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第四章 王宮のミレイユ
第47話 好きな相手につい見とれてしまって、何が悪いって言うの!?
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「ふむふむ、こことここがリンクしてるのね……だからこっちは数値をいじらなくても自動的に係数がかかるようになってるんだ……なるほど、そういうことか……」
わたしは『破邪の結界ver.エルフィーナ』の基部がある水晶室で、エルフの大聖女が作った結界の研究をしていた。
え?
結界に問題でも見つかったのかって?
まさかそんな。
わたしはちゃんと仕事をやってのけたわよ。
単にすることがないから、今後のために知識を深めてるの!
言わせないでよね、ふんっ!
「よしよし、だいぶ分かってきたわよ……ふふふん、さすがわたしね。でもこんな凄いものを何百年も前に1から作ったとか、エルフの大聖女っていうのはほんとに神様だったんじゃないの……?」
その結界を利用することでエルフィーナ王国のヴァルス禍が、あれ以上は拡大せずに済んだわけで。
ここは改めて、ありがとうと言わせてもらうわね。
「さーてと、実に有意義な研究ができたし、今日はこのくらいにしてちょっと散歩でもしてこようかしら?」
ジェイクはまた裏庭にいるのかな?
いつもこの時間にいるみたいだし、ちょっと顔でも見に行ってみようかな。
わたしが王宮裏手のいつもの庭園に行ってみると、ジェイクが今日は、見たことのある官僚数人となにやら話をしていた。
しばらくすると官僚たちはジェイクに礼をして、途中でわたしに気づいてここでも礼をして、立ち去っていった。
「ジェイク、深刻そうな話をしてたみたいだけど、なにかあったの?」
彼らと入れ替わるようにして、わたしはジェイクに声をかけた。
「ああミレイユか。実はここ1週間ほど、エルフィーナに移り住みたいっていうエルフが、大量に押し寄せていてさ」
「それって隣国のセラフィム王国からってこと?」
「ああ。それで当面の住居の割り振りとか、職業の斡旋をするのに人手とか予算が足りてないそうで、今から俺が入管――入国管理局に視察に行くことになったんだよ」
「ふーん、ヴァルスの件が終わったと思ったらまた新しい問題が出て、偉い人はなんだかんだで大変だわよね。あ、そうだ。わたしもついていっていい? 暇なのよね」
「ああ、構わないよ。でも遊びじゃないからな?」
「わかってるわよ。じゃあアンナを呼んでくるわね」
わたしはアンナを探しに行こうとして、
「それでしたらご心配なくミレイユ様。すでにお側に控えておりますので」
横合いから急にアンナの声がして、ビクッと身体を震わせた。
「び、びっくりしたぁ!? ってアンナ、いつからいたの?」
「ここに来た時からずっとです。私はミレイユ様のお付きメイドですので」
「ああ、そうなの……ぜんぜん気づかなかったわ。それでちょっと出かけるんだけど――」
「外出の準備ならすでに整っております。好奇心旺盛かつ、時間を持て余しているであろうミレイユ様は、きっとこの件に首を突っ込むだろうと考えて、準備しておりました」
「アンナはどこまでも気が利くわね…………」
「いえいえそんな、当然のことをしているまでです」
「ああでも、別に気配を殺したりとかはしなくていいからね? 普通にしてくれていいんだからね?」
「えっと、特に気配を殺していたわけではないんですけど……。きっとミレイユ様がジェイク様のことばかり見ていたから、私の存在に気付かなかったのではないかと――」
「にゃ――っ!? はいはいっ! その話はもういいわ! さぁ視察に向かいましょうねっ!?」
ぶっちゃけ心当たりがあり過ぎたわたしは、大きな声で話を打ち切った。
顔が赤くなっている気がするけど、気にしちゃいけないわミレイユ!
好きな相手につい見とれてしまって、何が悪いって言うの!?
――というわけで。
わたしとジェイクとアンナは、スタッフを引き連れて王都の外れにある入国管理局へと向かうことにした。
わたしは『破邪の結界ver.エルフィーナ』の基部がある水晶室で、エルフの大聖女が作った結界の研究をしていた。
え?
結界に問題でも見つかったのかって?
まさかそんな。
わたしはちゃんと仕事をやってのけたわよ。
単にすることがないから、今後のために知識を深めてるの!
言わせないでよね、ふんっ!
「よしよし、だいぶ分かってきたわよ……ふふふん、さすがわたしね。でもこんな凄いものを何百年も前に1から作ったとか、エルフの大聖女っていうのはほんとに神様だったんじゃないの……?」
その結界を利用することでエルフィーナ王国のヴァルス禍が、あれ以上は拡大せずに済んだわけで。
ここは改めて、ありがとうと言わせてもらうわね。
「さーてと、実に有意義な研究ができたし、今日はこのくらいにしてちょっと散歩でもしてこようかしら?」
ジェイクはまた裏庭にいるのかな?
いつもこの時間にいるみたいだし、ちょっと顔でも見に行ってみようかな。
わたしが王宮裏手のいつもの庭園に行ってみると、ジェイクが今日は、見たことのある官僚数人となにやら話をしていた。
しばらくすると官僚たちはジェイクに礼をして、途中でわたしに気づいてここでも礼をして、立ち去っていった。
「ジェイク、深刻そうな話をしてたみたいだけど、なにかあったの?」
彼らと入れ替わるようにして、わたしはジェイクに声をかけた。
「ああミレイユか。実はここ1週間ほど、エルフィーナに移り住みたいっていうエルフが、大量に押し寄せていてさ」
「それって隣国のセラフィム王国からってこと?」
「ああ。それで当面の住居の割り振りとか、職業の斡旋をするのに人手とか予算が足りてないそうで、今から俺が入管――入国管理局に視察に行くことになったんだよ」
「ふーん、ヴァルスの件が終わったと思ったらまた新しい問題が出て、偉い人はなんだかんだで大変だわよね。あ、そうだ。わたしもついていっていい? 暇なのよね」
「ああ、構わないよ。でも遊びじゃないからな?」
「わかってるわよ。じゃあアンナを呼んでくるわね」
わたしはアンナを探しに行こうとして、
「それでしたらご心配なくミレイユ様。すでにお側に控えておりますので」
横合いから急にアンナの声がして、ビクッと身体を震わせた。
「び、びっくりしたぁ!? ってアンナ、いつからいたの?」
「ここに来た時からずっとです。私はミレイユ様のお付きメイドですので」
「ああ、そうなの……ぜんぜん気づかなかったわ。それでちょっと出かけるんだけど――」
「外出の準備ならすでに整っております。好奇心旺盛かつ、時間を持て余しているであろうミレイユ様は、きっとこの件に首を突っ込むだろうと考えて、準備しておりました」
「アンナはどこまでも気が利くわね…………」
「いえいえそんな、当然のことをしているまでです」
「ああでも、別に気配を殺したりとかはしなくていいからね? 普通にしてくれていいんだからね?」
「えっと、特に気配を殺していたわけではないんですけど……。きっとミレイユ様がジェイク様のことばかり見ていたから、私の存在に気付かなかったのではないかと――」
「にゃ――っ!? はいはいっ! その話はもういいわ! さぁ視察に向かいましょうねっ!?」
ぶっちゃけ心当たりがあり過ぎたわたしは、大きな声で話を打ち切った。
顔が赤くなっている気がするけど、気にしちゃいけないわミレイユ!
好きな相手につい見とれてしまって、何が悪いって言うの!?
――というわけで。
わたしとジェイクとアンナは、スタッフを引き連れて王都の外れにある入国管理局へと向かうことにした。
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