S級【バッファー】(←不遇職)の俺、結婚を誓い合った【幼馴染】を【勇者】に寝取られパーティ追放されヒキコモリに→美少女エルフに養って貰います
マナシロカナタ✨ラノベ作家✨子犬を助けた
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第4章
第51話 接近する怪しい影
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パーティ『アルケイン』が、新たな目標と共に再スタートを切ってから早1カ月。
それはCランクのクエストをこなした帰り道だった。
「ケースケ様、やはり……」
冒険者ギルドのある街まで戻ってすぐ、アイセルが正面を向いたままで俺にだけ聞こえるように小さな声でつぶやいた。
「ああ、間違いないな。つけられてる」
俺も正面を向いたままで同じように小声で答える。
俺とアイセルはここ数日、俺たちを尾行している怪しい影があることに気が付いていた。
ただまぁ尾行というかなんというか、
「でもあの、何と言いましょうか……」
「はっきり言っていいぞ、多分俺も同じように思ってるから」
「えっとその、すごく下手な尾行ですね(´・ω・`)」
俺に促されたアイセルが、これ以上なくはっきり言った。
「何のスキルも持ってない俺でも気づくレベルだ。子供でももっとうまくやるんじゃないか?」
「尾行のプロではなくただの素人みたいですね。わたしたちを尾行して、一体なにが目的なんでしょうか?」
「さぁな。でも尾行され続けるのも気分が悪いし、ちょっとおびき出してみるか」
「どうするんですか?」
「その先の角を左に曲がると見通しの悪い裏路地に入る。俺はすぐに物陰に隠れるから、アイセルは『光学迷彩』のスキルを使って姿を消して、決定的瞬間を押さえてくれ」
「了解です」
「細かいところは任せるから、上手いこと頼むな」
「お任せあれです」
簡単な打ち合わせのあと、俺とアイセルは横目で小さくアイコンタクトを交わすと、急に左折して路地に入った。
すぐに俺は物陰に隠れ、アイセルもスキルで姿を消す。
尾行者は急に進路を変えた俺たちを追うように路地に入ってくると、
「あれ、いない!? なんで!? うそ、見失ったじゃないの!」
焦ったような声をあげた。
「おやおや、誰を見失ったんでしょうか?」
「誰ってそりゃあもちろんパーティ『アルケイン』の2人よ――って、え、私は今誰と会話を……」
尾行者は誰もいない周囲をキョロキョロと見まわす。
「そうですか、わたしたちを探していたんですね。奇遇です、実はわたしたちもあなたにお話があったんです」
その言葉と共にアイセルがスキルを解いて姿を現した。
「ふぇぇぇっ!?」
尾行者が――アイセルよりも幼い少女だ、12才くらいか?――びっくりしてピョコンと飛び上がった。
「姿を消すスキルですよ、そんなに驚くほどのものではありません」
「驚くし! そんなスキル当たり前に使えないし! それにそこまで完璧に消えられるなんてすごく才能ある人だけだもん!」
「お褒めいただき光栄です。それで、わたしたちを付け回していったい何の用だったんでしょうか?」
「あー、えっと……それは、あの……ここは一時退散っ! お邪魔しました~、わぷっ!」
「おっとちびっ子、どこに行こうってんだ?」
とっさに逃げようとした少女は、しかし挟み撃ちにするべく物陰から出た俺にぶつかると、すってんころりん尻餅をついた。
「あいたたたた……」
そんな素人丸出しの様子を見て、俺とアイセルは顔を見あわせる。
「ケースケ様、この子もしかしてただの子供では?」
「俺もそんな気がしてきたよ。少なくとも悪い奴じゃなさそうだよな。ほら、立てるか?」
「あ、ありがとう」
俺が差し出した手を素直に取って立ち上がった女の子。
綺麗な黒髪が特徴的で、宝石のついたキラキラ高そうな髪留めを付けている。
服も見るからに仕立てがいいから、どこかのお金持ちのお嬢さんなのかな?
だけど背中にはバカでかい諸刃のバトルアックスを背負っていて、それがなんとも場違いというか不釣り合いというか、違和感をがあった。
まあそれは今は置いといて、だ。
「で、俺たちに何の用なんだ――えっと君の名前は?」
「サクラメントよ。でも長いしお堅い感じだからみんなサクラって省略して呼ぶの」
それはCランクのクエストをこなした帰り道だった。
「ケースケ様、やはり……」
冒険者ギルドのある街まで戻ってすぐ、アイセルが正面を向いたままで俺にだけ聞こえるように小さな声でつぶやいた。
「ああ、間違いないな。つけられてる」
俺も正面を向いたままで同じように小声で答える。
俺とアイセルはここ数日、俺たちを尾行している怪しい影があることに気が付いていた。
ただまぁ尾行というかなんというか、
「でもあの、何と言いましょうか……」
「はっきり言っていいぞ、多分俺も同じように思ってるから」
「えっとその、すごく下手な尾行ですね(´・ω・`)」
俺に促されたアイセルが、これ以上なくはっきり言った。
「何のスキルも持ってない俺でも気づくレベルだ。子供でももっとうまくやるんじゃないか?」
「尾行のプロではなくただの素人みたいですね。わたしたちを尾行して、一体なにが目的なんでしょうか?」
「さぁな。でも尾行され続けるのも気分が悪いし、ちょっとおびき出してみるか」
「どうするんですか?」
「その先の角を左に曲がると見通しの悪い裏路地に入る。俺はすぐに物陰に隠れるから、アイセルは『光学迷彩』のスキルを使って姿を消して、決定的瞬間を押さえてくれ」
「了解です」
「細かいところは任せるから、上手いこと頼むな」
「お任せあれです」
簡単な打ち合わせのあと、俺とアイセルは横目で小さくアイコンタクトを交わすと、急に左折して路地に入った。
すぐに俺は物陰に隠れ、アイセルもスキルで姿を消す。
尾行者は急に進路を変えた俺たちを追うように路地に入ってくると、
「あれ、いない!? なんで!? うそ、見失ったじゃないの!」
焦ったような声をあげた。
「おやおや、誰を見失ったんでしょうか?」
「誰ってそりゃあもちろんパーティ『アルケイン』の2人よ――って、え、私は今誰と会話を……」
尾行者は誰もいない周囲をキョロキョロと見まわす。
「そうですか、わたしたちを探していたんですね。奇遇です、実はわたしたちもあなたにお話があったんです」
その言葉と共にアイセルがスキルを解いて姿を現した。
「ふぇぇぇっ!?」
尾行者が――アイセルよりも幼い少女だ、12才くらいか?――びっくりしてピョコンと飛び上がった。
「姿を消すスキルですよ、そんなに驚くほどのものではありません」
「驚くし! そんなスキル当たり前に使えないし! それにそこまで完璧に消えられるなんてすごく才能ある人だけだもん!」
「お褒めいただき光栄です。それで、わたしたちを付け回していったい何の用だったんでしょうか?」
「あー、えっと……それは、あの……ここは一時退散っ! お邪魔しました~、わぷっ!」
「おっとちびっ子、どこに行こうってんだ?」
とっさに逃げようとした少女は、しかし挟み撃ちにするべく物陰から出た俺にぶつかると、すってんころりん尻餅をついた。
「あいたたたた……」
そんな素人丸出しの様子を見て、俺とアイセルは顔を見あわせる。
「ケースケ様、この子もしかしてただの子供では?」
「俺もそんな気がしてきたよ。少なくとも悪い奴じゃなさそうだよな。ほら、立てるか?」
「あ、ありがとう」
俺が差し出した手を素直に取って立ち上がった女の子。
綺麗な黒髪が特徴的で、宝石のついたキラキラ高そうな髪留めを付けている。
服も見るからに仕立てがいいから、どこかのお金持ちのお嬢さんなのかな?
だけど背中にはバカでかい諸刃のバトルアックスを背負っていて、それがなんとも場違いというか不釣り合いというか、違和感をがあった。
まあそれは今は置いといて、だ。
「で、俺たちに何の用なんだ――えっと君の名前は?」
「サクラメントよ。でも長いしお堅い感じだからみんなサクラって省略して呼ぶの」
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