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第三章エルフ、オークの花嫁になる
エルフ、オークの花嫁になる【23】
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次に意識を取り戻すと、グイドがセリオリス様にぶん殴られていた。
「このクソエロガキ!病み上がりに種付けするとか何考えてんだ!」
「返す言葉もな……オボァッ!」
腹に強烈な一発。グイドは壁にぶち当たって落ちた。いやいや何故!?
私は半身を起こして叫んだ。
「セリオリス様!何をなさいますか!グイドを虐めないで下さい!」
「レグレース!目え覚めたか!よかった!痛い所はないか?!」
セリオリス様は珍しく涙目だ。どうやら、本気で心配をかけたらしい。
「え、ええ。大丈夫です。それに私が抱いてと頼んだので、グイドは悪くないです」
「いーや!こいつが悪い!レグレースはまた丸一日意識もどらなかったんだぞ!」
セリオリス様は納得していない様子でグイドを威嚇している。グイドも落ち込んでる様子だ。
「セリィ、落ち着きなさい」
オズマ様がセリオリス様を抱き寄せて抑えた。
「しかしレグレース様、例え貴方の願いであっても、グイドは拒否すべきでした。伴侶となるならなおさら、貴方の身体を思いやるべきです。今一度、関係を考え直すべきでは?」
「そうだそうだー!身体のことはなんとかなるからコイツは止めとけ!」
「ご心配をおかけして申し訳ございません。ですが、私は後悔していません。どうしてもあの時、グイドに抱かれて花嫁になりたかった」
グイドが私を見た。
「レグレース……」
「グイド、こっちにおいで」
素直に近づいたグイドをベッドに座らせ、抱きしめた。
「君より、よっぽど私の方が悪いよ。どうか気に病まないで。……セリオリス様、オズマ様、ご心配をおかけして申し訳ございません。自分で言うのもなんですが、私たちはまだ夫夫になったばかりなのです。至らない所もあると思いますが、どうか見守って頂けないでしょうか?私はもう、グイド以外と生涯を共にしたくないのです」
「レグレース様……」
「……レグレース、お前の気持ちはわかった。俺たちもグイドを責めすぎた」
「そうですね。グイドも想いが募ってのことですし、レグレース様は疲労こそ激しいですが傷一つ付けられていない。……グイド、私たちも言い過ぎたよ。済まなかった」
二人はグイドに謝罪し、グイドは「俺も悪かったし、二人はレグレースを心配してくれただけだから」と、首を横ふった。
「……ただなレグレース、いずれエルフのお前はオークのグイドに置いて逝かれる。わかっているよな?」
グイドの身体が震えた。私は抱きしめる力を強めた。安心させるよう、強く。
「もちろんです。それでも私はグイドがいい」
「レグレース、俺も……」
グイドの金色の目から涙がこぼれた。綺麗で愛しくてたまらない。私は彼の頬に手を添えて、そっと目元に口付けた。
「おい。まだ俺らいるんだからイチャつくのは後にしろ」
「あっ!ご、ごめんなさい!」
「ごめん!セリオっさん!村長!」
「はあ、仕方ねえなあ。……オズマ、いいよな?渡して」
「ええ。ここまでしっかりと結ばれてはね……それに、この二人は信頼できる」
セリオリス様は懐から小さな硝子瓶を出した。虹色に光る液体が入っている。
「やる」
セリオリス様が私に差し出したので受け取った。
「セリオリス様、オズマ様、これは何ですか?」
セリオリス様はニヤッと笑った。
「不老不死の妙薬だ」
「へー、これが……は?」
「セリオっさん、とうとう見つけたのか!?」
「おうよ。つっても、量が少ないから老化を抑えて寿命を伸ばすくらいだ。だいたい三百年くらいだな」
「ど、どどどどどういうことですか!?」
まとめると、こういうことだった。
オズマ様との寿命差を嘆いたセリオリス様だったが「じゃあ、テメェでなんとかすっか!」と、爆速で切り替え、不老不死の妙薬を研究するようになった。図書館の蔵書の多さや、オズマ様と旅に出るようになったのも、そのためだ。
「セリオっさんも村長も凄いな。伝説の代物で、ロクな手がかりも無いって言ってたのに」
「……ということは、オズマ様は……」
「ええ。飲みました。流石に不老不死ではありませんが、寿命は千年近く伸びたようです」
セリオリス様は、純血に近いエルフだ。寿命は千年を越えるとされる。
私の寿命はせいぜい六百歳程度で現在二百歳、グイドは百五十歳程度で現在二十八歳なので、渡された不老不死の妙薬の量はちょうどいいと言える。
「村を守ってくれた友人夫夫への礼と結婚祝いだ。使うかどうかは二人で決めろ」
私たちは顔を見合わせ、とりあえず厳重に保管することにしたのだった。
「このクソエロガキ!病み上がりに種付けするとか何考えてんだ!」
「返す言葉もな……オボァッ!」
腹に強烈な一発。グイドは壁にぶち当たって落ちた。いやいや何故!?
私は半身を起こして叫んだ。
「セリオリス様!何をなさいますか!グイドを虐めないで下さい!」
「レグレース!目え覚めたか!よかった!痛い所はないか?!」
セリオリス様は珍しく涙目だ。どうやら、本気で心配をかけたらしい。
「え、ええ。大丈夫です。それに私が抱いてと頼んだので、グイドは悪くないです」
「いーや!こいつが悪い!レグレースはまた丸一日意識もどらなかったんだぞ!」
セリオリス様は納得していない様子でグイドを威嚇している。グイドも落ち込んでる様子だ。
「セリィ、落ち着きなさい」
オズマ様がセリオリス様を抱き寄せて抑えた。
「しかしレグレース様、例え貴方の願いであっても、グイドは拒否すべきでした。伴侶となるならなおさら、貴方の身体を思いやるべきです。今一度、関係を考え直すべきでは?」
「そうだそうだー!身体のことはなんとかなるからコイツは止めとけ!」
「ご心配をおかけして申し訳ございません。ですが、私は後悔していません。どうしてもあの時、グイドに抱かれて花嫁になりたかった」
グイドが私を見た。
「レグレース……」
「グイド、こっちにおいで」
素直に近づいたグイドをベッドに座らせ、抱きしめた。
「君より、よっぽど私の方が悪いよ。どうか気に病まないで。……セリオリス様、オズマ様、ご心配をおかけして申し訳ございません。自分で言うのもなんですが、私たちはまだ夫夫になったばかりなのです。至らない所もあると思いますが、どうか見守って頂けないでしょうか?私はもう、グイド以外と生涯を共にしたくないのです」
「レグレース様……」
「……レグレース、お前の気持ちはわかった。俺たちもグイドを責めすぎた」
「そうですね。グイドも想いが募ってのことですし、レグレース様は疲労こそ激しいですが傷一つ付けられていない。……グイド、私たちも言い過ぎたよ。済まなかった」
二人はグイドに謝罪し、グイドは「俺も悪かったし、二人はレグレースを心配してくれただけだから」と、首を横ふった。
「……ただなレグレース、いずれエルフのお前はオークのグイドに置いて逝かれる。わかっているよな?」
グイドの身体が震えた。私は抱きしめる力を強めた。安心させるよう、強く。
「もちろんです。それでも私はグイドがいい」
「レグレース、俺も……」
グイドの金色の目から涙がこぼれた。綺麗で愛しくてたまらない。私は彼の頬に手を添えて、そっと目元に口付けた。
「おい。まだ俺らいるんだからイチャつくのは後にしろ」
「あっ!ご、ごめんなさい!」
「ごめん!セリオっさん!村長!」
「はあ、仕方ねえなあ。……オズマ、いいよな?渡して」
「ええ。ここまでしっかりと結ばれてはね……それに、この二人は信頼できる」
セリオリス様は懐から小さな硝子瓶を出した。虹色に光る液体が入っている。
「やる」
セリオリス様が私に差し出したので受け取った。
「セリオリス様、オズマ様、これは何ですか?」
セリオリス様はニヤッと笑った。
「不老不死の妙薬だ」
「へー、これが……は?」
「セリオっさん、とうとう見つけたのか!?」
「おうよ。つっても、量が少ないから老化を抑えて寿命を伸ばすくらいだ。だいたい三百年くらいだな」
「ど、どどどどどういうことですか!?」
まとめると、こういうことだった。
オズマ様との寿命差を嘆いたセリオリス様だったが「じゃあ、テメェでなんとかすっか!」と、爆速で切り替え、不老不死の妙薬を研究するようになった。図書館の蔵書の多さや、オズマ様と旅に出るようになったのも、そのためだ。
「セリオっさんも村長も凄いな。伝説の代物で、ロクな手がかりも無いって言ってたのに」
「……ということは、オズマ様は……」
「ええ。飲みました。流石に不老不死ではありませんが、寿命は千年近く伸びたようです」
セリオリス様は、純血に近いエルフだ。寿命は千年を越えるとされる。
私の寿命はせいぜい六百歳程度で現在二百歳、グイドは百五十歳程度で現在二十八歳なので、渡された不老不死の妙薬の量はちょうどいいと言える。
「村を守ってくれた友人夫夫への礼と結婚祝いだ。使うかどうかは二人で決めろ」
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