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第19話 聖女、説明する。

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「――と言うわけなんですが」

 わたしが、水龍さまとコンタクトして教えてもらった情報を話すと、

「どこかの山の山頂にある小川が、せき止められてしまったのが原因で、水龍さまの神通力が暴走してしまったのか。それでこの長雨にね……ふむ、なるほどね、そういうことだったのか」

 ライオネルが、なんどかうなずきながら、要点をまとめるように言った。

「どうでしょう、その原因となった小川を探すことは、可能でしょうか?」

「もちろんさ。原因さえ分かれば話は早い。なにせ今までは、何をどうすればいいのか、その手掛かりすら掴めなかったんだから。これは大きすぎる一歩だよ。それもこれも全てはクレアのおかげだ」

「お役に立てて良かったです」

 ライオネルやリリーナさんにあれだけ良くしてもらったのに、やっぱり上手くいきませんでした、じゃちょっとカッコ悪いもんね。

 わたしはホッと胸をなでおろした。

「今後の方針としては、まずは古い文献を当たりながら、同時に山の民にそれらしい情報がないかを聞き取りをして。それでおおよその目星をつけてから、大規模な探索部隊を編成して探索するとしよう。後のことはまかせてくれ。君のがんばりに、今度はボクが応えてみせるから」

「どうかよろしくお願いします」

「クレア、本当にありがとう。君のおかげで、ブリスタニアを覆っていた分厚い雲の隙間に、一筋の光明が見えてきたよ。さすがは神龍国家シェンロンで『神龍の巫女』を任されていただけのことはある。本当にありがとう。君には最大限の感謝をささげたい」

 そう言うとライオネルは、右の手の平で心臓をおさえながら、大きく頭を下げた。

 王族や貴族が目上の相手にする、ものすごい感謝の意を表す礼だった(はず。いかんせん、わたしの宮廷知識はあいまいなので……)。

 なんていうかその、こんなに人から感謝されたのは初めてだったから、なんだか背中がむずむずしちゃうかも。
 それに、

「もうライオネルったら、まだ解決はしてないんですよ? 感謝の言葉は、どうか解決したときにこそ聞かせてくださいな」

「ははは、それはまったくだね、クレアの言うとおりだ。感謝の言葉は今回の一件が解決してから、改めて述べさせてもらうとするよ」

 そう言うと、ライオネルは振り向きざまに、わたしに小さくウインクをしてから、早足で王宮へと向かっていった。

 はふぅ、別れ際のウインクとか、何から何まで漏れなくカッコいい王子さまだなぁ……。
 いきなりだったから、わたしもう、胸がドキンドキンでキュンキュンとしちゃったよ。

 そして。

「とりあえず、これでわたしの出番は一段落ってところかな? 水龍さまもすごく優しかったし、あとは上手くライオネルが解決してくれて、この長雨があがりますように――」

 わたしは、うーーっ! と両手を上にあげて大きく伸びをしてから、王宮の自分の部屋へと戻った。

 『奉納の舞』をして、ちょっとのどが渇いちゃったんだ。
 だから自分へのご褒美もかねて、砂糖をいっぱい入れた、温かい紅茶でも飲ーもうっと。
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