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第9章

第150話 最後のクエストの作戦会議(2)

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「せめて祭っている系統だけでも大まかに分かればいいんだけどね。古代の神様とか、高位の精霊とかドラゴンとか。そういうのがある程度分かっていれば、少しは気休めにもなるでしょうし」

「さすがにドラゴンは出ないにしても、精霊がらみだとまたウンディーネみたいな最上位の精霊がいるかもしれないんだよなぁ」

「ねぇねぇケイスケ。最上位精霊って前のウンディーネみたいなアホの子なんでしょ? だったらそんな警戒しなくてもいいんじゃないの?」

「アホの子とか言ってやるな。確かにウンディーネはやたらと人間に対して好意的でフレンドリーだったけど、アレはあくまで例外だ」

「あ、例外なんだ」

「普通は数千年も生きている最上位精霊ともなれば、人間を下に見ていることが圧倒的に多いんだよ。人間がテリトリーに入っただけで容赦なく攻撃してきたりな。ってわけでアレと同じに考えるのは絶対ダメだからな、気を付けるんだぞサクラ」

「はーい! っていうかケイスケもウンディーネのことを『アレ』とか言ってんじゃん?」

「ご、ごめん、つい口が滑ってしまって……」

 くっ、パーティでは一番の年長者たる俺としたことが、敬意と崇拝の対象たる最上位精霊ウンディーネをアレ呼ばわりしてしまうなんて。

 しかもそれを最年少のサクラに指摘されちゃうし。

「もうケースケ様ったら、ウンディーネが聞いたら怒って『古の盟約』を破棄するぞーとか言われちゃいますよ?」

 アイセルがそんな俺をやんわりとたしなめてくる。

「いやでもな? 俺が古い書物で見知った最上位精霊って、どれもこれももっと気難しくて好戦的で、人間やエルフなんてその辺の石ころとも思ってないようなのばっかりだったんだよ」

 気難しい上に好戦的で、神殺しの魔神とまで呼ばれた炎の最高位精霊イフリートなんかはその最たる例だ。
 イフリートの怒りを買ってしまい、跡形もなく滅びた古代都市の話もあるくらいで。

「人間を石ころだなんて。またまたケイスケってば私を騙そうとしてるでしょ」

「なんで俺がサクラを騙そうとする必要があるんだよ。真面目な話、ウンディーネを見て最上位精霊に対して持っていたイメージが一番崩れて悲しかったのは、俺なんだからな?」

「あははは……。色んな人がいるように、最高位精霊にもいろんな精霊がいるということですね」

「お、アイセル。上手いことまとめたな」

「ではまとめついでに、前回のクエストの体験に引っ張られることなく、しっかりと気を引き締めてクエスト完遂を目指して頑張りましょう!」

 これまたいつの間にかすっかり板についた様子で、俺の代わりにパーティ全体の意思統一を行ってくれるアイセル。

「そうだな」

 アイセルの成長を肌で感じながら、俺もクエストに向けて心を引き締めていった。

「がんばろー!」
「そうね、頑張って攻略してパパにケースケのことを認めさせないと」

 サクラとシャーリーも気合十分といった様子で、リーダーの俺としてもみんなのモチベーションが高くて一安心だった。

 ほんといいパーティだな、『アルケイン』は。

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