57 / 68
オペレーション『Water Side Angel』(水辺の天使作戦)
第57話「今からお前に『本物』を見せてやる」
しおりを挟む
「ははは、『ここからは俺のターンだ』って? 強がっても無駄さ。君は僕に勝てない。天使炉を持つ僕にはね。事実、君は逃げるばかりで私に触れることすらできないでいる。これが動かしようのない事実だ」
いかに自分が有利であるかを、自慢げに語るエンドレス・ウォーカー。
しかし俺はそれを全否定した。
「いいや、違う」
「さっきからえらく自信たっぷりだね。いったい何が違うと言いたいんだい? それともこれは時間稼ぎというやつかな? お仲間の到着を待っているのかい? だが誰が来ても状況は変わらないよ」
「時間稼ぎなんてする必要はないっての。まずそもそも論だ。天使炉を持っているのはサファイアであって、お前じゃない」
「天使炉を発明したのも、実質的に今その力を使っているのも私だよ。よって私の天使炉と言っても差し支えはない」
「いいや違う。お前はしょせん、サファイアの持つ天使炉の力を利用しているだけにすぎない」
「両者の違いが分からないね。結果は同じだろう? なにが違うと言うんだい?」
「まず1つめの違いだ。魔力を電波のようにやり取りしていると言ったが、こうやってわざわざサファイアの近くに来たってことは、有効距離があるんだろ? これはお前の中に天使炉がないせいで起こった明確なデメリットだ」
「む――っ」
エンドレス・ウォーカーの笑みがわずかにひきつった。
やはり図星か。
「車を爆撃したのも、サファイアが移動すると距離が離れて天使炉とのやり取りができなくなるからだ。お前風に言えば、これは動かしようのない事実だ」
「ち――っ」
これまた図星だったのか、ここまでずっと傲慢な笑みを浮かべていたエンドレス・ウォーカーが、不快さを表すようにまゆをひそめなら小さく舌打ちをした。
「それで俺は分かったんだ。お前が心血を注いで発明した天使炉は、なるほどたしかに常人にはまねできない発明だ。だが、それ以外はわりと常識の範囲内の発明に過ぎないんじゃないかってな」
「私の発明を愚弄するつもりか……!」
「おいおい、カッカすんなよ。俺は事実を言ってるだけだっての。でだ。並の発明に過ぎないなら、魔力をやり取りするにしても、実はそこまで大容量の魔力はやりとりできないんじゃないかって思った。これが2つ目のデメリットだ」
俺のリジェクトに限界があるように、魔力のやり取りにも当然容量の限界があるはずだ。
「くっ、くく……言いたいのはそういうことですか」
「距離と容量。それが天使炉を持っていない明確なデメリットだ」
「なるほどね。ご心配いただきどうもありがとう。だが普通に戦う分には、何のデメリットにもなりません。対人魔法戦に必要な魔力の1000倍は、優にやりとりできるのでね」
「へぇ、1000倍ね。OK。それを聞いて安心した」
「安心した……だと?」
「ああ。絶対に勝てるという安心ができた。ってわけで、今からお前に『本物』を見せてやる」
「……本物? さっきから何を言っているんです」
俺の意図が伝わらなかったのだろう。
いぶかしげな表情を見せるエンドレス・ウォーカーの前で、俺は唱えた。
「リジェクト」
と。
いかに自分が有利であるかを、自慢げに語るエンドレス・ウォーカー。
しかし俺はそれを全否定した。
「いいや、違う」
「さっきからえらく自信たっぷりだね。いったい何が違うと言いたいんだい? それともこれは時間稼ぎというやつかな? お仲間の到着を待っているのかい? だが誰が来ても状況は変わらないよ」
「時間稼ぎなんてする必要はないっての。まずそもそも論だ。天使炉を持っているのはサファイアであって、お前じゃない」
「天使炉を発明したのも、実質的に今その力を使っているのも私だよ。よって私の天使炉と言っても差し支えはない」
「いいや違う。お前はしょせん、サファイアの持つ天使炉の力を利用しているだけにすぎない」
「両者の違いが分からないね。結果は同じだろう? なにが違うと言うんだい?」
「まず1つめの違いだ。魔力を電波のようにやり取りしていると言ったが、こうやってわざわざサファイアの近くに来たってことは、有効距離があるんだろ? これはお前の中に天使炉がないせいで起こった明確なデメリットだ」
「む――っ」
エンドレス・ウォーカーの笑みがわずかにひきつった。
やはり図星か。
「車を爆撃したのも、サファイアが移動すると距離が離れて天使炉とのやり取りができなくなるからだ。お前風に言えば、これは動かしようのない事実だ」
「ち――っ」
これまた図星だったのか、ここまでずっと傲慢な笑みを浮かべていたエンドレス・ウォーカーが、不快さを表すようにまゆをひそめなら小さく舌打ちをした。
「それで俺は分かったんだ。お前が心血を注いで発明した天使炉は、なるほどたしかに常人にはまねできない発明だ。だが、それ以外はわりと常識の範囲内の発明に過ぎないんじゃないかってな」
「私の発明を愚弄するつもりか……!」
「おいおい、カッカすんなよ。俺は事実を言ってるだけだっての。でだ。並の発明に過ぎないなら、魔力をやり取りするにしても、実はそこまで大容量の魔力はやりとりできないんじゃないかって思った。これが2つ目のデメリットだ」
俺のリジェクトに限界があるように、魔力のやり取りにも当然容量の限界があるはずだ。
「くっ、くく……言いたいのはそういうことですか」
「距離と容量。それが天使炉を持っていない明確なデメリットだ」
「なるほどね。ご心配いただきどうもありがとう。だが普通に戦う分には、何のデメリットにもなりません。対人魔法戦に必要な魔力の1000倍は、優にやりとりできるのでね」
「へぇ、1000倍ね。OK。それを聞いて安心した」
「安心した……だと?」
「ああ。絶対に勝てるという安心ができた。ってわけで、今からお前に『本物』を見せてやる」
「……本物? さっきから何を言っているんです」
俺の意図が伝わらなかったのだろう。
いぶかしげな表情を見せるエンドレス・ウォーカーの前で、俺は唱えた。
「リジェクト」
と。
0
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説
【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。
飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。
ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。
そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。
しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。
自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。
アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!
勇者パーティを追放されそうになった俺は、泣いて縋って何とか残り『元のDQNに戻る事にした』どうせ俺が生きている間には滅びんだろう!
石のやっさん
ファンタジー
今度の主人公はマジで腐っている。基本悪党、だけど自分のルールあり!
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のリヒトは、とうとう勇者でありパーティリーダーのドルマンにクビを宣告されてしまう。幼馴染も全員ドルマンの物で、全員から下に見られているのが解った。
だが、意外にも主人公は馬鹿にされながらも残る道を選んだ。
『もう友達じゃ無いんだな』そう心に誓った彼は…勇者達を骨の髄までしゃぶり尽くす事を決意した。
此処迄するのか…そう思う『ざまぁ』を貴方に
前世のDQNに戻る事を決意した、暗黒面に落ちた外道魔法戦士…このざまぁは知らないうちに世界を壊す。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる