一番触れて欲しくなかったところをザクリと指摘され、ノアはたじろいだ。
 ペタペタと顔に触れたその手だったが、ハッとした表情でその手は離れた。
「昨日は弟クンと一緒で、あんなに嬉しそうだったじゃない。弟クンも騎士様みたいな顔してノアを守ってたし。それがたった一晩でこんな酷い顔になってるんだから、原因はもうそこしかないデショ」
 ブブの言葉に、ノアは眉根を寄せた。
「そんな風に、見えてた?」
 嬉しそう?
 他人から見て、ノアはコネハと一緒にいることで、嬉しい顔をしていたらしい。本人が自覚する以上にそれは露骨だったが、ノアは全く気がついていなかった。
「アタシでよかったら話、聞くわよ?」
 優しい申し出だったが、ノアはそれに首を横に振った。
 それは自分の情けなさを吐露して、一時でも楽になるべきではないと考えたからだ。自分のしでかしたことに向き合って、いつかまたコネハと会えた時には、きちんと謝罪できるように。
「ありがとう、ブブ」
 お礼だけは言うものの、ノアはブブに一線を引く。何か言いたげに心配そうな顔をした雇い主だったが、それ以上は何も言わないでくれた。
 その後の営業時間中も、何度も気遣わしげな視線を感じて、ノアはありがたくも申し訳ない気持ちになったのだった。

 ◆ ◆ ◆

 ノアが家を飛び出して、早くも一ヶ月が経とうとしていた。賑やかなこの街にも店の雰囲気にも、ノアは随分慣れた。
「ノアちゃん~、今日も可愛いね。今度オヂサンとデートしよっ」
「はいはい、僕は誰ともデートしません。デートしたいならブブを誘ってくださいね。ささ、ご注文は?」
「んもお~、つれないな~。でもそこがイイんだよねノアちゃんは。オヂサン、ノアちゃんの頑張りをちゃんと見てるからネッ」
 腰に手を回そうとする男の手をパチンと軽くはたくと、周囲からドッと声が上がる。
「おいおい、この店の看板息子に手を出そうなんて百年早いぞお」
「俺なんか二十回は断られてるんだからな」
「ノアくんは皆のものなんだからぁ! 抜け駆け厳禁よっ」
 口々によく分からないことを言い出す常連たちに、ノアは苦笑するしかなかった。
 客あしらいも上手くなって、厨房から顔を出したブブもこちらに親指を立てている。
「ノア~、これ三番テーブルに運んでちょうだい」
「はーい」
 昼食時は目が回るほどに忙しい。だけどこの忙しさがノアには有り難かった。
 コネハを傷つけてしまったあの日のことを、一瞬でも忘れることができるから。
「今日の日替わりです」
 卓上に置いた皿の上には、今日のブブの力作が湯気を立てて乗せられている。客はそれに目を輝かせ、美味しそうに口へと運ぶ。その様子を見るのも、ノアは嬉しいものだった。
 仕事と家の往復とはいえ、街の暮らしも随分慣れ、もう人混みに驚くこともなくなった。
 安くて美味しい店や、古着屋の存在、便利な道具屋から本屋まで、想像以上のたくさんの商店があることも知った。
 気の良い常連たちは、慣れて慌てることも少なくなったノアの成長を寂しがるフリをしていたが、実際は目を細めて見守ってくれていることを、さすがのノアも気づいている。コネハと喧嘩別れをしてしまってから落ち込むノアを、心配してくれていたのも知っている。
 人間の国に来て改めて気がついた。一人で生きているつもりでも、こうやって人との繋がりはできていく。その繋がりが薄いか濃いかの違いはあれど、誰もが一人では生きていない。
 食後のテーブルを拭きながら、客の少なくなった店内にふっと目をやる。その扉の向こう側、道路に面したそこに背の高い人影を見つけてノアは目を見開いた。ひょっとしてあれはコネハではないか――ノアは一瞬、期待した。
「……っ」
 だがノアの予想に反して、開いた扉から入って来たのははひょろりとした背格好の男だった。身長もコネハより低い。身体の厚みも、顔つきも、年齢も、全然違う人間だった。
 酒を飲んできたのだろうか、男は真っ赤な顔をして、フラフラとおぼつかない足取りで店内へと踏み入れる。
 一体何を期待してしまっていたのか。内心落胆しながらも、それを振り払うようにノアは明るく声をかける。
「っ、いらっしゃいませ。こちらのテーブルどうぞ」
 ノアはこうしてずっと、何かあるごとにコネハの姿を探してしまう。来店する客や、すれ違う人混みの中でいるはずもないコネハを探す。
 あんな酷い別れ方をしたのは自分だというのに、ふらりと自分の前に現れてくれるのではないかと願っているのだ。
(身勝手すぎるよね……)
 醜い心を持つ自分は嫌なのに、それでも自分勝手な願望は捨てきれないでいた。
 テーブルへと案内した男は、どっかりと椅子に腰を降ろすと一言「酒」と言った。どうみても既に泥酔している客に、追加で酒を出しても良いのかどうか考えあぐね、ブブのいる厨房に目をやる。だが注文が落ち着いて休憩にでもいったのか、そこに彼の姿はない。
「おい、酒らって言ってるらろ!」
 男はドンとテーブルを叩き、そう居丈高に叫んだ。残っている二組の客が、チラチラと心配そうにこちらを見る。今この店の人間は自分しかいない。ノアはきゅっと唇を結んだ。
「あの、もう飲みすぎじゃないですか。お酒じゃなくって、お水かお茶にしたほうが」
「あ? 何飲もうが俺の勝手らろうが! この店はぁ、客の注文も受けらんねえのかあっ」
 酒臭い息が、ノアの顔に吹きかかる。そのムワッとした匂いに顔をしかめると、その様子に男はさらに怒りを膨らませる。
「あんだぁ、綺麗な顔してるからってその態度はよぉ! 俺がそんなに嫌らんか!」
「そういう……わけじゃ、あ!」
 胸ぐらをつかみ上げられ、ノアの軽い身体がグラリと揺れる。
 真っ赤に血走った男の瞳が、妙にギラギラとノアを睨みつけた。
「おめぇもよ、俺のこと嗤ってんだろ? 嫁にも子供にも逃げられて……仕事も無くなって……くそ! 飲まなきゃやってられっかよ!」
 男が反対の腕で、片付けていなかった別のテーブルの上を薙ぎ払う。
 床に叩きつけられた食器が、悲痛な音を立てて四散した。
 ノアが目をやると、店にいた客は既にいない。
 皆この騒動で逃げ出してくれたらしい。ノアはこんな状況にも関わらずホッとしていると、頬に鋭い痛みが走った。
「あに笑ってんだ? ああっ?」
 痛みと熱を伴い、ジンジンと痺れる頬はどうやら男に叩かれたらしい。ノアを叩いたことでさらに加熱したらしい男は、聞くに堪えない言葉で口汚くノアを罵った。
 自分には全く非がない上に、目の前の男は暴力をふるってくる。ノアも腕を振りほどき、逃げることもできたはずなのに身体が震えてしまって動かない。
 殴られたのも、こんな風に乱暴に扱われたのも、怒鳴られたことだって生まれて初めてだ。
「――そうら、お前のそのお綺麗な顔も、ぐちゃぐちゃにしてやるよっ」
 血の気を失ったノアを突き放すと、男は床に散った、皿だったものの欠片を一つ手に取った。向けられた悪意に、ノアの身体は硬直する。
「ひ……っ」
 躊躇なく自分へと向かってくるその鋭い破片に、ノアは腕を交差させるも逃げ出すこともできず、ただ目をかたく瞑った。
 次の瞬間。ゴッと固い音が聞こえて、続いて床に何かが激しく倒れこんだ。
 驚いて瞑っていた目を開くと、足元には先ほどの酔っぱらい男が白目を剥いて倒れている。
「え……ブブ……?」
 店主が助けに来てくれたんだろうかと顔を上げると、そこにあったのは長らく見慣れた精悍な顔立ちだった。ただそこには立ち上がるような怒りが滲んでいる。
「……っ、コネハ……? どうして」
「どうしてもこうしてもねぇだろ。ノアに何しようとしてたんだ、こいつは。あ?」
 突然現れたコネハは、真っ黒なフードを目深に被るも、その滲む眼光の鋭さは全く隠せていない。射殺さんばかりに倒れる男を睨みつけ、その殺気にノアの身体までもが勝手にブルリと震えた。
 コネハのブーツが、既に意識のない男の右手を容赦なく踏みつける。まだ破片を持っていた男の手から、鈍い音がした。
「ガ……!」
「その破片を? 誰に刺そうとした? あ? 下賤な人間の分際で」
 手だけに留まらず、腕や腹を蹴りつけるコネハを、ノアは慌てて後ろから抱きついて制した。人間は弱いのだ。このままでは殺しかねない。そうなったらコネハは罪人として捕まってしまう。それだけは避けなければいけない。
「だ、駄目だよコネハ! 死んじゃう! 人間は脆いんだからっ」
「だから? 別に死んでもいいだろ人間なんて。うようよ湧いて出てくるじゃねぇか」
 明らかに人間を見下すコネハの言葉は、ノアは自分が否定されたようで悲しくなった。
 だがそれはコネハが「人間」という生き物が嫌いなのであって、自分やこの国の人たちを理解しての言葉ではないはずだと思い直す。
 それに今はそれどころではなかった。コネハを殺人犯にしないためにも、一刻も早く転がる男を治療をしななければいけない。
「――おい、ノア?」
 コネハの言葉に応じず、ノアは床にしゃがみ込み、呻く男の手をそっと握った。まだ脈がある。そのことに心底安堵した。生きてさえいれば、救える。大事な弟をこんな男のせいで罪人にするわけにはいかないのだ。
 ノアは身体の中から力を移動させるイメージを作ると、手のひらからふわりと優しい光が放たれる。その光は男の身体を包み込み、まず傷だらけだった手が何もなかったかのように元へと戻った。それから痛みに呻いていた男の顔が、すうっと穏やかなものへと変わる。ノアの持つ、治癒の力だ。本来ならばこの力をこの国で使うつもりはなかった。同じように特別な力を持つ竜人とは違い、人間たちは治癒力を持たない。ノアはできるだけ、目立ちたくなかった。だがコネハのためならば、そんな自己保身など比べるまでもなかった。
「なあノア、なんでそんな奴を治癒してやるんだ? ノアに危害を加えようとした奴だぜ」
 信じられないと言わんばかりのコネハに、ノアは向き合った。コネハには、ノアが男を無条件で救おうと見えたのだろうか。
「やりすぎだよコネハ。助けてくれたのは感謝するけど魔獣相手じゃないんだから」
 思ってた以上に固い声が出て、ノアは内心臍を噛んだ。
 コネハへの心配が先に立って、皮肉めいた言い方になってしまった。これではまるで責めているように聞こえてしまう。
 視線が合わさったままの弟の表情は、案の定ノアの言葉に傷つき、悲しみに歪められてしまう。違う、そうじゃない、そんなことを言いたかったんじゃないんだと、ノアは苦しくなる自分の胸元を握った。ノアが危ないところを助けてくれた、その感謝の気持ちと喜びをきちんと伝えなければいけない。
「コネハ――」
 焦って言い直そうとしたところに、別の声が重なった。
「治癒の力……ノアくん、まさか神子様なの?」
 高揚したその声に振り返ると、そこには先ほどまで店内にいたはずの客たちとブブが立っていた。逃げ出してくれたと思っていた人たちは、どうやらブブを探しに店の裏に行ってくれていたらしい。
 そしてノアは、どうやら彼らに自分の治癒能力を見られてしまったことに気が付いた。普通の人間にはこんな力がない。治癒力があると知られたらどうなるか分からなかったから、あえてそれを隠していたのだがもう言い逃れはできない。
「あ……これは――」
 言い訳しかけたノアの手を、興奮した様子の女性客が両手で握った。
「凄い、凄いねノアくん! ただ者じゃないと思ってたけど、やっぱり凄い人だったんだ」
「ノア、あんたそんな力を持ってたの? もしかして神殿の関係者なのかい?」
「まるで、おとぎ話の神子様だ!」
 ワッと周囲に取り囲まれて、あれこれと質問攻めにあう。あたふたとしているうちに、気が付けばそこにコネハの姿は消えていた。
「あ……」
 最後に見た、あの悲しげなあの表情だけがノアの心に焼きついていた。後悔ばかりを繰り返し、結局ノアはなにも成長できないでいる。離れていった指先を恋しく思うのは、どうしてだろう。
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