ブラック社畜の俺、部屋でアニメを見ていたら説明もなしにドラゴンの跋扈する異世界に強制転移される。でも今は≪盾の聖女≫と元気に勇者やってます!
マナシロカナタ✨ラノベ作家✨子犬を助けた
文字の大きさ
大中小
45 / 58
第44話 最終作戦会議
しおりを挟む
俺とミストルティアとの決闘(及びその後のギガントドラゴンとの戦い)からちょうど10日後。
「以上が最終作戦となる『夜明けの斬首作戦』の概要となる」
偉い人たちから小隊長クラスまで。
大講堂で行われたかなりの大人数が集まった最終作戦会議にて。
戦術盤を前に熱弁を振るっていた軍師メイリンが説明を締めくくった。
その内容とは要約するとこうだ。
現在、各地で同時に大規模反転攻勢を仕掛けている人類。
ドラゴン軍団が戦線を押し返そうと本拠地に残していた親衛ドラゴン軍団を各地に派遣した隙を突いて、逆に一気に大魔竜ドラグバーンの本拠地――ドラゴンズ・ハイランドに攻め込むのだ。
その中心はもちろん勇者である俺と、俺と同じレベルで強い竜姫ミストルティア、そして俺との合体技が使える≪盾の聖女≫リュスターナ。
この3人で大魔竜ドラグバーンを直接討ってこの戦争を終わらせるのだ。
あと個人的に感じることなんだけど、この世界の人たちって『斬首作戦』みたいな、日本人がちょっとドキッとするような言葉をわりと平気で使うよね。
もちろんこの世界は人類存亡の戦いの真っ最中だから、それはある意味当然なんだろうけれど。
それでも平和な日本にいた頃の感覚がまだいまいち抜けきっていない俺は、その都度ビクッと身体を震わせてしまうのだった。
ま、俺のナイーブな心の内はさておいて。
「大魔竜ドラグバーンとの直接対決には基本的にこの3人で当たってもらう。他はすべて陽動だ。異論はないね?」
「任せとけ」
「かしこまりした」
「うん!」
もちろん俺たち3人は首を縦に振る。
「それとミストルティア。改めて確認させてもらいたいんだが、残る四天王の最後の一人は本当に出てこないんだね?」
「四天王最後の一人ハイペリオルドラゴンは人類との共存をずっと主張していて、パパ――じゃないや、大魔竜ドラグバーンのやり方を良く思ってないから、間違いなく出てこないよー」
「その情報は本当に助かるね。ゲンブドラゴンとギガントドラゴンが死に、ミストルティアが味方になった今、これで事実上ドラゴン四天王とは戦わなくていいことになるわけだから」
「これは価値ある情報だよな。最後の四天王がいつ出てくるのか警戒する必要も無いし、それを抑えるための兵力も割かなくていい。ミストルティア、よくやったぞ。お手柄だ」
俺が優しく頭をポンポンとしてやると、
「えへへ、おにーさんに褒められちゃった♪」
ミストルティアが気持ちよさそうに目を細めた。
「話を続けるよ。親衛ドラゴン軍団も出払っている今、敵の本拠地には雑兵ドラゴンしか残っていない。四天王もいない。実質、敵は大魔竜ドラグバーンだけというわけだ」
「まさに最終決戦ですね……!」
リュスターナが真剣な表情でグッと握り拳を作った。
俺も同じ思いで、身も心もギュッと引き締まるのを感じる。
だがしかし、俺には一つだけ気になっていることがあった。
「なぁミストルティア、お前はいいのか?」
「んーと? いいってなにがー?」
ミストルティアが小首をかしげる。
「だって実の父親と戦うわけだろ? ためらいとか感じたりはしないのか?」
「あはは、そんなのまったくナッシングだし! ボクはパパなんかより好きな人を選ぶもん♪」
だけどそれはもうあっさりと言われてしまった。
しかもすごくいい笑顔で。
どうやらこれも俺のナイーブな心ゆえのいらぬお節介のようだった。
やれやれ。
俺もいい加減、この世界の住人の感性を理解しないとな。
「これで会議は終了だ。さてと、最後に勇者から一言いただこうかね?」
軍師メイリンがいたずらっぽく笑いながら俺を見る。
「え? 俺!?」
「やはり勇者の言葉ともなれば、皆をおおいに勇気づけるだろうからね。ぜひ士気高揚に一役買ってくれたまえ」
「そういうのをやるんなら、先にそうと言っておいてくれよな……そうしたら演説内容を考えておいたのに」
「こういうのはあらかじめ考えた着飾った言葉じゃなくて、リアルな生の声だからいいんじゃないか」
茶目っ気たっぷりで言いながらとびっきりのウインクをするメイリン。
まったくメイリンってやつは、ほんと考えに考え抜いたうえで最善の策を提示してくるよな。
俺はメイリンと入れ替わるように前に立つと、言った。
「長々としゃべるのはあまり好きじゃないから、短く端的に言うな」
俺はそこでいったん言葉を切ると、何を言うか頭の中で整理をしながらゆっくりと全員の顔を見渡した。
皆が皆、期待と決意のこもった瞳で固唾を飲んで俺を見つめている。
俺は大きく一呼吸してから力強く宣言した。
「大魔竜ドラグバーンは俺が倒す! どんな犠牲を払っても、どれだけ苦戦しようが、勇者の俺が絶対に倒してみせる! だからみんなも最後まで絶対に諦めずに戦い抜いて欲しい! さあいざ行かん! 勝利を我らに!」
高らかに宣言すると、俺は右拳を天に突き上げた!
「「「「「「「勝利を我らに!!!!」」」」」」」
それに呼応するように大講堂にいる全員が俺の最後のセリフを復唱しながら拳を突き上げる!
大講堂はもはや統制が不可能なほどの熱狂の渦に包まれた。
「以上が最終作戦となる『夜明けの斬首作戦』の概要となる」
偉い人たちから小隊長クラスまで。
大講堂で行われたかなりの大人数が集まった最終作戦会議にて。
戦術盤を前に熱弁を振るっていた軍師メイリンが説明を締めくくった。
その内容とは要約するとこうだ。
現在、各地で同時に大規模反転攻勢を仕掛けている人類。
ドラゴン軍団が戦線を押し返そうと本拠地に残していた親衛ドラゴン軍団を各地に派遣した隙を突いて、逆に一気に大魔竜ドラグバーンの本拠地――ドラゴンズ・ハイランドに攻め込むのだ。
その中心はもちろん勇者である俺と、俺と同じレベルで強い竜姫ミストルティア、そして俺との合体技が使える≪盾の聖女≫リュスターナ。
この3人で大魔竜ドラグバーンを直接討ってこの戦争を終わらせるのだ。
あと個人的に感じることなんだけど、この世界の人たちって『斬首作戦』みたいな、日本人がちょっとドキッとするような言葉をわりと平気で使うよね。
もちろんこの世界は人類存亡の戦いの真っ最中だから、それはある意味当然なんだろうけれど。
それでも平和な日本にいた頃の感覚がまだいまいち抜けきっていない俺は、その都度ビクッと身体を震わせてしまうのだった。
ま、俺のナイーブな心の内はさておいて。
「大魔竜ドラグバーンとの直接対決には基本的にこの3人で当たってもらう。他はすべて陽動だ。異論はないね?」
「任せとけ」
「かしこまりした」
「うん!」
もちろん俺たち3人は首を縦に振る。
「それとミストルティア。改めて確認させてもらいたいんだが、残る四天王の最後の一人は本当に出てこないんだね?」
「四天王最後の一人ハイペリオルドラゴンは人類との共存をずっと主張していて、パパ――じゃないや、大魔竜ドラグバーンのやり方を良く思ってないから、間違いなく出てこないよー」
「その情報は本当に助かるね。ゲンブドラゴンとギガントドラゴンが死に、ミストルティアが味方になった今、これで事実上ドラゴン四天王とは戦わなくていいことになるわけだから」
「これは価値ある情報だよな。最後の四天王がいつ出てくるのか警戒する必要も無いし、それを抑えるための兵力も割かなくていい。ミストルティア、よくやったぞ。お手柄だ」
俺が優しく頭をポンポンとしてやると、
「えへへ、おにーさんに褒められちゃった♪」
ミストルティアが気持ちよさそうに目を細めた。
「話を続けるよ。親衛ドラゴン軍団も出払っている今、敵の本拠地には雑兵ドラゴンしか残っていない。四天王もいない。実質、敵は大魔竜ドラグバーンだけというわけだ」
「まさに最終決戦ですね……!」
リュスターナが真剣な表情でグッと握り拳を作った。
俺も同じ思いで、身も心もギュッと引き締まるのを感じる。
だがしかし、俺には一つだけ気になっていることがあった。
「なぁミストルティア、お前はいいのか?」
「んーと? いいってなにがー?」
ミストルティアが小首をかしげる。
「だって実の父親と戦うわけだろ? ためらいとか感じたりはしないのか?」
「あはは、そんなのまったくナッシングだし! ボクはパパなんかより好きな人を選ぶもん♪」
だけどそれはもうあっさりと言われてしまった。
しかもすごくいい笑顔で。
どうやらこれも俺のナイーブな心ゆえのいらぬお節介のようだった。
やれやれ。
俺もいい加減、この世界の住人の感性を理解しないとな。
「これで会議は終了だ。さてと、最後に勇者から一言いただこうかね?」
軍師メイリンがいたずらっぽく笑いながら俺を見る。
「え? 俺!?」
「やはり勇者の言葉ともなれば、皆をおおいに勇気づけるだろうからね。ぜひ士気高揚に一役買ってくれたまえ」
「そういうのをやるんなら、先にそうと言っておいてくれよな……そうしたら演説内容を考えておいたのに」
「こういうのはあらかじめ考えた着飾った言葉じゃなくて、リアルな生の声だからいいんじゃないか」
茶目っ気たっぷりで言いながらとびっきりのウインクをするメイリン。
まったくメイリンってやつは、ほんと考えに考え抜いたうえで最善の策を提示してくるよな。
俺はメイリンと入れ替わるように前に立つと、言った。
「長々としゃべるのはあまり好きじゃないから、短く端的に言うな」
俺はそこでいったん言葉を切ると、何を言うか頭の中で整理をしながらゆっくりと全員の顔を見渡した。
皆が皆、期待と決意のこもった瞳で固唾を飲んで俺を見つめている。
俺は大きく一呼吸してから力強く宣言した。
「大魔竜ドラグバーンは俺が倒す! どんな犠牲を払っても、どれだけ苦戦しようが、勇者の俺が絶対に倒してみせる! だからみんなも最後まで絶対に諦めずに戦い抜いて欲しい! さあいざ行かん! 勝利を我らに!」
高らかに宣言すると、俺は右拳を天に突き上げた!
「「「「「「「勝利を我らに!!!!」」」」」」」
それに呼応するように大講堂にいる全員が俺の最後のセリフを復唱しながら拳を突き上げる!
大講堂はもはや統制が不可能なほどの熱狂の渦に包まれた。
0
お気に入りに追加
94
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。
飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。
ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。
そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。
しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。
自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。
アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!
異世界TS転生で新たな人生「俺が聖女になるなんて聞いてないよ!」
マロエ
ファンタジー
普通のサラリーマンだった三十歳の男性が、いつも通り残業をこなし帰宅途中に、異世界に転生してしまう。
目を覚ますと、何故か森の中に立っていて、身体も何か違うことに気づく。
近くの水面で姿を確認すると、男性の姿が20代前半~10代後半の美しい女性へと変わっていた。
さらに、異世界の住人たちから「聖女」と呼ばれる存在になってしまい、大混乱。
新たな人生に期待と不安が入り混じりながら、男性は女性として、しかも聖女として異世界を歩み始める。
※表紙、挿絵はAIで作成したイラストを使用しています。
※R15の章には☆マークを入れてます。
【R18】異世界なら彼女の母親とラブラブでもいいよね!
SoftCareer
ファンタジー
幼なじみの彼女の母親と二人っきりで、期せずして異世界に飛ばされてしまった主人公が、
帰還の方法を模索しながら、その母親や異世界の人達との絆を深めていくというストーリーです。
性的描写のガイドラインに抵触してカクヨムから、R-18のミッドナイトノベルズに引っ越して、
お陰様で好評をいただきましたので、こちらにもお世話になれればとやって参りました。
(こちらとミッドナイトノベルズでの同時掲載です)
【グラニクルオンライン】〜女神に召喚されたプレイヤーがガチクズばかりなので高レベの私が無双します〜
てんてんどんどん
ファンタジー
国王「勇者よ!よくこの国を救ってくれた!お礼にこれを!!」
国王は綺麗な腕輪【所有者を奴隷にできる腕輪】を差し出した!
主人公(あかん、これダメな方の異世界転移だわ)
私、橘楓(たちばな かえで)はいつも通りVRMMOゲーム【グラニクルオンライン】にログインしたはずだった……のだが。
何故か、私は間違って召喚されゲーム【グラニクルオンライン】の300年後の世界へ、プレイしていた男キャラ「猫まっしぐら」として異世界転移してしまった。
ゲームの世界は「自称女神」が召喚したガチクズプレイヤー達が高レベルでTUeeeしながら元NPC相手にやりたい放題。
ハーレム・奴隷・拷問・赤ちゃんプレイって……何故こうも基地外プレイヤーばかりが揃うのか。
おかげでこの世界のプレイヤーの評価が単なるド変態なんですけど!?
ドラゴン幼女と変態エルフを引き連れて、はじまる世直し旅。
高レベルで無双します。
※※アルファポリス内で漫画も投稿しています。
宜しければそちらもご覧いただけると嬉しいです※※
※恋愛に発展するのは後半です。
※中身は女性で、ヒーローも女性と認識していますが男性キャラでプレイしています。アイテムで女に戻ることもできます。それでも中身が女でも外見が男だとBLに感じる方はご注意してください。
※ダーク要素もあり、サブキャラに犠牲者もでます。
※小説家になろう カクヨム でも連載しています
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる