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おまけ(夏の終わり~秋 編)
第70話 『つよつよ精霊は?』『火トカゲちび太』
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「いやいや。妾もお主と同じで戦闘力皆無のへっぽこ魔王なので、そのように恐れる必要はないのじゃよ。特に権力もないしの。ちなみに趣味はラノベと家庭菜園なのじゃ。ミニトマトの栽培はなかなかの腕前と自負しておるぞ?」
――はぁ……でも魔王さまなんですよね?――
「我が【南部魔国】は立憲君主制をとっておるからの。妾は血筋だけのお飾り魔王なのじゃよ。むしろあれこれしようとすると王室の政治への介入だのなんだの問題になるというか」
――言ってることはよく分かりませんが、魔王さまががいい人だというのはなんとなく分かりました――
うーん、本当にこの【ミノタウロス】には害意も悪意もなさそうだ。
ここから無理やり追い出すのは簡単だろうけど、それもちょっと可哀そうだよな。
なにかいい落としどころはないものか。
――なんてことを考えていると、
「時にそなた、このゴーレムやらトラップは強さを調整できるのかの?」
幼女魔王さまがそんな質問をした。
――もちろんできます。こと迷宮作りに関しては自由自在ですので――
「では怪我をしないような、子供が遊べるようなものにもできるのかの? 例えば落とし穴ではなく、滑り台になって下の階までスイーっと安全に滑り降りるとか」
――もちろんできますけど、それがなにか……?――
「ならば妾に妙案があるのじゃ! 【ミノタウロス】よ、ちょいと耳を貸すのじゃ」
――は、はいっ、魔王さま――
「案というのはつまり、かくかくしかじかで――」
「あ、それいいですね。とても楽しそうです♪」
「うんうん、いいんじゃないか。俺も賛成だよ」
幼女魔王さまが立案したその奇想天外なプロジェクト。
それはこの場にいた全員を心底感心させるものだった。
「では日を改めて詳細を詰めたいと思うのじゃが、迷宮の奥に住むお主に会いに行くにはどうすればよいかの?」
――でしたら入り口からここへの秘密の直通通路を用意しておきます。合言葉を言ったら隠し扉が開くようにしておきますので。合言葉の希望はなにかありますか?――
「そうじゃの……では『つよつよ精霊は?』と問い、『火トカゲちび太』と答えるとしよう」
――『つよつよ精霊は?』と問い『火トカゲちび太』と答えるんですね、了解しました魔王さま――
とりあえずそう言うことで話はまとまって。
取り急ぎ、迷宮の危険は除去されたのだった。
…………
……
それから2週間ほどして。
俺とミスティは再び【ミノタウロス】の迷宮へと足を運んでいた。
しかしその様子ときたら、以前とはすっかり様変わりしていたのだった。
入り口付近は綺麗に整備されており、周囲には売店や飲食スペース、土産物屋などが立ち並んでいる。
「魔王プレゼンツ! 体験型ダンジョンアトラクション【ミノタウロスの迷宮!】の開会前日プレイベントなのじゃ! みなの者、今日は思う存分楽しむがよいのじゃ!」
そして目立つ場所に用意された特設ステージに集まった人々の前で、幼女魔王さまが満面の笑みで宣言した。
そう。
俺たちは幼女魔王さまと【ミノタウロス】が作り上げた新型アトラクションのプレイベントの参加者として、招かれていたのである。
さらにアトラクション参加者の栄えある第一号として、勇者パーティの俺とミスティが選ばれたのだった。
ちなみに幼女魔王さまは運営代表としてもろもろを取り仕切っているため、今日は完全別行動となっており、後で率直な感想を聞かせて欲しいと言われていた。
――はぁ……でも魔王さまなんですよね?――
「我が【南部魔国】は立憲君主制をとっておるからの。妾は血筋だけのお飾り魔王なのじゃよ。むしろあれこれしようとすると王室の政治への介入だのなんだの問題になるというか」
――言ってることはよく分かりませんが、魔王さまががいい人だというのはなんとなく分かりました――
うーん、本当にこの【ミノタウロス】には害意も悪意もなさそうだ。
ここから無理やり追い出すのは簡単だろうけど、それもちょっと可哀そうだよな。
なにかいい落としどころはないものか。
――なんてことを考えていると、
「時にそなた、このゴーレムやらトラップは強さを調整できるのかの?」
幼女魔王さまがそんな質問をした。
――もちろんできます。こと迷宮作りに関しては自由自在ですので――
「では怪我をしないような、子供が遊べるようなものにもできるのかの? 例えば落とし穴ではなく、滑り台になって下の階までスイーっと安全に滑り降りるとか」
――もちろんできますけど、それがなにか……?――
「ならば妾に妙案があるのじゃ! 【ミノタウロス】よ、ちょいと耳を貸すのじゃ」
――は、はいっ、魔王さま――
「案というのはつまり、かくかくしかじかで――」
「あ、それいいですね。とても楽しそうです♪」
「うんうん、いいんじゃないか。俺も賛成だよ」
幼女魔王さまが立案したその奇想天外なプロジェクト。
それはこの場にいた全員を心底感心させるものだった。
「では日を改めて詳細を詰めたいと思うのじゃが、迷宮の奥に住むお主に会いに行くにはどうすればよいかの?」
――でしたら入り口からここへの秘密の直通通路を用意しておきます。合言葉を言ったら隠し扉が開くようにしておきますので。合言葉の希望はなにかありますか?――
「そうじゃの……では『つよつよ精霊は?』と問い、『火トカゲちび太』と答えるとしよう」
――『つよつよ精霊は?』と問い『火トカゲちび太』と答えるんですね、了解しました魔王さま――
とりあえずそう言うことで話はまとまって。
取り急ぎ、迷宮の危険は除去されたのだった。
…………
……
それから2週間ほどして。
俺とミスティは再び【ミノタウロス】の迷宮へと足を運んでいた。
しかしその様子ときたら、以前とはすっかり様変わりしていたのだった。
入り口付近は綺麗に整備されており、周囲には売店や飲食スペース、土産物屋などが立ち並んでいる。
「魔王プレゼンツ! 体験型ダンジョンアトラクション【ミノタウロスの迷宮!】の開会前日プレイベントなのじゃ! みなの者、今日は思う存分楽しむがよいのじゃ!」
そして目立つ場所に用意された特設ステージに集まった人々の前で、幼女魔王さまが満面の笑みで宣言した。
そう。
俺たちは幼女魔王さまと【ミノタウロス】が作り上げた新型アトラクションのプレイベントの参加者として、招かれていたのである。
さらにアトラクション参加者の栄えある第一号として、勇者パーティの俺とミスティが選ばれたのだった。
ちなみに幼女魔王さまは運営代表としてもろもろを取り仕切っているため、今日は完全別行動となっており、後で率直な感想を聞かせて欲しいと言われていた。
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