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第二章

第17話 精霊ばぁやの、洞くつ(1)

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 セイリュウとの戦いが終わったあと。
 ボクはお風呂に入って体を綺麗にしてから、セフィに話を聞いてみた。

「精霊剣プリズマノワールの本当の力を使う方法ですか?」

「うん。セイリュウは、精霊剣プリズマノワールの本当の力がまだ眠ったままだって言ってたんだ」

「うーん……」
 セフィは少し考えこむと、

「ごめんなさいハルトくん。わたしにもどうすればいいのかは分かりません」
 小さな声で言った。

「そっか、お姫さまのセフィも知らないことなんだね」
 でも困ったなぁ。

 セイリュウは3日後にまたボクと戦いにくるって、そう言ってた。
 だからそれまでに精霊剣プリズマノワールの本当の力を使えるようにしないといけないのに。

 いったいどうすればいいんだろうか?
 とても困ったボクは、思わず頭を抱えてしまった。

 そんなボクにセフィが言った。

「なので、精霊ばぁやに聞いてみましょう!」
「精霊ばぁや? って、どこのどなた?」

 初めて出た名前に、ボクは首をかしげる。

「精霊ばぁやは1000年も生きていて、精霊のことならなんでも知ってる精霊の国の知恵袋なんです」

「1000年も生きてるの!? すごいっ!」

 だって1000年だよ!?
 日本でいうと暴れん坊将軍がいる江戸時代のもっと前の、アベノ・セイメイがいた平安時代に生まれたなんて!

「精霊ばぁやの知識はすごいので、きっと精霊剣プリズマノワールの本当の力を使う方法も知っているはずです」

「その、何でも知ってる精霊ばぁやはどこにいるの?」

「精霊ばぁやは精霊の洞くつの1番奥に、1人でひっそりと住んでいます」

「どうして、そんな不便なところに1人で住んでるの?」

「自分のすごい知恵が悪いやつらに使われないように、ヒキコモってるんです」

「知恵が悪いやつらに使われないように?」

「知恵は良いことにも悪いことにも使えますから。人を助けることもできますし、人を騙すことだってできるんです。使い方次第で良くも悪くもなるんです」

「ふわっ、そういうことか」

 さすがセフィはお姫さまだね。
 言ってることがすごく大人っぽい。
 すごく勉強になるや。
 
「セフィ。ボクを精霊ばぁやのところに連れて行ってくれないかな?」

「わかりました。すぐに準備をします」


 ◆

 ボクとセフィは、精霊剣プリズマノワールの本当の力を使えるようになるために、精霊ばぁやのいる精霊の洞くつへとやってきた。

「この奥に精霊ばぁやがいるんだね。ううっ、なんだか怖そうなところだね……」
 ボクは精霊の洞くつをのぞき込みながら言った。

 ヒューヒューと風が鳴っていて、今にもおばけでも出てきそうなおどろおどろしい雰囲気だった。

 しかも、

「精霊の洞くつには、恐ろしいトラップや難しいナゾナゾがたくさん仕掛けられているという話です」

 セフィがそんな物騒ぶっそうなことを教えてくれるんだ。

「それって悪いヤツらが、来ないようにするためだよね?」

「はい。それでどうしますか、ハルトくん? 今ならまだ引き返せますが――」

「もちろん精霊ばぁやに会いに行くよ!」
 ボクは元気よく言った。

 だったそうしないと、セイリュウがセフィロト城を壊してしまうから。
 セフィロト城はセフィのおうちだ。
 今はボクも住まわせてもらっている。

 セフィとセフィのおうちは、ボクが守るんだ!

「では行きましょう!」
「うん!」

 ボクとセフィは、トラップとナゾナゾが待ちうける精霊の洞くつに、足を踏み入れた――!
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