S級【バッファー】(←不遇職)の俺、結婚を誓い合った【幼馴染】を【勇者】に寝取られパーティ追放されヒキコモリに→美少女エルフに養って貰います
マナシロカナタ✨ラノベ作家✨子犬を助けた
文字の大きさ
大中小
59 / 214
第4章
第58話 サクラ、初陣。
しおりを挟む
俺とアイセルにサクラを加えて3人となったパーティ『アルケイン』は、『3名以上かつ、合計レベル150以上、平均レベル50以上』という冒険者ギルドの規則をクリアし、ついに最高位のAランクへと昇格した。
(現在レベル、俺=120、アイセル=38、サクラ=8。合計レベル=166)
引っ越しを済ませたすぐ次の日から、早速クエストを開始する。
ちなみにサクラの育成に良さげなクエストを、冒険者ギルドを通した指名という形でサクラのパパさんから斡旋してもらっていた。
イービル・イノシシの討伐クエストだ。
地域随一の有力者ともなると、冒険者ギルドの手が届いてない情報を掴んで、こんな風にクエストとして用意できちゃうんだなぁ……お金と権力ってすごいなぁ。
この縁は大事にしたいね、うん。
まぁそれはそれとして。
「今回はアイセルは様子見だ。サクラが1人で戦ってくれ」
「ねぇ、ほんとに大丈夫? ケイスケのバフスキルで、私の『狂乱』スキルはほんとに暴走しなくなるの? ケイスケやアイセルさんを襲ったりしない?」
「大丈夫大丈夫、こう見えて俺はレベル120だぞ?」
「でもケイスケはバッファーだし……」
「バッファーもれっきとした職業だっつーの」
「でもうちのギルドにケイスケ以外のバッファーいないじゃん」
「う……っ」
「うーん、なんか心配になってきたよ……」
なかなか踏ん切りが付けないサクラに、
「サクラ、何も心配はいりませんよ」
「アイセルさん?」
「ケースケ様はそれはもうすごいんですから。かくいうわたしもケースケ様のバフスキルには、いっぱいいっぱいお世話になってきたんです」
アイセルが優しく背中を押してあげる。
「……うん、分かった。アイセルさんを信じる」
するとアイセルの言葉をサクラはあっさりと信じた。
「なぁちょっといいか? なんで俺の言葉は信じられないのに、アイセルの言うことならすぐに信じるんだ?」
「だってアイセルさんは目に見えてすごい実績持ちだもん。ギルドでもいろんな噂話でいっぱいだし」
「そうだな、うん……アイセルは凄いもんな、アイセルの言うことなら納得いくよな。ごめんな、不遇職のバッファーで……」
ちなみにどれくらいアイセルが人気かというと、アイセルの魔法剣そっくりのレプリカ剣(ただし普通の剣だ)を、このあたりの冒険者パーティの前衛職がみんな装備してるくらいに有名で人気だった。
最初に魔法剣を融通してくれた武器防具屋が、『アイセルモデル』として売り出していたからだ。
作ったそばから飛ぶように売れて、今は予約で数か月先まで埋まっているとかなんとか。
さすがはやり手の商人、損して得取れとはよく言ったもんだ。
「でもケイスケのこともすごいとは思ってるのよ? 成り手のいない後衛不遇職のバッファーでレベル120なんだもん」
「分かってればいいんだ、分かってれば」
「よほど優秀な仲間がいて、金魚のフンをしてたのね」
「だからお前はほんとイチイチ一言多いんだよ!?」
「ご、ごめんなさい、悪気はなかったの。でも根が正直なものでつい……」
「正直だったらなに言ってもいいと思うなよ?」
「まぁまぁケースケ様、バフがかかればすぐにサクラも実感として納得しますから」
話がもつれかけたのを、すぐにアイセルが軌道修正してくれた。
いつの間にかパーティのリーダー適正まで見せ始めているアイセルだった。
「ま、アイセルの言う通り『論より証拠』だわな。いくぞ、S級スキル『天使の加護――エンジェリック・レイヤー』発動」
俺はバフスキルを発動した。
少し遅れてサクラがバーサーカーの力の源、怒りの精霊『フラストレ』の力を恐るおそる解放する。
『狂乱』スキルが発動し、サクラの瞳が理性を失わせる真紅の怒りに染まっていき――、
「……信じられないっ! 怒りの精霊『フラストレ』が全然暴走しないなんて! むしろすっごく馴染んでる感じ! ケイスケって実はすごかったのね! 不遇職のバッファーなのに!」
だけどサクラは理性を失ってはいなかった。
そして相変わらず一言多かった。
「事あるごとにイチイチ俺が不遇職とか言わなくていいからな。じゃあ行ってこい。でも気は抜くなよ」
「分かってるわよ! おりゃぁぁぁっ!」
イービル・イノシシの群れを相手に、サクラは雄たけびを上げながら真正面から突撃していった。
好戦的なイービル・イノシシはすぐに群れごと応戦してきて、激しい戦いがはじまる。
しかしサクラは巨大な戦斧『バトルアックス』を振りまわしながら、一方的にボコボコに蹴散らしていくのだ。
「バーサーカーってすごいんですね、とてもレベル8の戦闘力とは思えません」
アイセルが感心したように言った。
「バーサーカーのレベルは+10か15するくらいのイメージかな。怒りの精霊『フラストレ』の力さえコントロールできれば、間違いなく最強職の一つなんだよ」
「でもそれが難しいんですよね?」
「そういうこと」
なんてことを話しながら、すぐそばでアイセルに守られていることもあって、俺がいつもよりも気楽に戦闘を見守っていると、
「見てよケイスケ! 私やれるわ!」
戦闘のちょっとした合間に、サクラが後ろで離れて見守っている俺に向かって叫んできた。
「分かってる! そんなことより気を抜くなって言ってるだろ! よそ見してると痛い目見るぞ!」
「へへん、大丈夫よ――って、わぷっ!」
言ってるそばから、サクラがイービル・イノシシに派手に吹っ飛ばされて転がっていった。
10メートルほど地面をゴロゴロして岩にあたって止まる。
サクラの右足は変な方向に折れ曲がっていた。
(現在レベル、俺=120、アイセル=38、サクラ=8。合計レベル=166)
引っ越しを済ませたすぐ次の日から、早速クエストを開始する。
ちなみにサクラの育成に良さげなクエストを、冒険者ギルドを通した指名という形でサクラのパパさんから斡旋してもらっていた。
イービル・イノシシの討伐クエストだ。
地域随一の有力者ともなると、冒険者ギルドの手が届いてない情報を掴んで、こんな風にクエストとして用意できちゃうんだなぁ……お金と権力ってすごいなぁ。
この縁は大事にしたいね、うん。
まぁそれはそれとして。
「今回はアイセルは様子見だ。サクラが1人で戦ってくれ」
「ねぇ、ほんとに大丈夫? ケイスケのバフスキルで、私の『狂乱』スキルはほんとに暴走しなくなるの? ケイスケやアイセルさんを襲ったりしない?」
「大丈夫大丈夫、こう見えて俺はレベル120だぞ?」
「でもケイスケはバッファーだし……」
「バッファーもれっきとした職業だっつーの」
「でもうちのギルドにケイスケ以外のバッファーいないじゃん」
「う……っ」
「うーん、なんか心配になってきたよ……」
なかなか踏ん切りが付けないサクラに、
「サクラ、何も心配はいりませんよ」
「アイセルさん?」
「ケースケ様はそれはもうすごいんですから。かくいうわたしもケースケ様のバフスキルには、いっぱいいっぱいお世話になってきたんです」
アイセルが優しく背中を押してあげる。
「……うん、分かった。アイセルさんを信じる」
するとアイセルの言葉をサクラはあっさりと信じた。
「なぁちょっといいか? なんで俺の言葉は信じられないのに、アイセルの言うことならすぐに信じるんだ?」
「だってアイセルさんは目に見えてすごい実績持ちだもん。ギルドでもいろんな噂話でいっぱいだし」
「そうだな、うん……アイセルは凄いもんな、アイセルの言うことなら納得いくよな。ごめんな、不遇職のバッファーで……」
ちなみにどれくらいアイセルが人気かというと、アイセルの魔法剣そっくりのレプリカ剣(ただし普通の剣だ)を、このあたりの冒険者パーティの前衛職がみんな装備してるくらいに有名で人気だった。
最初に魔法剣を融通してくれた武器防具屋が、『アイセルモデル』として売り出していたからだ。
作ったそばから飛ぶように売れて、今は予約で数か月先まで埋まっているとかなんとか。
さすがはやり手の商人、損して得取れとはよく言ったもんだ。
「でもケイスケのこともすごいとは思ってるのよ? 成り手のいない後衛不遇職のバッファーでレベル120なんだもん」
「分かってればいいんだ、分かってれば」
「よほど優秀な仲間がいて、金魚のフンをしてたのね」
「だからお前はほんとイチイチ一言多いんだよ!?」
「ご、ごめんなさい、悪気はなかったの。でも根が正直なものでつい……」
「正直だったらなに言ってもいいと思うなよ?」
「まぁまぁケースケ様、バフがかかればすぐにサクラも実感として納得しますから」
話がもつれかけたのを、すぐにアイセルが軌道修正してくれた。
いつの間にかパーティのリーダー適正まで見せ始めているアイセルだった。
「ま、アイセルの言う通り『論より証拠』だわな。いくぞ、S級スキル『天使の加護――エンジェリック・レイヤー』発動」
俺はバフスキルを発動した。
少し遅れてサクラがバーサーカーの力の源、怒りの精霊『フラストレ』の力を恐るおそる解放する。
『狂乱』スキルが発動し、サクラの瞳が理性を失わせる真紅の怒りに染まっていき――、
「……信じられないっ! 怒りの精霊『フラストレ』が全然暴走しないなんて! むしろすっごく馴染んでる感じ! ケイスケって実はすごかったのね! 不遇職のバッファーなのに!」
だけどサクラは理性を失ってはいなかった。
そして相変わらず一言多かった。
「事あるごとにイチイチ俺が不遇職とか言わなくていいからな。じゃあ行ってこい。でも気は抜くなよ」
「分かってるわよ! おりゃぁぁぁっ!」
イービル・イノシシの群れを相手に、サクラは雄たけびを上げながら真正面から突撃していった。
好戦的なイービル・イノシシはすぐに群れごと応戦してきて、激しい戦いがはじまる。
しかしサクラは巨大な戦斧『バトルアックス』を振りまわしながら、一方的にボコボコに蹴散らしていくのだ。
「バーサーカーってすごいんですね、とてもレベル8の戦闘力とは思えません」
アイセルが感心したように言った。
「バーサーカーのレベルは+10か15するくらいのイメージかな。怒りの精霊『フラストレ』の力さえコントロールできれば、間違いなく最強職の一つなんだよ」
「でもそれが難しいんですよね?」
「そういうこと」
なんてことを話しながら、すぐそばでアイセルに守られていることもあって、俺がいつもよりも気楽に戦闘を見守っていると、
「見てよケイスケ! 私やれるわ!」
戦闘のちょっとした合間に、サクラが後ろで離れて見守っている俺に向かって叫んできた。
「分かってる! そんなことより気を抜くなって言ってるだろ! よそ見してると痛い目見るぞ!」
「へへん、大丈夫よ――って、わぷっ!」
言ってるそばから、サクラがイービル・イノシシに派手に吹っ飛ばされて転がっていった。
10メートルほど地面をゴロゴロして岩にあたって止まる。
サクラの右足は変な方向に折れ曲がっていた。
0
お気に入りに追加
314
あなたにおすすめの小説
戦争から帰ってきたら、俺の婚約者が別の奴と結婚するってよ。
隣のカキ
ファンタジー
国家存亡の危機を救った英雄レイベルト。彼は幼馴染のエイミーと婚約していた。
婚約者を想い、幾つもの死線をくぐり抜けた英雄は戦後、結婚の約束を果たす為に生まれ故郷の街へと戻る。
しかし、戦争で負った傷も癒え切らぬままに故郷へと戻った彼は、信じられない光景を目の当たりにするのだった……
re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ
俊也
ライト文芸
実際の歴史では日本本土空襲・原爆投下・沖縄戦・特攻隊などと様々な悲劇と犠牲者を生んだ太平洋戦争(大東亜戦争)
しかし、タイムスリップとかチート新兵器とか、そういう要素なしでもう少しその悲劇を防ぐか薄めるかして、尚且つある程度自主的に戦後の日本が変わっていく道はないか…アメリカ等連合国に対し「勝ちすぎず、程よく負けて和平する」ルートはあったのでは?
そういう思いで書きました。
歴史時代小説大賞に参戦。
ご支援ありがとうございましたm(_ _)m
また同時に「新訳 零戦戦記」も参戦しております。
こちらも宜しければお願い致します。
他の作品も
お手隙の時にお気に入り登録、時々の閲覧いただければ幸いです。m(_ _)m
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。
飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。
隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。
だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。
そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。
最難関ダンジョンで裏切られ切り捨てられたが、スキル【神眼】によってすべてを視ることが出来るようになった冒険者はざまぁする
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【第15回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作】
僕のスキル【神眼】は隠しアイテムや隠し通路、隠しトラップを見破る力がある。
そんな元奴隷の僕をレオナルドたちは冒険者仲間に迎え入れてくれた。
でもダンジョン内でピンチになった時、彼らは僕を追放した。
死に追いやられた僕は世界樹の精に出会い、【神眼】のスキルを極限まで高めてもらう。
そして三年の修行を経て、僕は世界最強へと至るのだった。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
魔境暮らしの転生予言者 ~開発に携わったゲーム世界に転生した俺、前世の知識で災いを先読みしていたら「奇跡の予言者」として英雄扱いをうける~
鈴木竜一
ファンタジー
「前世の知識で楽しく暮らそう! ……えっ? 俺が予言者? 千里眼?」
未来を見通す千里眼を持つエルカ・マクフェイルはその能力を生かして国の発展のため、長きにわたり尽力してきた。その成果は人々に認められ、エルカは「奇跡の予言者」として絶大な支持を得ることになる。だが、ある日突然、エルカは聖女カタリナから神託により追放すると告げられてしまう。それは王家をこえるほどの支持を得始めたエルカの存在を危険視する王国側の陰謀であった。
国から追いだされたエルカだったが、その心は浮かれていた。実は彼の持つ予言の力の正体は前世の記憶であった。この世界の元ネタになっているゲームの開発メンバーだった頃の記憶がよみがえったことで、これから起こる出来事=イベントが分かり、それによって生じる被害を最小限に抑える方法を伝えていたのである。
追放先である魔境には強大なモンスターも生息しているが、同時にとんでもないお宝アイテムが眠っている場所でもあった。それを知るエルカはアイテムを回収しつつ、知性のあるモンスターたちと友好関係を築いてのんびりとした生活を送ろうと思っていたのだが、なんと彼の追放を受け入れられない王国の有力者たちが続々と魔境へとやってきて――果たして、エルカは自身が望むようなのんびりスローライフを送れるのか!?
解雇されたけど実は優秀だったという、よくあるお話。
シグマ
ファンタジー
突如、所属している冒険者パーティー[ゴバスト]を解雇されたサポーターのマルコ。しかし普通のサポート職以上の働きをしていたマルコが離脱した後のパーティーは凋落の一途を辿る。そしてその影響はギルドにまでおよび……
いわゆる追放物の短編作品です。
起承転結にまとめることを意識しましたが、上手く『ざまぁ』出来たか分かりません。どちらかと言えば、『覆水盆に返らず』の方がしっくりくるかも……
サクッと読んで頂ければ幸いです。
※思っていた以上の方に読んで頂けたので、感謝を込めて当初の予定を越える文量で後日談を追記しました。ただ大団円で終わってますので、『ざまぁ』を求めている人は見ない方が良いかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる