上 下
15 / 58

第14話 vsグレートドラゴン(上位種ドラゴンの中の上位種)

しおりを挟む
「ふーん、そうなんだな。ドラゴンにも強いドラゴンを出す家系があるんだな」

 ドラゴンについてちょっとだけ勉強になったかも?
 だからって別に俺がなにをどうするわけでもないんだけど。

『そうだ、なにせ1000体の雑兵ドラゴンよりも、我一人の方がはるかに強いのだからな! どうだ、恐ろしいだろう!』

「そんなこと言われてもなぁ。俺その1000体のドラゴン軍団を、余裕で倒しちゃったしなぁ……」

『くくっ、見ていたぞ。なにやら≪ホーリー・バルカン≫なるチマチマした技で雑魚狩りをすることだけは得意なようだな! だが我にはあんな豆つぶては効かぬのだよ!』

「はぁ、そうっすか」

『さあて、そろそろおしゃべりは終わりだ。行くぞ勇者! このグレートドラゴン様が血祭りにあげてくれるわ!』

 うーん、残念。
 あんまりたいした情報は得られなかったな。

 っていうかこいつ、自分が強いだのエリート家系だの自慢話ばっかりなんだもん。
 絶対こいつ友達いないだろ――とかなんとかちょろっと思ってしまった。

 仕事でもプライベートでもまずお近づきになりたくないタイプだよ。
 直属の上司なら最悪だ。
 延々と自慢話を聞かされること間違いなし。

「いいぜ、かかってこいよグレートドラゴン。勇者の俺が返り討ちにしてやる」

『抜かせ、矮小な人間風情が! エリートドラゴンである我を討とうなど、身の程を知れ!!』

 こうして俺とグレートドラゴンの戦いが幕を開けた!
 のっけから激しい空中戦が行われる。

「おおおおおおおっっっ!!」
 俺は空中で聖剣≪クラウソラス≫を振り回して斬りつけるが、

『どうしたどうしたっ! 勇者の力とはそんな程度か! 大口をたたいた割りに、全然たいしたことがないではないか!』

 グレートドラゴンも鋭い牙と爪を振るい、さらには口から強烈なグレートドラゴン・ブレスを放って攻撃を仕掛けてくる。

 お互いの攻撃は相殺され、戦いはすぐにどちらも決定打を繰り出せない膠着状態に入ってしまった。

「うぉりゃっ!」
『甘いわ!』

「これはどうだ!」
『くくっ、効かぬ効かぬ!!』

 俺はしばらく空中戦闘を続けた後、

「なるほどな。確かにこの前に戦ったキングドラゴンよりもだいぶ強いみたいだな」

 グレートドラゴンからいったん距離を取ると、頭の中でここまでの戦闘を分析して整理しつつ、軽く頷きながら呟いた。

『くくく、やっとわかったか! そしてどうだ! これが上位種の中の上位種であるグレートドラゴンの力というものだ! ガハハハハハッ!』

「なるほどね」

『今なら泣いて許しを乞えば、苦しまずに殺してやるぞ? ドラゴンは慈悲深い種族だからな! フハハハハハハハッ!!』

 俺が距離を取ったのを恐れをなしたからとでも思ったのか。
 やたらと上から目線で高笑いするグレートドラゴン。

 だがしかし。

「うーん、でもまぁこんなもんかな。空中戦で飛びながら戦う感覚はかなり掴めたし、お前の強さもわかったし、もうそろそろお遊びは終わりにするとしよう」

 俺の軽~い言葉に、

『なんだと貴様!? まさか今まで手を抜いていたというのか!?』
 グレートドラゴンが驚いた表情を見せた。

 そう。
 俺は初めての空中での高速機動戦闘ということで、グレートドラゴンを倒すことではなく、空中での動きのコツを身体に馴染ませることを優先していたのだ。

「まぁそんなところだ。おかげで空中戦にもだいぶ慣れたし、ここからはちょっと本気で行くな」
『ばかな、本当に今まで本気ではなかったと言うのか!?』

「そのまさかさ。おらよっと!」
 俺は今までとは段違いのパワーとスピードでもって、聖剣≪クラウソラス≫で切りつけた。
 苛烈な連続攻撃をお見舞いする。

『ぐぅ! くっ! くぅ!? なんというパワーだ! しかも速い! 目で追いきれんだと!?』

 防御すらままならないグレードドラゴンが悲鳴のような声を上げた。

「おいおいどこ見てやがる? おら! そこっ! せいやぁ!」
『ぐふっ、ぐはぁ! ば、バカな! エリートドラゴンである我が手も足も出ないなとど――!』

 再び空中戦を始めた俺はグレートドラゴンを圧倒し、翻弄ほんろうした。
 もはや力の差は歴然!

「じゃあそろそろ決めるぜ。必殺! ≪アルティメット・ソード≫!!」

 俺は聖剣≪クラウソラス≫を大きく振りかぶると、絶大なる聖なる力をまとった一撃をグレートドラゴンへと思い切り叩き込んだ!!

『ぐおおぉぉっ!!?? バカな、こんなことが! ありえん!! 我は! 我はドラゴンの中でも上位種の中の上位種なのだぞ――!! それが人間ごときにやられるなどと――グギャァァァァァァ――ッ!』

 膨大な聖なる力を叩き込まれたグレートドラゴンは、断末魔の悲鳴をあげながら跡形もなく消し炭になった。

「ふぅ、やれやれ。上位種の中の上位種ドラゴンとか言っても、全然たいしたことはなかったな。パワーもスピードも負ける気がしなかったっての。ま、おかげで空中戦のちょうどいい練習相手になってくれたわけだけど」

 俺は聖剣≪クラウソラス≫を鞘に納めると、意気揚々とリュスターナの待つお城へと帰還したのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。

飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。 ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。 そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。 しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。 自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。 アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!

異世界TS転生で新たな人生「俺が聖女になるなんて聞いてないよ!」

マロエ
ファンタジー
普通のサラリーマンだった三十歳の男性が、いつも通り残業をこなし帰宅途中に、異世界に転生してしまう。 目を覚ますと、何故か森の中に立っていて、身体も何か違うことに気づく。 近くの水面で姿を確認すると、男性の姿が20代前半~10代後半の美しい女性へと変わっていた。 さらに、異世界の住人たちから「聖女」と呼ばれる存在になってしまい、大混乱。 新たな人生に期待と不安が入り混じりながら、男性は女性として、しかも聖女として異世界を歩み始める。 ※表紙、挿絵はAIで作成したイラストを使用しています。 ※R15の章には☆マークを入れてます。

【R18】異世界なら彼女の母親とラブラブでもいいよね!

SoftCareer
ファンタジー
幼なじみの彼女の母親と二人っきりで、期せずして異世界に飛ばされてしまった主人公が、 帰還の方法を模索しながら、その母親や異世界の人達との絆を深めていくというストーリーです。 性的描写のガイドラインに抵触してカクヨムから、R-18のミッドナイトノベルズに引っ越して、 お陰様で好評をいただきましたので、こちらにもお世話になれればとやって参りました。 (こちらとミッドナイトノベルズでの同時掲載です)

【グラニクルオンライン】〜女神に召喚されたプレイヤーがガチクズばかりなので高レベの私が無双します〜

てんてんどんどん
ファンタジー
国王「勇者よ!よくこの国を救ってくれた!お礼にこれを!!」 国王は綺麗な腕輪【所有者を奴隷にできる腕輪】を差し出した! 主人公(あかん、これダメな方の異世界転移だわ) 私、橘楓(たちばな かえで)はいつも通りVRMMOゲーム【グラニクルオンライン】にログインしたはずだった……のだが。 何故か、私は間違って召喚されゲーム【グラニクルオンライン】の300年後の世界へ、プレイしていた男キャラ「猫まっしぐら」として異世界転移してしまった。 ゲームの世界は「自称女神」が召喚したガチクズプレイヤー達が高レベルでTUeeeしながら元NPC相手にやりたい放題。 ハーレム・奴隷・拷問・赤ちゃんプレイって……何故こうも基地外プレイヤーばかりが揃うのか。 おかげでこの世界のプレイヤーの評価が単なるド変態なんですけど!? ドラゴン幼女と変態エルフを引き連れて、はじまる世直し旅。 高レベルで無双します。 ※※アルファポリス内で漫画も投稿しています。   宜しければそちらもご覧いただけると嬉しいです※※ ※恋愛に発展するのは後半です。 ※中身は女性で、ヒーローも女性と認識していますが男性キャラでプレイしています。アイテムで女に戻ることもできます。それでも中身が女でも外見が男だとBLに感じる方はご注意してください。 ※ダーク要素もあり、サブキャラに犠牲者もでます。 ※小説家になろう カクヨム でも連載しています

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

処理中です...