上 下
23 / 52
第二章

第23話 ナゾナゾ対決(2)

しおりを挟む
『では第2問だ。寒ければ寒いほど、あつくなるものってなーんだ?』

「ええっ!?」

 寒いのに、暑くなるってどういうこと!?
 だって寒いのは冬で、でも暑いのは夏だよね?

 冬なのに、夏?
 えっと、えっと、えっと……なにそれ!?

 ボクが、さっぱりわからず悩んでいると、

「わかりました!」
 シュバっと手をあげると、またまたセフィが言った。

「答えは『氷』です!」
『正解だ』

「氷? なんで氷なの? って……あ! そういうことか! 『あつい』って気温が『暑い』んじゃなくて、本とかの『厚い』の意味だったんだ!」

「そういうことです」

「冬になって『寒く』なると、氷はどんどん『厚く』なるもんね。問題で『寒い』って出てきたから、『あつい』は『暑い』だってボクすっかり思いこんじゃってたよ」

 くっそー、ガーゴイルめ。
 ずっこいナゾナゾばっかり出してくるんだから、もう!

 でもそんなずるいナゾナゾをすぐにパパっと正解しちゃうセフィは、本当にすごいなぁ。

「すごいねセフィ。これで2問連続で正解だよ!」

「ふふふ、こう見えてわたしはお城では、どんなナゾナゾも解きあかす『ナゾ解きのセフィ』と呼ばれてますから」

「『ナゾ解きのセフィ』!? うわっ、なにそれカッコいい!」
 漫画やアニメに出てくる、名探偵のあだ名みたい!

『どうやら、お前たちはなかなかやるようだな。ここまでたどり着いただけのことはある、褒めてやろう。そして次が最後の問題だ』

「最後の問題か、よしっ、こい!」

 ボクは元気よく言った。
 元気がいいだけで、ここまでちっともナゾナゾを解けなかったけどね!

 でも元気って大事だと思うんだ。
 誰かが元気だと、周りの人も頑張ろうって気持ちになるもんね!

『ではゆくぞ、最後の第3問だ。朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足で歩くものって、なーんだ?』

「え? な、なにそれ?」

 足の数が朝と昼と夜で変わるなんて、もしかして、おばけ!?
 ううん、おばけはそもそも足がないから違うよね。

 え、でも。
 じゃあ、なんなんだろう?
 ボクは必死に考える。

 けれどガーゴイルの出すナゾナゾは、やっぱりボクには難しすぎて。
 ボクは答えを出すことができなかった。

 困りきったボクはだからセフィを見た。
 またさっきみたいに、ズバッと見事に正解してくれないかなって思ったんだ。

 でも──、

「分かりません……」
 セフィは今にも泣いてしまいそうな小さな声で、そう言ったんだ。

「わ、分からないって――?」

「ごめんなさい、お城では『ナゾ解きのセフィ』と言われるわたしも、このナゾナゾだけは分かりません……」

「そ、そんなぁ!?」

 セフィががっくりと、地面に両手と両ひざをついた。

 きっとすごくショックだったんだ。
 得意のナゾナゾ対決で負けちゃったから。

『どうした? 参ったをするか?』
 ガーゴイルがちょっと感じ悪く言った。

「うぐ――っ!」

 あのセフィが解けないんだからこのナゾナゾはボクには難しすぎる。

 きっと大人向けのナゾナゾなのに、セフィがパパっと2問正解しちゃったから意地悪して出してるに違いない。

 だからボクじゃきっと解けないだろう。

 でも諦めちゃだめだ!

 だってここまで全部、セフィがナゾナゾを解いてくれたんだ。
 つまりボクはなんにもしていない。

 だから最後の1問くらいはボクが答えてみせるんだ!
 このナゾナゾ対決も、ボクとセフィの2人の最高コンビでクリアするんだ!

 考えろ、考えるんだ、加瀬大翔はると!!

『ほれほれ、さっさと参ったをして楽になればいい』

 もう勝った気分で言ってくるガーゴイルを、

「へへーんだ! 参ったなんてボクは絶対にしないからねー! 気が散るからガーゴイルはちょっと黙ってて!」

 ボクはピシャリと黙らせた。

 そうだ、元気とやる気はいっぱいあるんだ。
 ならやってやれないことはない!

 本気の本気になった勇者ハルトの力を、見せてやるんだからね!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った

五色ひわ
恋愛
 辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。 ※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

【完結】公女が死んだ、その後のこと

杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】 「お母様……」 冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。 古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。 「言いつけを、守ります」 最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。 こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。 そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。 「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」 「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」 「くっ……、な、ならば蘇生させ」 「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」 「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」 「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」 「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」 「まっ、待て!話を」 「嫌ぁ〜!」 「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」 「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」 「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」 「くっ……!」 「なっ、譲位せよだと!?」 「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」 「おのれ、謀りおったか!」 「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」 ◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。 ◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。 ◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった? ◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。 ◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。 ◆この作品は小説家になろうでも公開します。 ◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜

よどら文鳥
恋愛
 フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。  フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。  だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。  侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。  金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。  父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。  だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。  いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。  さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。  お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

処理中です...