46 / 132
第3章 1年生タッグトーナメント
第44話 1年生タッグトーナメント開始!
しおりを挟む
――というようなことがあってから、1週間が経ち。
俺は模擬訓練の大部分を使ってアリエッタの成長の手助けをしながら、万全の状態で1年生タッグトーナメントの日を迎えていた。
会場となる闘技場(デュエルスタジアム)は野球場のようなすり鉢状の巨大施設で、救護係のリューネも含めた1年生全員と、上級生やら騎士団から派遣された視察官(副団長って言ってたから超エリート姫騎士)が、観客席から1年生の熱い戦いを見守っている。
負けたら終わりの5回戦トーナメントだが、俺は1年生主席のアリエッタと組んでいて第1シードを貰っていたため、1回戦は対戦がない。
なので実質4回勝てば優勝の、その初戦。
俺とアリエッタは個別の1対1に持ち込み、まずは俺が相手を戦闘不能にした。
アリエッタに視線を向けると、こちらも早々に勝負を決めるところだった。
アリエッタは炎属性の姫騎士フレイとの、いわゆるミラーマッチ(同属性対決)をしていたんだけど、
「くぅっ! ライオネル・ストライク!」
中距離でのフレイム・アローの打ち合いで一方的に押し込まれていたフレイが、堪えきれずに苦し紛れの大技をぶっ放した。
しかしアリエッタのそれと比べれば精度は甘いし、魔法の発動も遅く、威力もかなり低目だ。
おそらく習得中で、まだまだ使いこなせていないんだろう。
ただでさえ命中率の低いライオネル・ストライクをこんな程度の完成度で、しかも苦し紛れに撃っただけじゃ、どうぞ避けて下さいと言っているようなものだ。
「ライオネル・ストライクは、状況も作らずにいきなり撃って当たる魔法じゃないわ。お返しよ、ライオネル・ストライク!」
フレイの未完成ライオネル・ストライクをなんなくかわしたアリエッタが、その攻撃終わりの隙を狙いすまして、ライオネル・ストライクで突っ込んでいく。
「直撃コース!? くっ、ファイヤー・ガード!」
フレイが慌てたようにが炎のバリアを展開した。
だがしかし。
「そんなか細い炎で、ローゼンベルクの轟炎を受け止められるものなら、受け止めてみなさい!」
アリエッタが吠えるとともに、炎の獅子がひときわ激しく燃えあがる!
「ぐうっ、なんて火力!? とても耐えきれない――! う、く、きゃぁぁぁぁっ――!」
炎の獅子をまとったアリエッタが、炎のバリアを展開したフレイに直撃し、ファイヤー・ガードを消し飛ばして、防御加護を一気にゼロにする。
威力だけならSランクと言われるのは伊達ではない。
当たればでかいライオネル・ストライクを、アリエッタは見事にクリティカルヒットさせた。
「そこまで! ウィナー、アリエッタ&ユウタ組」
審判のレベッカ先生の言葉とともに、ガード体勢でなんとか踏みとどまっていたフレイがガクリと崩れ落ち、対戦を見守っていた救護係が慌てて集まってくる。
「大丈夫よ。防御加護をピッタリ削り切ってガードブレイクさせたところで、魔力を一気に弱めたから」
なんてカッコよく言いつつも、なんとも心配そうにフレイの様子を見つめているアリエッタ。
アリエッタはとても優しい子なのである。
しかしフレイは大きな怪我もなくピンピンしていて、すぐに身体を起こすと、心配顔のアリエッタに向かって「大丈夫!」って感じで軽く右手を上げてサムズアップした。
それを見て救護係も安堵の顔で下がっていく。
どうやらただの魔力切れで、意識が一瞬遠のいただけのようだ。
倒す時に気づかいができるほどに、アリエッタとフレイの力の差は歴然だった。
というわけで。
俺たちはトーナメント初戦となる2回戦を難なく突破した。
俺は模擬訓練の大部分を使ってアリエッタの成長の手助けをしながら、万全の状態で1年生タッグトーナメントの日を迎えていた。
会場となる闘技場(デュエルスタジアム)は野球場のようなすり鉢状の巨大施設で、救護係のリューネも含めた1年生全員と、上級生やら騎士団から派遣された視察官(副団長って言ってたから超エリート姫騎士)が、観客席から1年生の熱い戦いを見守っている。
負けたら終わりの5回戦トーナメントだが、俺は1年生主席のアリエッタと組んでいて第1シードを貰っていたため、1回戦は対戦がない。
なので実質4回勝てば優勝の、その初戦。
俺とアリエッタは個別の1対1に持ち込み、まずは俺が相手を戦闘不能にした。
アリエッタに視線を向けると、こちらも早々に勝負を決めるところだった。
アリエッタは炎属性の姫騎士フレイとの、いわゆるミラーマッチ(同属性対決)をしていたんだけど、
「くぅっ! ライオネル・ストライク!」
中距離でのフレイム・アローの打ち合いで一方的に押し込まれていたフレイが、堪えきれずに苦し紛れの大技をぶっ放した。
しかしアリエッタのそれと比べれば精度は甘いし、魔法の発動も遅く、威力もかなり低目だ。
おそらく習得中で、まだまだ使いこなせていないんだろう。
ただでさえ命中率の低いライオネル・ストライクをこんな程度の完成度で、しかも苦し紛れに撃っただけじゃ、どうぞ避けて下さいと言っているようなものだ。
「ライオネル・ストライクは、状況も作らずにいきなり撃って当たる魔法じゃないわ。お返しよ、ライオネル・ストライク!」
フレイの未完成ライオネル・ストライクをなんなくかわしたアリエッタが、その攻撃終わりの隙を狙いすまして、ライオネル・ストライクで突っ込んでいく。
「直撃コース!? くっ、ファイヤー・ガード!」
フレイが慌てたようにが炎のバリアを展開した。
だがしかし。
「そんなか細い炎で、ローゼンベルクの轟炎を受け止められるものなら、受け止めてみなさい!」
アリエッタが吠えるとともに、炎の獅子がひときわ激しく燃えあがる!
「ぐうっ、なんて火力!? とても耐えきれない――! う、く、きゃぁぁぁぁっ――!」
炎の獅子をまとったアリエッタが、炎のバリアを展開したフレイに直撃し、ファイヤー・ガードを消し飛ばして、防御加護を一気にゼロにする。
威力だけならSランクと言われるのは伊達ではない。
当たればでかいライオネル・ストライクを、アリエッタは見事にクリティカルヒットさせた。
「そこまで! ウィナー、アリエッタ&ユウタ組」
審判のレベッカ先生の言葉とともに、ガード体勢でなんとか踏みとどまっていたフレイがガクリと崩れ落ち、対戦を見守っていた救護係が慌てて集まってくる。
「大丈夫よ。防御加護をピッタリ削り切ってガードブレイクさせたところで、魔力を一気に弱めたから」
なんてカッコよく言いつつも、なんとも心配そうにフレイの様子を見つめているアリエッタ。
アリエッタはとても優しい子なのである。
しかしフレイは大きな怪我もなくピンピンしていて、すぐに身体を起こすと、心配顔のアリエッタに向かって「大丈夫!」って感じで軽く右手を上げてサムズアップした。
それを見て救護係も安堵の顔で下がっていく。
どうやらただの魔力切れで、意識が一瞬遠のいただけのようだ。
倒す時に気づかいができるほどに、アリエッタとフレイの力の差は歴然だった。
というわけで。
俺たちはトーナメント初戦となる2回戦を難なく突破した。
10
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説
普通のJK、実は異世界最強のお姫様でした〜みんなが私を殺したいくらい大好きすぎる〜
セカイ
ファンタジー
いたって普通の女子高生・花園 アリス。彼女の平穏な日常は、魔法使いを名乗る二人組との邂逅によって破られた。
異世界からやって来たという魔法使いは、アリスを自国の『姫君』だと言い、強引に連れ去ろうとする。
心当たりがないアリスに魔の手が伸びた時、彼女を救いに現れたのは、魔女を名乗る少女だった。
未知のウィルスに感染したことで魔法を発症した『魔女』と、それを狩る正統な魔法の使い手の『魔法使い』。アリスはその戦いの鍵であるという。
わけもわからぬまま、生き残りをかけた戦いに巻き込まれるアリス。自分のために傷付く友達を守るため、平和な日常を取り戻すため、戦う事を決意した彼女の手に現れたのは、あらゆる魔法を打ち消す『真理の剣』だった。
守り守られ、どんな時でも友達を想い、心の繋がりを信じた少女の戦いの物語。
覚醒した時だけ最強!? お伽話の様な世界と現代が交錯する、バイオレンスなガールミーツガールのローファンタジー。
※非テンプレ。異世界転生・転移要素なし。
※GL要素はございません。 ※男性キャラクターも登場します。
※イラストがある話がございます。絵:時々様( @_to_u_to_ )/SSS様( @SSS_0n0 )
旧タイトル「《ドルミーレ》終末の眠り姫 〜私、魔女はじめました〜」
※他サイト(小説家になろう・カクヨム・ノベルアッププラス)でも掲載中。
姫騎士様と二人旅、何も起きないはずもなく……
踊りまんぼう
ファンタジー
主人公であるセイは異世界転生者であるが、地味な生活を送っていた。 そんな中、昔パーティを組んだことのある仲間に誘われてとある依頼に参加したのだが……。 *表題の二人旅は第09話からです
(カクヨム、小説家になろうでも公開中です)
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
僕は弟を救うため、無自覚最強の幼馴染み達と旅に出た。奇跡の実を求めて。そして……
久遠 れんり
ファンタジー
五歳を過ぎたあたりから、体調を壊し始めた弟。
お医者さんに診断を受けると、自家性魔力中毒症と診断される。
「大体、二十までは生きられないでしょう」
「ふざけるな。何か治療をする方法はないのか?」
その日は、なにも言わず。
ただ首を振って帰った医者だが、数日後にやって来る。
『精霊種の住まう森にフォビドゥンフルーツなるものが存在する。これすなわち万病を癒やす霊薬なり』
こんな事を書いた書物があったようだ。
だが、親を含めて、大人達はそれを信じない。
「あての無い旅など無謀だ」
そう言って。
「でも僕は、フィラデルを救ってみせる」
そして僕は、それを求めて旅に出る。
村を出るときに付いてきた幼馴染み達。
アシュアスと、友人達。
今五人の冒険が始まった。
全くシリアスではありません。
五人は全員、村の外に出るとチートです。ご注意ください。
この物語は、演出として、飲酒や喫煙、禁止薬物の使用、暴力行為等書かれていますが、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。またこの物語はフィクションです。実在の人物や団体、事件などとは関係ありません。
勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。
飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。
隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。
だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。
そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。
お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。
勇者としての役割、与えられた力。
クラスメイトに協力的なお姫様。
しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。
突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。
そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。
なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ!
──王城ごと。
王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された!
そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。
何故元の世界に帰ってきてしまったのか?
そして何故か使えない魔法。
どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。
それを他所に内心あわてている生徒が一人。
それこそが磯貝章だった。
「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」
目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。
幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。
もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。
そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。
当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。
日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。
「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」
──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。
序章まで一挙公開。
翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。
序章 異世界転移【9/2〜】
一章 異世界クラセリア【9/3〜】
二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】
三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】
四章 新生活は異世界で【9/10〜】
五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】
六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】
七章 探索! 並行世界【9/19〜】
95部で第一部完とさせて貰ってます。
※9/24日まで毎日投稿されます。
※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。
おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。
勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。
ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
貴族に転生してユニークスキル【迷宮】を獲得した俺は、次の人生こそ誰よりも幸せになることを目指す
名無し
ファンタジー
両親に愛されなかったことの不満を抱えながら交通事故で亡くなった主人公。気が付いたとき、彼は貴族の長男ルーフ・ベルシュタインとして転生しており、家族から愛されて育っていた。ルーフはこの幸せを手放したくなくて、前世で両親を憎んで自堕落な生き方をしてきたことを悔い改め、この異世界では後悔しないように高みを目指して生きようと誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる